ニーモ テント

ガシガシ使える個性派!ニーモ「クナイ」は広々テントで快適に過ごしたいユーザーにイチ押しの一品

近年、山でも見かけることの多くなったアメリカのアウトドアブランド<ニーモ>のテント。今回登場するのはそんなニーモのコアユーザー向けモデル「クナイ」です。スタイリッシュなシルエットながらも、どこか無骨な印象のある山岳用テント。日本向けに開発されたこのテントは、他にはない特徴的な機能がめじろ押し。実際に設営して感じたレビューをご紹介します。

目次

アイキャッチ画像撮影:筆者

なんだか個性的なテントに出会った

出典:PIXTA

登山の醍醐味でもあるテント山行。大自然に抱かれた非日常的な空間は、極上のひとときですよね。
なかには「テント泊にも慣れてきたし、そろそろ新しいテントが欲しいな」なんて考えている人もいるのではないでしょうか。

今回出会ったのは、そんな”次なるテント”を探しているユーザーにおすすめしたいテント。「普通のテントじゃ物足りない!」と、今持っているものよりもスペックの高いテントを求めている人は必見です。

それがこちら!アメリカ生まれの日本向けテント「クナイ」

撮影:筆者

「クナイ」はアメリカのアウトドアブランド<NEMO(ニーモ)>の山岳用テント。2014年に登場し、2020年のアップデートで全体のサイズ感が見直され、従来モデルに比べてより快適な居住空間を実現しています。

【NEMO クナイ 2P】
サイズ:2人用のみ
最小重量:1710g
タイプ:自立式ダブルウォール
販売価格64,900円(税込)

スタイリッシュなシルエットが特徴。また、日本の山岳シーンを想定して開発されたモデルです。テント泊ユーザーをとりこにするクナイの魅力を、実際に設営し、その特徴や使用感レビューとともに紹介していきます!

天井が高くて過ごしやすい!使ってわかった快適ポイント

撮影:筆者

冷え込みが厳しい1月の長野県。標高900mの高原で設営してみました。
クナイを使ってみて「おっ!」と感じた特徴がこちらの2つ。

①ゆったりくつろげる広々な居住空間
②前後左右がベンチレーション。バツグンの通気性

それぞれ詳しくみていきましょう!

①ゆったりくつろげる広々な居住空間

撮影:筆者(モデル身長:169cm)

続いて好印象を持ったのが居住性の高さです。

▼他社2人用テント(ダブルウォール)とのサイズ比較

商品ニーモ
クナイ
モンベル
ステラリッジ2
アライテント
エアライズ2
高さ112cm 105cm 105cm
フロア208cm×128cm210cm×130cm210cm×130cm

クナイの全高は112cmで、表のように一般的な山岳テントと比べてもかなり高い。中腰でも頭が天井につくこともなく快適でした。

撮影:筆者

フロアは前後で長さが異なり、後方へいくほど狭まっているのが特徴です。これは風を受け流しやすく、空気抵抗を考えた設計。後方の狭さは感じるも、天井が高いぶん、十分な開放感があるのでそれほど気になりません。

撮影:筆者

台形で作られた前室もとにかく広い!三角形の前室に比べて使い勝手が良く、荷物置き場として申し分ないスペースがあります。

②前後左右がベンチレーション。バツグンの通気性

撮影:筆者

クナイは通気性に優れた特徴も。前後左右にメッシュ窓の大型ベンチレーションを備えています。夏山の暑苦しいときや、雨のジメジメしたときなど、日本特有の高温多湿な環境で重宝する機能ですね。

撮影:筆者

ベンチレーションに手を当てると、風が通るのを感じました。秋冬の結露対策にも良さそうです。

撮影:筆者

フライシートの入口はダブルジッパー式。上部を開放し、ストッパーを立ち上げることで、前室やテント内の換気にも有効です。

どんな山でも安心!日本の山岳気候に対応する抜群の耐久性

撮影:筆者

快適な居住空間とともに、クナイの魅力としてあげたいのが強度の高さ。多雨で高温多湿、強風の吹く日本の山でも安心して使えるようにと、素材にこだわっています。パーツごとに特徴を見ていきましょう。

