メーカー担当者のイチオシを直撃!初めて登山のギア選び【登山靴編】

2021/05/19 更新

今年こそ登山を始めたい!そんな人にとって最初の悩みが装備選び。特に登山靴は未舗装路を長時間歩く登山にとっては重要なアイテムですが、価格帯もさまざまで「最初の1足」を選ぶ基準が難しいですよね。そこで今回は登山デビューにオススメのエントリーモデルを、各ブランドの担当者に教えてもらいました。


アイキャッチ画像出典:PIXTA、いらすとや

最初の一足、何をどんな基準で選べばいいの?

出典:PIXTA/靴のイラスト出典:いらすとや
今年こそ登山を始めたい!ワクワクする気持ちで登山用品店に出かけたものの、ズラリと並ぶ無数の装備を前に思考停止、という経験はありませんか。

特に「歩くスポーツ」である登山は未舗装の道を長時間行動するため、靴のセレクトをしっかり行いたいもの。とはいえ、さまざまなブランドとモデルがある中で、自分にぴったりのモデルを見つけるのは至難の技ですよね。

選ぶ際の基準として、まずは自分がこれから“どんな登山をしたいか”や“どの山に登りたいか”という「当面の目標」を定めることが大切です。

今回のセレクト基準は「夏の八ヶ岳や日本アルプスが目標!」

登山初心者が憧れる山の代表格!北アルプス・燕岳
撮影:washio daisuke(登山初心者が憧れる山の代表格のひとつ 北アルプス・燕岳)
ひとくちに登山靴と言っても、各ブランドが多彩なモデルを展開しています。

その理由は

・アップダウンが少なく土道を歩く低山と、標高差があり岩場を歩く高山など登山道の違い
・日帰り・山小屋泊・テント泊など登山スタイルによる荷物の重さの違い

 

などを考慮して、それぞれのシーンに合わせたモデルを作っているから。靴底の硬さやくるぶし周りのカットの高さを変えることで、シーンに対応させているのです。

私がこれまでガイドとして接してきた登山初心者に多いのが春から初夏は低山でトレーニングや経験を積み、夏には八ヶ岳や日本アルプスの高山にチャレンジしたいという目標。そこで今回は、このケースに対応できるモデルを基準にしてみました。

登山用品店によっては、低山用と高山用のモデルを履き替えるという「二足のわらじ」をオススメされる場合もありますが、懐具合を考えると可能な限り一足で済ませたいのが人情というものですよね。

そこで今回は各ブランドの担当者に、この希望を叶えるオススメのエントリーモデルを紹介してもらいました。

SIRIO(シリオ)|PF46-3

SIRIO|PF46-3
提供:シリオ株式会社(SIRIO|PF46-3)
日本人に多い、甲高・幅広・扁平足の足型。欧米人は足の長さと幅の比が10:3.5が標準的なのに対し、シリオの登山靴は日本人の約半数を占めるという10:4の足型を基準に作られています

シリオが考える登山靴の歩きやすさの決め手が、足に合った「幅」、楽な姿勢で歩けるかかとの「高さ」、歩きを支える「硬さ」の3つの特徴。PF46-3はこれらのポイントをしっかりおさえたエントリーモデルなのです。

グリップ力が高く安心感・安定感抜群のソール

ビブラムメガグリップソールを採用した靴底
提供:シリオ株式会社(ビブラム®︎メガグリップを採用した靴底)
ソール部分はシリオオリジナルの「Vibram MEGAGRIP(ビブラム®︎メガグリップ)」を採用。

特に初心者が急斜面を歩く際は、スリップを恐れて足の運びがおぼつかなくなりがち。このソールは通常よりもゴムのグリップ力(地面を掴む力)が高いため、不整地でも荷重のブレず、その力を発揮してくれます。

足の運びの安定感が安心感につながり、正しい姿勢で自信を持って歩くことが可能に。結果として、無駄のない足さばきを助けてくれるのです。

初心者でも快適なフィット感のアッパー

足全体を優しく包み込むリラックスフィットのアッパー
提供:シリオ株式会社(足全体を優しく包み込むリラックスフィットのアッパー)
初心者にとっては、そもそも登山靴を履いて歩くこと自体に違和感を感じることも。それは靴自体にそれなりの重さがあり、通常のシューズよりも高いくるぶしまでを包み込むアッパーがストレスとなるから。そういった普段の靴との違いが疲労の原因になることもあります。

シリオのPFシリーズに採用されているのが、「リラックスフィット」のアッパー。爪先からかかとまで、土踏まずから足の甲まで、足全体を優しくかつしっかりと包み込んでくれます。

