アイキャッチ画像撮影:washio daisuke
こだわっていますか?レインウェアのセレクト基準

撮影:washio daisuke(登山靴やザックと比べて甘くなりがちなレインウェアを選ぶ基準)
雨による身体の濡れや風による身体の冷えが「低体温症」に直結する登山。レインウェアは、登山靴・ザックと並ぶ“三種の神器”とされるマストハブアイテムです。
とは言え雨天時や強風時にしか使わず、サイズも登山靴やザックと比べて厳密ではないため、セレクト基準は「好みの色」程度とついつい甘くなりがちなのではないでしょうか。
けれどもよく考えてみてください。雨天・強風というのは、登山においてかなり不快でシビアなコンディション。そこで自分の身体を守るレインウェアの着心地やスペックは実はとっても大切なんです。
今回はベテラン登山者にも人気急上昇中の、
モンベル「バーサライトジャケット&パンツ」を実際に登山で使用。様々な局面での性能や使い勝手を検証してみました。
最大の特徴は「驚異的な薄さ」

撮影:washio daisuke(内側から表面のmont-bellロゴがしっかり透けて見える薄さ)
「バーサライトジャケット&パンツ」の最大の特徴が「薄さ」です。写真の通りジャケット内側から表面にプリントされたmont-bellのロゴがしっかり透けて見えるほど。
スペックを確認すると「バーサライトジャケット&パンツ」の表地の厚さはわずか10デニール(※注)。同じくモンベルの代表的なレインウェアである「ストームクルーザージャケット&パンツ(表地の厚さは20デニール)」の約半分の薄さで、違いは歴然ですね。
※デニールとは GORE-TEXなどの防水透湿性素材をはじめとした、繊維やそれを構築する糸の太さの単位。9000mが基準となっており、9000mで50gの重さの糸は50デニールと表記。アウトドアウェアの他、ストッキングなどでも使用されている。

もちろん、薄いからといって性能が不足している訳ではありません。バーサライトジャケット&パンツは、バリスティック エアライト®︎という素材を使用。極細のバリスティック®ナイロン糸を織り上げたこの素材で、十分な強度と軽量性・薄さを両立しているのです。
数値面で見ても耐水圧
(※1)30,000mm以上、透湿度
(※2)43,000g/m²・24hrsと、レインウェアに必要なスペックを十分にクリア。
この「薄さ」が従来のレインウェアと比べてどんな違いをもたらすのか、実際に雨天と強風のふたつのコンディションで着用し、その着心地を実感してみました。
※1.耐水圧(mm)…防水性を示す数値。登山では最低20,000mm以上が望ましいとされている。
※2.透湿度(m²/24h)…蒸気状態の汗をどれくらい外へ逃がせるかを示す数値。高いほど蒸れにくく最低20,000g/m²/24hあると不快感を感じにくいとされている。
雨天時に実感した「蒸れにくく快適な着心地」

撮影:washio daisuke(袖口をしっかり閉めても蒸れにくく快適!)
実は筆者、雨天でのレインウェア着用が大の苦手。
GORE-TEX®︎などの防水透湿性素材を使用していても登山という激しい運動をしていることで、どうしても内部にこもる熱気で汗ばむ身体。このナイロン製のレインウェアに触れることで起こる“ベタ付き感”が嫌いで、低体温症のリスクが少ない状況下で少々の雨であれば着用しないこともありました。
ところが「バーサライトジャケット&パンツ」は、その薄さのおかげで“蒸れ”を感じることはほぼ皆無。雨の侵入を防ぐためにジャケット袖口のベルクロをしっかり閉めた状態でも、ウェア内部に熱気がこもることがなく快適に行動できました。

撮影:washio daisuke(はっ水性もしっかり!)
もちろんはっ水性も抜群。
雨で濡れたジャケットとパンツを登山後にしまう際も、タオルで軽く拭うだけでほぼドライな状態になり安心してザックにしまうことができました。

生地にはゴアテックス インフィニアム™ ウインドストッパー® ファブリクス(防水仕様)を採用。万全の防風性だけでなく、高い透湿性と超耐久はっ水性を持った素材だからこそ、蒸れにくく優れたはっ水性を発揮してくれたのでしょう。
強風時に実感した「しなやかで動きやすい着心地」

撮影:washio daisuke(強風時でのウィンドブレーカーとしてのポテンシャルは?)
続いてレインウェアのもう一つの使用法となる、強風時にジャケットを「ウィンドブレーカー」として羽織るシチュエーションで検証。夏とはいえ標高が高いため気温が低く、独立峰であるため風も強い富士山中腹で実際に着用してみました。
気温は約18℃、風速は約5m/sと、富士山にしては比較的穏やかなコンディションです。

