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「トラブルは未然に防ぐことが重要」国際山岳医が語るパフォーマンス維持に役立つテクニック

登山中、転倒してしまったことはありますか? 「単なる不注意で…」ということもありますが、疲労やエネルギー不足で歩き方が散漫になることが真因ということも多いのです。 そこで今回、国際山岳医という「山のドクター」に、そんなトラブルを未然に防ぐエネルギー補給のテクニックを聞いてみました。 楽しく安全に登山できるヒントがきっと見付かるはず!

目次

アイキャッチ画像撮影:三宅 雅也

山ではケガやトラブルの「リスク」はつきもの

撮影:三宅 雅也

登山中に「体調不良」や「ケガ」などに見舞われた経験がある方も多いのではないでしょうか。登山の機会が増えれば増えるほど、トラブルのリスク機会も増加します。

筆者も『バテて足運びがヨレヨレ(俗にゾンビ歩き) 』になったことがあり、そんな時はつまづき易くなったり、フラついたりと、思い当たるフシがあります。

大切なのは未然に防ぐこと

転倒などは「単なる不注意」と済まされがちですが、実は、疲労やエネルギー不足によるパフォーマンスの低下で、注意力や足運びが散漫になって起こるということも多いのです。

そこで今回、【山でのトラブルを未然に防ぐ方法】を知るべく、国際山岳医であり「日本登山医学会 認定山岳医委員会」の委員長である草鹿(くさか)教授に、効果的なエネルギー補給のイロハを教えていただきました!

実際に山で起きたトラブル

救助へり

出典:PIXTA

対策方法の前に、実際に山で発生するトラブルについて伺ってみました。

ライター三宅
早速ですが、山でのトラブルって具体的にはどんなケースが多いのでしょうか?

草鹿教授
まず、ケガで見ると、特に下山時の転倒やスリップによる「擦過傷」「挫創(ざそう)」「挫傷(ざしょう)」「骨折」などですね。 部位では「足(足首)」「腕(手首)」「頭部」がメジャーです。

※「挫創」は外出血、「挫傷」は内出血する傷、例外的に「擦過傷」は外出血でも「傷」を用いる


ライター三宅
頭部というのは落石ですか?

草鹿教授
いえ、転倒などによって頭部を打ち出血する「頭皮の挫創」です。 頭皮は想像以上に出血するため、要治療者がパニックを起こし易いんですよ。

ライター三宅
確かに頭部からの多量の出血を想像するだけでめまいがしそうです…
骨折箇所はどこが多いのでしょうか。

草鹿教授
足首や手首の骨折が多いですね。折れた骨が皮膚を突き破る「複雑骨折(開放骨折)」も少なくないです。

体調不良の原因は?

ライター三宅
次に山での病気ですが、どのようなケースがあるのでしょう?

草鹿教授
圧倒的に多いのが「持病」ですね、特に「心臓疾患」や「糖尿病患者」。その他、COPD患者 (慢性閉塞性肺疾患) は高所障害が起きやすく、喫煙習慣があれば禁煙は基本です。

ライター三宅
なるほど、持病のある方は担当医と要相談ですね。
持病がない方の体調不良はどうでしょう?

草鹿教授
主には、脱水症状、疲労、足攣り、低血糖(シャリバテ/ハンガーノック)、前夜の深酒や睡眠不足などがあります。

ライター三宅
これらは持病とは異なり、何らかの対処法はありそうですよね?

草鹿教授
まさにそのとおりです。 登山中の適切なエネルギー補給によって変わってきます

カロリー消費量はフルマラソン以上!?効率的なエネルギー補給方法

登山者

撮影:三宅 雅也

前述のとおり、疲労やエネルギー不足によるバテは、注意力や足運びを疎かにさせトラブルリスクを増加させます。そのためには、身体を動かし続けるために必要なカロリー摂取が重要。
しかし、ただカロリーや水分を摂取するだけでは不十分なんです。効率的にエネルギーを補給するためにはどのような物を選んだらいいのでしょうか。

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