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登山で使うならどれがいい? <ビッグアグネス>の軽量テント3モデルをレビュー(3ページ目)

③コッパースプール HV UL2|キャノピを作れるユニークなテント

コッパースプール

撮影:筆者

フライクリーク、タイガーウォールは3点ポールでしたが、「コッパースプール HV UL2」はインナーテントの空間が大きくなる4点ポール構造。今回紹介するテントの中では、一番広さを感じます。

このテントのユニークなところは、トレッキングポールを使ってキャノピ(ひさし)を作れるところ。山岳テントとしては珍しい仕様です。インナーテントは上半分がメッシュなので、夏場も快適に過ごせます。

携行性をチェック

コッパースプール

撮影:筆者

前出の2テントと違い、ポールもテントと同じ袋に収納します。明らかに長く、「バックパックに入る?」と思いましたが、ポールを抜いて別にしてしまえば大丈夫。

コッパースプール

撮影:筆者

幕体サイズが大きいので、収納サイズも大きめ。バックパックの大きさにもよりますが、長いのでこんな風にクニャッとなってしまいます。別の袋に入れたり、コンプレッションバッグを用意してもいいかもしれませんね。

設営手順をチェック

撮影:筆者
設営手順は以下の通り。
1.インナーテントを広げてペグで仮止め(自立するので風がなければ必須ではない)

2.ポールを組み立てる
3.ポールをインナーテントのベルトへ差し込み立てる(4か所)
4.インナーテントを横ポールを含めポールに吊り下げる
5.フライをかけてフロアのバックルを接続
6.フライ各コーナーや、ガイラインをペグダウンしテンションを掛ける
前出2テントとほとんど同じですが、4点ポール構造なので、差し込みとフックを掛ける箇所が1本分多くなり、その分作業が増えます。

 

コッパースプール
撮影:筆者

タイガーウォールと同じように、テントスペース確保のための横ポールがあるので、その接続作業も必要です。

居住性は?

■窮屈さを感じさせないテント内部
コッパースフール

撮影:筆者

前出のフライクリークやタイガーウォール同様、足元に向かい少し狭くなる形状のフロア。しかし、4本ポールでウォールが立ち上がっているため、格段に広く感じます。

これなら、2人使用でもそれほど窮屈さは感じないでしょう。インナーテント自体は白なので、室内は落ち着いた印象です。

■頭上の空間も広々、余裕のスペース
コッパースプール

撮影:筆者

画像で見ても、前出の2テントとは違う空間の広さを感じてもらえるでしょう。ドアは大きく開くので、出入りも楽です。

■余裕の前室が2か所
コッパースプール

撮影:筆者

タイガーウォール同様、長辺側2ドアで広い前室を2か所とれます。余裕がある室内と前室をうまく使えば、のびのびと過ごせそうです。

■上部メッシュのインナーテントで暑さや蒸れを低減
コッパースプール

撮影:筆者

インナーテントは上半分がメッシュ仕様。しかも、フライシート上部には開閉できるベンチレーションが付いています。夏の暑さや蒸れがかなり低減され、テント内の結露も抑えられます。ただし、メッシュを閉じることはできないので、気温が低い場所や時期には向きません。

■両側のフライを跳ね上げ「キャノピー(ひさし)」ができる
キャノピー

撮影:筆者

このテントの外見で、一番ユニークなところがココ。手持ちのトレッキングポールを利用し、両側の出入口を簡単に「キャノピー(ひさし)」にすることができます。山岳テントでこのようにできるのは珍しいですよね。コンパクトチェアに座れば、のんびりと優雅な時間を過ごせそうです。

ちょっと気になったところ

■やっぱり薄いフロアと細いコード
コッパースプール

撮影:筆者

コッパースプール

撮影:筆者

タイガーウォールほどではありませんが、透けて見えるぐらい薄いフロア。フットプリントを敷かないと不安です。コード類も同じく細いので、耐久性も不安。3つのテントはいずれも、あまりハードな使い方には向かないようです。

どんなシーンや人に最適か

コッパースプール

撮影:筆者
インナーテントの半分がメッシュということで、冷え込む環境での使用は厳しく、必然的に夏のキャンプ、しかも高所以外での使用に限定されそうです。とはいえ、これだけの広さと機能で1kg台というのは大きな魅力。

 

◎林間や森などの穏やかな幕営地の夏のキャンプ、海辺にも
◎2人使用前提の人、テント生活重視で1人で広々とくつろぎたい人

 

※現行モデルは「コッパースプール HV UL2 オレンジ

3つのテントを使ってみて・・・

3つのテントのスペック比較(フライクリークHV UL2 EX|タイガーウォール UL2 EX|コッパースプール HV UL2)

撮影:筆者(①フライクリークHV UL2 EX、②タイガーウォール UL2 EX、③コッパースプール HV UL2

3つのテントのいいところ・気になるところを、一気に紹介しました。共通するのは、「軽量性」と「居住性」の高さ

今回は試し張りのため、山岳環境での使用感までは確認できませんでしたが、耐久性にはやや不安が残るところ。特にフロア素材は、筆者が知る限り、他メーカーの山岳テントと比べて薄く、また、各コード類もかなり細いと感じました。軽量化するためではありますが、ハードなシーンでの使用は想定していないのでしょう。

ただ、一番重いコッパースプールでさえ、1.47kg!これは何にも代え難いメリット。したがって、使用するシーンとしては、長期縦走や山稜のテント場のような過酷な環境が予想されるシーンではなく、林間の穏やかなキャンプ場を利用してピークハントするような登山に向くテントと言えそうです。

3モデルの仕様比較表

今回紹介した3つのテントの仕様をまとめました(クリックすると大きく表示されます)。

3つのテントのスペック比較(フライクリークHV UL2 EX|タイガーウォール UL2 EX|コッパースプール HV UL2)

作成:筆者(2020年10月時点)

軽量性と居住性にこだわるなら<ビッグアグネス>

ロゴ ビッグアグネステント比較レビュー(フライクリークHV UL2 EX|タイガーウォール UL2 EX|コッパースプール HV UL2)

北米で高いシェアを誇る<ビッグアグネス>は、日本の山岳でもたびたび見かけるようになり、確実にユーザーを増やしているよう。なんといっても軽量性は、他メーカーのテントとは一線を画しています。

今回試してみた3モデルとも、軽さと設営・撤収の手軽さ、居住性には感心しました。「とにかく軽い方がいい、でも居住性にもこだわりたい!」そんな人にぜひおすすめしたいテントです。

さらに進化した2021年現行モデルはこちら

フライクリーク HV UL2EX ソリューションダイ(2021年秋先行発売予定)タイガーウォールUL2 ソリューションダイコッパースプール HV UL2 オレンジ

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