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網状の巣を張らないクモ!?

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ススキなどの大型のイネ科植物の葉が巻かれたもの。こんな状態になっているものを見たことはありますか?

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実はこれが「カバキコマチグモの巣」なのです!いわゆる網状になっている「クモの巣」は張らず、イネ科の葉を巻いて巣を作ります。巣を作るのはメスだけで、夜間草むらを徘徊して昆虫などを捕食します。国内にもともと生息する毒グモの咬傷被害としては、この種が最多と言える存在です。
◆カバキコマチグモの生態◆

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分布:沖縄県を除く日本全国に広く生息
発生時期:6月~9月(成体)
サイズ:【オス】体調約0.8cm~1.0cm/【メス】:体調約1.2cm~1.5cm
毒性:強い毒性をもつが、量が少ないため、多くの場合は数日で軽快する。(ただし、症状は体質により、個人差が大きい。)
特徴:メスのカバキコマチグモは強烈な母性愛の持ち主で、卵が孵化し最初の脱皮を迎えるまで、懸命に外敵から守り続けます。ところが、孵化した幼体は母親の身体を餌として食べてしまいます。
対策・治療法は?
積極的に攻撃的してくるような性格ではないので、不用意な刺激をしないことが第一です。カバキコマチグモに咬まれる原因は、巻かれた葉をいたずらに開き、巣を壊してしまうことによって咬まれるケースが多いです。イネ科の植物の刈り取りをする場合は素肌を出さず、注意して行いましょう。

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毒性をもつクモのため、かまれると激しい痛みに襲われます。咬まれた箇所は赤くなり腫れますが、その症状は個人差が大きいようです。一般的には軽傷で済むことが多く、数日で軽快しますが、重症の場合、吐き気や頭痛、発熱、ショック症状なども起こす場合があります。

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ほとんどの場合は心配いりませんが、咬まれたら医療機関を受診しておく方が安心でしょう。咬まれた場所だけでなく、全身症状につながるケースもありますので、油断は禁物です。
自分でできる応急処置は?

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・水で洗い、患部を清潔にするとともに、冷やすこと。
・ステロイド系軟膏を塗ること
が応急処置として行うことができます。
症状があまりにひどく、痛みが大きい場合は、鎮痛剤を処方してもらうケースもあります。
怒らせると怖い!カバキコマチグモ

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見るからに咬まれたら痛そう!カバキコマチグモが最も攻撃的になるのは、恋の季節の6月から産卵期の8~9月にかけて。オスは巣を作らずに徘徊するため、民家に入ってきた例もありますし、産卵期には巣の卵を守るメスが神経を尖らせています。草刈りの作業などで、巣に気づかず、意図せず刺激してしまうことも…。茂みに入る際は、肌を隠せる服装でいくことが大切です!
監修:セルズ環境教育デザイン研究所 西海太介氏この記事を読んだ人は、こちらの記事も読んでいます