強風にも耐えうる頑丈なポールとフレーム設計

撮影:筆者

入口上部のツノのような「リッジフレーム」は、ニーモのテントならではの特徴。テントの耐久性を向上させるとともに、テント内や前室の空間を広げる役割があります。

撮影:筆者

世界的ポールブランド「DAC社」のDAC Featherlite NSLを採用。一本のポールに異なる径の太さを混在させる特殊な構造により、高強度と軽量性をバランスよく両立しています。しなやかで曲がりやすく、初心者でも扱いやすいのが特徴です。

テント生地にもこだわりを!高い強度を実現

撮影:筆者

フライには極薄の15Dシルナイロンが採用されています。ナイロン生地にシリコンを染み込ませることで、高い防水性を発揮。さらにナイロン繊維を格子状に縫いこむリップストップ加工により、雨風や擦れにも強いタフな生地に仕上がっています。

撮影:筆者

インナーテントには20Dポリエステルリップストップを使用。さらに天井部のシーム(縫い目部分)に高強度素材「X-PAC」を組み込むことで、薄く軽量ながらも一般的なテントをはるかに凌ぐ強度を実現しています。ニーモ の中でこの素材が使用されているのは、クナイだけです。

細部にもワクワクさせるアイデアが満載!収納ポイントに注目

撮影:筆者

ほかにもテントでの生活をより快適にしてくれる嬉しいポイントが!
入口上部には大型のメッシュポケットが備わっています。小物ってテント内でよく行方不明になっちゃうんですよね。そんなかゆいところに手が届きます。

撮影:筆者

入口の左上部にはライト専用のポケットが。天井に吊り下げる手間がないので、つけ外しのストレスがありませんでした。なんとも便利でユニークな発想です。

撮影:筆者

テントの収納袋には星座表がくっついています。こんな遊びゴコロがあると、なんだか夜に空を見上げたくなっちゃいますね!

シンプルで簡単な設営方法。扱いやすさも良し

撮影:筆者

ここからは設営に関するレビューです。クナイの基本セットは以下のとおり。

・インナーテント(テント本体)
・フライシート
・メインポール
・リッジフレーム
・アルミペグ

設営手順

撮影:筆者

独特なフレーム形状から複雑そうなイメージをもっていましたが、設営方法はいたってシンプル。テントに慣れている人であれば初見でも迷わず設営でき、慣れれば5分ほどで立てられそうです。

細かな設営のポイント

撮影:筆者

ポール先端の固定はグロメット式。スリーブ式に比べて耐久性に強い特徴があります。

撮影:筆者(前方と後方でポールとグロメットの色が分けられており、視覚的にもわかりやすい設計に)

ポールに樹脂パーツをフックする「吊り下げ式構造」を採用。インナーテントとフライの隙間が大きく確保できるため、結露しにくい特徴があります。またペグダウンした状態から設営ができ、素早い設営・撤収ができるメリットも。

撮影:筆者

フライシートはアジャスターで張り具合が調整できます。グローブを着けながら片手で操作できるのも◎。

ザックのスペースに応じたコンパクトな収納サイズ

撮影:筆者

クナイは最小重量が1,710g(※)。近年の軽量に特化したテントと比べるとやや重い印象は拭えませんが、高い強度と快適な居住性を考慮すれば十分に重さをカバーしているといえそうです。

※本体(インナーテント・フライ)・ポールの重量です。収納袋とガイドライン、ペグは含まれません。

撮影:筆者

インナーテントとフライを入れただけの状態とポールとを分ければ、ザックのスペースに応じてパッキングできます。

「クナイ」は日本の山に適応した個性的なテント

撮影:筆者

デザイン性に優れ、日本の山に適応した機能をもつクナイ。スタンダードな形状ではないため初心者用とはいいにくいですが、日本のあらゆる山岳シーンでガシガシ使える快適テントだと感じました。そんなクナイはこんなユーザーにおすすめです。

じっくりテント山行や縦走登山を楽しみたい中〜上級者
・テント場でも被りにくい、一風変わったテントを求めている人
ガシガシ使えて快適なセカンドテントを求めている人

雪山での使用はちょっと注意!

撮影:筆者(旧モデルはスノーフライも展開されていましたが、現在はレインフライのみ)

4シーズンテントとして展開されているクナイ2Pですが、フライシートのスカートの短さが気になるところ。雪や風の侵入を許してしまう可能性が考えられます。強度は十分だといえそうですが、雪山での使用は極力避けた方が良いかもしれません。

「テントを買い替えよう」と思っている方に、ぜひおすすめしたいクナイ。信頼のおける相棒で、心の揺れるようなテント山行を楽しんでみませんか。