山の知識検定

山好きなら受けておきたい「山の知識検定」とは。難易度はどのくらい?

近年登山者の間で話題の「山の知識検定」について詳しく解説します。山や花、道のことなど知れば知るほどに楽しい登山ですが、普段気づかないリスクが多く潜んでいるのもまた事実。あなたは、いざという時に正しい判断をくだせますか?自分に足りない知識を改めて知ることで、山の知識を深めるきっかけになれば、これまで以上に安全に楽しく登山をすることができますよ。

山のこと、どのくらい知ってる?

登山を楽しむ女性

出典:PIXTA

あなたは「山に関する必要な知識はある?」と聞かれて自信を持って答えられますか?

実際、人気な山であれば、麓から登山道を歩いて登頂するのに専門的な技術や知識は必要ないことがほとんどです。

でも、その山にしか咲かない花のことを知っていたり、その山が舞台の小説を読んだりしていたら、きっと山登りが以前にも増して楽しくなるのではないでしょうか?

一方で、山というのは一歩間違えれば命を落とす油断できない場所でもあります。「もしも」のときに正しい判断ができるでしょうか?

今回紹介する「山の知識検定」は、登山者に必要な山の知識を学び、遭難事故防止や自然を守って楽しく登山をすることを目的に毎年開催されている検定です。

登山をする上で必要な知識の幅は多岐にわたりますが、受験することで自分の知識の幅や深さを知ることができ、自分が今なにを身につければよいのかを知ることができます。

検定コースは3種類

ライセンス一覧

全部で3種類のライセンスが用意されており、難易度の易しい順に、ブロンズ、シルバー、ゴールドが用意されています。ゴールドコースはシルバーコース合格者のみが受験することができるため、初回はブロンズコースかブロンズとシルバーの同時受験のどちらかを選ぶことになります。

それぞれのライセンスは下記を目標の目安として設定されています。

《ブロンズ》
パーティーの一員にふさわしい自立した登山者を目指す

《シルバー》
春山から秋山さらに初級の雪山経験者、自ら登山計画を立てて実行できる、初心者に山の知識を教えられる登山者を目指す

《ゴールド》
パーティーを編成しリーダーとなれる、パーティーメンバーに対し山の知識を体系的にかつ理由や背景もふくめて教示できる登山者を目指す

攻略のコツは?

山の知識検定
2018年に実施された第8回山の知識検定では、実はYAMA HACK編集部員も受験済み!無事、全員ブロンズ以上に合格することができました。

山の知識検定の勉強法としては、実際に多くの山を登り、山のこと、マナーや技術の知識をバランスよく身につけるのが一番ですが、それらの情報が体系立てて載っているテキストを購入しておくと、効率よく勉強することができます。

日本山岳検定協会 山の知識検定公認ブック 新装版『安全登山の基礎知識』

ブロンズコース受験のコツ

登山歴が1年以上あり、自身で計画をたてられるような方であれば、多くの方に合格の可能性があります。地形図や天気図をみて地形や天気の移り変わりをある程度理解できること。百名山や日本アルプスの山々を中心として全国の山の場所を大まかに把握すること。そして、緊急時の行動や基本的なマナーなどを理解できていれば良いでしょう。

シルバーコース受験のコツ

複雑な地形の読図や植物の特徴、全国の山の位置関係など、ブロンズコースよりも難易度が大幅にアップ。得点もブロンズより20点ほど下がると考えて良さそうです。

このコースは登山歴数年以上でかつ、単に登山をするだけでなくしっかりと下調べをし、地図や天気図、植物の知識をバランスよく持っていないと合格は難しそうです。

ゴールドコース受験のコツ

実は、編集部もまだ未挑戦の領域。山の位置関係や植物の名前だけでなく、コースの詳細情報や植物の特徴など、シルバーコースから更に深掘りをした高難易度の問題がメインとなります。普段から基本的な知識や技術は当然に身につけながら、全国の山岳地帯を一通り歩く実体験がないと表面的な机上の知識だけではなかなか合格するのは難しそうです。

【ブロンズ&シルバーコース例題】 実際に出題された問題に挑戦!

第8回の試験で出題された問題からいくつかを抜粋しました。是非チャレンジしてみてください。

Q1.  12万5千分の1地形図の滝記号が表示されるのは落差がある高さ以上と決められているが、その高さを選びなさい。 【ブロンズコース】

①1m
②5m
③20m
④30m

 

 

 

 

正解は……②5m

滝記号は、ふつう高さが5m以上で、いつも水が流れている有名な滝や好目標となるときを表示する。滝の幅が20m未満のものは滝(小)、幅が20m以上のものは滝(大)で表示する。

Q2. 富士山の標高を選びなさい。【ブロンズコース】

①3876m
②3776m
③3767m
④3267m

 

 

 

 

正解は……②3776m

富士山の最高地点となる剣ヶ峰の標高は3776m。

Q3. ヨーロッパの最高峰であり、各大陸の最高峰であるセブンサミッツにも認定されている山を選びなさい。【ブロンズコース】

①デナリ
②マッターホルン
③エルブルース
④モンブラン

 

 

 

 

正解は……④モンブラン

エルブルースはロシアの火山で、黒海とカスピ海の間に伸びるコーカサス山脈の一峰でもあり、標高は5642m。モンブランはヨーロッパアルプスの最高峰で4811m。マッターホルンはヨーロッパアルプスで最も人気の高い山で標高は4478m。デナリは北米最高峰であり、旧名はマッキンリー。

Q4. 日本山岳会が作成した「山のマナーノート」に記述されている登山道のすれ違いについて、基本的なマナーを選びなさい。【ブロンズコース】

①登り優先
②下り優先
③荷物の大きな方を優先
④女性を優先

 

