シートゥサミット初のドーム型テント「アルトTR1」「テロスTR2」!実際に設営してみてわかったこと

2021/07/27 更新

1990年、オーストラリアのパースで創業した『シートゥサミット』。スリーピングバッグやマットをはじめ、アウトドア用の便利グッズを多く手掛け、日本でも昨今、人気上昇中のブランド。そして今年2021年、ブランド初のドーム型テントを発売。同社のシェルターユーザーでもある山好きライター・ポンチョが、実際に山で使ってみた。果たして、どんなテントなのだろう?


アイキャッチ画像:PONCHO

シートゥサミット初のドーム型ダブルウォールテント!

撮影:PONCHO
調理や旅の便利小物、そして軽量コンパクトなスリーピングバッグやマットで人気を博しているオーストラリアのアウトドアメーカー『シートゥサミット』から、初のドーム型テントが発売されました。

今回発売されたモデルは2種類。
ひとつは登山ソロテント向き、軽さ重視の半自立型の『アルト』シリーズ。もうひとつは登山からキャンプまで、カップルや親子向きの快適性重視、自立型の『テロス』シリーズです。
どちらも、インナーテントはメッシュ地とナイロン フルファブリック地が用意され、アルトは1人用と2人用、テロスは2人用と3人用、全部で8型のテントが揃っています。

撮影:PONCHO
日本の山では、ナイロン フルファブリック愛用者が多いですが、今回はこれからの暑い季節、そしてより軽いモデルということで、1人用メッシュのインナーテントの『アルトTR1テント』を重点的にテストしてみました。

初のドーム型テントということですが、形状に見覚えが!

撮影:PONCHO(手前:アルトTR1テント、奥:スペシャリストソロ。隣に設営してみたところ、インナーテントの形状がそっくり)
アルトTR1テントを設営していて、「あれ!?」と思うことが。
それは2011年に同社から発売されたシングルウォールテント『スペシャリストソロ』と、基本のカタチがよく似ているということ。

アルトTR1テントの方が広く、フロア形状も長方形ではなくホームベースのような形状。室内に出っ張りが設けられ、荷物を置けるようになっているなど多少の違いはありますが、非常に似ています。

撮影:PONCHO
ペグダウンすることでカタチを出す、テント隅のガイライン付近も基本構造は同じ。

私はスペシャリストソロを長年愛用しています。

スペシャリストソロの魅力
・総重量625gという軽さながら、ツエルトより快適
・テントに近い居住性
・非自立型ながらトレッキングポールで簡単に設営できるギミック
・長辺側の出入り口
・このカタチで意外なほどに強い耐風性

そんな魅力を持ったスペシャリストソロをベースにしている新作のアルトTR1テント、想像するだけで楽しみでしかありません!
シングルポールを備えたドーム型なので設営はより簡単スピーディ…
ダブルウォール化で結露を防ぎ、前室も広くなり、天井部を広げるリッジポールで居住性はさらにアップしているだろう…

など、形を見るだけで色々なことが予想できます。

しかし実際に設営・使用してみると、その予想をはるかに超えるギミック満載。
スペシャリストソロが市場から消えて数年、軽さ重視のタープテントはありましたが、もう軽量テントからは撤退しのかな?と思っていたところで、完成度をきっちりと高めて、再登場させてくれました!!

ソロ用横開きモデル・アルトTR1テントのスペック

撮影:PONCHO
では、アルトTR1テントのギミック満載の細部を見て行きましょう。
まずはスペックです。

アルトTR1テント 48,400円
総重量:1217g (ミニマム重量に加えペグ、スタッフサック、ガイライン)
ミニマム重量:938g (フライ、インナー、ポール)
サイズ:109×169×223㎝
フロア面積:1.81㎡
収納サイズ:Φ11×44㎝
耐水圧:1,200mm (フライ、フロア)

重量は、ダブルウォールでは軽い方。特に、重量が増える”出入り口が長辺側の横開き”ということでは、かなり軽い方に入ります。
1人用横開きテントの定番と比較すると、

・MSR/フリーライト1:同じ横開きで最小重量900g、フロア面積1.67㎡
・ニーモ/タニ1p:インナーテントがほぼナイロンファブリック地で最小重量1060g、フロア面積2.2㎡
・ライペン/トレックライズ0:インナーテントがフルファブリック地で、最小ではなく総重量が1250g、フロア面積1.64㎡

