何色がいい?”ハチ対策”の視点で選ぶ、おすすめウェアとは

生き物の専門家・うみ先生に聞く、”誰かに話したくなる、山のいきもの雑学”シリーズがスタート!座右の銘は『現象には必ず理由がある』。
今回は「ハチに刺されるのには理由」を踏まえたうえで、ハチ対策の視点で選ぶ、おすすめのウェアのを教えて頂きました!


アイキャッチ画像:スズメバチの巣を持つうみ先生とミツバチ

生き物の専門家”うみ先生”に聞く、山のいきもの雑学講座スタート!

画像②西海太介(通称うみ先生)。高尾山ビジターセンターの自然解説員、横須賀市内の公園所長などを経て、より多くの方に生き物の面白さや、危険などを伝えるべく独立。YAMA HACKの読者のみなさんに危険生物をはじめ、山で出会える生き物全般の”誰かに話したくなる雑学”を、不定期でお届けします!知ればもっと山が登山が楽しくなる!最後の”うみ先生の独り言”も必見です。

ハチは”黒いから怒っている”わけではない

最新キイロスズメバチの巣撮影:西海太介(キイロスズメバチの巣)
「黒=ハチを刺激する」というのは、実は正解とも不正解とも言える、微妙なお話です。結論から言えば、黒はハチが怒り出す色ではなく、「攻撃体勢に入ったときの最初の的の色」です。

マーキングされたら、色はもう関係ない!

2子どもたちお教室撮影:セルズ環境教育デザイン研究所
例えば、スズメバチに例えて考えてみましょう。彼らが怒って攻撃態勢に入ったとき、まずは動く黒いところを狙います。しかし、彼らはただ攻撃するだけでなく、相手に”毒液を吹きかける”という行動もとります。
最新オオスズメバチ撮影:西海太介(オオスズメバチ)
この毒の中には、いろいろな化学物質が含まれていて、「こいつが敵だ」というマーキング用として働きます。そのため、一度マーキングされれば黒だろうが白だろうが関係ありません。マークをつけられているので、色に関係なく攻撃されてしまいます。



ハチを怒らせないための”習性”を知ろう

2樹液ポイントに来たオオスズメバチ撮影:西海太介
黒はあくまで最初の的の色です。「黒という色そのものがハチを怒らせるのではなく、他の要因で怒ったハチが最初に敵と認識して攻撃してくるのが黒」なのです。

汗の臭いが大好き!でも、”山ごはん”も大好きなんです

登山中にご飯を食べている画像
出典:JETBOIL
ハチ対策の問題で、色の話はよく挙がりますが、実はニオイも重要です。マーキングの印となっているのは、彼らのフェロモン「ニオイ」です。彼らはこのようにニオイを使って会話をしているので、ニオイにはとても敏感です。そのため、我々が使うシャンプーや香水のほか、汗やお酒のニオイなどに刺激を受けて、事故につながることもあり得る話なのです。

最新引っ越し初めのキイロスズメバチ撮影:西海太介(引っ越しはじめのキイロスズメバチ)
さらに汗にはミネラル分も含まれるため、彼らにとってみれば貴重な栄養源でもあります。そのため、攻撃するためではなく、舐めるためにやってきたりすることもあります。栄養という意味では、私たちが山の中で美味しく食べるお弁当などにも注意が必要です。

ええっ?!ハチを食べちゃった?近づいてきたらじっと待って!

2mustard-leaves-410337_640私が以前勤めていた山では、「おにぎりを食べていた女の子が、食べかけのおにぎりの具を食べに来たクロスズメバチ(黒くて小さなスズメバチの仲間)に気づかず口に入れ、舌を刺されてしまった」なんてこともありました。私たちにとって美味しいものは、彼らにとってもごちそうです。
最新ジュースのニオイに誘われるキイロスズメバチ撮影:西海太介(ジュースのニオイに誘われるキイロスズメバチ)
お弁当やジュースなどの美味しいニオイは、彼らにとっても大好きなご飯のニオイなので、寄ってくることがあります。もちろん攻撃しようと思ってくるわけではありませんが、事故のもととなるので注意が必要です。もしお弁当にハチがとまったら、じっと飛び去るのを待ちましょう。


何色がいいの?”ハチ対策”の視点で選ぶウェア

アウトドアジャケットの画像
出典:GOLDWIN BLOG
山に着ていくウェアの色合いは、ハチ対策も去ることながら、万が一の事故や遭難時に発見してもらいやすい色であることが大切です。

と、その前に・・迷彩柄は、山ではNG!

