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【上高地で群発地震!】山の成り立ちから「地震」の原因とリスクを考えてみた(3ページ目)

2019年台風19号の影響により、栗原川林道は現在通行することができません。復旧見込み時期は不明です。
そのため、「皇海橋」の登山口からの入山はできませんのでご注意ください。
沼田市の皇海山に関する情報はこちら

鉄砲水

鉄砲水

出典:PIXTA

そこまで頻繁には起こりませんが、沢沿いでは鉄砲水のリスクもあります。地震によって大きな崖崩れが起き、沢や川の流れを堰き止めてしまうとそこに水が溜まり、「天然ダム」となります。

どんどん水が溜まり、せき止めた土砂が水の重みに絶えられなくなると、ダムは決壊して、鉄砲水となって下流に流れ下ります。流れの激しさもさることながら、水量も一気に増えるので、あっという間に行動不能に陥ることも考えられます。

原山智・河合小百合「上高地の学術ボーリング」講演要旨

出典:原山智・河合小百合「上高地の学術ボーリング」講演要旨

今回の地震の現場のひとつでもある上高地も、実はこのようにしてできた場所です(上図参照)。

元々は岐阜県側に流れていた梓川が焼岳の近くにあった火山の噴火で堰き止められて天然ダムができ、現在の大正池付近から徳沢周辺に至る広い範囲がダム湖となりました(地質学の世界では「古上高地湖」と呼ばれています)。そこに約5000年間にわたって周りから土砂が流れ込んで天然ダム湖が埋まったことで、大正池から横尾に至る長い平坦な場所ができたのです。

また、このダム湖が長野県側に決壊し、山肌をえぐって流れ下った跡が釜ヶ淵から下流の渓谷地形です。

上高地の成り立ち

古上高地湖の誕生(画像制作:編集部、原山智氏作成の参考資料図を改変)

大自然にある「リスクのひとつ」として地震を考えよう

地震のリスク

出典:PIXTA

登山は大自然を楽しむ活動ですが、道迷いや転滑落や気候急変など、リスクも様々あります。地震もその中のひとつです。

必要以上に怖がることはありませんが、計画した山のある地域で地震が多くなっていたら、「登らない」という選択を考えましょう

今回のような地震も、先年の御嶽山のような噴火も、普段はあまり考えないことかもしれませんが、登山計画を立てる際に地図や天気予報を調べるのと同じように、こうしたリスクがないかも最新情報を確認してから山に向かうようにしましょう

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