③コッパースプール HV UL2|キャノピを作れるユニークなテント
フライクリーク、タイガーウォールは3点ポールでしたが、「コッパースプール HV UL2」はインナーテントの空間が大きくなる4点ポール構造。今回紹介するテントの中では、一番広さを感じます。
このテントのユニークなところは、トレッキングポールを使ってキャノピ(ひさし)を作れるところ。山岳テントとしては珍しい仕様です。インナーテントは上半分がメッシュなので、夏場も快適に過ごせます。
携行性をチェック
前出の2テントと違い、ポールもテントと同じ袋に収納します。明らかに長く、「バックパックに入る?」と思いましたが、ポールを抜いて別にしてしまえば大丈夫。
幕体サイズが大きいので、収納サイズも大きめ。バックパックの大きさにもよりますが、長いのでこんな風にクニャッとなってしまいます。別の袋に入れたり、コンプレッションバッグを用意してもいいかもしれませんね。
設営手順をチェック

タイガーウォールと同じように、テントスペース確保のための横ポールがあるので、その接続作業も必要です。
居住性は?
■窮屈さを感じさせないテント内部
前出のフライクリークやタイガーウォール同様、足元に向かい少し狭くなる形状のフロア。しかし、4本ポールでウォールが立ち上がっているため、格段に広く感じます。
これなら、2人使用でもそれほど窮屈さは感じないでしょう。インナーテント自体は白なので、室内は落ち着いた印象です。
■頭上の空間も広々、余裕のスペース
画像で見ても、前出の2テントとは違う空間の広さを感じてもらえるでしょう。ドアは大きく開くので、出入りも楽です。
■余裕の前室が2か所
タイガーウォール同様、長辺側2ドアで広い前室を2か所とれます。余裕がある室内と前室をうまく使えば、のびのびと過ごせそうです。
■上部メッシュのインナーテントで暑さや蒸れを低減
インナーテントは上半分がメッシュ仕様。しかも、フライシート上部には開閉できるベンチレーションが付いています。夏の暑さや蒸れがかなり低減され、テント内の結露も抑えられます。ただし、メッシュを閉じることはできないので、気温が低い場所や時期には向きません。
■両側のフライを跳ね上げ「キャノピー(ひさし)」ができる
このテントの外見で、一番ユニークなところがココ。手持ちのトレッキングポールを利用し、両側の出入口を簡単に「キャノピー(ひさし)」にすることができます。山岳テントでこのようにできるのは珍しいですよね。コンパクトチェアに座れば、のんびりと優雅な時間を過ごせそうです。
ちょっと気になったところ
■やっぱり薄いフロアと細いコード
タイガーウォールほどではありませんが、透けて見えるぐらい薄いフロア。フットプリントを敷かないと不安です。コード類も同じく細いので、耐久性も不安。3つのテントはいずれも、あまりハードな使い方には向かないようです。
どんなシーンや人に最適か
3つのテントを使ってみて・・・
3つのテントのいいところ・気になるところを、一気に紹介しました。共通するのは、「軽量性」と「居住性」の高さ。
今回は試し張りのため、山岳環境での使用感までは確認できませんでしたが、耐久性にはやや不安が残るところ。特にフロア素材は、筆者が知る限り、他メーカーの山岳テントと比べて薄く、また、各コード類もかなり細いと感じました。軽量化するためではありますが、ハードなシーンでの使用は想定していないのでしょう。
ただ、一番重いコッパースプールでさえ、1.47kg!これは何にも代え難いメリット。したがって、使用するシーンとしては、長期縦走や山稜のテント場のような過酷な環境が予想されるシーンではなく、林間の穏やかなキャンプ場を利用してピークハントするような登山に向くテントと言えそうです。
3モデルの仕様比較表
今回紹介した3つのテントの仕様をまとめました(クリックすると大きく表示されます)。
軽量性と居住性にこだわるなら<ビッグアグネス>
北米で高いシェアを誇る<ビッグアグネス>は、日本の山岳でもたびたび見かけるようになり、確実にユーザーを増やしているよう。なんといっても軽量性は、他メーカーのテントとは一線を画しています。
今回試してみた3モデルとも、軽さと設営・撤収の手軽さ、居住性には感心しました。「とにかく軽い方がいい、でも居住性にもこだわりたい!」そんな人にぜひおすすめしたいテントです。
さらに進化した2021年現行モデルはこちら
フライクリーク HV UL2EX ソリューションダイ(2021年秋先行発売予定)タイガーウォールUL2 ソリューションダイコッパースプール HV UL2 オレンジ