戦国時代に真田氏の山城が置かれていた岩櫃山(いわびつやま)。高さ200メートルほどの岩壁は、天然の要害として、武田の三堅城の1つに数えられていました。
沢通り・尾根通り・密岩通り・赤岩通りの4コースあり、どのコースも難易度が高いです。今回は比較的難易度の低い沢通りを登り、尾根通りを下山するルートを紹介します。
- 【体力レベル】★☆☆☆☆
- 日帰り
- コースタイム:約2時間5分
- 【技術的難易度】★★★☆☆
- ・ハシゴ、鎖場、雪渓、渡渉箇所のいずれかがある
・転んだ場合に転落・滑落事故につながる箇所がある
- *交通アクセス*
- 【公共交通機関の場合】
上野駅〜渋川駅:JR上野東京ライン特急で約1時間40分/渋川駅〜群馬原町駅:JR吾妻線で約30分/群馬原町駅〜平沢登山口:タクシーで約10分
【クルマの場合】
関越自動車道・渋川伊香保IC〜平沢登山口:約50分
平沢登山口から5分ほど歩いたところにあるのが、岩櫃山平沢登山口観光案内所。トイレなども設置されています。ここから沢沿いを登り尾根通りと合流すると、天狗の蹴り上げ岩への登り。ハシゴや鎖場が設置されています。
9合目をすぎるとさらに登山道の難易度が上がります。斜度のある岩場をハシゴや鎖場を頼りに慎重に登っていくと、鎖の柵で囲まれた展望の良い岩櫃山頂に到着。
下山は尾根通りを進みます。天狗岩をすぎると稜線上の台地にあるのが岩櫃城址本丸跡。武田の三堅城と呼ばれた要害の遺構から往時をしのびながら、平沢登山口に下山します。
もっとガッツリ歩きたい人向け!複数の山を踏破する2コース
続いて、コースタイム4〜5時間程度の縦走2コースをご紹介。岩稜だけでなく適度なアップダウンや西上州の山並の眺望を楽しみながら、1日たっぷりと登山を楽しみたい人にもオススメですよ。
鍬柄岳(598m)〜大桁山(836m)|スリル満点の鎖場とナイフリッジに大興奮
石尊山の別名をもつ鍬柄岳(くわがらだけ)。険しい岩場に設置された鎖場を経て登った山頂には祠があり、西上州の山並も展望できます。今回はお隣の大桁山へ縦走するルートを紹介します。
- 【体力レベル】★★☆☆☆
- 日帰り
- コースタイム:約4時間20分
- 【技術的難易度】★★★☆☆
- ・ハシゴ、鎖場、雪渓、渡渉箇所のいずれかがある
・転んだ場合に転落・滑落事故につながる箇所がある
- *交通アクセス*
- 【公共交通機関の場合】
東京駅〜高崎駅:北陸新幹線で約50分/高崎駅〜千平駅:上信電鉄で約55分/千平駅〜鍬柄岳登山口:徒歩で約30分(下り約35分)
【クルマの場合】
関越自動車道・下仁田IC〜鍬柄岳登山口:約10分
登山口から鍬柄岳護摩堂を経て稜線に出ると、鍬柄岳を往復する分岐点である頂上取付点へ。ここから先は切り立った断崖に設けられた、長い鎖場が連続します。三点確保(支持)の原則を守り、慎重に進みましょう。
石祠が設置されている鍬柄岳山頂からは大展望が広がります。これから向かう大桁山はもちろん、次に紹介する四ッ又山・鹿岳から荒船山まで西上州の山並を堪能しましょう。
頂上取付点へ戻り山腹に設けられた林道を越えて斜面を登ると、変形十字路へ。大桁山までは、階段状の登山道が続きます。下山は川後石峠経由で、登山口まで下りましょう。電車の人は、関東ふれあいの道を通って、千平駅まで向かいます。
四ツ又山(900m)〜鹿岳(1015m)|ラクダのこぶみたいな山容が特徴的
ラクダのこぶとも形容される、一ノ岳・二ノ岳の2つの岩峰からなる鹿岳(かなだけ)。今回は、下仁田富士の別名をもつ四ッ又山から鹿岳へ向かう周回ルートをご紹介します。
春のツツジや秋の紅葉が美しく、季節ごとに訪れるのもオススメです。
- 【体力レベル】★★☆☆☆
- 日帰り
- コースタイム:約5時間30分
- 【技術的難易度】★★★☆☆
- ・ハシゴ、鎖場、雪渓、渡渉箇所のいずれかがある
・転んだ場合に転落・滑落事故につながる箇所がある
- *交通アクセス*
- 【公共交通機関の場合】
東京駅〜高崎駅:北陸新幹線で約50分/高崎駅〜下仁田駅:上信電鉄で約20分/下仁田駅〜小沢橋:なんもくバスで約15分/小沢橋〜鹿岳登山口:徒歩で約1時間
【クルマの場合】
関越自動車道・下仁田IC〜鹿岳登山口:約20分
鹿岳登山口手前の駐車場から車道を戻ると、四ッ又山・鹿岳登山口へ。沢沿いの林道を進み、マメガタ峠へ直登する分岐を右に登ると天狗峠へ到着。ここから稜線を歩きP1分岐からすぐに、四ッ又山最高峰であるP1山頂です。
四ッ又山はその名の通り、P1〜P4の四つのピークで構成。P1分岐まで戻り、P2〜P4までのアップダウンを経て、マメガタ峠まで一気に下ります。この区間は滑りやすい急斜面で多数のロープが。1歩ずつ慎重に進んでいきましょう。
マメガタ峠から登り返し、鹿岳・一ノ岳はロープを頼りに北側をトラバースします。鹿岳のコルから木製のハシゴと鎖場を経て、最高峰の鹿岳・二ノ岳へ。鹿岳のコルから滑りやすいジグザグの斜面を下り、針葉樹林帯を進むと鹿岳登山口に戻ります。
低山とはいえ岩稜歩き……万全の準備で登山を!
個性あふれる群馬の山々で、アグレッシブな登山を楽しんでみてはいかがでしょうか。今回紹介したのはほんの一部。群馬には「ぐんま百名山」が選定されているので、ぜひお気に入りの山を見つけてみてくださいね。
また今回ご紹介しのはすべて岩稜コースで、鎖・ハシゴやロープを頼りに登降する局面もしばしば。低山とはいえ、転倒・滑落や落石事故の恐れもある、あなどれない存在です。
三点確保(支持)をはじめとした岩場歩きの基本を身に付けた上でのチャレンジは必須。核心部ではヘルメットやクライミンググローブも着用し、必要に応じてセルフビレイ(鎖への自己確保)を行なったうえで、安心安全に楽しみましょう!