■「一二の用品店」という変わった店名の名前の由来は?
「じゅうに」には私たちのつくる道具を「12ヶ月(1年中)、自由に楽しんで」もらいたいという思いを込めています。
「用品店」とつけたのは、私たちもその時々で自由に仕事をしたいという思いから。余談ですが近々用品店と並行して「一二の食堂」を自宅に開店する予定です。
「モンペ」と「モンペズボン」はどう違うの?
■「モンペ」に着目したきっかけは何でしたか?
以前より着物やモンペの、布幅を上手く使い無駄を出さない、また生地を再利用しやすい造りの素晴らしさに着目していました。自分達が衣服を作る際も、なるべく残布が出ないようパターンを作成しています。
■昔ながらの「モンペ」とおふたりの作る「モンペズボン」。どんな違いがありますか? またその違い(工夫)はどのような観点から生まれましたか?
基本となった「モンペ」では、股さばきが悪い、座ると腰が出るなど気になる箇所が多々ありました。友人たちの協力も得つつ、仕事、日常、山などさまざまなシーンでとにかく毎日のように使い、約2年間かけて少しずつ改良し「モンペズボン」になりました。
■展開している色の名前は「草」「土」など自然のものが由来となっていますが、そう名付けた思いや意図を教えてください。
私たちが暮らす高知県は街と自然が非常に近く、生活していく中で意識しなくても自然のものが目に入ってきます。
作られた名前ではなく、私たちの目に入ってくる自然の色から自由に選びました。購入していただく方にも自然を身近に感じてもらえればと思います。
口コミでじわじわ人気に。ハイカーに愛される理由
ところで、ハイカーに人気のこの「モンペズボン」。登山用ウェアとして謳っているわけではないのに、なぜか愛用者が多いのです。
メジャーアウトドアメーカーとはまったく異なるパンツなのになぜ? これを作り手である高橋さんたちはどのように考えているか訊いてみました。
■ネットでの販売だけではこのような広がり方は難しかったと思いますが、どうやってファンを増やしていきましたか?
日本各地に友人のハイカーが多かったことも大きな理由のひとつだと思いますが、販売数量も少なく、SNSでの情報発信もほとんどしていない中でたくさんの方がはいてくれるようになったのは、愛用してくれる方の口コミのおかげです。
愛用されている方の中には何本もリピートしてくださるかたも多く、その方たちが自分の周りの方にモンペズボンの魅力や使い方をその人なりに伝えてくれているように感じています。
■ハイカーたちに「モンペズボン」が支持されている理由はどういう点だと思いますか?
野暮ったいシルエットや、化繊ぽくない丈夫な素材感、締め付け感のない穿き心地などアウトドアウェアらしくない点が「野あそびも可能な普段着」として気に入ってもらえたのだと思います。
またハイカーだけでなくランナーにアフターウェアとしてや、旅道具や仕事道具として愛用してくださる方も増えているようで自分たちの想定以上にたくさんの方の生活道具として使っていただけているようです。
■これから「モンペズボン」を履いて、山に登ろうという読者に、作り手としてメッセージをお願いします。
暮らすこと、働くこと、遊ぶことは別々なようで緩やかにつながったひとつの生活だと思っています。山や川に行くことが「ハレの日」ではなく日常生活の一部になればと思いますし、モンペズボンがそのお手伝いをできれば私たちはうれしいです。
でも「モンペズボン」はどこで買えるの?
高知で作られているモンペズボン。みんなどこで買っているのか?という疑問。
アウトドアショップや登山用品店で見かけたことはありません。イベントでの出店や公式サイトが主な販売手段。今年は残念ながら開催が見送られてしまいましたが、実はUL系ガレージブランドを中心としたアイテムが集まる展示会『Off the Grid』にも初出店予定でした。
なので、基本は公式サイトからの購入になります。アイテムの販売スケジュールを確認し、そのタイミングでの購入になります。
でも東京都内には密かに買える場所がある?
「でもやっぱり実物が見てみたい!」というひとには、買えるお店が都内にあります。でもそこはいわゆるアウトドアショップとは違って、旅道具とクラフトビールのボトルショップの「drifter’s stand」というお店。通称「ドリフ」。
どんなお店かはこちらの記事で紹介しています。
普段着のまま山へ。力を抜いて遊びに行こう。
今回紹介した「モンペズボン」のほかに、ガバットという上着や帽子など、セットアップできるアイテムも展開している、一二の用品店。
ハイスペックの山岳用ウェアのように攻めた使い方はできませんが、「今日はこのまま散歩の延長で、近くの山をハイキングしようかなー」という気分のときに、そのまま出かけられる気軽さがあります。
洋服はあくまでも「山道具」のひとつではあるけれど、それがもたらしてくれる「新しい山遊び」もあると思いますよ!