アルトTR1テントはスペックだけを見ても、軽さと広さのバランスがよいテントだとわかります。

室内空間を広げる、3つのポイント

①ホームベース型のフロアが軽さと広さを提供

提供:ロストアロー
その軽さと広さをバランスよくするアイデアが、フロアのホームベース型の採用です。
上図のフロアイメージの濃いグレー部分がインナーテントの形状。通常は長方形が多いですが、アルトTR1テントはホームベース型で、最大幅は107㎝もあります。2人用に迫る幅を荷物置きとして確保しながらも、軽さをもとめて、人が就寝するスペースは、最小限に抑えています。

このアイデア、とてもさりげないですが、実に機能的です。軽い方がいい。でも、快適さもやはり最低限が装備したい。山を旅するなら、それは当たり前に備えていてほしい、道具のあり方を、このアルトTR1テントは、実現しています。

ちなみに前室も広く、最大幅58㎝あるので、シューズはもちろん、テント内に収まり切らない荷物も置けますし、調理も可能です。

②これ重要!リッジポールが、上側に沿っている。だから室内が広い!!

撮影:PONCHO
テントの長辺側にのびるポールと直角に、天井を持ち上げるように、テント中央部に配される短いリッジポールがあります。他ブランドのテントだと、このリッジポールは真っ直ぐが多いのですが、シートゥサミットでは、上に跳ね上がる形状を採用。
それによりテント内の高さ、広さが出せます。

撮影:PONCHO
そしてインナーテントの天井部を横にテンションを掛けるように広げて吊り下げるので、頭上空間が狭まる通常のテントと比べると、倍くらいの広さを確保しています。ちなみにこのリッジポールの名前はテンションリッジといいます。

撮影:PONCHO
室内高は100㎝。天井に向かって、テント内4面の壁が垂直に近い角度で立ち上げっているので、窮屈さも軽減されています。
実際に山でこのテント内で着替えをしましたが、ラクラクとはいきませんが、「ラク」くらいで着替えができました。ちなみにスペシャリストソロでは、着替えは「ク=苦」です。形状は似ていますが、明らかな進化を感じました。

③通常とテントポールの配置が逆になっていた!

撮影:PONCHO
でも、なんか変だな、なにが違うんだろう。そう思っていろいろ観察していて気が付いたのが、テントポールの配置です。
通常、ポールのY字に開いた側を頭側にセットして広さを出すのが、このアルトTR1テントは、逆。Y字が狭い足元側、頭側は1本ポールの半自立型です。通常の頭側をY字に開いた場合は、その短辺側を出入り口にしますが、アルトTR1テントは出入り口を長辺側の横開きにしたから、頭側を1本ポールにすることができました。
これにより、テント内で頭を起こした時の位置付近で1本ポールを少し曲げて角度をつけて広さと高さを出し、かつ通常のテントだと大きなY字にしてポールが2本になる分を、軽量化しています。
これ、細かいけれど、よく考えられたギミックです。

撮影:PONCHO
ちなみにポールは、DAC社のFeatherlite NFLを採用。これは軽量化に特化したポールです。冬の山の強風への対応よりも、軽さを活かした3シーズンのハイクを推奨している証でもあります。

オリジナリティあふれる、4つのギミック


①3分割する、収納袋なんて初めてです!

撮影:PONCHO
続いては収納袋。なんでもないただのスタッフバッグでいいのに、アルトTR1テントには、インナーテント、フライシート、テントポールとペグを別々に収納する収納袋になっています。通常のテントでは、テントとポールとペグを収納する袋が備わっていますが、アルトTR1テントをはじめ、テロスシリーズも、テントをインナーとフライに分けて、別々に収納します。

これはなぜでしょう…?2~3人用テントは、一緒にテントを使う仲間と分割して持ち運ぶ用途が考えられます。
しかしソロテントの場合は・・・パックの隙間を埋めるようにパッキングできることでしょうか。ポールとペグ袋はパックのサイドポケットに収納してもよいので、この別々収納の使いやすさについては意見が分かれそうですね。。

②なんと収納袋は、テント内の小物入れに!

