目次
事前準備に欠かせない…?楽しさ倍増!机上登山のススメ
もうすぐ楽しみにしていた登山に出かける日。当日まで、天気予報をこまめにチェックしながら待つばかり…になっていませんか?登山に出かける前に忘れがちなのが、事前に地図を見て登山をシュミュレーションする「机上登山」。
今回は、楽しく安全に山を登るために欠かせない地図の活用方法について、見ていきましょう。
登山も予習が大切!安全の7割は事前準備にあり

▶地図読みの基本を学んだ様子はこちら
しかし、登山当日が楽しみで気持ちが先走り、「机上登山」を忘れているようですよ。
“Aさん”
さあ!地図の読み方も理解できたし、あとはバスの時刻確認やパッキングをするだけですね。
“鷲尾”
ちょっと待った!地形図を見ながらの「机上登山」、まだしていないよね?
“Aさん”
キジョウトザン…?
机上登山で“ルートの地形やリスク”を予習しよう

“鷲尾”
机上登山は、地形図を見ながら、歩くルートはどんな地形を通るのかなどをシミュレーションすることだよ。
“Aさん”
あらかじめ教科書を読んで、どんなことを習うのか確認する“予習”みたいなものですかね?
“鷲尾”
そう!登山前にルートを想像したり、天気予報を確認したりするんだ。
それによって、当日起こりうるリスクを予め想定しておくことが、安全登山のためにとても大切なんだ。
それによって、当日起こりうるリスクを予め想定しておくことが、安全登山のためにとても大切なんだ。
“Aさん”
当日の登山の前に、まずは机の上で登山をすべし…ということですね。
“鷲尾”
そう!登山の安全は7割が事前準備にかかっている、とも言われるくらいなんだよ。
“Aさん”
なるほど。地図は、事前準備にも活躍する訳ですね。
具体的にどんなことがわかるんですか?
具体的にどんなことがわかるんですか?
“鷲尾”
今からそれを見ていこう!
事前に想像できますか?地形によって変化するリスクの種類

“鷲尾”
ところで、登山に行くのはいつだっけ?
“Aさん”
再来週です。まだ天気がどうなるかもわからないんですよね。
“鷲尾”
直前3日間くらいの天気予報をチェックしておけば、急な体調不良などを除いて、地形図から大体のリスクは予測できるんだ。
今回は「ピーク」「尾根」「コル」「谷(沢)」「斜面」で想定されるリスクについてみていこう。
今回は「ピーク」「尾根」「コル」「谷(沢)」「斜面」で想定されるリスクについてみていこう。
ピークで想定されるリスク〜落雷・滑落・熱中症&低体温症〜

ピークで想定されるリスク
・落雷
・周囲への滑落
・長時間滞在する場合は、熱中症や低体温症
・周囲への滑落
・長時間滞在する場合は、熱中症や低体温症
“鷲尾”
周囲よりもひときわ高い場所にあるピークで、何といっても注意すべきなのが落雷。
槍ヶ岳では山頂直下の槍ヶ岳山荘に、雷警報器が設置されているほどなんだ。
槍ヶ岳では山頂直下の槍ヶ岳山荘に、雷警報器が設置されているほどなんだ。
“Aさん”
食らったら一発でアウトなやつですね…。
“鷲尾”
今はスマホサイトやアプリでも、雷レーダーを確認できる。
ピーク上なら電波状況も良いことが多いから、これらの情報を入手しやすいんだ。
発雷確率の高い夏場は、こまめにチェックしよう。
ピーク上なら電波状況も良いことが多いから、これらの情報を入手しやすいんだ。
発雷確率の高い夏場は、こまめにチェックしよう。
尾根で想定されるリスク〜滑落・落雷・熱中症&低体温症〜

尾根で想定されるリスク
・両側斜面への滑落
・落雷
・森林限界上の尾根では、熱中症と低体温症
・落雷
・森林限界上の尾根では、熱中症と低体温症
“鷲尾”
尾根…特に上の写真のような“ヤセ尾根”では、両側の斜面への転滑落にも要注意。
“Aさん”
こんなヤバい場所には、行かないですけどね。
“鷲尾”
転滑落の心配がない広い尾根でも、落雷のリスクは忘れないで。
森林限界より上の尾根では、登山者自身が落雷の直撃を受けることが多いんだ。
樹林帯の中の尾根でも、近くの樹木への落雷の側撃で感電死する事例も発生しているから、油断は禁物。
森林限界より上の尾根では、登山者自身が落雷の直撃を受けることが多いんだ。
樹林帯の中の尾根でも、近くの樹木への落雷の側撃で感電死する事例も発生しているから、油断は禁物。
“Aさん”
転滑落や落雷以外のリスクってあります?
“鷲尾”
これはピークにもあてはまるんだけど、特に高い樹木のない森林限界上では、登山者が陽ざらし・吹きさらしの状態になるんだ。
だから厳しい日差しによる熱中症や、風雨による低体温症にも注意が必要だね。
だから厳しい日差しによる熱中症や、風雨による低体温症にも注意が必要だね。
コルで想定されるリスク〜強風・滑落〜

