【ULギア検証】 なんと1万円!「激安」軽量テントは果たして山岳で使えるのか?!

2019/11/13 更新

世界中に存在する軽量テントのガレージメーカー。 ファストフライだったりフロアレスだったり、はたまたポンチョになったりするアイデアテントも。 それら魅力的なUL(ウルトラライト)テントは、やはりそれなりにお値段もお高い…。 そんな中、Amazonにて約1万円の激安テントを発見! しかも重量=950g。はたして、これは山岳でも使用可能なのか? 気になったら即検証。 激安テントを担いで、いざ北アルプスのテント場へ! 結果はいかに!?

アイキャッチ画像撮影:三宅 雅也

「激安」な軽量テントを発見!

撮影:三宅 雅也 (山泊装備はULスタイルでベースウェイト=3kg)
皆さまはテントをいくつお持ちでしょうか。

テント好きな私は、厳冬期対応テントやULシェルターなど7張の天幕を保有しており、うち3張は1kg以下のULテントです。

世界中のガレージブランド各社が工夫を凝らした個性溢れる軽量テントは、見ているだけでも楽しく、さらに使い勝手を想像するとワクワクしてしまいます。

いまだに定期的にチェックしていますが、今回、「激安」なうえ、とても「使い勝手が良さそう」な軽量テントをAmazonで発見!

3シーズン対応で950g、なんと約1万円!

出典: Amazon (表示価格から5%オフで¥10,354とほぼ1万円!) ※2019/10/24現在
それがこの非自立式モノポールテント「GeerTop Pyramid Ⅱ」。

激安軽量テントの多くは、軽量と謳いながらも 2kg前後のものが多いなか、このテントは950gで確かに軽量です。

GeerTop製 Pyramid Ⅱ はどんなテント?

出典: Amazon
GeerTop社にコンタクトしてみたところ、香港に本社を置く2012年設立のまだ若いガレージブランドとのこと。

中国を生産拠点とし、LAやロンドン、バンクーバー、ハンブルグ、中国に倉庫を持ち、グローバルな製品供給網を構築。 創業者の実経験を通した製品開発と生産を行なっている会社のようです。

そして、このテントのスペックはというと…

 
収容人数1人
重量950g
収納サイズφ11x40cm
生地フライ=15D耐水シリコーンコートナイロン
ボトム=20Dダブルシリコンコートナイロン
耐水圧フライ=PU3,000mm
ボトム=PU5,000mm
ベンチレーション2箇所
前室1箇所 (210L×Max: 90W)
インナーテント寸法210L×Min:60/Max:120×115H
幕営マストアイテムトレッキングポール(目安:125~130L)
ペグ×8(または×6+石×2)
その他大型メッシュサイドポケット×2
吊下げランタンフック×1
 

表記上では、山岳使用を前提としてみても、スペック的に充分。 また、過去にオリジナルテント作製にあたり作図したデザインにそっくりだったため、発見から1分後にはクリック・注文完了していました。

軽量テントはいろいろ引き算されている、気になる実力やいかに!?

撮影:三宅 雅也
前述のとおり多くのテントを所有していますが、やはりいずれも一長一短。

例えば、居住性の悪さ (狭さ)、前室がない不便さ、オールメッシュで寒々しいインナーテント、フロアレスでは降雨時の心許なさや林間での虫の侵入などなど、軽量化と快適性の高水準な両立は困難なため、何かを犠牲にすることになります。

が、このテントはスペック的に、それら不便さの多くをクリアできそうだと思えたことが購入に至る決定打でした。はたして、実際はどうなのでしょうか?


さっそく下界で試し張り、これはなかなか…!

設営は至ってカンタン&スピーディー

撮影:三宅 雅也(左:前方部、右:後方部)
まずはフロア四隅とサイドの計5点をペグダウン。 125cmに伸ばしたトレッキングポール1本をグリップケースに挿入し立ち上げ、テンションを掛けながら前室先端をペグダウン。 その後、頭尾両端の細引きをペグダウンし、足元に付属のショートポールを挿入すれば完成!

