ふんわり暖かい「フリース」の着心地が好き!
ミドルレイヤー(中間着)として定番のフリース。ふんわりと起毛した生地は肌触りがよく、暖かくて動きやすいのが特徴です。「フリースの着心地が好き」という人も多いのではないでしょうか。
そんなフリースにも気になることが……
それは保温性があるゆえに気温の高い時期は扱いにくいということ。
一般的にフリースが活躍するのは秋冬などの寒い季節。夏山の行動着ともなると、なかなか暑くて着れたものではありません。
とはいえ、あの着心地は捨てがたい……。
そんなことを考えていたら、雪山から夏山・トレランでも使える超爽快なフリースに出会いました!
発見!ずっとドライな新素材フリース「プリマロフトNEXT」
それが2020年秋冬に登場した新素材「プリマロフトNEXT」。
実際に登山で着用してみましたが、フリースとは思えないほど通気性が良く、激しい動きでも衣類内がドライに保たれていたことに驚かされました。そして従来のインサレーションにはない”革新的な機能”まで備わっていたんです!
“NEXT”のレビューに入る前に!
ダウンに代わる中綿素材「プリマロフト」って知ってる?
そんな「プリマロフトNEXT」を開発するのがアメリカの<PrimaLoft (プリマロフト)社>。登山ウェアに関心のある人は「プリマロフト」という素材の名前は聞いたことがあるのではないでしょうか。
まさに人工羽毛!ダウンの性質をもった化学繊維
「プリマロフト」は、1983年にアメリカ陸軍から依頼を受け、羽毛に変わる素材として誕生しました。繊維は羽毛の構造に類似した超微細マイクロファイバーで構成され、ダウンと同等の保温性が実現されています。
さらに、速乾性が高く濡れても保温が低下しにくい性質を持つことから、ダウンにはない使い勝手の良さを可能に。グースダウンの代替素材として、化繊インサレーションなどの登山ウェアやシュラフ、布団や枕などの寝具へと発展していきました。
動物の毛皮からインスパイアされたプリマロフト”NEXT”
羽毛からコンセプトを得た「プリマロフト」に対し、獣毛からヒントを得たのが「プリマロフトNEXT」です。
さまざまな長さ・厚さの繊維を混紡することで、動物の毛皮に見られる特性を模倣。これにより、行動中は衣類内を循環する通気が、停止時は空気を閉じ込める層が生まれ、保温と通気の切り替えを実現しました。
山岳マラソンブランドから「プリマロフトNEXT」採用ウェアが発売中!
2021年春現在、プリマロフトNEXT採用したアイテムは、山岳マラソンブランドの「OMM」から登場しています。今回はラインナップのなかでも、ハイロフトモデル「コアジャケット」を使用し、この「プリマロフトNEXT」の実力を試してみました。
<OMM コア・シリーズ>
商品名 | ![]() OMM コア・フーディ | ![]() OMM コア・ジャケット | ![]() OMM スーパー・ソニック・スモック | ![]() OMM コア・ベスト |
参考価格 | ¥15,400(税込) | ¥19,800(税込) | ¥25,300(税込) | ¥11,000(税込) |
重 量 | 115g | 195g | 185g | 75g |
保温性 | ★★★☆☆ | ★★★★☆ | ★★★★☆ | ★★☆☆☆ |
通気性 | ★★★★★ | ★★★★☆ | ★★★★☆ | ★★★★★ |
展 開 | 男女共通 | 男女サイズあり | 男女共通 | 男女共通 |
それではレビューに入っていきましょう!
ムレない暖かい。そして軽い!”NEXT”の名は飾りじゃない
3月下旬〜4月上旬、低山登山やスピードハイク、ランニングなどでコアジャケットを着用。その使用感は「フリースのよさを残しつつ、より幅広いシーンでアクティブに使えるインサレーション」だと感じました。
なかでも特に印象的だったのが
・着心地の良さ
・保温と通気の切り替え
・乾きやすさ
の3点です。
フリース好きも納得!ソフトな着心地がたまらない
コアジャケットを着てすぐに感じたのが「とにかく着心地がいい」ということ。一般的なフリースよりもソフトな肌触りで、袖を通した瞬間からほんわりとした暖かさが伝わってきます。
とにかく着用のストレスがなく、これなら長時間の登山でもずっと着ていられそうです。「フリース好き」の人も満足する着心地ではないでしょうか。
ちょっ…軽すぎでしょ!
