転びやすいザレ場・ガレ場を安全に歩く極意、山岳ガイドに教わりました!

2019/07/19 更新

登山中に、ザレ場やガレ場でズルッと滑って「ヒヤリ」とした経験ありませんか?いつか大事故につながる可能性も否定できません。そこで今回は、山岳ガイドの上田さんにザレ場・ガレ場の歩き方を実演して教えてもらいます。正しい歩き方をマスターしてもっと登山を安全に楽しみましょう!


アイキャッチ撮影:YAMA HACK編集部

ザレ場・ガレ場=転びやすいのには理由があります

撮影:YAMA HACK編集部
登山中のヒヤリハット事例が多い場所が、ザレ場やガレ場。「ザレ場の下りで滑って転んだ」「ガレ場で浮石を踏んで、バランスを崩した」なんて経験をしたことありませんか?
足元が不安定な山道の中でも、ザレ場・ガレ場では特に足を取られやすく安定して通過することが難しいもの。でも、正しい歩き方をマスターすれば、思わぬ「ヒヤリハット」に遭遇することが少なくなるんです。
今回は山岳ガイドの上田幸雄さんと、上手く歩けない原因を探りながら正しい歩き方を学んでいきましょう。

教えてくれたのは、山岳ガイド・上田 幸雄さん

撮影:YAMA HACK編集部

日本山岳ガイド協会公認 山岳ガイドステージ2、国立登山研修所、国際自然環境アウトドア専門学校 講師。剣岳、穂高をメインに中部山岳をオールシーズンガイド。

そもそも、ザレ場・ガレ場ってどんなとこ?

「ザレ場・ガレ場」とひとまとめにしてよく耳にしますが、同じものではありません。それぞれの特徴を知ることで、より適切な歩き方をすることができます。

砂や小さな岩屑によって滑りやすい・ザレ場

ザレ場
撮影:YAMA HACK編集部
ザレ場とは数センチ大の岩屑や小石、砂を敷いたような場所のこと。傾斜はさほど急ではない場合が多く、火山の火口周辺や、花崗岩などの岩盤が露出した山に見られます。小石や砂で構成されているため、足を取られてズルズルと滑りやすくなっています

不安定な石が積み重なっている・ガレ場

ガレ場
撮影:YAMA HACK編集部
岩がゴロゴロと積み重なった場所をガレ場と言い、沢や谷の最上流部、尾根に達する場所や高山の稜線に多く見られます。大きさの異なる石が積み重なっているため、とにかく足場が悪く、特にグラグラと動く石は「浮石」と呼ばれています
矢印など登山道で目印がある部分は登山者が多く通るため、比較的足元が安定していることが多いのですが、コースを外れてしまうと極端に不安定になる場所もあるのです。

ザレ場では「体幹」を安定させフラットに歩くべし!

まずは、ザレ場の歩き方から見ていきます。最初にNG例をチェックして、気をつけるポイントを知り、正しい歩き方をマスターしましょう。

ザレ場の上りは「体幹」をしっかり垂直にすれば安定する!

❌ NG!
撮影:YAMA HACK編集部
滑る恐怖心からかつま先に余計な力が入り、結果的に滑る要因となっています。目線も下がりすぎていて、つんのめった歩き方で見ているだけでハラハラします。
<NGポイント>
・つま先に余計な力が入っている
・前のめりの姿勢で、重心がズレている
・目線が足元を見すぎている
⭕️ OK!
撮影:YAMA HACK編集部
基本的に、膝から上の上体が常に垂直に立っていて、姿勢がブレていません。また、目線を進行方向にしっかりと向けています。一歩一歩、靴底をフラットに置き、足裏全体を使って歩いています。

撮影:YAMA HACK編集部
膝から上の上体を常に垂直に保つことで、足裏のセンターに荷重をきちんと乗せることができます。靴底全体で地面を捉え、まっすぐ荷重して登れば滑ることもありません

上田ガイド
体幹が安定した状態で歩くことが、滑らず上手く歩くためのコツ。また、歩幅は普段より狭くすることで安定します。これは、ザレ場・ガレ場において共通したポイントです!

