アイキャッチ画像撮影:筆者
人気アウトドアブランドの山岳用テントが気になる!

提供:ゴールドウイン(写真は1人用のマウンテンショット1。2人用のマウンテンショット2も展開がある)
ザ・ノース・フェイスは、ウエアからバックパック、トレッキングシューズなど幅広いアイテムを展開している人気アウトドアブランド。
なかでも2020年にリリースした「マウンテンショット」の3シーズン用テントシリーズは、軽くて居住性が高いと購入者の口コミで高評価を得ています。日本の山岳フィールドを想定して作られたモデルのため、山での使用はもちろん問題なさそう。ただ購入前には、実際の使用感が気になりますよね。
奥秩父のテント場で5項目をチェック!

撮影:筆者
年末も差し迫った12月の中旬。マイナス5度を記録した標高1955mの極寒のテント場で一晩を過ごし、「マウンテンショット1」の使用感をテストしてきました。
チェックしたのは表に記載がある5項目。個人的な感想にはなりますが、それぞれを5つ星で評価します。3つが標準、それ以上は優れている、以下は改善の余地ありです。そして結果がこちら!
①設営&撤収の しやすさ (組み立ての容易さ) | ②居住性 (圧迫感の有無) | ③換気性 (結露の有無) | ④携行性 (持ち運びやすさ) | ⑤耐久性 (耐風性の有無) |
★★★★★ | ★★★★ | ★★★★ | ★★★ | ★★★ |
ずばり
「設営と撤収のしやすさ」や「居住性」を重視する人におすすめしたいテントでした。★を4〜5つ獲得した3つのポイントから詳しく見ていきましょう!
①スリーブ式と吊り下げ式のハイブリッドで移動せずに簡単設営

撮影:筆者(左半分がスリープ式で、右半分が吊り下げ式を採用している)
完全なスリーブ式のテントは、ポールを挿入するのが少々面倒。
マウンテンショットは半分の長さのスリーブに挿入するだけでOKなので、手間取らずに作業できます。

撮影:筆者(スリープの末端は袋状になっている)
またすべてが吊り下げ式だと、先端を差し込むために四隅を回らないといけないのでこれも手間です。このテントはスリーブの末端が袋とじになっているので、その必要がありません。一ヶ所で作業するだけで、簡単にインナーテントを立ち上げられました。
これはいままで扱ってきたどのテントよりも設営がラク。この方式がスタンダードになればいいとさえ思えるほどです。
1人でも楽々組み立て!設営手順も合わせてチェック
①フットプリントを広げて四隅をペグダウン
②インナーテントを広げて四隅をペグダウン
③インナーテントのスリーブにポールを挿入する
④ポールの末端をグロメットに差し込んでインナーテントを立ち上げる
⑤インナーテントのフックをポールに引っ掛けてから、天井にセンターポールを取り付ける
⑥最後にフライシートを被せて入口をペグダウン。それぞれテンションをかければ完成
組み立てに慣れていない人や力が弱い人でも楽に組み立てられると感じました。
②圧迫感をおさえる3つのポイントで広い空間を演出
居住性が高いと感じた理由は大きく分けて3つ。
・長辺出口で出入りしやすい&2面の前室で快適性UP ・十分な高さがあり、センターポールで天井が広い ・台形のフロアデザインで荷物の収納性が高いそれぞれ細かく見てきましょう。
長辺出口で出入りしやすい&2面の前室で快適性UP

撮影:筆者
入口はひとつで、インナーテントの長辺側から出入りするデザイン。短辺に入口があるモデルより出入りしやすいです。

撮影:筆者
前室の奥行きも文句なし。トレッキングシューズを置いても余るほどのスペースがありました。これならバーナーを使った調理も不自由なく行えますね。

撮影:筆者(インナーテントのファスナーを開閉すると収納スペースにアクセスできる)
さらに入口とは反対側にも荷物を置けるスペースが。フライシートに覆われているので雨を気にすることなく、使わないクッカーやバーナーは外に出しておけます。
十分な高さがあり、センターポールで天井が広い

撮影:筆者(身長182cm)
床から天井までの高さは105cm。約10cm厚のエアマットに座っても、天井に頭がつくことはありませんでした。背中を丸めずに済むので居心地がいいです。

撮影:筆者
さらにセンターポールのおかげで、頭頂部の空間が広くなっているのも特徴。そのため、標準的なドーム型テントよりも圧倒的に広く感じました。
台形のフロアデザインで荷物の収納性が高い

撮影:筆者(マットの左右にスペースができる)
インナーテントの床は、長方形ではなく台形。頭側はスリーピングマットを敷いても左右にスペースが生まれるほど幅があるので、食料や貴重品などを置いても窮屈に感じません。

撮影:筆者(反対側はすぼまっているのでスペースはない)
対象的に、足側の幅はマットがぴったり収まる長さ。無駄のないデザインで、居住性の高さと軽さを両立しているのが伝わってきます。
③冬だとさむすぎるほど!空気が循環するようすを肌で実感
換気性が優れていると思ったポイントはこちらの2つ。
・インナーテントのメッシュパネルから空気が取り込まれる ・フライシートにベンチレーションがあるそれぞれの機能をチェックしていきましょう。
インナーテントのメッシュパネルから空気が取り込まれる

撮影:筆者(左右にある三角形のパネルがメッシュ素材でできている)
使ってみて関心したのが、インナーテントに配置されたメッシュパネルによる空気の循環です。片側のテント下部に三角形のメッシュパネルが2箇所あり、ここから外の空気がガンガン入ってきます。