撮影:washio daisuke(薄さから来るしなやかさが軽い着心地に)
ここで感じたのは、薄さに起因する圧倒的なしなやかさ。
従来のそれなりに厚みのあるレインウェアをウインドブレーカーとして着用すると、風を受けてウェアが“バサバサとなびく”感覚を抱くものですが、「バーサライトジャケット」ではバサつきから来るストレスが大幅に軽減。行動中の腕の動きやザックの上げ下ろしの際の動作にも、ソフトシェルに近い感覚で追従してくれました。

バーサライトジャケットは「K-Mono カット」という独自の縫製技術で、縫製箇所が極限まで減らされています。防水性・軽量性・耐久性はもちろんですが、強風時に感じた「しなやかさ」もこのカットパターンならではの着心地に貢献しているようです。
収納時もコンパクト!

撮影:washio daisuke(左:筆者所有の従来のレインウェア/右:バーサライトジャケット&パンツ)
生地自体が薄いので、ケース入れた時にもコンパクトに。写真の通り、スマホに近いサイズまで小さく折り畳むことが可能です。
雨天・強風時しか使用しないレインウェア、ザックの中で大きなスペースをとってしまうのは考えものですよね。しかも天候悪化時には素早く取り出せないといけないため、パッキングにも工夫が必要に。
とりわけ、トレイルランニングなどで使用するUL系のザックは容量が小さく収納スペースも限られるもの。「バーサライトジャケット&パンツ」は、こうしたシチュエーションでも重宝しそうですね。
動きやすさを追求した細部のこだわり

撮影:washio daisuke(バーサライトジャケット&パンツの細部をチェック)
それでは、バーサライトジャケット&パンツの細部を見て行きましょう。薄さだけでなく動きやすさにもこだわった工夫が、あちこちに凝らされていますよ。

撮影:washio daisuke(頭へのフィット感を高めるフード後部のアジャスター)
バーサライトジャケットで特筆すべきは、フードを被った時の頭へのフィット感の高さ。フード後部のアジャスターで、首回りのサイズもぴったりに、フード前面のひさしの上下も調整可能です。

撮影:washio daisuke(頭の動きへの追従性を高めるフード前部のアジャスター)
フード前部にもアジャスターがあり、顔の周囲も調整可能。頭を前後左右に動かしても「頭だけが動いて視界が遮られる」ことは皆無で、向きたい方向へとしっかり追従してくれますよ。

撮影:washio daisuke(シンプルなパンツのアジャスターとハンガーループ)
バーサライトパンツのウェスト部はゴムも入っていますが、アジャスターでさらにフィット感をアップさせることが可能。またジャケット・パンツともに水色の枠で囲ったハンガーループが付いており、山小屋の乾燥室に吊るす時にも重宝ですね。

撮影:washio daisuke(バーサライトジャケットの内側)
最後にジャケットを裏返して内側を見てみましょう。テープ処理された縫製箇所は中央部のみ、防水性の向上と軽量化を同時に実現しています。もちろん、ジップ部分はしっかりと処理されているので安心です。
内側のレイヤリングには工夫が必要

撮影:washio daisuke(薄いからこそ内側のレイヤリングに工夫を)
バーサライトジャケット&パンツの最大の特徴が「薄さ」であることは前述の通り。これは同時に防水性には問題ないものの、ウェア外側の環境をダイレクトに感じやすいのも事実。
特に半袖のTシャツを着ていた腕の部分では、雨粒が当たる感触や風の強さを肌で感じました。気温や風速次第ではこの感触が「寒さ」につながる場合も。特に気温が低く風も強くなりがちな高山では、ウェア内側のレイヤリングを工夫して防寒対策も施すことが必要です。
軽量化を追求したい人や蒸れに敏感な人におすすめ!

撮影:washio daisuke(薄さと軽さが特徴のバーサライトジャケット&パンツがおすすめなのは…?)
薄くコンパクトに収納できるバーサライトジャケット&パンツ。ザックの容量が小さく軽量化と省スペース化を常に追求している、UL系ハイカーやトレイルランナーの方々には特におすすめです。
また暑い時期の低山ハイクでウェア内側の蒸れが不快と感じやすい人にも、ぜひ着用して着心地の良さを実感してほしいと感じました。
驚きの薄さを実現しながらも十分なスペックをそなえたバーサライトジャケット&パンツ。レインウェア・ウィンドブレーカーを、こだわりを持ってチョイスする際の選択肢のひとつにしてみてはいかがでしょう。
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