高尾山=激混み観光登山でしょ? その固定概念を覆す【高尾山2.0】で混雑なしの山歩きをやってみた

2021/07/14 更新

年間260万人とも言われる登山者(&観光客?)が訪れる高尾山。観光客でごった返しているから敬遠しがちという人も多いのでは。けれども高尾山域にはまだまだ魅力的なルートが盛りだくさん!今回は交通アクセス至便ながら混雑の少ない、高尾山周辺のとっておきルート、名付けて「高尾山2.0」をご紹介します。

アイキャッチ画像撮影:washio daisuke

「高尾山」だけが高尾にあらず!

拭いきれない高尾山へのマイナスイメージ
撮影:washio daisuke(拭いきれない高尾山へのマイナスイメージ)
年間260万人とも言われる登山者(&観光客?)で賑わい、ミシュランガイド三つ星の観光地にも選ばれた高尾山。多彩な茶屋グルメも楽しめる陣馬山・景信山・小仏城山などの奥高尾縦走路も含めて、いつ登っても混んでいる」「1号路から6号路まで歩き尽くしたからもう卒業と思っている人も多いのではないでしょうか。

あの高尾山に登らず、「高尾山2.0」を登ってみるべし!

高尾2.0
出典:国土地理院地図、制作:編集部
ちょっと待ってください!あなたはあの「高尾山」しか登ったことがないのではないでしょうか?

「高尾山」を取り巻く高尾山域には、実はまだまだ登山者も少なく魅力的なルートがたくさんあるんです。名付けて、高尾山2.0。今回はその山域から高尾山周辺の混雑度は低いものの、魅力ある縦走ルートを厳選してご紹介します。

筆者の肌感覚ですが、高尾山を「10」とした時の混雑レベルも記載しましたので参考にしてみてくださいね。

地元民に愛される、7つのピークトレイル|南高尾山稜(混雑レベル:3.5)

春は一面の桜で彩られる城山湖周辺
出典:PIXTA(春は一面の桜で彩られる城山湖周辺)
まずご紹介するのは、小仏城山南麓の大垂水峠(おおだるみとうげ)を出発点として東京地・神奈川県の境界線を歩くルート。大小7つのピークを越えるコースですが、展望が開けるポイントが多いため、飽きることがありません。
南高尾山稜ルート
地図の出典:YAMAP(南高尾山稜ルート)
【体力レベル】★★☆☆☆
日帰り
コースタイム:約3時間20分
参考:ヤマプラ
【技術的難易度】★★☆☆☆
・登山装備が必要
・登山経験、地図読み能力があることが望ましい
凡例はこちらをクリック:グレーディング表
 
ルート概要
大垂水峠(60分)→中沢山(40分)→西山峠(30分)→三沢峠(30分)→草戸山(10分)→草戸峠(30分)→梅ノ木平バス停

交通アクセス

・往路:神奈中バス「高尾駅前」バス停もしくは「高尾山口」バス停より乗車−「大垂水」バス停下車(バスで約20分、本数が少ないので注意)
・復路:神奈中バス「梅ノ木平」バス停より乗車−「高尾山口」バス停もしくは「高尾駅前」バス停下車(徒歩の場合、「高尾山口」駅まで約30分)

コースのポイント

眼下に望む津久井湖の水面
撮影:washio daisuke(眼下に望む津久井湖の水面)
入山して間もなく、眼下には津久井湖(城山ダム)を望むことができます。神奈川県の主要な水源を見下ろしながら、大洞山・中沢山とピークを越えて行きます。
ザック掛けがかわいらしい休憩所
撮影:washio daisuke(ザック掛けがかわいらしい休憩所)
ルート上には随所に休憩所が設置されています。天然の木を使い、枝もそのまま活かしたザック掛けは、日曜大工感満点。他にも随所に設置された手作りの道標など、地元の有志の方々による「安全に楽しく歩ける気配り」を感じるルートです。
草戸山から見下ろす城山湖
撮影:washio daisuke(草戸山から見下ろす城山湖)
東屋が設置された草戸山山頂からは、眼下に城山湖(本沢ダム)の水面が広がります。草戸峠の先から、梅の木平へ向けて下山しましょう。

