夏の予定、もう決まった?
いつもは週末しかお休みをとれない人も、ゆっくり日数をとれることが多い夏休み。そろそろ登山の計画を立てはじめている頃ではないでしょうか。
いつもより長い山旅をするチャンス!
長い日数をかけた山行というと、いくつもの頂を越える“縦走”を思い浮かべがち。でも、遠方や登山口へのアクセスが不便なところも、なかなかいつもの週末では行きにくいものです。
夏休みこそ、そんな風に登れずにいた山を訪れる絶好の機会。そこで今回は、ちょっと余裕がある時でないと行けないところをはじめ、「長めの連休をとれたら……」と筆者が思いを巡らせて選んだ、おすすめの夏山プランを5つ紹介します。
【初級~中級】大杉谷~大台ケ原|水と緑、渓谷の絶景を見に行こう!
日本百名山の一座でもある大台ケ原(奈良・三重)。メジャーなのは最高峰の日出ヶ岳から西側の周回ルートですが、今回は東側から渓谷を歩いて最高峰へ向かう縦走ルートを紹介します。
山行日程は1泊2日ですが、登山口へのアクセスが不便なため、時間に余裕のある時に行きたい場所。美しい水の色、豊かな植生、荒々しい滝や岩など、素晴らしい景色を満喫できますよ。
ルート紹介
【体力レベル】★★★☆☆ | ||||
1日目 | コース距離:約6km | コースタイム:約5.5時間 | ||
2日目 | コース距離:約9km | コースタイム:約6.5時間 |
【技術的難易度】★★★☆☆ | ||||
・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要 ・地図読み能力が必要 |
大杉谷登山口を出発し、桃の木山の家(桃の木小屋)で一泊。翌日、最高峰の日出ヶ岳へ登り、大台ケ原駐車場へ下山します。体力に自信のない方は、粟谷小屋を利用して2泊3日で歩くこともできます。
見どころ
▼シシ淵(MAP①)
岩の間から滝を望める、大杉谷を代表する秘境スポット。お天気の良い日には淵の水がエメラルドグリーンに輝き、神秘的な景色を楽しむことができます。
▼スリル満点な道(MAP②)
▼吊り橋(MAP③)
断崖に彫られた道や、ゆらゆら揺れる吊橋など、どきどきしちゃうスリル満点な場所も。しっかり安全を確保しつつ、美しい景色を楽しんでくださいね。
ここに気をつけよう!
■交通の便が悪いため、バスの運行状況の確認や予約を早めにしておきましょう
■天候により、川の水量が増すなど通行が困難になることも。必ず事前に確認を!
■初級の方は必ず経験豊富な方やガイドに同行してもらい、マイペースで歩けるよう計画しましょう
山小屋・宿泊施設
帰りのバスの時間を気にして焦らないよう、ゴール地点の心・湯治館でもう1泊することをおすすめします。翌日はバスの時間まで、東大台を散策することもできますよ。
アクセス
出発点である大杉谷登山口と、到着点の大台ケ原駐車場の間は大変アクセスが悪く、自家用車を回送してくれる業者も残念ながらほぼありません。公共交通機関の利用をおすすめします。
【行き】大杉谷登山口へ
【中級】白馬三山|大雪渓、お花畑、秘湯、盛だくさんに楽しもう!
