秋冬登山で安心できる防寒着がほしい!finetrackのミッドシェル「フロウラップ」を試してみた

2020/12/11 更新

登山専門メーカーが作るウェアはおおむね高価。でも、そこには当然理由があります。普段、100均や激安スポーツブランド品にワークマンなど、低価格アイテムを常用する筆者が、その差を確かめるべく最新の高機能ウェア、finetrack(ファイントラック)の『フロウラップ・シリーズ』を様々なシーンで試してみて実感したことをお伝えします!


アイキャッチ画像撮影:三宅 雅也

お財布に優しい安価ウェアにも弱点が…

撮影:©M.Ueba 2019(こちらのスタイルは全身わずか9,600円!)
昨今は登山専用ウェアでなくとも、高コスパでそれなりに登山に使える安価ウェアの選択肢が増えてきているのは、ハイカーにとってありがたいですよね。

かくいう私も登山歴が長くなるにつれ、激安スポーツブランド品や専門外ウェアの転用など、低コスト品が幅を利かせている今日この頃です。

撮影:YAMA HACK編集部(秋冬でも行動時は汗だくになることも)
ただ、春先の低山や好天が約束された盛夏の日などはそこまでシビアになる必要はありませんが、気温変化が大きい季節や天気が安定しない時期など、果たして専門外の安価ウェアで大丈夫?という懸念を実はいつも持っています。

やはり山専用設計ではないため、汗処理や天候急変時に不安があり、「大きな安心感」を得ることは難しいのが実情…。

コンディションが厳しい秋冬は、ウェアの機能が重要

撮影:三宅 雅也[厳冬期アルプス向けウェア、L=レイヤー(層)]
特にこれから本格的に冷え込み始める秋冬シーズン。暑さ・寒さの温度変化はグリーンシーズン以上となり、安全、かつ快適なウェアの選定はなかなか難しいですよね。

動けば暑いし止まれば寒い。
陽が出れば暑いし曇れば寒い。
無風だと暑いし強風だと寒い。


こんな体感温度の差は、夏山以上に顕著に出ます。そんな時、都度ウェアの脱ぎ着をするのは面倒ですし、かなり大変…。ちょうど良い防寒着はないものでしょうか?

「最強の5レイヤリング‎」を提唱するファイントラックの防寒ウェアならどう?

提供:finetrack(L1~L3までは汗を処理するためのレイヤード、L4 & L5は外部環境からの負荷を防ぐレイヤード)
登山者に浸透して久しい、ファイントラックが提唱する「5レイヤリング‎」。それぞれの機能を備えたウェアを5枚重ねることでの相乗効果により、蒸れを防いで汗を効果的に排出。肌をドライに保ち、体温の低下を防ぐというレイヤリングシステムです。

秋冬は特にこうしたレイヤリングによる保温が重要となり、安全・快適登山のキーとなります。しかし、安価ウェアではこうした汗処理が「システム」となっていないため、「常にドライに保つ・保温する」ということが難しいのです。

その点、汗処理に特化したファイントラックのウェアなら、「快適なコンディションをキープする」という課題をクリアしてくれるのでは!?

…ということで、山に着て行ってみることに。

試すのは「脱ぐ間のない、絶妙シェル」と銘打つフロウラップシリーズ

ファイントラックフローラップシリーズ
撮影:三宅 雅也(アウターシェルでも、ウィンドシェルでもソフトシェルでもない“ミッドシェル”)
今回選んだのは、レイヤリングのL4(ミッドシェル)に属する『フロウラップフーディー』『フロウラップパンツ』『フロウラップグローブ』の3点です。

このフロウラップシリーズのコンセプトは、いつでも中途半端な山の環境に対し、面倒なウェアの着脱を減らし“いつまでも着ていたくなるウェア”であること。

さすがに山専用設計では、「〇〇だったら良いのにな」というハイカーの要望が盛り込まれていますね!

撮影:三宅 雅也[左:フーディー(M)、右:パンツ(M)]
いずれも手に取ったファーストインプレッションは「軽い!」そして「しなやか!」です。

生地は非常に薄手なのに不思議なことにしっかりしています。どうやら、機能が異なる3層の生地で構成されているためのようです。(こんなに薄いのに!)

