黄色の毒液を分泌する「ツチハンミョウ」
「ツチハンミョウ」は、コウチュウ目ツチハンミョウ科に属する昆虫の総称。
この虫、生息密度が高い生物ではないため、遭遇するのは稀な昆虫。そのため虫好きの人であれば、青光りするその独特の姿に思わず触ってみたくなるかもしれません。
ですが…実はこのツチハンミョウ、有毒生物のため注意が必要です。
大きめのアリに似たツチハンミョウ
ツチハンミョウの大きさは1〜3cm程度。頭部と比べて腹部が大きく膨らんでおり、見た目は”青光りする大きなアリ”といった印象です。
ボテっとした体についている羽は退化しており飛ぶことができないので、ひたすら地面を歩いて移動します。ちなみ触覚にコブがあるのが雄。
ツチハンミョウは危険を感じると、関節から毒を含んだ黄色い体液を分泌します。
その体液は「カンタリジン」という成分を含み、毒性がとても強く皮膚に触れると赤くただれたりするので要注意。
エサを横取り?横着な幼虫時期
ツチハンミョウは幼虫の時期、「ハナバチ」に寄生する生態があります。幼虫たちは茎をよじ登り、咲いている花の上でハナバチの飛来を待機。運良く訪れたハナバチにしがみつき、そのまま巣まで連れていってもらいます。
海外のツチハンミョウでは、ハナバチの雌のフェロモンに似せたにおいを発して、雄を呼びつける種もいるとか。一度雄にくっつき、次に雌につく機会を狙っています。
そして巣に潜り込んだら、ハナバチの卵やハナバチが集めた花を捕食すことで成長。その後成虫になると、林や草原を徘徊しながら葉物を食す生活を送ることになります。
ツチハンミョウの行動傾向を探ろう
遭遇しやすい場所
北海道から九州まで、全国的に分布しているツチハンミョウ。主に低地から山地の雑木林などに生息しており、日中に地面を歩いているところを発見する形で遭遇することが多い虫。
ちなみに同じ毒成分を持つ生物に「アオカミキリモドキ」という虫もいます。花粉を食べ光に集まる性質があることから、花の上や夜のトイレ、自動販売機などで遭遇するケースが多いため、あわせて注意しましょう。
ツチハンミョウの活動時期
ツチハンミョウは春~初夏、だいたい3月〜5月ごろに活動的になります。日本に生息するツチハンミョウの仲間は15種類。
標高や地域によって活動時期が変化することもありますが、大抵のツチハンミョウは秋を過ぎると越冬します。
同じコウチュウ仲間、マメハンミョウ
ツチハンミョウと同様にコウチュウ目に分類される「マメハンミョウ」についても少し学んでいきましょう。
ツチハンミョウと同じ毒成分を体に秘めているので、こちらも注意が必要な昆虫です。