日本百名山の一座である白馬岳(長野・富山)から南に連なる杓子岳、白馬鑓ヶ岳の白馬三山を周回する、2泊3日のルートです。
大雪渓、お花畑、絶景を望める温泉など、刺激をくれるスポットがとにかく盛沢山。素晴らしい景色を眺めながらの稜線歩きも楽しめる、贅沢な3日間です。
ルート紹介
【体力レベル】★★★★☆ | ||||
1日目 | コース距離:約7km | コースタイム:約6.5時間 | ||
2日目 | コース距離:約6km | コースタイム:約5時間 | ||
3日目 | コース距離:約6km | コースタイム:約4時間 |
【技術的難易度】★★★☆☆ | ||||
・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要 ・地図読み能力が必要 |
猿倉荘を出発し、白馬大雪渓を越え、白馬岳へ。白馬山荘で宿泊し、翌日は杓子岳、白馬鑓ヶ岳を越え、鑓温泉小屋まで。3日目にスタート地点の猿倉荘へ下山します。
見どころ
▼白馬大雪渓(MAP①)
白馬大雪渓は日本最大の雪渓です。長い雪渓歩きに疲れたら、空の青、山の緑との美しいコントラストを眺めて癒されましょう。
▼お花畑(MAP②)
雪渓を越えると夏ならではのお楽しみ、高山植物のお花畑が広がります。
▼白馬鑓温泉(MAP③)
2021年に露天風呂がリニューアル。標高2,100m、標高日本一の天然湧出量を誇る、源泉かけ流しの温泉です。露天風呂からは絶景を眺めながらの入浴を楽しめます。
混浴ですが、ちょっと恥ずかしいという女性のために、夜には女性専用になる時間帯も。露天はちょっと……という人も、内風呂もありますのでご安心ください。
ここに気をつけよう!
■雪渓では、雪の状態によりアイゼンが必要な場合も。事前に状況を確認し、安全のための装備も用意して行きましょう
■また、落石が多いことでも有名な場所です。足元だけではなく、周囲の安全確認もしっかりと
山小屋・宿泊施設
アクセス
マイカーの場合
【中級】屋久島・宮之浦岳|世界遺産の島で九州最高峰に登ってみよう!
世界遺産として観光でも人気の屋久島。そこにそびえる九州最高峰の宮之浦岳(鹿児島)を、縄文杉などとセットで楽しめるルートです。
「月に35日雨がふる」と言われるほど雨が多いことでも有名ですが、悪天候のために船や飛行機が欠航になることもたびたび。だからこそ、時間に余裕のある時にこそぜひおすすめしたい場所でもあります。
ルート紹介
【体力レベル】★★★★☆ | ||||
1日目 | コース距離:約11.5km | コースタイム:約6.5時間 | ||
2日目 | コース距離:約10km | コースタイム:約8.5時間 |
【技術的難易度】★★★☆☆ | ||||
・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要 ・地図読み能力が必要 |
荒川登山口より出発し、ウィルソン株や縄文杉を見ながら新高塚避難小屋へ。小屋、またはテントで1泊し、宮之浦岳へ登って淀川登山口へ下山します。
このルートには有人の、食事や寝具を提供してくれる小屋はありません。そのため、2日分の食料と寝袋、小屋が満室だった場合のテントなどを持参する必要があります。
見どころ
▼屋久杉と苔の森(MAP①)
トロッコ道を歩き出すと、すぐに苔むした森に入ります。実は、屋久島に生えてる杉でも1000年に満たない物は小杉と呼ばれ、全ての杉が屋久杉というわけではありません。
そんな途方もない年月をかけて育まれた原生林にどっぷりと浸って、癒されましょう。
▼縄文杉(MAP②)
屋久島へ行くならぜひ見たいのが縄文杉。大勢の人が根本を踏むことで弱ってしまわないよう、現在は展望デッキが設けられています。
もう少し近よりたい気持ちはありますが、十分にパワーを感じられる神々しさがありますよ。
▼ヤクシカなどの動物たち
歩いていると、ヤクシカやヤクザルが姿を現すことも。遠くからそっと、可愛い姿を観察してみましょう。
ここに気をつけよう!
■洋上にそびえる宮之浦岳は、天候が激しく変化します。出発時に晴れている場合でも、雨具、防寒具はしっかり用意しておきましょう
■体力に自信のない人は無理をせず、トレッキングツアーに参加するなどして、ガイドを依頼しましょう。テントや寝袋、食事の用意など、運搬からセッティングまで全てお願いすることも可能です
アクセス
【行き】荒川登山口へ