これは低価格帯のウェアでは実現困難なため、さすがと言えます。

また、それぞれの実測重量は、
フーディー(M):281g
パンツ(M):225g
グローブ(M):27g

と軽量。ウェアそのものも立派な「荷物」のひとつであるため、機能が備わっていながら軽量なのはとてもありがたいですね。

フロウラップシリーズの実力をレビュー! 色々な山×コンディションで試してみた

撮影:三宅 雅也
今回レビューにチョイスした場所は以下の3座。
①浅間隠山[1,757m]
10/25(日) 快晴/弱風 11℃前後
 
②蝶ヶ岳[2,677m]
10/31(土) 快晴/無風 -6℃~3℃程度
※蝶沢以降雪道
 
③美ヶ原(王ヶ頭)[2,034m]
11/2(月) 曇りのち雨/強風~暴風 5℃前後

 
様々な山とコンディションでトライした方が、よりウェアを理解できますからね。
 
前置きが長くなりましたが、それぞれのウェアのインプレッションを見ていきましょう!

工夫いっぱいの『フロウラップフーディー』

撮影:ⒸM.Ueba 2020
着心地はサラリとしていてゴワツキがなく、驚くほどストレスフリー。

これはフーディー、パンツ、グローブすべてにおいて共通しており、軽量さ、しなやかさ、快適さを併せ持っています。(ぜひ試してみてほしい!)

また気温の低い時でも、袖に腕を通す時・裾に足を通す時にヒンヤリ感がありません。これって何気にすごいことではないでしょうか。着る時に冷たいって結構ストレスですからね。

リンクベントで一気に蒸れを開放

撮影:ⒸM.Ueba 2020
さっと開閉して体温調整ができるリンクベント(ベンチレーション)が便利です。 ザックのショルダーハーネスと干渉せず、且つ、同社が提唱する「5レイヤリング」では、内側のL3(ミッドレイヤ)、そしてこのL4(ミッドシェル)、更に外側のL5(ハードシェル)とベンチレーションの位置がリンクしています。これにより、行動中にかいた汗と体温を効率的に放出することが可能。

これぞシステムで提案しているレイヤリングの大きなメリットの一つです!

様々な保温対策

撮影:ⒸM.Ueba 2020
首元には「チンガード」が装備されています。これがあるとないでは、寒い日の快適性がぜんぜん違います。スライダーが顎に当たっていると、冷たさから顎がかなり痛くなってきますから。

ちなみに安価品や登山専用ウェアではない場合、このチンガードはついていないことが多いのでご注意を。

胸元には左右の止水ジッパー付き大型ポケットがあり、スマホや地図、グローブなどを収納できます。

撮影:ⒸM.Ueba 2020
裾にはドローコードが付いており、ぎゅっと絞ることで風や雪などの侵入を防ぎ、ずり上がりも防ぐことができます。

特に風が強いときは、すきま風の入り込みを防げるかどうかで保温に大きな差が出るもの。この辺りも山専用設計の配慮ですね。

撮影:ⒸM.Ueba 2020
そして、顎まで覆えるハイカラー仕様のフードにもドローコードがついているので、荒天のときには顔の露出をより狭小化することができ、保温+安心感を得られます。

高いストレッチ性

撮影:ⒸM.Ueba 2020
立体製法となっており、腕を組んでいても背中側がつっぱるようなことがありません。

さらにミッドシェル専用素材「エバーブレスエア」を中間層に、ストレッチ性の高いナイロン素材とポリエステル素材のニット生地を複合、3層構造とすることで、なんとヨコ220%、タテ143%のストレッチ性能を実現。

なるほど、着心地の良さは生地質感+このストレッチ性の賜物なんですね。

撮影:ⒸM.Ueba 2020
袖口も独自のストレッチパネルによりストレスなくフィットします。

ベルクロなどで袖口を絞る仕様の場合、ハードシェルを重ね着したときに嵩張りますが、この仕様なら問題なし。重ね着への配慮もされているようです。

抜群の耐水性

撮影:ⒸM.Ueba 2020
L4(ミッドシェル)の役割「耐水・透湿」の通り、フロウラップは高い耐水性を保有していました。

試しに水をかけてみましたがご覧のとおり!ものすごく水弾きが良く、一切濡れることなく流れていきます。

撮影:ⒸM.Ueba 2020(パンツも同じくしっかり撥水)
パンツとグローブも同様です。ただし、パンツのリンクベント部は止水ジッパーにはなっておらず、またフーディー、パンツ、グローブともに縫製部にシーム処理はされていないため、完全防水ではないのでご留意を。

