【SNSでフォロワー増加中】<一二の用品店>が作る「モンペズボン」の人気の秘密

2020/10/08 更新

「モンペ」とは日本の伝統的な作業着のこと。でも「モンペズボン」なるものを履き、山に登ったSNS投稿をちらほら見かけます。しかも何だかセンスがいい。「#juuni12」とハッシュタグがつけられたこのパンツ。どんな点がいいのか着用した感想と、作り手のインタビューや購入方法を紹介します!


提供:instagram/natsu_mountain

街でも山でもOK?「モンペ」ハイカーが急増中

唐突ですが、みなさん、モンペって知ってますか??

稲刈りなど農作業でよく見る、こういうパンツです。

伝統的なモンペ
出典:PIXTA(加工:編集部)
でも、近ごろ、このモンペを登山やハイクなどのアウトドアアクティビティで着たり、何だったら街でも着ているひとたちが増えているのです。しかもオシャレに着こなしている!!!

それは「モンペ」ではなく「モンペズボン」です

もんぺハイカー
提供:instagram/natsu_mountain
これがその「モンペ」ハイカーのみなさま。
一見すると、ここ2年ほどで登山パンツの主流をのっとる勢いのテーパードシルエットのパンツですが、SNSではモンペズボンと呼ばれており、「#juuni12」とうハッシュタグとともに紹介されていることが多いのです。

実はこの記事を書いている私も愛用しているのですが、実際に履いていて感じたことと、「モンペズボン」の制作者にメールインタビューしたいと思います!

「モンペズボン」って、こんな特徴があるのです

1)可動域が広い「股のマチ」

モンペパンツの可動域
撮影:YAMA HACK編集部
身体が硬い編集部員なので、130°というのがいいか悪いかはさておき……。

ストレッチ性のない生地のパンツでここまであげると、股の部分や上げてる足の裏もも部分、下の足の前もも部分に「引っ張られている感」を感じてしまいます。しかし、太ももに余裕があるデザインもあって、ストレスはありません

股のひし形
提供:一二の用品店(加工:YAMA HACK編集部)
その可動域の秘密は股のひし形。これは昔ながらのモンペ特有のデザイン。一見するとわからない工夫がされているのです。

2)大小4つのポケットでサコッシュいらず

ポケット
撮影:YAMA HACK編集部
「あ、ちょっとバタバタしてジャマだな……」と感じ始めていた、山歩きでのサコッシュ。

便利だから何でもかんでも入れていたのですが、実は行動中に必要なものってあまりないんですよね。かといって、ザックに入れると取り出すのに不便なもの、例えばスマホや日焼け止め、手ぬぐいなどだけポケットに収まれば事足りてしまいます。

そんなとき、大小4つのポケットが活躍します。小は写真を見てもらうとわかりますが、ちょうどいいスマホサイズ。大ポケットの内側にあるのも安心です、大は500mlのペットボトルが入るサイズ。行動中はちょっと足さばきに干渉してしまいますが、深さもあるので便利。

実はモンペズボンは前後の区別がないので、右利き左利きどちらでもポケットを使い勝手いい方にすることができます。これは地味に小さなストレス解消かもしれませんね。

3)サイズ選びに悩まない「ワンサイズ展開」

身長とサイズ
提供:一二の用品店(加工:YAMA HACK編集部)
これは周りでもどちらがいいか意見が分かれていますが、ワンサイズなので購入時にサイズで悩む必要がありません。写真のように約20cmの身長差があっても、性別に関わらずワンサイズで対応できています。

その秘密は「腰回りのゴム」。丈が長ければ腰回りをぎゅっと上げたり、裾をロールアップすればいいですし、逆に短ければ腰を少し低めにすればいい。

「美脚シンデレラパンツを見つけるのだ!」というひとには不向きかもしれませんが、オンラインで購入する際に細かいサイズを考えるのは面倒だし、楽チンであればいい!というズボラなひとにはおすすめできます。

4)自然素材風なのに、濡れても乾きが早い!

モンペズボンの生地感
提供:一二の用品店
ナチュラルカラーのパンツは天然素材に見えますが、実はナイロン100%(コットン85%×リネン15%のタイプもあり)。植物由来の染料染めをしているためいかにも「アウトドア」という質感ではなく、街で着やすいのもポイント

またナイロン素材ゆえに、乾きも早い。8月の登山で日中歩いて腰回りはさすがに汗だくで濡れましたが、夕方にはすっかり乾いていました。

 

なぜモンペが人気?<一二の用品店>に質問

一二の用品店の高橋さん夫妻
提供:一二の用品店
<一二の用品店>の工房があるのは、高知県香美市。メンバーは高橋康太さん・京子さん夫妻と、犬の九丸。

作っているのは、こんな2人(+1匹)です

康太さんは、大学生の頃より本格的に登山を始め、卒業後に就職したものの、憧れであった山での生活を求めて長野県に移住。そこで山の生活を満喫しながら木工を学んだのち、高知へ帰郷し、木工家具製造工房で働いていました。

一方、京子さんは独身時代より古い軍モノ生地などを解体し、バッグやエプロンなどの生活道具を作ってイベントで販売したり、暇を見つけては海外一人旅にでる日々を送っていました。結婚後に高知県の山間部に移住したことで、登山やキャンプを始めるようになったといいます。

日常生活と野あそび・野良仕事にほとんど境がない、山での暮らしはシーンごとに服を着替える必要がありません。ならば、色々なシーンに対応できる、サイズも夫婦共有の服がほしいと思い作り始めたのがブランド立ち上げのきっかけ。

■「一二の用品店」という変わった店名の名前の由来は?

