人気ブランド<マウンテンハードウェア>の登山用テントが気になる!
1993年にアメリカ・カリフォルニア州で誕生したクライマーズブランド<マウンテンハードウェア>。主に高機能ウェアを展開する総合メーカーです。バックパックにも注力しており、デザイン性に優れるアイテムを多数展開しています。
しかし登山用テントをリリースしていることを知る人は少ないはず。1993年に創業した同社は、97年にはオリジナルのテントを開発しており、その歴史は意外と古いのです。
現在メーカーが国内で展開しているテントは8モデルあり、内3シーズン用のテントは2張り。詳しい機能が気になるところですが、フィールドで使っている人を見かけることが少なく、ネットでもなかなか有益な情報がヒットしません。
そこで今回はメーカーからサンプルテントをお借りして、実際にフィールドで使ってきました。
奥秩父のテント場で実際に使ってみた!
今回テストしたのは、登山用3シーズン対応モデル「アスペクト2テント」です。
時期は6月の下旬。梅雨の合間にこれを担いで奥秩父にある標高1955mのテント場に泊まり、一晩を過ごしてきました。
当日の天気は、曇り時々晴れ時々小雨。風も吹き、テント泊の条件としてはややバッドコンディション。しかし、だからこそ耐久性が必要となる登山用テントの真価を確かめることができました!
5つの項目をフィールドでチェック
チェック項目は「携行性」「設営&撤収のしやすさ」「居住性」「通気性」「耐久性」の5項目。個人的な感想にはなりますが、それぞれを5つ星で評価します。
星3つが標準、それ以上は優れている、以下は改善の余地ありです。
①携行性(収納サイズや持ち運びやすさ)
では早速、使用実感をレポートします! ぜひ参考にしてください。
①携行性(★★★★☆)|見た目と裏腹に持ち運びやすい
HPにも記載がない収納サイズは、長さ50×直径16cm。一見すると抵抗を感じるほどのビッグサイズ…。
ポールも一緒に収納することができるのですが、この大きさではとてもじゃないけどバックパックにパッキングできません。外付けも厳しいものがあります。
しかし、ポールを外に出してしまえばどうでしょう。難なくバックパックの中に横向きにパッキングすることができました。
スタッフバッグが大きいぶん収納状態が固くならないので、バックパックにぐいぐい押し込めばOK。これならデッドスペースも生まれません。
ちなみに大きいスタッフバッグにはルーズに撤収できるというメリットも。ざっくり丸めるだけで容易に収納できるので非常にラクです。
とはいえ重さは 1,341g(最小重量)。これは極端に重くはないですが、魅力的な軽さでもない。標準的というところでしょうか。なので星は4つにしました。
②設営&撤収のしやすさ(★★★★☆)|慣れてしまえばスピーディー
設営手順は至って簡単。
①インナーテントを広げて四隅をペグダウン
細部のパーツに“設営しやすさ”がきらりと光る
設営中に感心したのがポールの先端を差し込む金具について。穴が大きいので座り込んで細かく作業する必要がなく、立ったままポールの先端を差し込むことができるのです。
なお、ポールはほとんど力を使わずに曲がるので女性でも簡単に設営することできます。
さらにフライシートの四隅と前室の2箇所には自在が付いているので、誰でも簡単にテンションをかけることが可能。コードを引いてフライシートをぴんと張ると堅牢性が増し、少々の風ではびくともしないほど丈夫に設営できます。
③居住性(★★★★★)|広~い空間でのびのび快適
入口は2つあり、それぞれに前室が備わります。2人で使っても出入りがラクなのがいいですね。さらにこの前室のスペースの広さに驚きました。
奥行きは登山靴を縦に並べられるほどの長さがあり、室内で不要なものをすべて出しても有り余るほど。これなら火器を使った調理も余裕です。
寝ても座っても圧迫感なし
天井の高さも十分。10cm厚のエアマットに座って起き上がっても天井に頭がつくことはありません。背中を丸めなくて済むのでとてもラク。
さらにセンターポールのおかげでヘッドクリアランスが広くとられているので、圧迫感も皆無。収容人数は2人ですが、一般的なドーム型テントの何倍も広く感じます。
168cmのマットを入れた状態がこちら。身長が182cmある私が横になっても余るほど。幅も十分過ぎるほどのサイズなので、体が小さい女性なら3人で使えるかもしれません。もちろん1人で使えばのびのび優雅に過ごすことができます。
④通気性(★★★☆☆)|肌で感じるほど空気が循環