また、雨粒などが長時間生地に触れる環境では経時的に徐々に濡れてきますので、L5にあたるアウターシェルやレインウェアを着用しましょう。

撮影:ⒸM.Ueba 2020
ちなみに美ヶ原でのハイクの際は、風は横殴りで雨粒はBB弾のように痛かったのですが、レインウェアを着用せずにフロウラップだけで歩き通してみました。

大雨ではなかったこともあるでしょうが、寒さを感じることはなく、またウェア内側まで濡れてくることもありませんでした。

まるで穿いていない?! 超軽快『フロウラップパンツ』

撮影:ⒸM.Ueba 2020
登山開始直後から感じていたのが、このパンツ、まるで穿いていないかのような感覚でまったく主張しない!ということ。

私は足上げが大きいため、ロングパンツが膝周りや太ももに引っ掛かるのが大の苦手なため短パン派なのですが、このパンツは完全にストレスフリー。これならロンパンでも積極的に穿きたくなりました。

パンツ単体着用だけではない重ね着への工夫

撮影:ⒸM.Ueba 2020(両側にサイドポケットあり。バックポケットはありません)
フロントジップ部分はシングル構造になっており、インナーパンツとして使用する際にもすっきり、嵩張りません。

また、ウエスト調整は生地本来が持つストレッチ性に加え、ウエスト内側に通っている紐でも絞れるためベルトが不要です。これはアウターパンツを着用する時に助かります。

これから雪山デビューしたいと思っている人向けのインナーパンツとしてもオススメです!

撮影:三宅 雅也
そして、太もも両サイドにベンチレーションがあり換気できます。これもリンクベントとなっており、アウターパンツとの併用でも機能します。

特筆すべきもうひとつのポイントは防風性です。

メーカーウェブサイトでは完全防風をうたってはいませんが、美ヶ原では身体を揺さぶられるほどの暴風雨の中、スキンメッシュボクサー(下着)の上にフロウラップパンツを穿いているだけでしたが、下半身が寒さを感じることはありませんでした。上半身も同様です。

スマホも使える防風・耐水『フロウラップグローブ』

撮影:ⒸM.Ueba 2020
メーカーサイトではスマホ対応の表記はありませんでしたが、着用したままスマホのタッチパネルを使えました!

撮影:ⒸM.Ueba 2020
また、ストレッチ性のあるカフが長めに設けられているためフィット感が良く、強風時のすきま風対策としてありがたいです。

それぞれの山でのレビューまとめ

撮影:三宅 雅也
①浅間隠山[1,757m]
快晴/弱風/11℃前後
 
このコンディションではフーディーはさすがに暑かったため行動中は脱ぐも、山頂停滞時は快適そのもの。停滞時、および万が一の天候急変に備え、ザックに忍ばせておけば大きな安心感。
 
②蝶ヶ岳[2,677m]
快晴/無風/-6℃~3℃程度
※蝶沢以降雪道
 
無風の樹林帯ではフーディーはやや暑かったのですが、低気温&高標高のコンディションではとても快適。リンクベントによる体温調整と顎まで覆えるフーディーは暑い・寒いへの快適化に大きく貢献。
 
③美ヶ原[2,034M]
曇りのち雨/強風~暴風/5℃前後
 
陽が射すことはなかったこの日、もっともフロウラップシリーズの恩恵を感じられたハイクに。特に強風~暴風+雨という環境下で安価品にはない大きな安心感を得られました。さすが!

天候変化・気温変化が大きいシーンにこそ最適!

