高所恐怖症なのにエベレストに登頂した登山ガイドの岩田京子さん、成功の鍵は”イマジネーション”?(2ページ目)

編集部 大迫
エベレストを登るために、どんなトレーニングしたんですか?低酸素ルームでひたすらダッシュみたいな?

低酸素室のトレーニング

出典:いらすとや(編集:YAMA HACK編集部 低酸素室でのトレーニングのイメージ)

岩田ガイド
そこまで特別なことはしてないです。(笑) エベレスト登山の遠征ではベースキャンプへ歩いて行ったりなど、長期間の滞在になるので、まずは体調管理。基礎体力も落ちないようにしないといけないんですけど、そこは仕事でガイドをやっていて山に入るので大丈夫でした。

あと、仕事以外で空いた日がある時は全部山に行って、少しだけ速いペースで歩いて息を上げながら歩きましたね。


編集部 大迫
そこまで特別なことはしないんですね。

岩田ガイド
あと、ミウラ・ドルフィンズの低酸素施設も少し使わせてもらいました。それはトレーニングというよりは、確認という感じで。

編集部 大迫
どういうことですか?

岩田ガイド
3,000m、4,000m、5,000mなどの酸素の状態を体験することで「そういえばこんな感じだったな~」と、体に感覚を思い出させるような感じですね。事前に体験しておくと、パニックにならずにすみますから。

「イメージできないことは、成功しない」

エベレスト登山の様子

提供:岩田ガイド(氷がつるつるに凍ってしまっている。)

岩田ガイド
今回、エベレストとローツェ(エベレストの隣の山)に登ったんですが、エベレストは情報がたくさんあるので登るイメージができてたんですけど・・・。ローツェの方はエベレストに比べると少なくて、なかなか登頂のイメージができなかったので、出発直前までローツェに登ったことがある人に話を聞いて情報を集めました。

編集部 大迫
普通の登山でも、しっかりコース情報を集めて予習することは大切ですもんね。8,000m級の山ともなると、少しの判断ミスが命に関わるでしょうし、成功イメージを持つための情報収集はより大事になりますね。

岩田ガイド
そうですね。これはどんな登山にも共通すると思いますよ。ちょっとした岩場を登る時も、どうやって足を置けばよいのかなどを瞬時にイメージしているんです。なので、自然にイメージできるように情報収集は大切ですね。

編集部 大迫
エベレスト登山から自分でも活かせることがあるなんて、なんだかちょっと感動しちゃいます。

”高所恐怖症”の岩田ガイドが世界一の山を登るためにやったこと

エベレスト登山

提供:岩田ガイド(高度感も相当なもの)

頑張らないとクリアできないかな?という登山を成功させるのも一つの楽しみ。実は岩田ガイドは高所恐怖症。いったいどうやって「世界で一番高い山」の恐怖を克服したのでしょうか。

編集部 大迫
岩田ガイドって、高所恐怖症でしたよね。どうやってあんな高いところ克服したんですか?

岩田ガイド
ふふふ。エベレストに登っている時に、きっと高い所で怖がってパニックになったり、必要以上に酸素使っちゃったりって思ってたんです。なので、日本でも足がすくみそうな場所に行きました。ジャンダルム※1とか不帰ノ嶮(かえらずのけん)※2とか。

※1:北アルプスの奥穂高岳の西南西にある岩稜。ドーム型の特徴的なカタチをしている。
※2:北アルプスの白馬岳と唐松岳の間に位置する、岩稜帯。高度差のある岩場を長時間緊張して進むエリア。

編集部 大迫
まるで北アルプス難所ツアーですね。(笑) 以前、登山ガイドなのにガイドさんを雇って登ったっておっしゃってましたね。

岩田ガイド
「やりにくいよ!」と言われましたが、そのおかげで安心してトライできました。そういった練習の成果もあって、エベレストではそれほど恐怖を感じることなく登れました。