高尾山口駅から高尾駅へ歩く、隠れた縦走路|東高尾山稜(混雑レベル2.5)

高尾山口駅から見た東高尾山稜
撮影:washio daisuke(高尾山口駅から見た東高尾山稜)
東高尾山稜と聞いてもピンとこない人も多いかも知れませんが、京王線「高尾山口」駅の改札を出ると正面に連なる山並を指します。実はこの稜線、標高差10〜30mほどの小さなピークが点在し、ひと駅手前の高尾駅まで比較的短時間で歩けるのです。体力的に縦走が不安な「高尾2.0初心者」さんにもオススメですよ。
東高尾山稜ルート
地図の出典:YAMAP(東高尾山稜ルート)
【体力レベル】★☆☆☆☆
日帰り
コースタイム:約2時間45分
参考:ヤマプラ
【技術的難易度】★★☆☆☆
・登山装備が必要
・登山経験、地図読み能力があることが望ましい
凡例はこちらをクリック:グレーディング表
 
ルート概要
高尾山口駅(30分)→梅の木平(30分)→稜線(60分)→四辻(45分)→高尾駅南口

交通アクセス

・往路:京王「高尾山口」駅
・復路:JR・京王「高尾」駅南口

コースのポイント

小刻みなアップダウンはトレイルランにも好適
撮影:washio daisuke(小刻みなアップダウンはトレイルランにも好適)
高尾山口駅から梅の木平までは、国道20号線沿いの約30分の車道歩きとなります。懐石料理店「うかい竹亭」を目印に国道20号線から左に入り、谷間の林道を進むとお地蔵様が祀られた登山道の入口。15分ほど登れば稜線に到着します。
春は山桜が美しい稜線
撮影:washio daisuke(春は山桜が美しい稜線)
小さなピークが点在し、地形的には迷い込みやすい支尾根もある稜線ですが、進行方向に「高尾山口」、逆方向に「草戸山・草戸峠」と案内標識が随所に設置されているので安心。約1時間で四辻に到着、ここから高尾山口駅に下山することも可能ですよ。
秋は紅葉が美しい稜線
撮影:washio daisuke(秋は紅葉が美しい稜線)
四辻から先は案内標識の数が減りますが、登山道は明瞭。登山者はさらに少なくなり、静かな縦走が楽しめます。住宅街に隣接した四叉路に到着したら右に進み、初沢町の住宅地の中を歩けば、高尾駅に到着です。

城マニア垂涎!戦国時代の名残りを探訪|八王子城跡(混雑レベル:3)

八王子城跡に祀られた八王子神社
撮影:washio daisuke(八王子城跡に祀られた八王子神社)
時は戦国末期、ここに立て篭もった北条軍と、そこに侵攻した豊臣軍の間で壮絶な戦いが繰り広げられた八王子城。現在も山中には石段や砦の跡が点在しています。八王子城跡バス停近くにはガイダンス施設もあるので、この山に秘められた歴史を学んでから登っても良いでしょう。
八王子城跡ルート
地図の出典:YAMAP(八王子城跡ルート)
【体力レベル】★☆☆☆☆
日帰り
コースタイム:約2時間15分
参考:ヤマプラ
【技術的難易度】★☆☆☆☆
・歩きやすい靴と動きやすい服装が必要
凡例はこちらをクリック:グレーディング表
 
ルート概要
八王子城跡バス停(50分)→城山・八王子城本丸跡(60分)→向山北砦(20分)→心源院(5分)→川原宿大橋バス停

交通アクセス

・往路:JR・京王「高尾」駅北口より西東京バス乗車−「八王子城址」バス停下車(バスで約10分/土日祝のみ運行)
・復路:西東京バス「川原宿大橋」バス停より乗車−JR・京王「高尾」駅北口下車(バスで約12分)