コルで想定されるリスク
・強風による失くし物
・稜線が狭くなっていることによる滑落
・稜線が狭くなっていることによる滑落
“鷲尾”
コルでのリスクで真っ先に思い浮かぶのは強風。
稜線に対して横から風が吹いている時は、両側のピークに当たった風がコルに吹き込んで、いわゆる風の通り道になるんだ。
稜線に対して横から風が吹いている時は、両側のピークに当たった風がコルに吹き込んで、いわゆる風の通り道になるんだ。
“Aさん”
いったん下って登り返す、コルは休憩に適したポイントなんですけどね。
“鷲尾”
なので休憩中には、ザックから出したものやウェアを飛ばされないように注意が必要だね。
“Aさん”
風の影響がない時なら、比較的リスクは少ない場所ですね。
“鷲尾”
もうひとつ、ピークとコルが連続する稜線上では、コルの方が稜線自体の幅が細くなる。
谷(沢)の終点がコルだということは以前教えたと思うけれど、つまりコルは両側の谷からの浸食が進んでいるから、同じ稜線でも必然的に幅が狭くなるんだ。
その極端な例がキレットだけど、そこまで急峻なコルでなくても両側の斜面への滑落のリスクはある。
すれ違いや、用を足すために登山道を離れる時は注意してね。
谷(沢)の終点がコルだということは以前教えたと思うけれど、つまりコルは両側の谷からの浸食が進んでいるから、同じ稜線でも必然的に幅が狭くなるんだ。
その極端な例がキレットだけど、そこまで急峻なコルでなくても両側の斜面への滑落のリスクはある。
すれ違いや、用を足すために登山道を離れる時は注意してね。
谷で想定されるリスク〜水難事故・転倒・落下物〜

谷(沢)で想定されるリスク
・増水による水難事故
・湿った路面での転倒
・両側斜面からの落下物
・湿った路面での転倒
・両側斜面からの落下物
“鷲尾”
谷のリスクは何といっても水に由来するもの。
常に水が流れている沢沿いはもちろん、普段は水が枯れている谷でも、大雨の時は水の通り道になる可能性がある。
山の中の谷は小さくて幅が狭いから、短時間でみるみるうちに水かさが増すことが多いんだ。
山間の急な傾斜を流れる水の力は物凄いから、鉄砲水に巻き込まれたり誤って沢に転落しての水難事故には注意が必要だね。
常に水が流れている沢沿いはもちろん、普段は水が枯れている谷でも、大雨の時は水の通り道になる可能性がある。
山の中の谷は小さくて幅が狭いから、短時間でみるみるうちに水かさが増すことが多いんだ。
山間の急な傾斜を流れる水の力は物凄いから、鉄砲水に巻き込まれたり誤って沢に転落しての水難事故には注意が必要だね。
“Aさん”
ルートが複数あるなら、大雨の時は谷を通るルートは避けた方が無難ですね。
“鷲尾”
そうだね。
それに晴れている時でも、尾根から続く斜面に挟まれている谷はただでさえ日当たりが悪いから、足元が湿っていることもある。
滑って転倒したり、両側の斜面からの落下物(落石など)には注意して通過してね。
それに晴れている時でも、尾根から続く斜面に挟まれている谷はただでさえ日当たりが悪いから、足元が湿っていることもある。
滑って転倒したり、両側の斜面からの落下物(落石など)には注意して通過してね。
斜面で想定されるリスク〜落下物・滑落・登山道の崩壊〜

