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「熱成型シューズ」は”登山靴難民”の救世主?テクニカの技術に密着取材(3ページ目)

インソールを熱成型

下がもともとのインソール、上が熱成型されたインソール。僕の足の扁平っぷりが乗り移っています。

さて、できあがったインソールは……。熱を加える前のインソールと比べると、一目瞭然。僕の足裏の形がしっかりとインソールに移されています。僕はかなりの偏平足なのですが、それが見事に再現されていますね。
一番わかりやすい部分で説明すれば、もともとのインソールでは高かったアーチの部分。ここが、見事に低くなっていました。

歩いているうちにアーチがつぶれやすい偏平足は疲れやすく、スポーツ向きではないことは多くの人に知られる事実で、その足で一生懸命に山を歩いている自分自身がいつもかわいそうになります。でも、このように僕のアーチに合うインソールであれば、これ以上はアーチがつぶれず、疲れにくいはず。
インソールだけでも作ってもらう甲斐はあるというものです。

アッパーの成型

先ほど熱成型し終わったインソールをフォージ内部に戻し、足を入れます。

インソールの熱成型が完了すると、次は真打ともいえるシューズのアッパーに移ります。といっても、基本的な流れはインソールの製作と一緒。
インソールを戻したフォージに足を入れ、靴ごと圧をかけていきます。

 

インソールと同じ工程になります
フォージを履いたまま、同様にエアーサックの中へ。空気の圧力をかけて、3分待ちます。

フォージのアッパーで熱成型して足の形に合わせられるのは、足首からかかと、そして足の両サイドです。つま先部分は登山靴として使いやすいようにラバーで強化していることもあり、熱成型されるパートではありません。
そのため、足先の形状は合わせきれず、外反母趾などには対応していません。

それでも、他の部分がしっかりと合っていれば、足先にかかる負担は減るので、人によっては間接的に効果が発揮されるかもしれませんね。

ついに完成!

20分で完成

僕のフォージが「生まれる」瞬間。わずか20分で僕以外の人の足にはあまり合わない、まさに僕専用の登山靴になりました。

さて、最初のインソールへの加熱から計算すると、計20分。とうとうフォージのアッパーの熱成型も完了しました。
つまり、これで完成!
最後にエアーサックから足を取り出すときは、思わず「生まれる~」などと小声でつぶやいてしまいました。

ホカホカのフォージ

まだホカホカのフォージを履いたまま、オフィスの一角を歩きまわってみましたが、やはりなんだかよさそうです。

専用フォージが完成!あとは山で使うのみ

自分だけの専用フォージ
とうとう姿を現した僕専用のフォージ。外観は他のフォージと同じですが、内部の形状が僕の足そのものになっているはずです。

実際、オフィス内を歩いているだけでも、フィット感のよさは体感できました。

しかし、実際の山ではどうなのか?
これまで僕が履いてきた登山靴とは、どう違うのか?
フォージには熱成型以外にもおもしろい特徴があるのも、見逃せません。

アフターケア
それにしても、エアーサックで足に圧力をかけるのはおもしろい体験でした。病院では空気で圧力をかけて計測する血圧計を使いますが、あれと似た感覚が足首よりも下の全体で味わえるのです。なんとなく気持ちよくて、ちょっとクセになりそうです。

じつはフォージの熱成型は、アフターケアとして何度でも「焼き直し」が無料で行なえます。そのために「毎月のようにフィット感の調整をしているユーザーさんもいらっしゃいますよ」とのこと。毎月でなくても「1年に1回くらいは焼き直すのがおすすめ」と浅野さんはおっしゃっていました。

そもそも、フォージの価格は35,900円。似たタイプの登山靴に比べれば、少し高いかもしれませんが、専門の知識を身に着けたショップスタッフが時間をかけて熱成型してくれることを考えれば、まったく高価とは思えません。しかも何度でも焼き直ししてくれるんですから、むしろ安い気がします。C.A.S.フットウェアキットとともにフォージを扱っているショップは、全国に現在40店ほどあるそうですよ。

そんなわけで、近いうちに改めてフィールドでの使用感をレポートする予定です。

文:高橋庄太郎、撮影:YAMAHACK編集部

 

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