撮影:筆者(両脇の上部と奥にある三角形のパネルがメッシュ素材)
そして上部にも3箇所メッシュパネルが配置。下から入ってきた空気が、上昇しながら天井から外へ抜けていきます。
通常のテントだと結露が溜まりやすいものの、最小限に抑えられており換気性能の高さを実感。風通りがいいため、気温が高い季節での使用時にも重宝するでしょう。
フライシートにベンチレーションがある
撮影:筆者
入口とは反対側のフライシート上部にベンチレーションがデザインされています。

撮影:筆者
外側はもちろん、内側からも開閉可能。雨が降ってきたときに、いちいち外に出る必要がないのはうれしいですね。
風通りが良すぎ!冬の季節には使わない方がいいでしょう…
正直3シーズン用とはいえ、冬に使っても問題ないと思っていました。でも実際に確かめてみると、冬場の使用は避けた方がよさそう。理由は、換気性能が良すぎてインナーテントの中がまったく暖まらないためです。

撮影:筆者(インナーテントのメッシュパネルをすべて塞ぎたいと本気で思った)
メッシュパネルで作られているモデルでなければ、人間が中にいるだけで室内は多少暖かくなります。でもこのテントは、冷え切った外の空気がガンガン中に入ってくる。内側と外側でそれぞれ気温を計ったら、ほとんど変わらないマイナス5度を表示したことに驚きました。
このテントが3シーズン用であることに納得です!
携行性や耐久性も本音レビュー
「④携行性」や「⑤耐久性」には、ほかのチェック項目に比べて目立ったポイントを感じませんでした。それぞれのリアルな感想をお届けします。
④ソロ用テントだから軽いのは当たり前

撮影:筆者(ポールの収納サイズは約47cm。本体の収納袋の生地を引き伸ばせば一緒にまとめることも可能)
総重量(ペグやポール、収納袋を含めた重さ)は1.27kg。ここに付属品のフットプリントを加えると80gが加算されます。持ってみると軽いと感じました。ただ、各社が山岳用テントの軽量化に力を入れている昨今、とてつもなく軽いかと言われると、そこまで言い切れないのが正直なところ。
▼他社ソロテント(ダブルウォール)との比較ザ・ノース・フェイス マウンテンショット | ファイントラック カミナ™ドーム1 | モンベル ステラリッジ1 | アライテント トレックライズ0 |
1.27kg | 1.28kg | 1.34kg | 1.47kg |
※すべて総重量(ペグや収納袋を含む)で比較をしています
やや辛口かもしれませんが、ここは標準的な星3つとさせてもらいました。これが1kgを下回るとオッと眼を見張るのですが、今後の商品開発に期待です。
⑤強風に吹かれても問題なし

撮影:筆者
ゴーッと大地を揺らすような強風が吹いたときも、フライシートがバタつくことはなく、安心して眠れました。耐風性も十分といえるでしょう。
他にもあるぞ!気になる○✕ポイント
実際に使ってみて、さらに気になった細かいポイントを紹介していきます。
◎:吊り下げ用のループがある

撮影:筆者
天井には吊り下げ用ループが4箇所あるので、細引きを通せば四角形の物干しを作ることが可能。ランタンを吊るせたり、メガネを引っ掛けたりと使い勝手抜群です。
◎:収納スペースも豊富

撮影:筆者
テント内には全部で3つの収納ポケットつき。
床の近くには真ん中で区切られた収納袋が縫い付けられており、ヘッドライトやリップクリームなどなくしやすい小物入れに重宝します。

撮影:筆者
もう1つは天井にある収納スペース。バーナーの収納袋やモバイルバッテリー、読もうと思って持ってきた文庫本など、少し大きめなグッズも入るので便利です。
△:フライシートが短すぎて、雨の跳ね返りが気になる

撮影:筆者
フライシートの短さが気になりました。耐水性があるインナーテントの床の生地に高さがあるので、内側に雨が侵入することはなさそう。ただ前室の端に靴を置くと、雨粒の跳ね返りで汚れてしまうかもと感じました。メーカーの担当者に確認すると、メッシュからの通気・換気を活かすために少し短めに設定しているとのこと。こんなところにも換気性の工夫がされているとは、驚きです。
✕:ポールに取り付けるパーツがやや硬い

撮影:筆者
今回のように、さむくて手がかじかんだ状態で作業すると、パーツの取り外しに難儀したのが事実です。

撮影:筆者
とくにセンターポールに取り付けるパーツが曲者で、いくら力を入れて引っ張っても外せない…。ひねってあげるのがコツのようで、そのポイントを見つけるまでに少々時間がかかりました。
他とは違う個性が魅力的で、軽さと居住性のバランスが秀逸!

撮影:筆者
「マウンテンショット1」を実際に使ってみると、画期的な設営方法や豊富な収納スペースなど、他のモデルとは一味も二味も違った個性が魅力的に映りました。軽さも申し分なく、さらにフットプリントが標準装備という点もうれしいポイント。
「軽さ」は犠牲にしたくないけど「居住性」や「使い勝手」を重視したいという人に、ぜひおすすめしたいテントです。今もう少し広いモデルが欲しい人は、2人用「マウンテンショット2」もあるので、そちらも要チェック。
マウンテンショット1の購入はこちらマウンテンショット2の購入はこちらこの記事を読んだ人はこちらもチェック