登山靴に慣れていない初心者ほど、歩行時間が長くなったときに、その有効性を実感するでしょう。

担当者からのメッセージ|シリオ・カイヤさん

PF46-3は靴全体が適度な硬さを持ち、パッキング重量が増えても足元の安定性を確保します。山へ歩き出す最初の一歩から、その深部へと進む助けとなる相棒です。

La Sportiva(スポルティバ)|TX5 GTX

La Sportiva|TX5 GTX
提供:スポルティバジャパン株式会社(La Sportiva|TX5 GTX)
スポルティバの登山靴はイタリアブランドということもあり、幅狭のイメージがあるかもしれません。もちろんモデルによってはタイトなものもありますが、このTX5は意外にもゆとりのあるモデルで比較的幅広の足にもフィット。他のTXシリーズに比べても爪先部分にゆとりがある設計になっています。

また、登山靴を選ぶときには足幅や甲の高さなど足の前半部分にフォーカスされがちですが、スポルティバの登山靴ではかかとのフィット感にも注目。かかとから足首までのシェイプが抜群のフィット感を生み出しています。

未舗装の登山道でも安定した歩行が可能なソール

独自パターンの靴底と快適性のための2つのシステムを搭載したソール
提供:スポルティバジャパン株式会社(独自パターンの靴底と快適性のための2つのシステムを搭載したソール)
未舗装の登山道は滑りやすく、石や木の根などに起因するショックが初心者にとっては疲労の原因に。

TX5の靴底はビブラム®︎のメガグリップ。独自のラグ(=凸部)の一つ一つが大きいパターンとなっていることで、グリップ性能が高く、スリップを防止してくれるのです。

さらにスポルティバ独自の「インパクトブレーキシステム」を搭載。これにより、ソールの接地面を斜めにすることで衝撃を吸収するとともに、地面を蹴る力を歩きの推進力に変え、地面を的確に捉えて滑りにくくなります。要するに、歩行時のストレスを軽減し、歩く力をサポートし、滑りにくくすることで、山道でも歩きやすく疲れにくい=初心者に優しいということなのです。

 

また、ミッドソール側面にはプラスチックのプレートを内蔵しており、フラットではない登山道での足の横ブレを防止し、歩行の安定性が向上するという工夫もなされています。

ハイカットのストレスを解消しつつメリットを活かしたアッパー

TX5 GTXの前・後面
提供:スポルティバジャパン株式会社(TX5 GTXの前・後面)
ハイカットの登山靴は、足首ががっちり固定されて起こる「歩きにくい」という感覚が、初心者にとっては大きなストレスになります。

この靴に用いられている「3Dフレックスシステム」では、足首をホールドしながらも可動域の自由度も確保されています。なので、初心者が感じる足首まわりのストレスが軽減されています。

 

また、このシステムでは爪先からかかとまで靴底全体を接地して歩くことができるので、不安定な登山道でもブレずに歩くことができます。
材質は耐久性が高いヌバックレザーを採用、履き続けるうちに自分の足型に馴染んできますよ

担当者からのメッセージ|スポルティバジャパン・徳島恵さん

TX5 GTXはハイカーやバックパッカーのために開発されたハイキングシューズで、まさに歩くためのシューズ。近くの低山からアルプスまで、頼もしい相棒として楽しい登山にしてくれます。快適な登山靴を見つけて山へ出かけてみてください!

THE NORTH FACE(ザ・ノース・フェイス)|クレストンミッド

THE NORTH FACE|クレストンミッド
提供:株式会社ゴールドウイン(THE NORTH FACE|クレストンミッド)
ザ・ノース・フェイスが展開する登山靴のエントリーモデルとして、ロングセラーなのがクレストンミッドです。爪先からかかとまで足裏全体に1枚のラスティングボード(シャンクプレート)を入れることで、靴底がよじれずにしっかりと足裏を受け止めます。これによって、不安定な登山道や重い荷物を背負っている時でも安定した歩行をサポートしてくれます。

 

防水透湿性素材には新たに自社開発の「FUTURELIGHT(フューチャーライト)」を採用してリニューアル、さらに快適性が向上しました。

登山道を歩きなれていない初心者に嬉しいかかとの衝撃を緩和するソール

左:CRADLEテクノロジーを採用したかかと部分/右:オリジナルパターンの靴底
撮影:washio daisuke(左:CRADLEテクノロジーを採用したかかと部分/右:オリジナルパターンの靴底)
クレストンミッドで特筆すべきは、かかと部分のクッション材としてインソールに内蔵されている「CRADLEテクノロジー」。

登山道では爪先からかかとまで靴底全体を接地して歩く“フラットフッティング”が基本ですが、初心者はかかとで着地して爪先で次の一歩を蹴り出すという平地と同じ歩き方をしがち。そんな登山道を歩くことにまだ慣れていない初心者の歩き方であっても、かかとへの衝撃を緩和してくれます