さらに驚いたのが、着用しながら歩いていても重さをほとんど感じなかったこと。
それもそのはず、コアジャケットの重量は公式で195g。さらにローロフトモデルのコアフーディは115g、ベストタイプのコアベストは75gと、一般的なフリースが400g前後だとすると半分以上の軽さです。
この軽さの秘密は、シングルレイヤーのメッシュ生地に繊維を直接織り込む構造によるもの。登山やスピードハイクでも、まるで薄いベールをまとっているような感覚で山を駆け抜けられました!
「動くと涼しく、止まると暖かい」魔法のような機能
プリマロフトNEXTの機能で「おもしろい」と思ったのが、“暖かいのに涼しい”ということ。まさに「獣毛を模擬した生地」の特徴で、行動・停滞の状況に応じて通気と保温を使い分けることができました。
ちょっとわかりにくいので、図も交えて説明すると
停滞時(風がない状態)ではフリースの暖かさが体を包んでいるのですが、行動に切り替わる(風が生まれる)と、メッシュ生地の服のようにスースーと風が入ってくるんです!
これにより、1着のウェアで保温着↔︎行動着の切り替えが可能に。「歩いていたら汗ばむけど、止まると急に寒くなる」そんな登山シーンの悩みを解決する革新的な機能だと感じました。
シェルを羽織るとさらに保温モードへ!
気温4度前後、3〜5mの風が吹く山頂では、プリマロフトNEXTでは通気が良すぎて寒さを感じるくらいでした。そんなときは防風シェルをレイヤリングすることで超保温モードへ。軽量のウィンドシェルなどでも十分効果がありそうです!
ベースレイヤー級の速乾性で単独使用もOK!
プリマロフトNEXTは速乾性も驚異的。登山中はウェアの湿りはほとんど感じなかったので、下山後に乾くスピードをチェックしてみました。
コアジャケットを洗濯したところ、洗濯機の脱水が終わった時点ですでに70%ほど乾いている状態。15分ほど外干しするとしっかり乾燥していました。
なので、単独でも使える!
この速乾性の高さから、ベースレイヤーを省いた単独使用も可能です。通気の良さも相まってウェア内はドライに保たれ、風が抜けていく感覚がとても気持ちよく、トレランやランニングでこの使い方をするのは”あり”だと感じます。
ただ、「ベースレイヤーなし」というのは気持ち的にやや不安が。3,000m級の山・秋冬の山であれば、やはり基本に忠実にベースレイヤーは着用しておいたほうが良いかもしれません。
ちょっと気になることも……
大満足のプリマロフトNEXTですが、耐久性はそれほど高くなさそうです。
シングルレイヤー構造により軽量で極薄の生地を実現していますが、それゆえに擦れや枝の引っ掛かりには弱い印象。藪を歩いたり、クライミングなどでの使用は極力避けたほうが良いと感じました。
あらゆるシーンで多用途に使える次世代フリース!
今回、実際に山で着用してみて「プリマロフトNEXT」は、あらゆるシーズンの山で使えることを実感!特にこんなシーンで活躍すると感じました。
【夏山】
気温の低い時間帯・場所での行動着、テント泊・小屋泊の保温着【秋・春の山】
ずっと着用していられる行動着として、低山からアルプスまで!【雪山】
化繊インサレーションやシェルを重ね着して、冬山のインナーにもピッタリ【トレラン・U.Lハイクなど】
単独使用をして、荷物を極力少なくしたい場合にオススメ
夏山からじっくり登る雪山、スピード重視のハイクまで、プリマロフトNEXTは幅広いシーンで爽快な新感覚のフリースです。この感覚は一度味わうと癖になること間違いなし!今後の商品展開も楽しみですね。
プリマロフトNEXTが気になった方はチェック!
<OMM コア・フーディ>
<OMM コア・ジャケット>
<OMM スーパーソニック・スモック>
<OMM コア・ベスト>