COCOHELI 山岳遭難対策制度(ココヘリ) 550万円までの捜索救助を実施 入会金1,100円OFFで申込む

【デザイナーに直撃!】<ザ・ノース・フェイス>のギアは日本の山から進化してるって本当ですか?(2ページ目)

高品質で、多くの人に受け入れられるものを

インタビュー

撮影:PONCHO

「2019年モデルの[エフピー]、そしてその前モデルのPONCHOさんが評価してくれている[エフピーハイブリッド]も、TNFが提唱するファストパッキングを具現化したパックです。軽くて、激しい動きに対応する運動性、背面の通気性を装備しながら、しっかりとした耐久性も併せ持つことを目指しました。ガレージブランドを含めて軽量パックもいろいろと研究しましたが、奇抜というか挑戦的なデザインや機能に偏ると、万人受けはしないだろうと考えました」

MDの門司陽佑さんが、こう続けます。
「ライト&ファスト=軽さと高い運動性に加えて、TNFがつくるギアは、耐久性=タフさを併せ持つことを基本にしています。アウトドアブランドが多くの人に満足、信頼してもらうベースはタフさです。だから素材ひとつとっても、厳しいテストを設け、それをクリアした素材しか使いません。またオリジナルの素材も開発し、より高い品質を目指しています」

日本の山にフィットするパックは、デザインにもこだわった

左が2019年版のテルス35 右が同エフピー35

提供:ゴールドウイン  ※左が2019年版のテルス35、右が同エフピー35

そもそも[エフピー]シリーズを開発したきっかけを問うと、それは現在で4代目となる[テルス]というバックパックが始まりだと知久さんは教えてくれました。

「登山できちんと使える高機能パックを、日本で企画した最初のモデルは[テルス]というパックなんです。ちょうど『山ガール』が注目された2011年、登山人気が再燃していた頃です。それまでのTNFの高機能パックはアメリカ企画の製品が中心でした。そこで日本人に合うフィット性、蒸し暑い日本の山でも快適な涼しさ、さらに雨の多い日本なのでレインカバーを装備、価格はビギナーでも手を出しやすい15,000円くらいのパックということでつくったのが[テルス]です」

その[テルス]は当時のバックパックでは珍しかった、本体とストラップが同色のワントーンでまとめられており、ヒット商品になったそうです。日本のハイカーと山にフィットする機能と、ファッションブランドのデザイナーでもあった知久さんならではのワントーンというアイデアが結実したプロダクトだったといえます。

培った機能をアップデートして生み出すプロダクト

エフピー 背面部分

提供:ゴールドウイン

「[エフピー]の背面に採用した「トランポリンパネル」も、[テルス]の次につくった[カイルス]がはじまりです。アドベンチャーレーサーの田中陽希さんが『名山ひと筆書き』の旅でも愛用してくれて、さまざまなフィードバックをもらい開発しました。
背中に当たる部分にエアメッシュ、本体側に逆Uの字型にアルミフレームを配した背面システムで、トランポリンのようにしなやかに荷重を支え分散、動きに対応。また背中とパックの間に大きな空間をつくってムレを軽減しました」

[テルス]で重視した通気性のよさを、[カイルス]でさらに向上させ、運動性もプラス。ビギナーだけでなくベテランハイカーが長期の縦走等に使えるプロダクトにアップデート。そして[エフピー]ではさらに軽さを装備させ、トレイルランニングやファストパッキングを楽しむアクティブ派に快適さを提供。

世界でも高評価!日本のTNFが世界のTNFへと羽ばたく

知久 健さん 門司陽佑さん

撮影:PONCHO

「日本の山の楽しみ方はどんどん細分化されているので、そのスタイル、ニーズに合ったギアをつくる難しさが、モノづくりの楽しさでもあります。また最近はアメリカ本国やヨーロッパのTNFでもかなり注目され、日本のギアをベースにした商品や、日本のデザイナーがつくったウェアが販売されているんです。日本の山に合わせてつくったギアやウェアですが、それが世界でも受け入れられるようになってきたことは、正直うれしいです

アメリカのアウトドアブランドらしいカラーやデザインにワクワクして、TNFを好きになった人は多いと思います。私もそのひとり。でも[エフピー30]を背負って歩いた時、TNFらしいエッセンスとともに新しさを感じたのは、日本のハイカーと山に合わせたモノづくりがあったからなんですね。それが日本を飛び出して世界からも評価されているとは驚きです!

それでは皆さん、よい山旅を!

2 / 2ページ