限りなく理想のテントに近い『ソーラーフォトン2』

新製品でもないのにこのテントを紹介したいと思ったのは、4年も経っているのにこのテントを越えるスペックのテントがほとんど登場していないからです。
そして今回実際に使用してみて、この『ソーラーフォトン2』があまりにもよく、私の理想に限りなく近いテントに思えました。もちろん「理想のテント」は人それぞれですが…。
そこでまず私がテント選びで重視する点と、『ソーラーフォトン2』との共通点を交えながら、テントの魅力について紹介していきたいと思います。
レビュー当日は、夜半過ぎから大荒れ。テント場を利用した赤岳鉱泉のテラスの屋根が壊れる程の暴風に加えて、一時間ほど派手な豪雨にも見舞われた経験を元に、紹介していきます。
1:1kg以下の軽さ

軽いテントは必然的に薄い素材が使われ、その分収納サイズもコンパクトに。重量1kgを切るスペックを実現しようとすると、現状では極薄素材はマストとなります。
しかし薄い素材は強度に課題があり、特にフロアの素材が薄すぎるのは心配です。

この素材こそが、超軽量化を実現するキモであり、他のテントメーカーが『ソーラーフォトン2』のスペックを越えられない理由ともいえます。
発売から4年が経過しても問題なく使われている事実は、軽さと強度のバランスのよさを証明しているといえるでしょう。
2:最低限、着替えをラクにできる高さ、広さ

身体を酷使した後、テント内で縮こまって着替えをしながら裏腿や腹筋が攣る苦しみ…そんなのは味わいたくはありません。そのため、「広くて軽いは山では贅沢」という常識に反旗を翻す、異端テントを探しているのです。
『ソーラーフォトン2』は、そもそも2人用。室内高は最大100㎝、最大幅は130㎝。1人使用では贅沢な空間が広がります。
2人で使用する場合は、男性2人だとやや窮屈…というか他の山岳テント同様、カップルなら問題ない範囲の広さです。

いや、これも贅沢なことはわかっています。でも幅のしっかりあるテントの方が、絶対にリラックスして過ごせるので睡眠の質もアップします。
3:設営のラクさを備えた自立型&半自立型

利点は自立型テントの定番のX字ポールより、軽く、設営、撤収が手早く行えること。特に『ソーラーフォトン2』はY字型ポール1本のみで、インナーテントはフックを掛ける吊り下げ式なので、本当に手間要らず。X字ポールと比較して耐風性が劣ると思われていますが、今回強い横風をサイドから受けたましたが、ポールはしなりながら風を上手に受け流してくれました。

自立型&半自立型で重量1kg以下であれば、移動時は非自立型テントと同等の軽さ。反面、テント使用時は比べものにならない広い空間を提供してくれます。
4:軽ければ…やっぱりダブルウォールの方がいい

2枚のテント=ダブルウォールテントでも、生地やポールの軽量化、デザインによって1枚のテント並、いやそれ以上に軽くなってきています。そんなダブルウォールの超軽量テントの筆頭が『ソーラーフォトン2』といえます。

他にも「イイね!」と感じた特長4点
ここまでのチェックで、ほぼ私の理想のテントと思えた『ソーラーフォトン2』。使っていた中で、「こういうのもイイね!大切だよね!」と感じた部分もたくさんありました。
1:最小限のメッシュパネル

また春、秋の高山は気温が氷点下になることもあるのでメッシュパネルが多いと、寒さにやられることも多くなります。だから積雪期以外の3シーズン、2000m以上の高山を中心にテント泊ハイクをするなら、メッシュパネルは少なめの方が快適です。

結露もしにくい構造&通気性のよい素材で、寝袋が濡れて凍えたり、朝起きてバックパックや寝袋がびしょ濡れでテンションが落ちてしまう・・・なんて心配もなさそうです。
2:低く張れるレインフライ

実際に、今回のテスト時に土砂降りの強雨、暴風に荒れた豪雨を受けましたが、テント内への水の浸入は皆無でした。地面に張り付くようなレインフライは、超軽量テントにありがちな短めではなく、風雨に対する耐性はかなり強いそうです。
また見た目も、スポーツカーや戦闘機のようでカッコ良い!
3:レインフライ、インナーテント共に、超速乾

正確に時間を計ったり、他のテントと比べた訳ではありませんが、これまで使ってきたテントと比較すると、感覚的に圧倒的な早さで乾いて、ちょっとびっくりしました。
これは水分を吸い込みにくいということでもあるので、雨に濡れた際の重量増も最小限でしょう。
4:しなやかで環境負荷の低いポールを採用

軽さと強度に長けたポールで、GREENは”製造段階での環境負荷を抑えたこと”を意味するものです。自然のなかで遊ぶ私たちは、道具選びにおいて、率先して地球環境へのダメージが少ないものを選ぶ責任があると思います。
テラノヴァ社の、ただ超軽量なものをつくっている訳ではない「モノづくりの姿勢」、素晴らしいですね。
使って思った、あったらいいなぁ~改善希望3点
ココまで、ベタ誉めな『ソーラーフォトン2』。しかし完璧ではありません。コレがあれば、こうならなぁと感じた部分もあるので、報告しておきましょう。
1:テント内部に吊り下げフックorループ希望

2:ポールの収納袋に、もう少し余裕がほしい

ただし、このテントポールの収納袋サイズがやや小さいのが難点。ポールを押し込み、ストラップを強く引けば収まりますが、もう少し大きいサイズだと収納が楽になると感じました。。
3:耐久性のあるペグも標準装備してほしい

しかし、今回のテストでは強風予報が出ていたので、手持ちのDAC社製のV字ペグを追加。標準装備のチタンペグはサブで使いました。
もしかしたらチタンペグだけでも問題ないのかもしれませんが、この細さは不安を拭えません。できればジェラルミン製のVペグも4本くらい標準装備してくれると、実際的だと思うのですが、どうでしょう?
『ソーラーフォトン2』を選ぶ理由

ソーラーフォトン2
サイズ:長辺290×短辺最大130×高さ最大130㎝
収納サイズ:Φ15×40㎝
重量:最大849g
レインフライ:Watershed R/S 7D Si 1700mm
フロアシート:Watershed R/S Si2 3000mm
超軽量テントというと、快適性を犠牲にして軽さを優先させるイメージが強いと思います。でも、山というある意味で過酷な環境で寝るスペースは、身体と気持ちが安らぐことも重要。
その点で『ソーラーフォトン2』は、軽さと強度、そして居住性のバランスがとてもよいテントだと感じました。
テント泊登山に使える半自立型、ダブルウォール、3シーズンテントの現在の最高峰は、『ソーラーフォトン2』で間違いないと断言します。そして私のほぼ理想のテントです。
それでは皆さん、よい山旅を!
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