撮影:三宅 雅也
最終的にトレッキングポールを128cmまで伸ばしましたが、結構パリッと張れます。 慣れれば3分ほどで幕営できそうです。

安心感の高い居住空間

ニーモのULテント
撮影:三宅 雅也 (NEMO Blaze 2Pはダブル前室で910g、フライと地面には結構なクリアランスがある)
海外製の軽量テントやシェルターは、インナーテントはオールメッシュ、そして、フライ裾と地面には隙間 (クリアランス) が設けられているのが一般的。山岳事情や設計思想が異なり、ロングトレッキング時の幕営で「涼しさ」「風通しの良さ」「結露のしにくさ」に重きを置いているためです。

そしてこの快適性は、日本の厳しい山岳事情では「包み込まれて守られている安心感」というところから少し離れてしまいます。

GeerTop Pyramid Ⅱ
撮影:三宅 雅也
しかし「GeerTop Pyramid Ⅱ」は海外製ながら、メッシュ部分はドアパネル面の1面のみ。 4面メッシュだといまひとつ守られてる感を得られにくいですが、内壁の大部分がソリッドのため安心感を得られるのが嬉しいポイントです。

撮影:三宅 雅也
また、フライが地面とのクリアランスなく幕営できるため、安心感の高い居住空間が確保できるのは高い評価ポイントです。

耐水性・耐風性は未知数

撮影:三宅 雅也
なんとフロアを継ぎ目が横断しています! ちょっと驚きましたが、見る限りではしっかりシームシーリングが施してあり、またフットプリント (グランドシート) を併用すればそう簡単には浸水しなさそう。 余程水捌けの悪い場所でどしゃ降りにならない限り、おそらく大丈夫でしょう。

撮影:三宅 雅也
各部の縫製はほつれもなくしっかりしており、縫い目部分からの浸水の心配もなさそう。 止水ジッパーも品位的に充分に見え、一般的な降雨であればまず問題ないと思われます。

撮影:三宅 雅也(ヘッド部の立ち上がり角度が急なので、風を受け流しにくいかも!?)
最後に耐風性。 過去に暴風でテントポールが折れ小屋に避難した経験があるため、もっとも気になる点です。

ヘッド部の立ち上がり角度が急なのが気になりますが、ピラミッド型で基本的には風を受け流しやすい形状。ストック頂点部分を握りかなり強めに全方位に揺さぶってみましたが、強度の高いアルミ製トレッキングポールの場合、安心感がありました。

試し張りをしてみた結果は好感触。「もしかしたら、アルプスでも使えるのでは…」ということで、早速検証へ向かうことに!


いざ、北アルプスのテント場へ!

撮影:三宅 雅也
下界で張った印象から、アルプスや八ヶ岳などでも林間のテント場ではまったく問題なく使用できるはず。 せっかく検証するなら、やはり3,000m級の稜線のテント場!

そこで今回選んだのが、北アルプスの爺ヶ岳と鹿島槍ヶ岳のあいだにある冷池山荘のテント場です。

撮影:三宅 雅也
ここは剱・立山を望める最高のロケーション。 絶景が広がるテント場=天候によってはリスクになります。

時期は9月下旬、だいぶ冷え込み始め、すでに初氷の観測も。 レビュー時の天気予報は、初日は晴れ、深夜から雨予報で風も少し出るとのことで、絶好の検証日和です。

それでは、早速使用後のインプレッションを紹介していきます!

【ココが良かった!】 期待以上! 軽量さと快適性の“好”バランス

①軽量&携行性

撮影:三宅 雅也
まずはやはり軽量でコンパクトなこと。 写真は楕円状に押し潰し少し広がった状態ですが、スタッフサックが大きめでふわっと収納されているため、ULザック内に押し潰して入れることができます。

ぎっちり遊びなく収納されていると、パッキング時に形状追従性がなく場所をとるので、これはありがたいポイントです。

②広い前室と一体型インナーテント

撮影:三宅 雅也
前室スペースがしっかり確保されており、荷物が置けて煮炊きもできます。

また、形状的にはどちらかというとフロアレスシェルターに近いですが、インナーテント (フロア) があるのはやはり快適。 虫の侵入も防げるので、特に林間のテント場では大活躍しそうです。