インナーテントは3/4がメッシュパネル。中にいてスースーするほど空気の循環を感じました。
これは一長一短で、暑い夏は快適でも、春先や秋口では寒いと感じてしまうかも。ちゃんと防寒着を用意すれば過度に気にすることはないと思いますが、好みが分かれるところでしょう(なので星はあえて3つにしました)。
ただし安心できる点も。ボトムに近い部分は通常のナイロン生地なので、地面とフライシートの隙間から雨や砂埃がインナーテントの中に入ってくることはありません。事実、夜中にゴォーっという音と共に強風が吹き抜けたのですが、風が吹き込んでくることもありませんでした。
なおフィールドテストでの結露の発生はゼロ。結露が内部と外部との温度差を原因として生じることを考えると、通気性が高い=結露が発生しにくいと言えるのではないでしょうか。
自然の中にどっぷり浸れる
メッシュパネルは透け透けなので少し落ち着かないかもしれませんが、逆の発想で利点と捉えて、雨の心配がない空模様ならいっそフライシートを被せずに使うのもあり。夜になれば横になりながらロナンチックな星空鑑賞会を楽しめます。
⑤耐久性(★★★☆☆)|耐水性も問題なし
夜中に強風が吹き抜けたときは耐久性が気になったのですが、結局フライシートがバタつくこともなければポールが過度にしなることもなく、不安はすっかり杞憂に終わりました。
雨も降ったようですが、もちろん内側への染み込みはありません。表面でしっかり撥水している様子が確認できました。
他にもあるぞ!気になる○✕ポイント
やはりカタログで眺めるのと実際に使ってみるのでは大違い。5つのチェック項目以外にも気づくことがありました。
◎:収納ポイントが豊富
インナーテントの隅に2ヶ所、天井に一箇所メッシュポケットがあります。スマートフォンやメガネなどを入れたり、ランタン代わりにヘッドランプを置いて室内を照らしたり、使い道は人それぞれ。いずれにしても、やっぱりあると便利ですよね。
◎:吊り下げ用のループあり
天井にはループが4ヶ所、四角形になるように縫い付けられています。細引きを通せば物干しを作ることができるし、ランタンを吊るす時はこのループがなくては話になりません。メガネをかけている私にとってはツルを引っ掛けられるので、あると大変便利です。
✕:フライシートにベンチレーションがない
なんとベンチレーションと呼ばれる換気口がどこにもありませんでした。インナーテントは3/4がメッシュなので、ベンチレーションがなくても通気性は十分と思われますが、ゼロというのも考えもの。もっと気温が上がった夜はどうなるか気になるところです。
✕:慣れるまでは虫が気になるかも…
インナーテント全体がナイロン生地のテントを使っていると気になりませんが、フライシートとインナーテントの間には意外と虫が入ってきます。するとメッシュパネルだから、それが丸見えな訳で…。ランタンに群がる様子など、慣れるまでは気になるかもしれません。
予想以上の好評価で、セカンドテントとして手に入れたい!
インナーテントはメッシュだし、特別に軽いわけでもなく、少々お値段が張るというところで当初は期待していなかったのですが、蓋を開けてみると想定外の高評価。これはテント泊に慣れてきた人の次のテントにぴったりではないでしょうか。
暑い夏山をより快適に過ごすために購入してもいいし、サマーキャンプとの兼用テントにしてもいい。ナイロン生地でドーム型のザ・登山用テントがすべて万能という訳ではないので、「アスペクト2テント」のような特徴的なアイテムがもうひと張りあると本当に便利。シーンに応じてテントを使い分けると、テント泊の楽しみ方の幅が広がるはずです!
収納人数 | 2人 |
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設営サイズ | 長辺224×短辺127×高さ102cm |
収納サイズ | 長さ50×直径16cm(筆者計測) |
フロア面積 | 2.7m2 |
重量(目安) | 1,341g(最小重量) |
テント本体素材 | 20D ナイロンメッシュ |
フライ素材 | 20Dリップストップナイロン1200mm |
フロア素材 | 40Dリップストップナイロン1500mm |
ポール素材 | DACフェザーライトNFL |
対応シーズン | 3シーズン |
仕様 | ・吊り下げ式ダブルウォール ・インナーの3/4にメッシュを採用 ・入口&前室2か所(長辺側) |
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