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あの人を山で元気にしたい!インドア女子が1年で剱岳に登るまで〜山以外の体験&人との出会いで刺激を与えよう!編〜(2ページ目)

アルパインクライミングの様子

提供:天野和明ガイド(アルパインクライミングの様子)

その頃、石井スポーツ登山学校とご縁が生まれ、校長である山岳ガイド・クライマーの天野和明さんとお仕事をすることになりました。このイベントのWEB広報を担う彼女にその話をしたところ「インタビューしたい」という思いがけない反応が。早速、彼女を伴って天野ガイドのもとに伺いました。

日本人初のピオレドール賞・受賞者が目指す「安全登山を伝える人材育成」

Mt.石井スポーツ登山本店で行われたインタビュー
撮影:washio daisuke(Mt.石井スポーツ登山本店で行われたインタビュー)

天野ガイドは優秀な登山家に贈られる国際的な山岳賞「ピオレドール賞」を日本人として初めて受賞し、ヒマラヤの数々の高峰を「アルパインスタイル」という少数精鋭の高い技術を要求される登山スタイルで踏破してきたクライマー。

そんな桁違いの登山歴を持ちながら、終始おだやかで的確なお話を披露してくださった天野ガイド。壮絶な体験から生まれた「死生観」は“山への向き合い方”を深く考えさせられました。

また、現在の立場で目標に掲げられた「安全登山を伝える人材を育成して行きたい」という想いに、私たちも強く共感したのを覚えています。

齋藤さんの証言
天野さんの言葉で印象的だったのは「喉元過ぎれば熱さ忘れる」でした。
後から振り返るとゾッとするような危険な登攀でも、その瞬間はアドレナリンと最大限の集中力で全身全霊に「今」と向き合う姿勢。

「ピオレドール賞」を受賞したインドヒマラヤ・カランカの登攀も恵まれた天候などコンディションによる“運”の部分も大きく、“実力”という意味では満足できる登攀ではなかったそうです。

天野さんとは全くレベルが違う私の登山ですが、特に危険を伴う岩稜の登山を経験して、後にこの言葉の意味を実感しました。

山のプロから知識や技術を学ぶ場に誘ってみよう!

山小屋サミット

撮影:washio daisuke(2019年5月の山小屋サミットの様子)

私たちのような「インタビュー」は特殊な例ですが、こうした場に登山初心者を連れていくことは普段なかなか話を聴く機会のない「山のプロ」の様々なことを吸収してもらう良い機会になるのではないでしょうか。

・mont-bellフレンドフェア(横浜・大阪で年2回、名古屋で年1回開催)
山小屋サミット(東京で年1回開催)
夏山フェスタ(名古屋で年1回開催)

などの大型登山イベントでは、「山のプロ」によるトークショーが開催されています。
また、各種登山教室の机上講習でも「山のプロ」から登山の知識や技術を直接学ぶことも可能です。
石井スポーツ登山学校 HP

【3】地元を知り尽くしたガイドと発見した「多面的な登山の楽しみ」

山頂 握手
撮影:washio daisuke(山頂でがっちり握手!)

私とばかり登山していても“世界”が広がらないのでは…と考えた時に思い浮かんだのが、他のガイドさんと一緒に登山してもらうこと。

そこで真っ先に思い浮かんだのが、以前から私がお世話になっていた八ヶ岳の麓・長野県原村にお住まいの石川高明ガイド。親子登山・アウトドアクッキング・テント泊など様々な「登山+α」のツアーを企画・引率されています。

地元ガイドならではの知識とおもてなし

北横岳山頂をめざす石川ガイドと齋藤さん

撮影:washio daisuke(北横岳山頂をめざす石川ガイドと齋藤さん)

石川ガイドに案内して頂いたのは、ゆうに百回近くはガイド経験があるという北横岳。雪の下に隠れている神社の存在・北八ヶ岳特有の縞枯れ現象の成因・山頂からの展望の解説などは、その山を知り尽くした地元在住のガイドさんならでは。私と歩くだけでは知ることの出来ない様々な知識を、絶え間なく教えてくれたのです。

休憩中にさり気なくジェットボイルでお湯を沸かし、持参のミルで挽きたてのコーヒーをご馳走してくれたりという「おもてなし精神」も、常に“お客様”を案内しているプロのガイドさんだからこその姿勢。

齋藤さんの証言
その山域に根ざして活動されている「プロ」ならではの知識には、私も圧倒されながら興味津々。
同じ山でも違う人と登ることで、植生・地質や山の歴史などの「発見」を教えてもらい、新鮮な体験ができるということを実感した登山でした。

ガイド登山で新たな発見をしてもらおう!

石川ガイドとの北八ヶ岳登山

撮影:washio daisuke(石川ガイドとの北八ヶ岳登山はブログでもご紹介)
このように、一般登山者だけでは得られない知識や技術を「プロ」として手ほどきしてくれるのが、ガイド登山の魅力。他力本願…とは思わないで、時にはそんな“第三者”の力を借りて、登山の楽しみ方の視野を広げてあげることは重要です。
それぞれのガイドの得意な「テクニック」「山域」に応じて…

・公益社団法人・日本山岳ガイド協会のガイド
公益社団法人・日本山岳協会の指導員
・長野県の山であれば信州登山案内人

などから、自分にあったガイドを探して登山に同行してもらうのも良いのではないでしょうか。
石川高明ガイドが所属する8guide HP大勢の参加者の中の一員にはなってしまいますが、登山ツアーもガイド登山を手軽に体験できる方法としてオススメです。

「登山以外の体験」「第三者との交流」で視野や知識を広げてもらおう!

「鹿の角」に萌える齋藤さん

撮影:washio daisuke(生態系解説のために石川ガイドが持参した「鹿の角」に萌える齋藤さん)

今回私がお伝えしたかったのは、限られた登山の時間や誘う側だけの知識だけは難しい以下のような“刺激”を感じてもらうことの重要性です。

・日常でも体験できるボルダリングでの「無心になれる瞬間」
・登山のプロとの交流による「深く複数の視点から得られる学び」
・自分以外の登山者(ガイド)と一緒に歩く登山による「多面的な登山の楽しみの発見」

自分ひとりで背負いこむのではなく、自分も一緒に「学び」「楽しむ」つもりで、こうした機会を採り入れてみては如何でしょうか。

撮影:washio daisuke(天野和明ガイドとのインタビュー動画)

ライタープロフィール:鷲尾 太輔

鷲尾 太輔さん

撮影:washio daisuke

(公社)日本山岳ガイド協会認定登山ガイド
高尾山の麓・東京都西部出身ながら、花粉症で春の高尾山は苦手。得意分野は読図とコンパスワーク。ツアー登山の企画・引率経験もあり、登山初心者の方に山の楽しさを伝える「山と人を結ぶ架け橋」を目指しています。

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