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北アルプスの名峰「穂高岳」に挑戦したい!

標高約3,000mの高所から岩稜帯が続き、荘厳な山容が北アルプスの中でも圧倒的な存在感を放ちます。登山者なら一度はあの稜線に立ってみたいと思うでしょう。
穂高岳は4つある?

その中で穂高の名を冠した山は4座あり、北から南に向かって「北穂高岳(3,106m)」「奥穂高岳(3,190m)」が一列に並び、そこから南東に「前穂高岳(3,090m)」、南西に「西穂高岳(2,909m)」がそびえています。
私でも行ける?ズバリ難易度はどれくらい?

まずは信州山のグレーディング表で、それぞれの難易度を確認しましょう。
どの山も高難易度!体力はもちろん、技術も必要
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山名 | 北穂高岳 (きたほかただけ) | 奥穂高岳 (おくほたかだけ) | 前穂高岳 (まえほたかだけ) | 西穂高岳 (にしほたかだけ) |
体力度 | 7 | 7 | 4 | 5 |
技術的難易度 | D | C | D | D |
体力度:
1〜10まであり、数字が大きくなるほど体力が必要。4と5は1泊以上が適当。7は1〜2泊が適当とされています。
技術的難易度:
A〜Eまであり、Eに向かうほど難易度が増す。Cは不安定なガレ場、ハシゴ、くさり場があり、Dはさらに手を使う急下降場所や転落・滑落の危険箇所が多くなります。
いずれも技術的難易度はトップレベル。一歩間違えば、滑落や転落などで一大事故が起きる可能性が高いことがわかります。三点支持のマスターはもちろん、高度感がある岩場での上り下りに慣れていることは必須。泊まり装備を背負って山道を歩く体力も必要です。
グレーディング表で難易度を確認したら、今まで登ったことがある山をチェックして、今の自分のレベルとそれぞれの穂高岳のレベルを比較しましょう。
▼詳しくは、信州 山のグレーディングをチェック
信州 山のグレーディング
ヘルメットは必須!必要な装備や服装をチェック

穂高岳を制覇する、最初の一歩はピストンから

そのため、初めて穂高岳へ向かうなら重い荷物をデポしてサブザックで山頂へアタックできるように、テント場や山小屋をベースにしたピストンがおすすめです。
ここでは4つの穂高岳それぞれの魅力と共に、最初の一歩にふさわしいおすすめのピストンコースを紹介していきます。
人気No. 1!日本第3位の高峰・奥穂高岳にチャレンジ

標高 | 山頂所在地 | 最高気温(6月‐8月) | 最低気温(6月‐8月) |
3,190m | 長野県松本市 | 13.8℃ | -0.8℃ |
穂高連峰の中で最難関!北穂高岳へアタック

標高 | 山頂所在地 | 最高気温(6月-8月) | 最低気温(6月-8月) |
3,106m | 長野県松本市 | 13.7℃ | -0.4℃ |
急な登りに挑戦!上高地に最も近いピーク・前穂高岳

標高 | 山頂所在地 | 最高気温(6月‐8月) | 最低気温(6月‐8月) |
3,090m | 長野県松本市、岐阜県高山市 | 12.8℃ | 2.9℃ |
実はロープウェイで一気にアクセス!最初に踏破したい西穂高岳

