いざ、北アルプスのテント場へ!
下界で張った印象から、アルプスや八ヶ岳などでも林間のテント場ではまったく問題なく使用できるはず。 せっかく検証するなら、やはり3,000m級の稜線のテント場!
そこで今回選んだのが、北アルプスの爺ヶ岳と鹿島槍ヶ岳のあいだにある冷池山荘のテント場です。
ここは剱・立山を望める最高のロケーション。 絶景が広がるテント場=天候によってはリスクになります。
時期は9月下旬、だいぶ冷え込み始め、すでに初氷の観測も。 レビュー時の天気予報は、初日は晴れ、深夜から雨予報で風も少し出るとのことで、絶好の検証日和です。
それでは、早速使用後のインプレッションを紹介していきます!
【ココが良かった!】 期待以上! 軽量さと快適性の“好”バランス
①軽量&携行性
まずはやはり軽量でコンパクトなこと。 写真は楕円状に押し潰し少し広がった状態ですが、スタッフサックが大きめでふわっと収納されているため、ULザック内に押し潰して入れることができます。
ぎっちり遊びなく収納されていると、パッキング時に形状追従性がなく場所をとるので、これはありがたいポイントです。
②広い前室と一体型インナーテント
前室スペースがしっかり確保されており、荷物が置けて煮炊きもできます。
また、形状的にはどちらかというとフロアレスシェルターに近いですが、インナーテント (フロア) があるのはやはり快適。 虫の侵入も防げるので、特に林間のテント場では大活躍しそうです。
③居住性の良さ
そして、なんといってもこの居住性! フロア最大幅120cm、長さ220cmあるため、ゆったり横になれ荷置きスペースも充分。 また、ヘッドクリアランスもたっぷりあり、950gでこの居住性は特筆すべき点です。
④耐水性も問題なし
天気予報どおり、深夜から未明まで数時間にわたり降雨がありましたが、シリコーンコート処理がなされており、撥水スプレーなしでもしっかり水を弾いてました。 シーム部からの雨漏りや浸水もモチロンなし。
⑤ダブルベンチレーションで結露が少なめ

ベンチレーションは足元と頭上の2箇所にあり、ドアパネル面はメッシュのため、換気&空気の循環に優れており、結露は少なめでした。
【ココが気になる!】 スペックだけでは分からなかった盲点
①広い幕営スペースが必要
もっとも難儀したのがテントスペース探しです。 ご覧のとおり右壁がたるんでいますが、テントエリア内に収まり切らず、5cmほど高く盛り上がっている所にペグダウンせざるを得なかったためです。
テント場到着は8番目、この場所がもっとも広めでしたが、縦でおよそ250cmほど、横で210cmのスペースが必要。 テント場によっては場所選びに難儀しますし、早着しないと場所確保に不安があります。
②内側から前室フライのファスナーを閉めるのが大変
前室が広いのはメリットとして前述のとおりですが、実はデメリットも。 内側からファスナーを閉める際、フロア内からは距離があるため大きく身を乗り出す必要があり、ちょっと大変です。
③イヤン、かなり透けます!
フライ部ナイロンは15D (デニール) 繊維で薄地のため、逆光だと写真のようにかなり透けてしまいます。 よって、着替えや身体拭き、くつろぐ際には留意が必要です。
④130cmまで無段階調整が可能なトレッキングポールが必要
メーカー推奨トレッキングポール長は125cmですが、プラス2~3cmほど伸ばすことで、よりパリッと張れました。 そのため、ツイストロックやカムロック (フリックロック) のように無段階調整ができるトレッキングポールが必要です。 ラチェットロックやフォールディング式だと微調整ができません。 また、強度的にカーボン製よりアルミ製が推奨されます。
さて、メリット・デメリットがそれぞれありましたが、この激安テントの山岳使用の是非は…?
【総評】1万円の激安ULテントは…
留意する点はありますが、山でも充分に使えます!
今回の検証では山岳で使えない決定的な課題は見当たりませんでした。耐風性については充分に検証できたわけではありませんが、前述のとおり、稜線や風抜けが良いテント場でも天気と風向きを選んで幕営すればリスク低下ができ、また、林間のテント場の場合は使用にあたり不安はありません。
約1万円という激安さ、そして950gという軽量さでこれだけの快適性を実現している点において、非常に魅力的なテントであり、個人的にはかなり気に入ってしまいました。今後このテントをメインにテント泊を楽しみたいとワクワクしています。
この記事が、居住性の良い激安な軽量テントを探しているネオULハイカーさんの参考になれば幸いです。
それでは皆さま、どうぞ良いハイクを!