斜面で想定されるリスク
・斜面上部からの落下物
・斜面下部への滑落
・大雨の後は、谷筋との出合での登山道の崩壊
・斜面下部への滑落
・大雨の後は、谷筋との出合での登山道の崩壊
“鷲尾”
斜面でのリスクは、斜面上部からの落下物と斜面下部への滑落。
ガレ場の斜面で、上を歩いていた登山者が起こした落石の直撃を受けて、下を歩いていた怪我をすることはよくあるんだ。
ガレ場の斜面で、上を歩いていた登山者が起こした落石の直撃を受けて、下を歩いていた怪我をすることはよくあるんだ。
“Aさん”
自分も嫌ですが、他人に怪我をさせてしまうのはもっと嫌ですよね。
ガレ場や急斜面では、歩き方にも要注意ですね。
ガレ場や急斜面では、歩き方にも要注意ですね。
“鷲尾”
斜面の中腹を水平に横切るトラバースの登山道は、上部からの落下物と下部への滑落両方のリスクが常にあるから、より一層注意が必要だね。
“Aさん”
アップダウンがなくて体力的には負担が少ない分、トラバースの登山道では油断してしまいがちですよね。
これも覚えておかなくちゃ。
これも覚えておかなくちゃ。
“鷲尾”
トラバースにも種類があって
①人工的な法面状の平坦な斜面のトラバース
登山道は直線状になっている
②斜面にある尾根をまたぐトラバース
登山道は高い方(山側)が内側のカーブを描く
③斜面にある谷をまたぐトラバース
登山道は低い方(谷側)が内側のカーブを描く
“鷲尾”
このうち③のケースの場合は、大雨の時に水の通り道になって、上の写真のように登山道がダメージを受けることもある。
“Aさん”
大雨の後にこういう場所を通る場合は、SNSの最新の登山記録とか、しっかり情報収集が必要ですね。
地形・天候によって変わるリスクに対応するために

奥多摩・川乗山を例にポイントごとのリスクを挙げてみよう!

“鷲尾”
奥多摩にある川乗山(川苔山)は地形の変化が豊かな山なんだけど、登山道の地形を可視化するとこうなる。
“Aさん”
何パターンものルート選びができそうな山ですね。
大雨の時は、谷沿いのルートを避けよう

“鷲尾”
例えば大雨の時なら、沢沿いのルートである(A)からの入山は避けた方がいいよね。
特に(B)~(E)のポイントでは川を渡るから、増水していたらとても危険。
特に(B)~(E)のポイントでは川を渡るから、増水していたらとても危険。
“Aさん”
雨の時は(F)のトラバースルートからの入山が比較的安心ですか?
“鷲尾”
そうだね、ただし斜面上部からの落下物や倒木には注意が必要。
それから(F)のルートの中でも、(G)や(H)はいわゆる谷をまたぐトラバースになるから、水の通り道になって登山道がダメージを受けている可能性は忘れてはいけないよ。
それから(F)のルートの中でも、(G)や(H)はいわゆる谷をまたぐトラバースになるから、水の通り道になって登山道がダメージを受けている可能性は忘れてはいけないよ。
天候に関わらず、急斜面の通過には要注意

“Aさん”
逆に天気が良くて暑い日なら、(A)の沢沿いルートは気持ち良さそうですね。
“鷲尾”
さっきの(B)~(E)のポイントで川に落ちないよう注意すればね。

“鷲尾”
それから百尋ノ滝前後の、急斜面の真下を通る(I)の区間では斜面上部からの落下物、急斜面をトラバースする(J)の区間では斜面下部への滑落に注意が必要。
こうしてルート上の危険箇所を予め把握しておこうね。
こうしてルート上の危険箇所を予め把握しておこうね。
“Aさん”
天候や地形によって選ぶべきルートや危険箇所がわかるんですね。
発雷時は、尾根上のルートを避けよう

“鷲尾”
例えば川乗山の山頂で雷雲が近づいていることに気づいたら、どのルートで下山する?

“Aさん”
うーん…まず(K)から(L)に続く稜線は幾つもピークを超えないといけないから危険ですよね。
“鷲尾”
その通り!もし雷だけで大雨の心配が少ない状況であれば、百尋ノ滝経由で、(A)の川乗谷ルートに下山するのはアリ。
ただし尾根上に滞在する距離が長い(M)のピーク経由の左側のルートよりも、尾根は(N)の短い区間だけで(0)の谷間に退避できる右側のルートが望ましいね。
ただし尾根上に滞在する距離が長い(M)のピーク経由の左側のルートよりも、尾根は(N)の短い区間だけで(0)の谷間に退避できる右側のルートが望ましいね。
雷雨が長時間続きそうなら、谷沿い・尾根上のルートを避けよう

