目次
ザレ場・ガレ場=転びやすいのには理由があります

足元が不安定な山道の中でも、ザレ場・ガレ場では特に足を取られやすく安定して通過することが難しいもの。でも、正しい歩き方をマスターすれば、思わぬ「ヒヤリハット」に遭遇することが少なくなるんです。
今回は山岳ガイドの上田幸雄さんと、上手く歩けない原因を探りながら正しい歩き方を学んでいきましょう。
教えてくれたのは、山岳ガイド・上田 幸雄さん

日本山岳ガイド協会公認 山岳ガイドステージ2、国立登山研修所、国際自然環境アウトドア専門学校 講師。剣岳、穂高をメインに中部山岳をオールシーズンガイド。
そもそも、ザレ場・ガレ場ってどんなとこ?
「ザレ場・ガレ場」とひとまとめにしてよく耳にしますが、同じものではありません。それぞれの特徴を知ることで、より適切な歩き方をすることができます。砂や小さな岩屑によって滑りやすい・ザレ場

不安定な石が積み重なっている・ガレ場

矢印など登山道で目印がある部分は登山者が多く通るため、比較的足元が安定していることが多いのですが、コースを外れてしまうと極端に不安定になる場所もあるのです。
ザレ場では「体幹」を安定させフラットに歩くべし!
まずは、ザレ場の歩き方から見ていきます。最初にNG例をチェックして、気をつけるポイントを知り、正しい歩き方をマスターしましょう。ザレ場の上りは「体幹」をしっかり垂直にすれば安定する!
❌ NG!
<NGポイント>
・つま先に余計な力が入っている
・前のめりの姿勢で、重心がズレている
・目線が足元を見すぎている
⭕️ OK!


上田ガイド
体幹が安定した状態で歩くことが、滑らず上手く歩くためのコツ。また、歩幅は普段より狭くすることで安定します。これは、ザレ場・ガレ場において共通したポイントです!
下る時も、足裏全体で地面を捉えることが大切
❌ NG!

<NGポイント>
・足裏全体で地面を捉えられていない
・腰が引けた「へっぴり腰」になっている
・踵から着地してしまっている
⭕️ OK!

歩幅を狭くし、足裏全体で着地するように下りていきます。怖いからといって、腰が引けてしまうと踵に力が入り、余計に滑りやすくなってしまいます。両膝を少しだけ曲げ、踏み込む場合には踵を突き刺すようにして、しっかりと歩きましょう。靴底の中心に重心を置いて、足裏全体を使うと歩きやすいですよ。
上田ガイド
傾斜が増した場合は、後足に体重をかけたまま前足を着地してから体重移動を心がけると滑りにくくなりますよ!
ガレ場では浮石を踏まないことが鉄則!
続いて、ガレ場の歩き方を見ていきましょう。ガレ場では上りも下りも歩き方のポイントは共通しています。また、ルートを外れると足場が極端に不安定になるので、矢印などの目印がある場所はそれに従いましょう。上りも下りも集中力をキープ!
❌ NG!
<NGポイント>
・歩幅が大きすぎる
・浮石を無理やり踏みつけている
・体幹がズレていて、バランスが不安定になっている
⭕️ OK!

上田ガイド
ガレ場では上りも下りもとにかく浮石を踏まないということが重要です。
こんな時どうしたらいいの?トラブルQ&A

特に下山時に、浮石を踏んでバランスを崩しがちです。原因と対処法を教えてください。
上田ガイド
下山時には、これまでの登山の疲労が蓄積し、集中力が低下していることが考えられます。また下りは視線の位置や角度の関係上、浮石を視野に捉えにくくなります。最後まで集中力を切らさずにしっかりとルートを捉えて下りましょう。
ガレ場が続くと、つま先が圧迫されて痛くなってしまいます。防ぐ方法はありますか?
上田ガイド
ガレ場・ザレ場だけでなく下りではつま先に加重がかかりやすくなるので、どうしても痛くなりがちです。靴の中で足が遊んでいると、靴の中で足がずれてつま先に負担がかかるので、靴紐をしっかりと絞めておくと改善されるはずですよ。
歩き方を極めて、ザレ場・ガレ場に強くなろう