撮影:PONCHO
収納袋、分割の理由をあれこれ考えていたら、なんと正解は驚きの、テント内ポケットにするためでした!
通常、テントを出した後の収納袋は、紛失しないようにインナーテントのポケットに入れておきます。シートゥサミットのデザイナーさんは、その時、ふと思ったのでしょう。「ポケットに収納袋を収納するなら、収納袋そのものをポケットにして使っていまえばいい!」と。
上の写真では収納袋ポケットはひとつだけですが、インナーテント頭側の角ふたつにスナップボタンで留めてポケット化できるになっています。これなら紛失しない上に、ムダを省けます。わずかですが、軽量化にも貢献しています。

③ポール袋は、テント内を照らすライトバー!

撮影:PONCHO
ポール袋の中には、樹脂製の白色ボードが入っていました。これはポールの保護のためなのかなぁと思い、山に行く際には置いていこうかなと考えていました。
でも、保護のためではなく、きちんと役割がありました。

撮影:PONCHO
なんと、天井にスナップボタンでポール袋を留めて、中にヘッドライトを入れると蛍光灯のように光る、その名もライトバーにするのです。LEDヘッドライトの白色の光は見やすいけれど山のなかではなんとも味気ないので、電球色で光らせてみました。すると、白色ボードがほんのり光を拡散してくれ、雰囲気がアップ。なんだか、テント内ではない感じです。
とはいえ、テントに入ったらすぐに寝てしまう人には、袋の中へのヘッドライトの出し入れが面倒です。ですが、テント内で読書やお酒を楽しむ時間を重視する人には、コレは素晴らしいアイデアです。

④細かすぎるこだわり。ペグの背側に3段の溝が切られています!

撮影:PONCHO
テントにはペグ、ポール補修用パーツ、ガイライン、テント補修布が標準で装備されています。至れり尽くせりです。

撮影:PONCHO
軽さと強度を備えた、超々ジュラルミン製のVペグ。Vが開いた腹側にガイラインを掛ける切れ込みが入るのが通常ですが、これはVが閉じる背側に切れ込みが入り、しかも張り具合をわずかに調節できる3段階の高さで備わっています。

撮影:PONCHO
私が所有しているスペシャリストソロのペグと比較すると、やや短く、軽量化もされているようです。
テントをただつくるだけでなく、こうした細かい仕様を変更してくるあたりに、メーカーとしての心意気を強く感じます。
ちなみに旧ペグの重さは1本10g、新ペグは7gでした。

まだまだあります!快適さを生む、4つの機能

①インナーテントのバスタブがとにかく高い!

撮影:PONCHO
インナーテントの雨の侵入を防ぐバスタブ構造が、とにかく高い! メッシュ地だと、アルプスの稜線等のテント場で、下から吹き上げる風に煽られた雨がテント内に入ることも稀にありますが、これなら大丈夫そうです。

②フライシートは被せるだけじゃない!きちんとセットします!!

撮影:PONCHO
フライシートは、被せて、面テープでポールに接続というのがフツーのテントですが、アルトTR1テントは、リッジポールとフライシートをきっちりと固定するハイパロンというゴムっぽい袋が備わっています。これによりフライシートのズレがほとんど起きません。

撮影:PONCHO
だから、リッジポール部分を中心にして、フライシートを巻き上げてインナーテントをむき出しにして使用することもできます。降雨の心配のない夜、満点の星空を見ながら、涼しい夜風を感じながら寝ることができる、快適仕様です。

③連結部へのこだわりが半端ない!

撮影:PONCHO
付属のガイラインをロープワークを使って結ぶのは、案外面倒。でもこれはフライシートにあるループにガイラインに備わったトグルを通すだけ。また張り具合を調節する自在は、ペグ側ではなくテント側で調節します。

撮影:PONCHO
インナーテントとポールの接続部は、アルミ合金製。破損の心配がありません。

撮影:PONCHO
さらにフライシートとインナーテントの接続は、フライシート側のU字金具をインナーテント側の凹部に噛ませてセットする。着脱が簡単なのに、風等で外れる心配は皆無。故障の心配もないでしょう。

④ベンチレーション効果が、かなり高い!