「じゅうに」には私たちのつくる道具を12ヶ月(1年中)、自由に楽しんでもらいたいという思いを込めています。

「用品店」とつけたのは、私たちもその時々で自由に仕事をしたいという思いから。余談ですが近々用品店と並行して「一二の食堂」を自宅に開店する予定です。

「モンペ」と「モンペズボン」はどう違うの?

■「モンペ」に着目したきっかけは何でしたか?

以前より着物やモンペの、布幅を上手く使い無駄を出さない、また生地を再利用しやすい造りの素晴らしさに着目していました。自分達が衣服を作る際も、なるべく残布が出ないようパターンを作成しています。

■昔ながらの「モンペ」とおふたりの作る「モンペズボン」。どんな違いがありますか? またその違い(工夫)はどのような観点から生まれましたか?

基本となった「モンペ」では、股さばきが悪い、座ると腰が出るなど気になる箇所が多々ありました。友人たちの協力も得つつ、仕事、日常、山などさまざまなシーンでとにかく毎日のように使い、約2年間かけて少しずつ改良し「モンペズボン」になりました

■展開している色の名前は「草」「土」など自然のものが由来となっていますが、そう名付けた思いや意図を教えてください。

私たちが暮らす高知県は街と自然が非常に近く、生活していく中で意識しなくても自然のものが目に入ってきます。

作られた名前ではなく、私たちの目に入ってくる自然の色から自由に選びました。購入していただく方にも自然を身近に感じてもらえればと思います。

製品洗い
提供:一二の用品店(縫製後に洗いをかけているところ)

口コミでじわじわ人気に。ハイカーに愛される理由

モンペで山登り
提供:一二の用品店
ところで、ハイカーに人気のこの「モンペズボン」。登山用ウェアとして謳っているわけではないのに、なぜか愛用者が多いのです。

メジャーアウトドアメーカーとはまったく異なるパンツなのになぜ? これを作り手である高橋さんたちはどのように考えているか訊いてみました。

■ネットでの販売だけではこのような広がり方は難しかったと思いますが、どうやってファンを増やしていきましたか?

日本各地に友人のハイカーが多かったことも大きな理由のひとつだと思いますが、販売数量も少なく、SNSでの情報発信もほとんどしていない中でたくさんの方がはいてくれるようになったのは、愛用してくれる方の口コミのおかげです。

愛用されている方の中には何本もリピートしてくださるかたも多く、その方たちが自分の周りの方にモンペズボンの魅力や使い方をその人なりに伝えてくれているように感じています。

■ハイカーたちに「モンペズボン」が支持されている理由はどういう点だと思いますか?

野暮ったいシルエットや、化繊ぽくない丈夫な素材感、締め付け感のない穿き心地などアウトドアウェアらしくない点が野あそびも可能な普段着として気に入ってもらえたのだと思います。

またハイカーだけでなくランナーにアフターウェアとしてや、旅道具や仕事道具として愛用してくださる方も増えているようで自分たちの想定以上にたくさんの方の生活道具として使っていただけているようです。

■これから「モンペズボン」を履いて、山に登ろうという読者に、作り手としてメッセージをお願いします。

暮らすこと、働くこと、遊ぶことは別々なようで緩やかにつながったひとつの生活だと思っています。山や川に行くことが「ハレの日」ではなく日常生活の一部になればと思いますし、モンペズボンがそのお手伝いをできれば私たちはうれしいです。

でも「モンペズボン」はどこで買えるの?

高知で作られているモンペズボン。みんなどこで買っているのか?という疑問。

アウトドアショップや登山用品店で見かけたことはありません。イベントでの出店や公式サイトが主な販売手段。今年は残念ながら開催が見送られてしまいましたが、実はUL系ガレージブランドを中心としたアイテムが集まる展示会『Off the Grid』にも初出店予定でした。

なので、基本は公式サイトからの購入になります。アイテムの販売スケジュールを確認し、そのタイミングでの購入になります。

一二の用品店|公式サイト

でも東京都内には密かに買える場所がある?

思い思いいろんな人と話すお客さんたち
撮影:YAMA HACK編集部
「でもやっぱり実物が見てみたい!」というひとには、買えるお店が都内にあります。でもそこはいわゆるアウトドアショップとは違って、旅道具とクラフトビールのボトルショップの「drifter’s stand」というお店。通称「ドリフ」。

どんなお店かはこちらの記事で紹介しています。


普段着のまま山へ。力を抜いて遊びに行こう。

お散歩の延長で山へ
提供:一二の用品店
今回紹介した「モンペズボン」のほかに、ガバットという上着や帽子など、セットアップできるアイテムも展開している、一二の用品店。

ハイスペックの山岳用ウェアのように攻めた使い方はできませんが、「今日はこのまま散歩の延長で、近くの山をハイキングしようかなー」という気分のときに、そのまま出かけられる気軽さがあります。

洋服はあくまでも「山道具」のひとつではあるけれど、それがもたらしてくれる「新しい山遊び」もあると思いますよ!

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もんぺハイカー
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YAMA HACK編集部 村岡

YAMA HACK運営&記事編集担当。スキー好きが嵩じて北アルプス山麓に移住し、まんまと夏山登山にもはまる。アクティビティとしての登山の楽しみとともに、ライフスタイルとしての「山暮らし」についても発信していきます。

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