しっかりと自分を知ることが大切

岩田ガイド

撮影:YAMA HACK編集部

編集部 大迫
僕もかなり高所恐怖症なので高い所に行くと、必要以上にびびって体力消耗しちゃうんですよね。それに事前に調べていても、前日の雨で突如ルートが難しくなることもあるじゃないですか。

岩田ガイド
ありますね。一つ言えるのは、マイナスのイメージを持つことは先にあるリスクを想像できているということだから、いざという時はそういう人のほうが対処できたりすることもあるんですよ。

編集部 大迫
そうなんですね。克服できないにしろ、多少マシにする方法はないですかね?

岩田ガイド
自分がどうやったら怖くないのかを理解しましょう。

編集部 大迫
具体的に言うと?

エベレスト登山

提供:岩田ガイド(ロープて繋げられたはしご。なんとも頼りないが、これがあるのとないのとでは大きく変わる)

岩田ガイド
私、脚立の上に登るのも怖いんですよ。(笑) でも、足だけじゃなく脚立を手で持ちながら登ると少し怖さが和らいだり、さらに脚立にしがみついてると怖さもマシになります。

編集部 大迫
それだと動けないですけどね。(笑)

岩田ガイド
確かに。(笑)でも、しがみついている間に「大丈夫、大丈夫」と呪文を唱えて、気持ちを落ち着かせてました。

編集部 大迫
でも、そうやって自分の怖いと感じる気持ちをどうやれば和らげられるのかを知っておくと、そういった場面に出くわした時もパニックにならずに対処できるということですね。

岩田ガイド
そうそう。「自分はいろいろやったから大丈夫!」と思うと、怖いけどしっかりと足に体重をかけられるようになるので、安定するんですよ。場数を踏んで、”大丈夫”をイメージできるようにするのが良いですね。私も事前に北アルプス難所ツアーをやったので「自分は行ける!」と思えたのは、エベレスト登頂というチャレンジの成功にも大きかったと思います。

『チャンスがあればいつでも飛びつきたい!』

岩田ガイド

「小さい頃、いろんなことを我慢して諦めていた反動ですよ~」と終始笑顔でエベレストの話をしてくれた岩田ガイド。

長い登山遠征期間中のスタッフや現地の人たちとの交流が登山の楽しみのひとつだそう。そういった現地の人とのコミュニケーションや現地の空気、雰囲気を感じることで、単にピークハントをするだけよりも「山に登らせてもらうこと」がより楽しくなるそうです。

「エベレストに登った人」というと、なんだがすごく特別な存在に感じますが、岩田ガイドの持つほんわかとした雰囲気はいい意味でそれを感じず、楽しくエベレスト登山の話を聞くことができました。そして「チャレンジできるチャンスがあれば、諦めずに飛びつきたい!」という言葉からも分かる通り、まだまだいろんな景色を見せてくれそうです。

岩田ガイドの遠征のブログが読みたい方はこちら

岩田ガイド

撮影:YAMA HACK編集部(取材終了後、YAMA HACKオリジナルシール(実は防水仕様)をお渡ししたところ、いつも使ってくれている水筒に貼ってくださいました)

岩田ガイドのブログ

岩田ガイドからエベレストの景色を共有してもらいました

エベレスト山頂からの景色

提供:岩田ガイド(貴重なエベレスト山頂からの景色)

雪が溶けて上の岩だけが残っている状態

提供:岩田ガイド(下の氷(雪)の部分だけが溶けて、上に乗った石が取り残されている不思議な様子)

ベースキャンプのトイレ

提供:岩田ガイド(トイレ。大と小のトイレは別なので、同時に用をたすことはできない。意外と難しそう。)
エベレスト登山の様子
提供:岩田ガイド(高度5,000m以上のエリアでこんな壁を登るなんて、かなりハード。)

この記事を読んだ人は、こんな記事も読んでいます。

2 / 2ページ