標高 | 山頂所在地 | 最高気温(6月‐8月) | 最低気温(6月‐8月) |
2,909m | 長野県松本市、岐阜県高山市 | 16.7℃ | 0.7℃ |
それでは穂高岳それぞれのおすすめピストンコースをご紹介。ここでは、YAMA HACKのグレーディング表を元にレベルを記載しています。
奥穂高岳(2泊3日):涸沢連泊で穂高岳の最高峰に挑む
最高点の標高: 3172 m
最低点の標高: 1511 m
累積標高(上り): 4900 m
累積標高(下り): -4900 m
- 【体力レベル】★★★☆☆
- 2泊3日
- コースタイム:17時間34分
- 【技術的難易度】★★★☆☆
- ・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
【2日目】涸沢ヒュッテ(88分)→ザイテングラート取付点(80分)→穂高岳山荘(50分)→奥穂高岳(30分)→穂高岳山荘(126分)→涸沢ヒュッテ(泊) 【3日目】涸沢ヒュッテ(70分)→本谷橋(50分)→横尾(190分)→上高地バスターミナル
コースのポイント
上高地バスターミナルから涸沢までの道のりでは、横尾までは平坦ですが、横尾大橋を過ぎた先から比較的緩やかな登りが続きます。そして涸沢ヒュッテからザイテングラート取付までの斜面のトラバースでは、上部からの落石に要注意。ザイテングラートに取り付くと穂高岳山荘までは岩場の急登が続きます。穂高岳山荘で荷物をデポしてから、小屋の目の前にあるくさりとハシゴを登り山頂へ向かいましょう。
▼奥穂高岳のコース詳細はこちらでチェック
北穂高岳(2泊3日):涸沢をベースに北峰へ
最高点の標高: 3054 m
最低点の標高: 1511 m
累積標高(上り): 4984 m
累積標高(下り): -4982 m
- 【体力レベル】★★★☆☆
- 2泊3日
- コースタイム:16時間35分
- 【技術的難易度】★★★☆☆
- ・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
【2日目】涸沢ヒュッテ(180分)→南峰(20分)→北峰(135分)→涸沢ヒュッテ(泊)
【3日目】涸沢ヒュッテ(70分)→本谷橋(50分)→横尾(190分)→上高地バスターミナル
コースのポイント
バスターミナルから涸沢までのコースは奥穂高岳と同じ。注意したいのは2日目。南稜取付までにスラブ状の岩場とガレ場が現われ、くさり場とハシゴを越えた先の南稜取付からは急斜面をジグザグに登ります。テント場にもなっている南稜テラスまでくれば山頂は間もなく。下りも慎重に行動しましょう。
▼北穂高岳のコース詳細はこちらでチェック
前穂高岳(1泊2日):上高地〜岳沢小屋から頂上ピストン
最高点の標高: 3028 m
最低点の標高: 1509 m
累積標高(上り): 2608 m
累積標高(下り): -2608 m
- 【体力レベル】★★★☆☆
- 1泊2日
- コースタイム:10時間20分
- 【技術的難易度】★★★☆☆
- ・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
【2日目】岳沢小屋(180分)→紀美子平(30分)→前穂高岳(20分)→紀美子平(120分)→岳沢小屋(50分)→天然クーラー(70分)→上高地バスターミナル
コースのポイント
上高地バスターミナルから歩き始めて、初日は岳沢小屋で1泊しましょう。コースタイムは2時間30分なので、ゆっくりと出発しても大丈夫。翌日はヘルメットを装着して、ハシゴとくさりが連続する急登の重太郎新道へ。約1,500mもの標高差がある急な登りには、覚悟して挑みましょう。紀美子平に到着したら荷物をデポして前穂高岳を往復します。
▼前穂高岳のコース詳細はこちらでチェック
西穂高岳(1泊2日):新穂高ロープウェイで一気にアクセス
最高点の標高: 2847 m
最低点の標高: 2113 m
累積標高(上り): 1118 m
累積標高(下り): -1118 m
- 【体力レベル】★★★☆☆
- 1泊2日
- コースタイム:7時間40分
- 【技術的難易度】★★★☆☆
- ・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
【2日目】西穂山荘(90分)→西穂独標(90分)→西穂高岳(70分)→西穂独標(60分)→西穂山荘(60分)→西穂高口
コースのポイント
新穂高ロープウェイを利用して一気に標高2,156mまで登ることができます。初日は樹林帯の中を歩き、1時間30分で西穂山荘に到着。翌日の西穂独標までのコースでは、比較的緩やかな登山道が続きますが、その先が険しい岩稜帯。要所要所に設置されたくさりを頼りに難所を通過しましょう。
▼西穂高岳のコース詳細はこちらでチェック
準備万全で憧れの穂高岳に挑戦しよう!

ただ、いずれのコースもくさりやハシゴが設置された岩稜が立ち塞がり、難易度はトップレベル。技術、体力、装備、どれが欠けても重大事故に繋がる可能性があります。3つの要素をしっかりと準備してから、憧れの穂高岳に挑戦しましょう。