草鹿教授
山では平地より多くのカロリーを消費します。 例えば、体重60kgの成人男性の1時間あたりの登山における消費カロリーは、500~600kcal程度。つまり、6時間の登りでは、3,000~3,600kcalが必要となります。
ライター三宅
そんなにカロリーを消費するんですか。 フルマラソンで2,500~3,000kcalと言われてますので、山ではそれ以上になるのですね。
草鹿教授
マラソンで「30kmの壁」と聞いたことはありませんか?これは多めの食事などで溜め込めるカロリーが約2,000kcalと言われており、そのエネルギーが枯渇するのがおおよそ30km辺りだからなんですよ。
ライター三宅
なるほど、そういうことだったのですね。では、山では積極的に行動食を摂取しないといけない訳ですね。
草鹿教授
そう、行動食によるカロリー補給は、重要な登山テクニックのひとつなのです。
お奨めは、ナトリウムやカリウムを多く含むナッツ類、ドライフルーツ、梅干し、昆布などの海藻類。そして、即効性のエネルギー源であるおにぎりなどの炭水化物を、水分と共にこまめに摂取する事です。
お奨めは、ナトリウムやカリウムを多く含むナッツ類、ドライフルーツ、梅干し、昆布などの海藻類。そして、即効性のエネルギー源であるおにぎりなどの炭水化物を、水分と共にこまめに摂取する事です。

ライター三宅
つまり、「梅干しや昆布が具のおにぎり」というのは行動食にぴったりということでしょうか?
草鹿教授
そのとおりです。
日本の古 (いにしえ) からの携行食であるおにぎりは、登山において理想的な行動食と言えます。
その他、チョコレートもエネルギーに変換されやすいのでオススメですよ。
日本の古 (いにしえ) からの携行食であるおにぎりは、登山において理想的な行動食と言えます。
その他、チョコレートもエネルギーに変換されやすいのでオススメですよ。
ライター三宅
なるほど、おにぎりって理に適っているんですね。
ところで、ナトリウムやカリウムはどんな効果があるのでしょう。
ところで、ナトリウムやカリウムはどんな効果があるのでしょう。
草鹿教授
ナトリウムやカリウムなどの電解質は、体内の浸透圧調節や神経伝達、筋肉の収縮といった役割を担っていて足攣り対策に効果があるんです。発汗によって失われるため、積極的な補給が必要です。
ライター三宅
行動食として「ナッツ」や「ドライフルーツ」は定番ですが、どういう効果があるのかを知ることで、より上手に摂取できそうですね!
ドリンクにも違いがあることを覚えておこう

ライター三宅
水分補給も非常に重要だと思いますが、ドリンクにもポイントはあるのでしょうか?
草鹿教授
はい、まずスポーツ飲料は「アイソトニック飲料」と「ハイポトニック飲料」の2つ大別されます。「アイソトニック飲料」は人の体液と浸透圧が同じもの、「ハイポトニック飲料」は体液の浸透圧より低い飲料のことです。
運動中はハイポトニックの方が、広範囲の消化管粘膜からの速やかな吸収が期待でき、脱水状態には効果的だと言われています。
運動中はハイポトニックの方が、広範囲の消化管粘膜からの速やかな吸収が期待でき、脱水状態には効果的だと言われています。
また、お茶系はカフェインレスの麦茶などが好ましく、緑茶などはカフェインにより脱水が進むため推奨しません。お茶自体はハイポトニック飲料ですが、電解質や糖類は一切含まないので、何かを食べながら飲むことが望ましいです。
ライター三宅
不足するものを行動食で補うということですね。
飲料摂取のタイミングはどうでしょう? 私はかなり低頻度なのですが…
飲料摂取のタイミングはどうでしょう? 私はかなり低頻度なのですが…
草鹿教授
雨天や寒冷地では水分摂取を怠る傾向にありますが、運動で脱水は進んでいきますので、「コマメ」に意識的に摂るようにしましょう。
ライター三宅
よくわかりました。「ハイポトニック飲料やカフェインレスの麦茶などを意識的にコマメに摂る」ですね!
草鹿教授
しかし1点注意してください。水やお茶が中心の水分補給は体液成分がより薄まり、足攣りやバテに繋がりますので、スポーツ飲料との併飲にくわえ、先に紹介した行動食を摂取するようにしましょう。
トレーニングは日頃の積み重ねが大事

登山中のエネルギー補給を「燃料」とすると、その受け皿である「身体」もとても重要となってきます。 体力があることは、登山の安全性をより向上させることに直結します。どんなことを意識したらいいのか教えていただきましょう。