下る時も、足裏全体で地面を捉えることが大切

❌ NG!
撮影:YAMA HACK編集部
踵に力が入っていしまい、ズルズルと滑り降りている状態です。こういった歩き方は落石を引き起こす原因にもなりかねません。

撮影:YAMA HACK編集部
<NGポイント>
・足裏全体で地面を捉えられていない
・腰が引けた「へっぴり腰」になっている
・踵から着地してしまっている
⭕️ OK!
撮影:YAMA HACK編集部

歩幅を狭くし、足裏全体で着地するように下りていきます。怖いからといって、腰が引けてしまうと踵に力が入り、余計に滑りやすくなってしまいます。両膝を少しだけ曲げ、踏み込む場合には踵を突き刺すようにして、しっかりと歩きましょう。靴底の中心に重心を置いて、足裏全体を使うと歩きやすいですよ。

上田ガイド
傾斜が増した場合は、後足に体重をかけたまま前足を着地してから体重移動を心がけると滑りにくくなりますよ!

ガレ場では浮石を踏まないことが鉄則!

続いて、ガレ場の歩き方を見ていきましょう。ガレ場では上りも下りも歩き方のポイントは共通しています。また、ルートを外れると足場が極端に不安定になるので、矢印などの目印がある場所はそれに従いましょう。

上りも下りも集中力をキープ!

❌ NG!
撮影:YAMA HACK編集部
歩幅が大きく、足を踏み込んだ際に、片足に体重がかかりすぎて不安定な状態。上半身がぐらつき、足元がズルッとなってしまった、バランスの悪い歩き方の典型的なパターン。浮石を無理やり踏みつけているので、非常に危険です。
<NGポイント>
・歩幅が大きすぎる
・浮石を無理やり踏みつけている
・体幹がズレていて、バランスが不安定になっている
⭕️ OK!
撮影:YAMA HACK編集部
身体を前傾気味にして踏みつけた石を上から下へ押さえるように、じわりと体重を乗せましょう。傾斜に対して靴先を真っ直ぐ下に向け、テンポよく小股で歩いていきます。
上田ガイド
ガレ場では上りも下りもとにかく浮石を踏まないということが重要です。

こんな時どうしたらいいの?トラブルQ&A

出典:PIXTA
基本の歩き方以外にも、ザレ場やガレ場でのトラブルにはどう対処したらいいのでしょうか?上田ガイドに相談してみましょう。

特に下山時に、浮石を踏んでバランスを崩しがちです。原因と対処法を教えてください。

上田ガイド
下山時には、これまでの登山の疲労が蓄積し、集中力が低下していることが考えられます。また下りは視線の位置や角度の関係上、浮石を視野に捉えにくくなります。最後まで集中力を切らさずにしっかりとルートを捉えて下りましょう。

ガレ場が続くと、つま先が圧迫されて痛くなってしまいます。防ぐ方法はありますか?

上田ガイド
ガレ場・ザレ場だけでなく下りではつま先に加重がかかりやすくなるので、どうしても痛くなりがちです。靴の中で足が遊んでいると、靴の中で足がずれてつま先に負担がかかるので、靴紐をしっかりと絞めておくと改善されるはずですよ。

歩き方を極めて、ザレ場・ガレ場に強くなろう

出典:PIXTA
登山をしていれば、ザレ場・ガレ場は避けては通れないもの。それでも、そこを乗り超えると、充実感や達成感、素晴らしい絶景のご褒美が待っているのが登山の醍醐味。ぜひ、安全な歩き方を身につけて、より登山を楽しんでくださいね!

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高橋 典子
高橋 典子

ハイクとキャンプをこよなく愛するフリーライター、高橋です。次はどこに行こうか地図を眺めるのが日課。人生のモットーは自由であること!

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