③居住性の良さ

撮影:三宅 雅也
そして、なんといってもこの居住性! フロア最大幅120cm、長さ220cmあるため、ゆったり横になれ荷置きスペースも充分。 また、ヘッドクリアランスもたっぷりあり、950gでこの居住性は特筆すべき点です。

④耐水性も問題なし

撮影:三宅 雅也
天気予報どおり、深夜から未明まで数時間にわたり降雨がありましたが、シリコーンコート処理がなされており、撥水スプレーなしでもしっかり水を弾いてました。 シーム部からの雨漏りや浸水もモチロンなし

⑤ダブルベンチレーションで結露が少なめ

撮影:三宅 雅也 (左:足元、右:頭上)
ベンチレーションは足元と頭上の2箇所にあり、ドアパネル面はメッシュのため、換気&空気の循環に優れており、結露は少なめでした。

【ココが気になる!】 スペックだけでは分からなかった盲点

①広い幕営スペースが必要

撮影:三宅 雅也
もっとも難儀したのがテントスペース探しです。 ご覧のとおり右壁がたるんでいますが、テントエリア内に収まり切らず、5cmほど高く盛り上がっている所にペグダウンせざるを得なかったためです。

テント場到着は8番目、この場所がもっとも広めでしたが、縦でおよそ250cmほど、横で210cmのスペースが必要。 テント場によっては場所選びに難儀しますし、早着しないと場所確保に不安があります。

②内側から前室フライのファスナーを閉めるのが大変

撮影:三宅 雅也
前室が広いのはメリットとして前述のとおりですが、実はデメリットも。 内側からファスナーを閉める際、フロア内からは距離があるため大きく身を乗り出す必要があり、ちょっと大変です。

③イヤン、かなり透けます!

撮影:三宅 雅也
フライ部ナイロンは15D (デニール) 繊維で薄地のため、逆光だと写真のようにかなり透けてしまいます。 よって、着替えや身体拭き、くつろぐ際には留意が必要です。

④130cmまで無段階調整が可能なトレッキングポールが必要

撮影:三宅 雅也
メーカー推奨トレッキングポール長は125cmですが、プラス2~3cmほど伸ばすことで、よりパリッと張れました。 そのため、ツイストロックやカムロック (フリックロック) のように無段階調整ができるトレッキングポールが必要です。 ラチェットロックやフォールディング式だと微調整ができません。 また、強度的にカーボン製よりアルミ製が推奨されます。

さて、メリット・デメリットがそれぞれありましたが、この激安テントの山岳使用の是非は…?

【総評】1万円の激安ULテントは…

撮影:三宅 雅也
留意する点はありますが、山でも充分に使えます!

今回の検証では山岳で使えない決定的な課題は見当たりませんでした。耐風性については充分に検証できたわけではありませんが、前述のとおり、稜線や風抜けが良いテント場でも天気と風向きを選んで幕営すればリスク低下ができ、また、林間のテント場の場合は使用にあたり不安はありません

約1万円という激安さ、そして950gという軽量さでこれだけの快適性を実現している点において、非常に魅力的なテントであり、個人的にはかなり気に入ってしまいました。今後このテントをメインにテント泊を楽しみたいとワクワクしています。


この記事が、居住性の良い激安な軽量テントを探しているネオULハイカーさんの参考になれば幸いです。

それでは皆さま、どうぞ良いハイクを!

撮影・文 三宅 雅也 (山岳ライター/長野県自然保護レンジャー)

紹介されたアイテム

GeerTop Pyramid Ⅱ

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三宅 雅也
三宅 雅也

長野県自然保護レンジャー、山岳ライター。 アルプスを中心に、トレランから厳冬期登山まで幅広く活動。 鷲羽-水晶-赤牛岳、槍ヶ岳~笠ヶ岳、荒川三山、中央アルプス主峰全山など、ロング日帰りのスピードハイクを得意とする。 また、キャンピングカーにて、登山と旅を掛け合わせた「外遊び人生漫遊術」を構築中。 スピードハイクの詳細はこちら! ウェブサイトはこちら

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