コースのポイント

八王子城御主殿跡
撮影:washio daisuke(八王子城御主殿跡)
登山前に立ち寄ってみたいのが、登山口近くの川沿いにある御主殿跡。八王子城が山城(要塞)なら、御主殿は城主や家臣とその家族の生活の場。落城以来350年以上も荒れ果てたままでしたが、立派な橋や石垣が再現されています。
八王子城跡への登山道
撮影:washio daisuke(八王子城跡への登山道)
登山道には石段が点在し、かつての城跡の趣を色濃く留めています。尾根上の平坦な場所も、出丸と呼ばれる砦を築くために均された場所。随所に設置された案内板で、その成り立ちを知ることができます。
撮影:washio daisuke(八王子城跡本丸跡)
八王子神社の裏手にあるピークが本丸跡。いったん中腹まで戻り稜線を北に進むと、展望ポイントの大六天や向山北砦を経て、武田信玄の娘・松姫が尼僧となって暮らした心源院に下山します。

陣馬縦走よりもハード(?)な鍛錬コース|北高尾山稜(混雑レベル:1.5)

ルート上唯一のエスケープルート・黒ドッケ
撮影:washio daisuke(ルート上唯一のエスケープルート・黒ドッケ)
最後にご紹介するのが、八王子城跡から西に連なる北高尾山稜。コースタイムが長く、ひとつひとつのピークのアップダウンが激しく、エスケープルートも狐塚峠から小下沢林道へのルートが崩落しているため(2021年6月現在)、黒ドッケから陣馬街道への1ルートのみ。ハードながらも静かな縦走が楽しめる、トレーニングにはもってこいのマイナールートです。
北高尾山稜ルート
地図の出典:YAMAP(北高尾山稜ルート)
【体力レベル】★★★☆☆
日帰り
コースタイム:約6時間35分
参考:ヤマプラ
【技術的難易度】★★☆☆☆
・登山装備が必要
・登山経験、地図読み能力があることが望ましい
凡例はこちらをクリック:グレーディング表
ルート概要
摺差バス停(80分)→富士見台(50分)→狐塚峠(40分)→黒ドッケ(70分)→関場峠(40分)→堂所山(65分)→景信山(40分)→景信山登山口(10分)→小仏バス停

アクセス

・往路:JR・京王「高尾」駅北口より京王バス乗車−「摺差」バス停下車(バスで約8分)
・復路:京王バス「小仏」バス停より乗車−JR・京王「高尾」駅北口下車(バスで約21分)

コースのポイント

撮影:washio daisuke(富士見台からの眺望)
摺差(するさし)バス停からJR中央線と中央自動車道をくぐり、尾根を進むと富士見台へ到着。木々の間からわずかに眺望が広がります。この先の鞍部から、いよいよ北高尾山稜に合流です。
北高尾山稜の登山道
撮影:washio daisuke(北高尾山稜の登山道)
ここから堂所山手前の関場峠までの間には11ものピークが連なります。ひとつひとつのピークの標高差も大きく、険しい登り返しの連続。展望も樹間からわずかに景信山や堂所山が見えるのみで、ひたすら樹林帯を進みます。
堂所山の山頂標識
撮影:washio daisuke(堂所山の山頂標識)
堂所山から先は、奥高尾縦走路に合流。登山道の幅自体が広く、小さなピークにはまき道も設置されており、マイナールートと人気ルートの差を実感するでしょう。最後のピークである景信山を経て、小仏バス停に下山します。

「近い、便利」だけじゃない。リピートしたくなる高尾山2.0!

景信山から見た八王子城跡〜北高尾山稜の山並み
撮影:washio daisuke(景信山から見た八王子城跡〜北高尾山稜の山並み)
いかがでしたか?

「高尾山?いまさら登らなくても……」「高尾山って観光登山でしょ?」なんて思っていた人にこそ知ってほしい、高尾山を経由しなくとも多彩なルートで山歩きを楽しめる、高尾山域の懐の広さ。

「近くて便利。だけどメジャーすぎる高尾山」だけではなく、この4つのルートに代表される「高尾山2.0」もぜひ歩いてみてくださいね。

こちらの記事もどうぞ

\ この記事の感想を教えてください /
GOOD! BAD

関連する記事

関連する山行記録 byヤマレコ

この記事が気に入ったら
「いいね!」をしよう
washio daisuke

登山の総合プロダクション・Allein Adler代表。 登山ガイド・登山教室講師・山岳ライターなど山の「何でも屋」です。 得意分野は読図(等高線フェチ)、チカラを入れているのは安全啓蒙(事故防止・ファーストエイド)。 山と人をつなぐ架け橋をめざしています。

登山専用コミュニティサイト「ヤマレコ」