【1】寒さ&強風
冬山は非常に寒いです。「当たり前だろ!」とツッコミがきそうですが、この寒さ対策というのは非常に切実です。特に冬山で意識したいのは、耳や手足の指といった“末端”の冷え対策。顔や胴体、脚などと異なり、これら末端は運動時も温まりにくいため、手袋や帽子などで冷えから意識的に守る必要があります。
また、夏山と違い、強い風にさらされるのも当たり前。山頂まで樹林帯が続く山であれば話は別ですが、森林限界に出るようなルートの場合は必ず準備が必要。風速1mにつき、体感温度が1度下がると言われていますよね。
実は、体温を維持するためには、「寒さ対策」以上に「強風対策」が重要なのです。
【2】雪&氷上の歩行
夏でも場所によっては雪渓を歩くようなことがありますが、フカフカの新雪の上を歩いたり、カチカチの氷上を歩くのは冬山ならではでしょう。
ピッケル・アイゼンワークなど、冬山特有の技術が求められる楽しさはありますが、そこには必ず転倒や滑落といった危険が伴います。対応できる装備を整え、その上でしっかりと使いこなす「技術」を身につけましょう。
【3】強い紫外線
冬の紫外線対策は夏以上に気を使いましょう。なぜなら、空からの太陽光だけでなく、雪面からの照り返しが加わるためです。
肌の日焼けは内臓への負担となり余計な疲労の蓄積につながりますし、晴れた日に裸眼で登山をするとあっと言う間に「雪盲(網膜の日焼け)」になります。雪盲になると登山どころか日常生活にも支障をきたしますので、絶対に防がなければなりません。
【1】寒さ&強風|レイヤリングで柔軟に対応しよう!
レイヤリングは、登山における基本的であり重要な技術の一つ。その重要性は夏も同じですが、冬はよりシビアになります。夏以上に小まめな衣類調整を心がけましょう。
レイヤリングの基本は「寒くもなく、暑くもない」状態をキープすること。寒さが体温低下に繋がるのは言わずもがなですが、暑すぎて余計な発汗をすると、休憩時に風で急激に冷え、体温低下に繋がります。
山に持参できるアイテム数は限られてきますので、その中からアイテム同士の組み合わせであらゆるコンディションに対応するのが理想です。なお、アイテムの素材は基本的に化繊かウール素材を選ぶこと。速乾性に劣る綿やレーヨンなどは厳禁です。
レイヤリングの基本(ベースレイヤー・ミドルレイヤー・アウターレイヤー)
服装は「ベースレイヤー」「ミドルレイヤー」「アウターレイヤー」の3レイヤーの考え方が基本。トップス、ボトムス共に同様の考え方でOKです。
▼ベースレイヤー
▼ミドルレイヤー
▼アウターレイヤー
頭部の防寒(ニット帽やバラクラバ)
まずはニット帽があれば問題ないでしょう。耳まで覆えるものがベター。ここにハードシェルジャケットのフードを組み合わせることで、多くの状況に対応できます。
顔の大部分を覆えるバラクラバも持っていると便利。積雪のそれほど多くない山であっても、急な吹雪に見舞われることもあります。1,000円程度のネックウォーマーでもいいので、いざという時のために携行しておくと安心です。
手先の防寒(グローブ)
手先の防寒についても、ウエアのレイヤリングと考え方は同じです。保温性の高いライナーとセットになったシェル素材のグローブも多数販売されています。
▼ベースレイヤー
▼ミドルレイヤー
▼アウターレイヤー(オーバーグローブ)
指先の防寒については、濡れは厳禁。日帰りでも予備の手袋を必ず準備しておきましょう。
足の防寒(登山靴・靴下)
足については行動中の小まめな衣類調整ができません。このため、目的の山に応じたアイテム選定が重要です。
積雪が少なければ3シーズン用の登山靴でも問題ないこともありますが、可能な限り保温性のある冬山対応の登山靴を用意しましょう。
また、靴下はしっかりと厚みのある、ウールの靴下がベスト。ウールであれば汗で多少濡れても暖かさは損なわれにくく、快適です。
【2】雪&氷上の歩行|目的地のコンディションに応じて準備しよう!
本格的な冬山登山において、ピッケルやアイゼンを使わないことは考えられません。これらの装備なしには、固く締まった雪面や氷の上、急斜面を安全に歩行することが困難な場面も多く、使いこなすには訓練が必要です。
とはいえ、場所によってはこれらの装備が不要な場合もあります。目的の山のコンディションと相談して持参するか否かを決定しましょう。