撮影:三宅 雅也
試してみた結果、天候変化が目まぐるしいコンディションであるほどフロウラップの恩恵を感じることができました。やはり山専用に設計されたウェアには、特にリスクに備えたノウハウがしっかり詰まっています。

さらに、数値化できない着心地・肌触り、ストレスフリーな包まれ方に加え、見事な防水性・防風性を実現しており、着用時の安心感が半端なかったです。

要するにド快晴で風が穏やかな時=安全係数が高く、そこまでウェアに対しシビアになるシチュエーションではありませんが、晴れたり曇ったり、風もあって寒かったり暑かったり…なんて環境の変化がめまぐるしい時ほど大活躍するウェアなのです。

そしてそんなケースの方が日本の山岳では多いですよね。

撮影:三宅 雅也
やはりコンディションが厳しい時ほど安心感&頼れるウェアがほしいもの。

そこは低価格ウェアではどうしても得られない点になり、今回のフロウラップシリーズのように実際の山岳着用から仕上げられていった最新の高機能ウェアはまさに頼りどころ。

これからレイヤリングが活躍する時期を迎えますので、秋冬用に快適ウェアをお探しの方は、アウターとしても中間着としても役立つ「フロウラップ」をぜひ試してみてはいかがでしょうか。この着心地、きっとクセになると思いますよ!

それでは皆さま、どうぞ良いハイクを!

今回紹介したアイテムはこちら

ITEM
フロウラップフーディ(メンズ)
商品番号:FAM0902
重量:270g
素材:[表]20D ナイロンスムース、[裏]20D ポリエステルニット、[中間層]エバーブレス®エアメンブレン
原産国:日本
サイズ:S・M・L・XL

アクティビティ:登山/クライミング/バックカントリースキー/トレイルランニング/自転車
シーズン:オールシーズン

フロウラップフーディ(メンズ)
ITEM
フロウラップフーディ(レディース)
商品番号:FAW0902
重量:240g
素材:[表]20D ナイロンスムース、[裏]20D ポリエステルニット、[中間層]エバーブレス®エアメンブレン
原産国:日本
サイズ:S・M・L

アクティビティ:登山/クライミング/バックカントリースキー/トレイルランニング/自転車
シーズン:オールシーズン

フロウラップフーディ(レディース)
ITEM
フロウラップパンツ(メンズ)
商品番号:FAM0903
重量:220g
素材:[表]20D ナイロンスムース、[裏]20D ポリエステルニット、[中間層]エバーブレス®エアメンブレン
原産国:日本
サイズ:S・M・L・XL

アクティビティ:登山/クライミング/バックカントリースキー/トレイルランニング/自転車
シーズン:オールシーズン

フロウラップパンツ(メンズ)
ITEM
フロウラップパンツ(レディース)
商品番号:FAW0903
重量:200g
素材:[表]20D ナイロンスムース、[裏]20D ポリエステルニット、[中間層]エバーブレス®エアメンブレン
原産国:日本
サイズ:S・M・L

アクティビティ:登山/クライミング/バックカントリースキー/トレイルランニング/自転車
シーズン:オールシーズン

フロウラップパンツ(レディース)
ITEM
フロウラップグローブ(ユニセックス)
商品番号:FAU0501
重量:28g
素材:[表]20D ナイロンスムース、[裏]20D ポリエステルニット、[中間層]エバーブレス®エアメンブレン
原産国:日本
サイズ:S・M・L・XL

アクティビティ:登山/クライミング/バックカントリースキー/トレイルランニング/自転車
シーズン:オールシーズン

フロウラップグローブ(ユニセックス)


紹介されたアイテム

フロウラップフーディ(メンズ)
フロウラップフーディ(レディース)
フロウラップパンツ(メンズ)
フロウラップパンツ(レディース)
フロウラップグローブ(ユニセックス)
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三宅 雅也

長野県自然保護レンジャー、山岳ライター。 アルプスを中心に、トレランから厳冬期登山まで幅広く活動。 鷲羽-水晶-赤牛岳、槍ヶ岳~笠ヶ岳、荒川三山、中央アルプス主峰全山など、ロング日帰りのスピードハイクを得意とする。 また、キャンピングカーにて、登山と旅を掛け合わせた「外遊び人生漫遊術」を構築中。 スピードハイクの詳細はこちら! ウェブサイトはこちら

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