“Aさん”
大雨が長時間続きそうであれば、どうでしょうね。
“鷲尾”
そうだね…(P)のトラバース経由で(F)のトラバースルートが一番リスクは少ないかな。
ただしここも(Q)の尾根上を通る箇所があるし、トラバースでも尾根に近い斜面だと尾根上への落雷の側撃を受ける可能性はあるから、注意は必要だね。
それとさっきも話した(G)や(H)の谷をまたぐ箇所も要注意。
ただしここも(Q)の尾根上を通る箇所があるし、トラバースでも尾根に近い斜面だと尾根上への落雷の側撃を受ける可能性はあるから、注意は必要だね。
それとさっきも話した(G)や(H)の谷をまたぐ箇所も要注意。
分岐ではこまめに地図を見よう

“Aさん”
しかし、分岐だらけの山ですねえ。
“鷲尾”
登山当日、実際に分岐に差しかかったら、必ず地図を見て確認が必要だね。

“鷲尾”
ルート上の地形を予め把握しておくことは、仮に分岐でミスをした際のリカバリーにも重要なんだ。
例えば北側の(R)の尾根から(S)のピークを経由して山頂をめざすつもりで、もしトラバース道に入ってしまったら(T)の区間に間違って進んでしまったのかな?と素早く気付くこともできる。
例えば北側の(R)の尾根から(S)のピークを経由して山頂をめざすつもりで、もしトラバース道に入ってしまったら(T)の区間に間違って進んでしまったのかな?と素早く気付くこともできる。
“Aさん”
早めに間違いに気付くって、大事ですよね!
“鷲尾”
「間違う」と「迷う」、言葉は似ていても全然違うんだよ。
Aさんの言う通り、間違いに早く気付くことが、道迷いの防止にいちばん重要なことなんだ。
Aさんの言う通り、間違いに早く気付くことが、道迷いの防止にいちばん重要なことなんだ。
机上登山で歩くルートを“言葉”で表現してみよう!

自分自身も初めての山であれば、SNSなどでの登山記録を参考にすることもあるでしょう。けれども全く同じルートが見つからなかったり、登山記録を投稿した人の主観が入っていたりすることもしばしば。
地形図という平面から山を立体的に想像し、ルートの全容をいかに詳細な表現で説明できるか。Aさんと一緒に、チャレンジしてみましょう。
目標は歩くルートをすべて“言葉で説明”できるようになること

“鷲尾”
今回Aさんが登山に連れて行く人は初心者だよね。
例えば前日に「どんなところを、どれくらい歩くの?」って質問されたら、どう答えるかな?
例えば前日に「どんなところを、どれくらい歩くの?」って質問されたら、どう答えるかな?
“Aさん”
むしろ登山地図を見ながら、登りは3時間で下りは2時間とか。
SNSの投稿を見ながら、このあたりからこんな景色が見られるとか。
SNSの投稿を見ながら、このあたりからこんな景色が見られるとか。
“鷲尾”
確かにそれで大まかな概要はわかるね。
でも“どんなところ”を厳密に言うと「どのような地形を、どれくらいのアップダウンを経て歩くか」と言うことになるんだ。
これを“言葉”で表現することは、Aさんにとってもすごく大切だよ。
でも“どんなところ”を厳密に言うと「どのような地形を、どれくらいのアップダウンを経て歩くか」と言うことになるんだ。
これを“言葉”で表現することは、Aさんにとってもすごく大切だよ。
“Aさん”
そこまで説明できるかなあ。
“鷲尾”
では、一緒にやってみよう!
外秩父・官ノ倉山を例にルートを言葉にしてみよう!

“鷲尾”
では、このルートをなるべく詳しく言葉にしてみよう。
スタート地点は沢沿い、ゴール地点には池があるよね。その間の登山道はどんな地形を通っているか、言葉で表現してみよう。
スタート地点は沢沿い、ゴール地点には池があるよね。その間の登山道はどんな地形を通っているか、言葉で表現してみよう。
“Aさん”
沢沿いを登る。
稜線にはピークがふたつある。
沢沿いを下る…そんな感じですかね。
稜線にはピークがふたつある。
沢沿いを下る…そんな感じですかね。
“鷲尾”
うーん、少し大雑把すぎかな。
もう少し、細かく言葉にしてみよう。今日はイメージしやすいように、現地の写真も用意したよ。
もう少し、細かく言葉にしてみよう。今日はイメージしやすいように、現地の写真も用意したよ。

“鷲尾”
まずは登山口。2つの尾根に挟まれた、谷沿いに進むことがわかる。
実際の写真でも登山道の両側に尾根から続く斜面があるよね。
実際の写真でも登山道の両側に尾根から続く斜面があるよね。

