限りなく理想のテントに近い『ソーラーフォトン2』
2017年に発売し、5年が経っている『テラノヴァ ソーラーフォトン2』。
新製品でもないのにこのテントを紹介したいと思ったのは、5年も経っているのにこのテントを越えるスペックのテントがほとんど登場していないからです。
そして今回実際に使用してみて、この『ソーラーフォトン2』があまりにもよく、私の理想に限りなく近いテントに思えました。もちろん「理想のテント」は人それぞれですが…。
そこでまず私がテント選びで重視する点と、『ソーラーフォトン2』との共通点を交えながら、テントの魅力について紹介していきたいと思います。
レビュー当日は、夜半過ぎから大荒れ。テント場を利用した赤岳鉱泉のテラスの屋根が壊れる程の暴風に加えて、一時間ほど派手な豪雨にも見舞われた経験を元に、紹介していきます。
1:1kg以下の軽さ
ソーラーフォトン2の最大重量「849g」は、多くのソロ用山岳テントの約半分の重さ。ファストパッキングの足取りをサポートする軽さです。
軽いテントは必然的に薄い素材が使われ、その分収納サイズもコンパクトに。重量1kgを切るスペックを実現しようとすると、現状では極薄素材はマストとなります。
しかし薄い素材は強度に課題があり、特にフロアの素材が薄すぎるのは心配です。
ソーラーフォトン2もその課題をクリアすべく、独自開発した素材を投入。レインフライの素材は7Dと極薄ながら、引き裂き強度6kg。
この素材こそが、超軽量化を実現するキモであり、他のテントメーカーが『ソーラーフォトン2』のスペックを越えられない理由ともいえます。
発売から5年が経過しても問題なく使われている事実は、軽さと強度のバランスのよさを証明しているといえるでしょう。
2:最低限、着替えをラクにできる高さ、広さ
私は、テント場に着いたら最低限シャツを着替えます。夏場であれば、汗だくになるので下着やパンツも着替えます。だから、テント内で着替えをラクに行える高さは必須なのです。
身体を酷使した後、テント内で縮こまって着替えをしながら裏腿や腹筋が攣る苦しみ…そんなのは味わいたくはありません。そのため、「広くて軽いは山では贅沢」という常識に反旗を翻す、異端テントを探しているのです。
『ソーラーフォトン2』は、そもそも2人用。室内高は最大100㎝、最大幅は130㎝。1人使用では贅沢な空間が広がります。
2人で使用する場合は、男性2人だとやや窮屈…というか他の山岳テント同様、カップルなら問題ない範囲の広さです。
着替えるスペースの広さに加えて、バックパックを脇に置ける幅があるのも理想です。幅の広くないテントは、足元にバックパックを置く仕様になっていますが、狭いのに足元にバックパックを移動させるのは面倒なこと、この上ありません。
いや、これも贅沢なことはわかっています。でも幅のしっかりあるテントの方が、絶対にリラックスして過ごせるので睡眠の質もアップします。
3:設営のラクさを備えた自立型&半自立型
半自立型テントの多くは、「Y字型」のポールが採用されています。半自立なのでインナーテントは立ち上がりますが、ペグダウンしないとしっかりと形は出ません。しかし山ではペグダウンは必須なので、この点は問題ありません。
利点は自立型テントの定番のX字ポールより、軽く、設営、撤収が手早く行えること。特に『ソーラーフォトン2』はY字型ポール1本のみで、インナーテントはフックを掛ける吊り下げ式なので、本当に手間要らず。X字ポールと比較して耐風性が劣ると思われていますが、今回強い横風をサイドから受けたましたが、ポールはしなりながら風を上手に受け流してくれました。
私は近年、軽さを重視してトレッキングポールで設営する非自立型テントばかりを使ってきましたが、久しぶりに自立型テントを使ってみたところ、その空間の広さと設営のラクさに感動!
自立型&半自立型で重量1kg以下であれば、移動時は非自立型テントと同等の軽さ。反面、テント使用時は比べものにならない広い空間を提供してくれます。
4:軽ければ…やっぱりダブルウォールの方がいい
壁が1枚か2枚か、当たり前ですが1枚のテント方が軽いです。しかし近年はその当たり前が通用しなくなってきています。
2枚のテント=ダブルウォールテントでも、生地やポールの軽量化、デザインによって1枚のテント並、いやそれ以上に軽くなってきています。そんなダブルウォールの超軽量テントの筆頭が『ソーラーフォトン2』といえます。
壁が2枚なので雨に強く、テント内部が結露しにくい、さらにレインフライを被せることで出入り口に前室と呼ぶ荷物を置ける空間をつくれ、雨天時にはそこがカバーとなってテント内に雨が吹き込みにくい。そんなダブルウォールテントの良さを持ちながら重量は1kg以下は、本当に素晴らしいテントです。