また、ソール部分にはビブラム®︎製のオリジナルパターンを採用。隙間が広く、泥汚れも落ちやすい設計です。

靴の中のコンディションを快適にキープしてくれるアッパー

フューチャーライト採用で蒸れのストレスを解消!
撮影:washio daisuke(フューチャーライト採用で蒸れのストレスを解消!)
1日の登山での発汗は両足で約200mlと意外に多量、蒸れによって足の皮が柔らかくなってしまい靴擦れが起きてしまうこともあります。

クレストンミッドは、ザ・ノース・フェイスが2019年にリリースした自社開発の防水透湿性素材「FUTURELIGHT(フューチャーライト)」をアッパーに採用。通気性の高いこの素材は、登山靴内部の蒸れを積極的に放出してくれます。高温多湿状態になりがちな靴の内部が適度な温度・湿度に保たれることで、足自体が常に快適な状態で歩行可能なのです。

担当者からのメッセージ|ゴールドウイン・鰐渕航さん

クレストンミッドは軽量(532g /9インチ・片足)でカット部分をはじめアッパーも柔らかく、女性にも人気のエントリーモデルです。「フューチャーライト」採用でさらに快適になった履き心地で、ストレスなく登山のステップアップを実現してください。

こんな人にオススメ!3足の特徴を解説

シリオ株式会社(左)・スポルティバジャパン株式会社(中央)・株式会社ゴールドウイン(右)
提供:シリオ株式会社(左)・スポルティバジャパン株式会社(中央)・株式会社ゴールドウイン(右)
それでは3足を比較してみましょう。まず足幅について、上の図にまとめてみました。ご自身の足型に照らし合わせて、参考にしてみてくださいね。

続いてそれぞれのモデルの特徴を踏まえて、どんな人にオススメかを解説します。

シリオ|PF46-3〜登山靴らしいしっかりした履き心地を求める人

PF46-3は「リラックスフィット」のアッパー採用で、優しくもしっかりと足を包み込んでくれます。靴自体にも適度な硬さがあることから、将来的に縦走登山や雪山登山にステップアップして本格的な登山靴に履き替える際にも、比較的違和感が少なく移行できることでしょう。

ITEM
シリオ|PF46-3
高いフィッティング性能に定評のライト・トレッキングブーツ、P.F.46の細部を見直しました。 TPUリブゲージは、より足を包み込み、マッドガードおよび足首周りに、よりクッション性を与えました。 新ソールは日本の地形に適したトラックパターンを採用。 角度をかえたブロックパターンで岩場、不整地で威力を発揮。 広いコンタクトエリアで歩行時の安定性を確保。 泥落ちが良いセルフクリーニング設計。

重量: 約600 g(サイズ 26.0cm/片足)

スポルティバ|TX5 GTX〜行動時の安定した履き心地を求める人

TX5 GTXは「インパクトブレーキシステム」「STBコントロールシステム」搭載のソールと「3Dフレックスシステム」搭載のアッパーで、歩行時の安定性と快適性を向上させています。不整地の登山道でのアクティブな歩行にも、ストレスなく追従してくれるでしょう。

ITEM
ラ スポルティバ|TX5 GTX(メンズ)
重さ(1/2ペア) メンズ約525g/ウーマンズ約430g


ITEM
スポルティバ|TX5 GTX(レディース)
●重さ:約435g(37インチ片足)

ザ・ノース・フェイス|クレストンミッド〜優しく快適な履き心地を求める人

クレストンミッドは柔らかいアッパーにより、カット部分がふくらはぎ下部と擦れて痛むストレスが起こりにくい構造です。「CRADLEテクノロジー」採用のソールで足への負担を軽減し、「フューチャーライト」採用のアッパーで靴の内部も常に快適な状態を維持できるでしょう。

ITEM
ザ・ノース・フェイス|クレストンミッド(メンズ)
●重量:532g(片方/9インチの場合)


ITEM
ザ・ノース・フェイス|クレストンミッド (レディース)
平均重量: 433 g(サイズ 7)

お気に入りの一足で楽しく歩こう!

登山初心者の北アルプス入門にオススメの山・唐松岳
撮影:washio daisuke(登山初心者の北アルプス入門にオススメの山・唐松岳)
今回紹介した3ブランド以外にも、魅力的なモデルはたくさんあります。当然のことながら、自分の足にフィットするものを選ぶのが最優先事項。

けれども私は、登山用品店で複数のモデルを履き比べて、履き心地はもちろん色や形も吟味してお気に入りの一足を見つけてほしいと考えています。

お気に入りの登山靴を履けば足取りも自然と軽やかに!楽しくステップアップして、憧れの山にチャレンジしてくださいね。

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washio daisuke

登山の総合プロダクション・Allein Adler代表。 登山ガイド・登山教室講師・山岳ライターなど山の「何でも屋」です。 得意分野は読図(等高線フェチ)、チカラを入れているのは安全啓蒙(事故防止・ファーストエイド)。 山と人をつなぐ架け橋をめざしています。

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