“鷲尾”
赤丸のポイントから矢印方向の尾根を見上げたところ。
前景の木々で少し分かりにくいけど、低くなっているのがわかるかな。
これはつまり、コル。
前景の木々で少し分かりにくいけど、低くなっているのがわかるかな。
これはつまり、コル。

“鷲尾”
こちらの方が分かりやすいかな。これも尾根上で低くなっているから、コルだよね。
赤丸のポイントから矢印方向に反対側の尾根を見上げたところだよ。
赤丸のポイントから矢印方向に反対側の尾根を見上げたところだよ。

“鷲尾”
このあたりで谷沿いの登山道はおしまい。

“鷲尾”
この区間は、尾根と谷の間の斜面をトラバースしながら進む。 写真だと登山道の左側が高く、右側が低くなっているよね。

“鷲尾”
そして、尾根に出る。 登山道の両側が低くなっているのがわかるかな。

“鷲尾”
もう少し登ると、地形図でも尾根を描く等高線が鋭くなっている。
写真で見ても、さらに明瞭な幅の狭い尾根上を進んでいるね。
写真で見ても、さらに明瞭な幅の狭い尾根上を進んでいるね。

“鷲尾”
ここが最初のピーク・石尊山の山頂。

“鷲尾”
いったん、コルに向かって下っていく。 写真でも下り坂になっているのがわかるね。

“鷲尾”
下りきったところがコル。 ここから官ノ倉山へ登り返す。 写真奥に向かって上り坂になっているのがわかるかな?

“鷲尾”
官ノ倉山の山頂に到着。 背後に見えるピークは、さっき登った石尊山だね。

“鷲尾”
官ノ倉山から、次のコルへ向けて下っていく。

“鷲尾”
このコルで、稜線とはお別れ。 北側の斜面へと下っていく。

“鷲尾”
この区間は、斜面をジグザグに下っているね。

“鷲尾”
これは赤丸のポイントから、官ノ倉山の北側に伸びる尾根を見上げたところ。

“鷲尾”
ジグザグ道が終わると、再び谷沿いの登山道になる。 写真だと藪に隠れて見にくいけど、青矢印のところに沢が流れているんだ。

“鷲尾”
谷沿いをさらに下ると、傾斜も緩やかになってきたね。

“鷲尾”
ため池から、来た道を振り返って見る。 両側の尾根に挟まれた谷沿いを下って来たのが、よくわかるね。 奥にそびえているのが、官ノ倉山。
地形図から言葉にした情報を、実際の登山で確かめてみよう!

“Aさん”
ここまで事前にわかっちゃうと、実際に行った時につまらなくなりません?
“鷲尾”
今回は写真も見せながら説明したからそうかも知れないけど、実際には地形図だけ。
わかるのはルート上の地形と地図記号からわかる大まかな植生やランドマークくらいなんだよ。
わかるのはルート上の地形と地図記号からわかる大まかな植生やランドマークくらいなんだよ。

“鷲尾”
例えば上の写真の鎖場は地図上だと赤丸の場所にあるんだけど、地形図では急な尾根というくらいしかわからない。
“Aさん”
なるほど。言葉にしたルートを実際に確かめに行くって感じですかね。
“鷲尾”
そう!実際に歩いてみて、事前に言葉にしたことが正しければ?
“Aさん”
自分の地図読みのスキルも、なかなかってことか!
“鷲尾”
その通り!それに足元の草花、野鳥の鳴き声、休憩中に食べるもの、地形図には収まらない遠くまでの展望…実際に歩いてみるからこその楽しい体験は、まだまだたくさんあるからね。
机上登山でより安全で楽しい登山を!

机上登山ができるようになると、登山に行けない時でも地形図を見ているだけで登山気分を味わうこともでき、これは“等高線フェチ”である筆者の密かな楽しみ。
さあ、次回からはいよいよコンパスワークを登山のフィールドで実践するための知識をお伝えしていきます。
まとめ
▼机上登山しながら歩くルートを“言葉”で表現することで、登山道が通る地形を把握できる
▼地形によって異なるリスクを理解することで、天候や場所に応じた危険性を予知できる
▼ルートが複数ある山でも、どんな状況でどんなリスクがあるかを考えると柔軟なルート変更ができる
▼地形によって異なるリスクを理解することで、天候や場所に応じた危険性を予知できる
▼ルートが複数ある山でも、どんな状況でどんなリスクがあるかを考えると柔軟なルート変更ができる