スライド3-300x225 ここでちょっと実験です。迷彩柄とオレンジ色のライト型画像を作りました。これを森の中に入れてみます。
① さあ、あなたはどこに迷彩柄の画像があるかわかりますか?

② 正解は、赤丸のところでした!とてもわかりづらかったですよね。このように、基本的に迷彩色は選ぶべきではありません。迷彩色はカッコイイということで好きな方もいらっしゃるかもしれませんが、この色は自然に溶け込む色です。自然の中では見事なまでに擬態してしまい、遭難してしまったときに発見されにくくなるので避けるべきでしょう。

ハチ対策視点では、黄色や明るいオレンジ色のウェアがオススメ!

イエローのアウトドアウェア画像
出典:楽天市場やまっ子
ハチ視点では黒や黒っぽいもの(色の濃いもの)は避けて考える方が無難です。そのため、黒、茶、紫などの濃い色は除かれます。

同じウェアで冬も使うのであれば、真っ白も雪山では擬態してしまうので避けるべきでしょう。そう考えていくと、水色やピンク色、黄色、明るいオレンジ色などが良いと考えられます。黄色や明るいオレンジ色は、秋の紅葉の時期を除き、夏でも冬でも遠くから良く目立ちます。
2死肉をあさるキイロスズメバチ撮影:西海太介(死肉をあさるキイロスズメバチ)
諸説ありますが、黄色は、スズメバチの攻撃を受けにくかったという実験の一例もあるとか。(もちろん、マーキングを受けなかったことが前提です。)あくまで一つの考え方ですが、皆さんの参考になれば幸いです。


うみ先生の独り言~ヒルはダンスの名人!~



撮影:西海太介(ヒルのダンス姿)
先日、仕事の下見で行った丹沢にてヤマビルに遭遇!皆さん、ヒルってダンスが上手いのご存知でしたか?

ヒルが踊るヒミツは”二酸化炭素”?!

丹沢ヤマビルは、主にシカなどの動物の血液を吸血して生きている生物。そのため、そんな動物の居場所を探知するために、彼らの出す二酸化炭素や熱を頼りにしていると言われています。そのため、息を吹きかけると、それに反応して取り付くべく、相手を探すように身体をくねくねさせて踊るんです!!

視線が痛かったのはナイショです(笑)

ヤマビルの画像出典:PIXTA
下見の当日はあいにくの雨の中。サポートで入ってもらっていた二人の女性スタッフのウェアにヤマビルが歩いていたものを捕獲し、それぞれ息を吹きかけてみたら、こんな見事なダンスを見せてくれたんです。
うみさん撮影:セルズ環境教育デザイン研究所
今回の(なんとなくな)実験では、ホモサピエンスの♂×1、♀×2で、おそらく性別による有意差なく、共に息に反応し、ダンスが観察されました。そんな楽しそうに実験する様子をふと見られた”通りがかりのオジ様”からの視線が痛かったのはナイショの話です。

セルズ環境教育デザイン研究所
【URL】http://bit.ly/29PRay9

 

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西海太介
西海太介

・玉川大学卒 ・元 東京都高尾ビジターセンター 自然解説員 ・元 横須賀市くりはま花の国 副所長 ・元 横須賀市ペリー公園所長2009年から自然ガイドとして携わり、述べ30,000人以上に対し、自然解説を行ってきた。そんななか、過去に不注意により発生したハチ刺傷事故を受けて、ハチ・ヘビ対策を強化・研究。同時に、都市公園の所長・副所長を務める中、野外指導者側の自然生物に対する”誤解のない知識・理解”の必要性を痛感し、現在はフィールドワーカーや学校の先生のための「”ハチ””ヘビ”危険生物対策講座」のほか、児童向けの専門的な「生物学習教室」なども開講、指導。『知的な自然教育プロの養成専門所』として、当所を運営する。

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