撮影:PONCHO
アルトTR1テントは、換気性能も高い。フライシートにはジッパー開閉式のベンチレーションが備わり、ベントストラットによって広く開いた状態を保てます。雨が吹き込む心配がある時は、ジッパーを閉じればよいのです。

撮影:PONCHO
また出入り口の下部を巻き上げて、風をテント内に誘導することも可能。入った風、空気はテント上部のベンチレーションから抜け、空気の循環を生みます。

フライシートだけでも設営可能。だから雨天時はインナーテントを先に撤収可能。



撮影:PONCHO
アルトTR1テントは、上の写真のように、フライシートをシェルターのようにして使えます。だからウルトラライトハイカーがタープ一枚でキャンプするような使い方も、できます。インナーテントを持たないので、一層の軽量化も実現できます。
また雨天時にはインナーテントだけを先に外して撤収することもできます。接続部の着脱に少し手間取りそうですが、慣れれば問題ないと思います。

こうしたらいいんじゃないか、こう使えばもっと便利なんじゃないかと、ユーザーの妄想力が試されるテントです。

設営、撤収の動画をつくってみました!

アルトTR1テント、1本ポールで半自立型なので、迷いなく設営できます! といっても、なかなかわかりづらいと思うので、動画をつくってみました。

まずは、設営から

続いて、撤収。これは山に泊まった朝の模様です!

テロスTR2は、アルトTR1テントをさらに快適にしたテント

撮影:PONCHO
2人用メッシュのインナーテントの『テロスTR2テント』も実際に設営したので、その使用感をレビューしたいと思います。
2人用、自立型の違いはありますが、テロスTR2テントは、アルトTR1テントと基本的なギミックは同じです。

ちなみにスペックは、下記の通りです。

テロスTR2テント ¥60,500 
総重量:1764g (ミニマム重量に加えペグ、スタッフサック、ガイライン)
ミニマム重量:1482g (フライ、インナー、ポール)
サイズ:111×256×220㎝
フロア面積:2.62㎡
収納サイズ:Φ13×48㎝
耐水圧:フライ1,200mm、フロア2500mm

2人用だけれども、男性ふたりだとギリギリかも

撮影:PONCHO
広いのは間違いありません。でも横幅は111㎝なので、大人の男性2人だとギリギリです。夫婦やカップル、親子の距離感に思えます。

両開きなので、出入りのストレスなし!

撮影:PONCHO
テロスTR2テントは、長辺側、両横開きなので出入りがラクです。開口部を巻き上げれば、暑い夏には涼しさも増します。またアルトTR1テント同様に、フライシートを完全に巻き上げて、インナーテントをむき出しで設営することも可能です。

テロスTR2テントは、変身するテントなのです!

撮影:PONCHO
テントって、ざっくりと言えば、寝るときの道具。だから、多くはバックパックの中にあって、設営時も起きている間は、ほぼ荷物置き場になってしまいます。

でも、テロスTR2テントは違います。
フライシートだけを使って、上の写真のようにタープ状に設営できるのです。だからゆったり過ごしたいハイカーや、登山テントをキャンプでも使いたいというムダを省きたいアウトドア好きは、きっと使えるシーンが多いでしょう。
写真では私ひとりで座っていますが、2人が下で寛げる広さがあります。タープ状になるのですから、当然フライシートだけで設営することもでき、テントだけでなく、アイデア次第で、いろいろ使えるのが、テロスTR2テントのよさです。

道具好きは、コレを試してみないと、これからのテントを語れません!

撮影:PONCHO
シートゥサミットというアウトドアブランドは、手掛ける道具の多くに、「おっ!」と思うアイデア、ギミックが盛り込まれていますが、今回のアルトシリーズとテロスシリーズのテントは、「おっ!」どころではなく「おおおおおっ~~~!!」と驚きと興奮が止まらない、道具好きにはたまらないギミック満載のテントです。

撮影:PONCHO
たぶん、このテントから、アウトドア用テント、登山用テントは変わったとい言われることになるくらい、エポックメイキングな存在になるでしょう。

もしあなたが道具好きなら、このテントを試してみることを強くオススメします。
もしあなたがテント泊デビューしたくて登山用テントを探しているのなら、断言します。
コレ、絶対にオススメです!!
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シートゥサミット アルトTR1テント

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シートゥサミット/アルトTR1プラステント

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シートゥサミット テロスTR2テント

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それでは皆さん、よい山旅を!

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ポンチョ

低山好き、道具好き、写真好きライター。登山、ランニング、自転車、キャンプ、旅をテーマに雑誌、WEBで企画、執筆。低山ハイクとヨガをMixしたツアー・イベント『ちょい山CLUB』を妻と共に主催する山の案内人。

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