資格別に紹介!ガイディング可能な山とガイドのスキル
JMGAの認定資格のうち登山に関わるガイド資格は、大きく「登山ガイド」と「山岳ガイド」に分類されます。
登山ガイドが活動可能な山域では基本的にこれらの用具は使用せずとも登山可能で、使用は緊急時の安全確保やレスキューに限定されます。
ひるがえって山岳ガイドは、これらの用具を積極的に使用して安全確保を行う必要がある山域もガイディング可能です。
それでは各資格別に、ガイディング可能な範囲や資格取得の際に身に付けているスキルを紹介します。
登山ガイドステージⅠ〜無積雪期の整備された登山道〜
JMGAによる登山ガイドステージⅠの規定は以下の通り。
国内の無積雪期においての山地・山岳地帯での整備された登山道で、登山ガイド行為を行うことができる。
<活動エリア>
無積雪期の一般登山道。登山地図の実線で示された登山道。破線、難路と示された登山道は除く。沢登りはできない。
けれども基礎的知識(スポーツ科学・自然環境の保護)・ガイド業務関連知識(関連する法制や倫理・マナー)・登山ガイド専門知識(気象・読図)・安全管理(健康管理・事故予防・セルフレスキュー)から、ロープ技術(ロープ操作・固定ロープの方法・ショートロ ープ技術)・ 緊急露営技術までマスターして初めて、この資格取得が可能なのです。
JMGAのガイドには、次項以降で紹介する資格も含め、スキル維持のための有効期間が存在します。資格認定されてから有効期間内に更新研修に参加する義務もあります。登山初級者がメジャーな夏山にチャレンジする場合にも、心強いパートナーになってくれますね。
登山ガイドステージⅡ〜無積雪期の整備された登山道&森林限界を越えない積雪期の登山道〜
国内で四季を通じて整備された登山道において登山ガイド行為を行うことができる。但し、スキーガイド分野は別に資格を取得する。
<活動エリア>
無積雪期の一般登山道。登山地図の実線で示されたコース。破線、難路と示された登山道は除く。沢登りはできない。
積雪期は、森林限界を越えないで、ロープウェイなど冬季も開設されている施設から2~3時間の日帰りできる範囲。
例:北八ヶ岳中山峠~高見石、縞枯山、北横岳まで。天狗岳・硫黄岳は範囲外。
特に2017年3月に発生した「那須岳雪崩事故」をきっかけに、雪崩に関する知識と技術は必須。雪上で活動する以上、資格認定研修ではビーコンによる埋没者の探索やゾンデ・スコップによる救助作業もしっかり履修してもらっています。
ステージⅡの職能範囲である「森林限界を越えない雪山」では、雪崩のリスクはそう高い頻度では発生しません。それでも万が一の事態に備え、雪崩救助技術の経験を積むことが要求されるのです。
登山ガイドステージⅢ〜無積雪期の難路・破線ルートの登山道&積雪期の日帰りルート〜
JMGAによる登山ガイドステージⅢの規定は以下の通り。
国内で無積雪期を通じて登山道が示されているコースの登山ガイド行為を行うことができる。
積雪期においては、通年営業を行う施設(山小屋、レストハウスなど)から容易に登山出来る領域で岩稜、急峻な雪稜を持たない範囲をガイドできる。但し、スキーガイド分野は別に資格を取得する。
<活動エリア>
無積雪期の一般登山道。登山地図の実線、破線で示されたコース。東北、北海道などのテント泊や避難小屋を利用する縦走コース、容易な沢登りコースなど。
積雪期は、山小屋から日帰り可能な容易な雪山登山(例:北八ヶ岳中山峠~高見石、縞枯山、北横岳、天狗岳・硫黄岳、蓼科山など)
堅牢な鎖・ハシゴ・ピンなどが設置された無積雪期の剱岳・別山尾根コースなど、山岳ガイドの登攀技術までは要求されないものの登山ガイドステージⅡでは対応できない難路などの「グレーゾーン」を解消するために生まれた比較的新しい資格が、登山ガイドステージⅢです。
マスターしなければいけない知識・技術の項目だけで言えば、山岳ガイドよりも厳しい資格認定研修かもしれません。