ランバーパッキングというミニマムな山旅『マウンテンスミス/ツアー』|定番道具のモノ語り#10

2021/06/10 更新

質実剛健、丈夫さが必要な機能である山道具。だからこそ発売から10年以上も経つ道具や、10年以上問題なく使い続けられる定番の山道具があります。そんな山道具の中から、ライターPONCHOが愛用してきたモノを紹介。今回は第10回、道具のUL化が進んだ今こそ使いたいランバーパック、『マウンテンスミス/ツアー』について。

アイキャッチ画像:PONCHO

元祖・大型ランバーパック

撮影:PONCHO
ウェストバッグ、ファニーパック、ヒップバッグ、そしてランバーパック……などなど、ブランドや時代によって呼び方が変わる腰に装着する小型バッグ。1979年、米コロラド州で誕生したアウトドアパックブランド<マウンテンスミス>は、“ランバー=Lumbar=腰”を意味する、ランバーパックの元祖です。

その最初のモデルは、80年代に誕生した『ツアー』。それまで容量3~5L程度の小さなウェストバッグが主流だった時代に、容量12L(当時のモデル)の大型ランバーパックを実現させたのが、『ツアー』でした。

デイパック代わりに使え、背中がフリーで快適!

日本のアウトドアショップで、ヨーロッパのメーカーのパックに混じって、グレゴリーやオスプレーといったアメリカのパックブランドが増えていった90年代。

マウンテンスミスもキャッチーなカラー&デザインを採用した大型パックで人気を獲得。そのマウンテンスミスを象徴するモデルとして注目を集めたのが、今回取り上げている『ツアー』です。

当時、ウェストバッグと呼ばれていた小物入れや貴重品入れ的サブバッグは、この『ツアー』の登場によってメインバッグに昇格。デイパックはどこか古くさい道具となり、背中がフリーになり夏でも涼しく歩けるランバーパックに、新しモノ好きが飛びつきました。

今この『ツアー』を見て、「使っていた!」「懐かしい!」という人、案外たくさんいると思います。

大型ランバーパックをいくつか使っていたけれど、コレだけが現役

撮影:PONCHO
私が『ツアー』を購入したのは15年ほど前、すでに『ツアー』のブームが去った後。アウトドアショップの店頭でセール品として売られていたモノです。

それまで別ブランドの大型ランバーパック3モデルを使っていたのですが、元祖を試しておきたいと手に入れました。そのなかで『ツアー』だけを現在でも使っている理由は、本体前面に配されたイエローのコードとジッパータブ、本体の赤と黒の配色、デザインのセンスが好きだからです。

ランバーパックならではの機能と使い勝手

撮影:PONCHO
それに、使い勝手のよさも秀逸です。

本体にはウエストベルトの他にショルダーベルトも付属。ウエストベルトと本体を結ぶコンプレッションストラップを引き、ショルダーベルトの長さを調節して肩にフィットさせると、荷物を満載しても揺れにくく、歩きやすいのです。

本体内に収納したモノを取り出す際は、コンプレッションストラップを緩め、パック本体を腹側にクルりと移動。行動食やカメラなどを、ウエストベルトを解除することなく取り出せます。

デイパックだと収納したモノを取り出す際に、パックを下ろさなければなりませんが、ランバーパックはその必要がありません。

撮影:PONCHO
またサイドのメッシュ地のポケットは、開口部にドローコードが配された大型。1L容量の大きめのボトルも、コンプレッションストラップを締めて固定できます。そのポケットは左右に2つ装備されているので、片方にボトル、片方にジップロックに入れたミックスナッツなどの行動食を入れておけば、歩きながら給水・補給が可能です。

本体下部には三脚やトレッキングポール、クレイジークリークのチェアなどの長物を括り付けられるストラップを装備。必要最低限ではなく、あったらいいなという道具も装備できてしまいます。

容量8Lの『ツアー』でも、デイハイクは可能

撮影:PONCHO
私が持っている『ツアー』の容量はおそらく8L、そして現行モデルは容量9Lです。当初12Lあった『ツアー』の容量は少なくなりましたが、収納する山道具のUL化が進んだので、デイハイクにも充分に使えます。また、ストーブなどの調理道具の代わりに下着やTシャツ、シーツを持てば、山小屋泊もできるでしょう。

マウンテンスミスには『デイ』という容量13Lのモデルもあり、そちらはまさにデイパック同様の収納力で、これから初めてランバーパックでハイキングしようという人にもオススメです。

「登山にウエストバッグを使ってもいいの?」

撮影:PONCHO
その答えは……「いいんです!」

90年代、マウンテンスミスだけでなく、グレゴリーやデイナデザイン、オスプレー、それにパタゴニアなど、多くのアウトドアメーカーが大型ランバーパックを作っていました。それは街用ではなく、デイハイクスタイルの新提案だと、私は解釈していました。

でも、ランバーパックを腰に巻いて山に行くとベテランハイカーからは「そんなモノで山を登ってきて!」と苦言を呈されることもしばしばありました。



 

撮影:PONCHO
「そんなモノというけれど、これを腰に巻いて歩いてみてください。デイパックより快適ですよ!」
「それに、行動食、水、ライト、ウィンドジャケットと、必要最低限の山道具も入っています」

何度か、そんな説明をしたことがあります。

何事にも基本があります。登山であれば、山に入る際に持って行かなければならない装備があります。

しかしそれはあくまで「基本」であって、経験を積み、自分なりに考え、想像し、変更を加えて「応用」しても問題はありません。

撮影:PONCHO
この10年で、登山におけるULスタイルは広く認知され、トレイルランニングの超コンパクトなスタイルも当たり前になりました。

ULハイカーは容量30Lのバックパックでテント泊登山をします。トレイルランナーは容量15Lのランニングパックで100キロ以上も山を移動しています。

彼らは登山の「基本」を押さえつつ、その「応用」を試行錯誤しながら楽しんでいるのです。

そこで、ランバーパッキング宣言!

撮影:PONCHO
なにを、どこに、どうやって収納するか? 必要なモノを組み合わせて、安全確保と快適さを両立する道具立てを考えること。それは登山の基本です。

それをデイパックより少し小さめのランバーパックを使って、どんな山、どんな季節、どんな装備ならハイクが可能なのかを考えてみる。
自分にとってのミニマムな山道具で、山を歩いてみる。

その経験は、容量50Lのバックパックを背負ってテント泊縦走する際にも応用できる、自分なりの方法につながります。

撮影:PONCHO
今年の夏は山に近いキャンプ場へ、ハンモックとシーツ、焚火台と行動食をランバーパックに収納して持って行き、翌日は朝から山歩きして昼前には下山する、ランバーパックなキャンプ&ハイクを実践してこようと思っています。

山の頂上を目指すだけでなく、山を自由なスタイルで楽しむことも登山。

私は、よりミニマムな装備で山を旅するスタイルを「ランバーパッキング」と呼んで、楽しんでいこうと思います。

もしあなたもミニマム登山、ランバーパックに興味を持ったら、ランバーパッキングを実践してみてください!
ITEM
マウンテンスミス/ツアー
素材:610d Cordura® HP, 210d Nylon Embossed Liner
サイズ:W29×H25×D12cm
容量:9L
重量:約730g


それでは皆さん、よい山旅を!

紹介されたアイテム

マウンテンスミス/ツアー
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ポンチョ

低山好き、道具好き、写真好きライター。登山、ランニング、自転車、キャンプ、旅をテーマに雑誌、WEBで企画、執筆。低山ハイクとヨガをMixしたツアー・イベント『ちょい山CLUB』を妻と共に主催する山の案内人。

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