 

 

 

正解は……①登り優先

すれ違いは基本的にのぼり優先となるが、登りの人は体力の負担が大きいので自分のペースを守ることも大切である。下りの人は周囲の様子がよく見えて対応しやすいのが大きな理由だが、道をゆずるときは安全な場所で山側によるようにしたい。また、休むときはじゃまにならないところで行うことがマナーである。

Q5. 登山中の休憩のとり方で好ましくないと思われるものを選びなさい。【ブロンズコース】

①1時間に1回5分から10分を目安に、メンバー全員の体力、ペースを見て決める
②疲れたと思ったら歩行時間に関係なく休憩を取る
③急登などでは、必要に応じて短い立ち休みを取ることも良い
④他の登山者のじゃまにならず、落石や転落の危険のない場所を選ぶ

 

 

 

 

正解は……②疲れたと思ったら歩行時間に関係なく休憩を取る

休憩時間はその日のパーティの体調やペースを見ながら調整するが、歩行時間が1時間以内に10分程度を目安にきちんと取りたい。休憩するときは、パーティ全員が安全を確保できる場所を選ぶ。時折、登山道に座り込んでいる姿を見かけるが、これはマナー違反である。また、漫然と休まずに汗を拭き、水分やカロリー補給、疲労した筋肉のストレッチング、着衣・ザックの背負いベルト・靴紐の調整も行いたい。

Q6. 黄色の花をつける植物の組み合わせを選びなさい。【ブロンズコース】

①タカネツメクサ、チョウノスケソウ
②ミヤマダイコンソウ、タカネスミレ
③コイワカガミ、シモツケソウ
④タテヤマリンドウ、ハクサンチドリ

 

 

 

 

正解は……②ミヤマダイコンソウ、タカネスミレ

タカネツメクサ、チョウノスケソウは白色系、コイワカガミ、シモツケソウは桃色系、タテヤマリンドウ、ハクサンチドリは紫色系の植物である。

Q7. 日本百名山、ぐんま百山にも選ばれている「武尊山」の読みを選びなさい。【ブロンズコース】

①ほたかやま(ほたかさん)
②ぶそんざん
③たけるやま
④たけみことやま

 

 

 

 

正解は……①ほたかやま(ほたかさん)

日本武尊からその山名がついたとされ、沖武尊山頂には日本武尊像が立っている。

Q8. 高山病の症状として誤っているものを選びなさい。【ブロンズコース】

①頭痛
②むくみ
③胸痛
④倦怠感

 

 

 

 

正解は……③胸痛

高山病では頭痛が生じ、ほかに倦怠感、吐き気、食欲不振、むくみなども見られることが多いが、胸痛はおこらない。

Q7. 高度約11kmまでの対流圏では地表面に近いほど気温が高く、上部へ行くほど低くなっていて、日本付近では高度が100m上昇するごとに0.6度低下するとされる。この現象の呼び名を選びなさい。 【ブロンズコース】

①気温減率
②フェーン現象
③ウィンドチル
④放射冷却

 

 

 

 

正解は……①気温減率

温度減率とも呼ばれ、地球の標準的な大気では高度100mにつき0.65度下がるとされているが、日本付近では湿潤な気候のため、0.6度となる。例えば地表面が30度の場合、単純に計算すると標高3000mの山では12度ということになり、これに天候が崩れて風の影響などが加わると稜線では真夏でも平地の真冬に近い温度になる。

Q8. 立山連峰を源流とし、弥陀ヶ原台地から一気に流れ落ちる滝の名称を選びなさい。【ブロンズコース】

①不帰滝
②剱大滝
③不動滝
④称名滝

 

 

 

 

正解は……④称名滝

称名滝は日本一の落差を誇る350mの滝で滝壺の直径は60m、深さは約6mある。国指定の名勝及び天然記念物であり、日本の滝百選に選定されている。

Q9. 立山三山の最高峰を選びなさい。【シルバーコース】

①雄山
②富士ノ折立
③大汝山
④浄土山

 

 

 

 

正解は……③大汝山

立山三山とは雄山、大汝山、富士ノ折立の峰を総称して呼んでいる。その最高峰は大汝山の3015mで次いで雄山の3003m、富士ノ折立2999mと続く。

Q10. 次の日本百名山4座のうち、信州百名山に含まれない山を選びなさい。【シルバーコース】

①金峰山
②御嶽山
③光岳
④薬師岳

 

 

 

 

正解は……④薬師岳

薬師岳は富山県富山市に位置し、立山、剱岳とならぶ立山連峰の主要峰である。

Q11. 警察庁は毎年、山岳遭難事故統計を発表している。2017年の山岳遭難の概況について間違っている記述を選びなさい。【シルバーコース】

①遭難件数、遭難者数、死者・行方不明者のいずれも過去最高を記録した
②事故要因のトップは「道迷い」で、「滑落」「転倒」と続いた
③外国人登山者の遭難も増加している
④中高年登山者の遭難は微減傾向にある

 

 

 

 

正解は……④中高年登山者の遭難は微減傾向にある

遭難者を年齢別に観ると、40歳以上が前年より150人多い2419人(77.8%)で、このうち60歳以上が1588人(前年比+106人)と51%を締めている。死者・行方不明者では40歳以上が全体の89%となる315人(前年比+26人)、この内60歳以上が前年より14人多い229人(64.7%)だった。

Q12. 山でロープを扱う上での注意点で、誤っているものを選びなさい。【シルバーコース】

①ロープを濡らさない
②ロープは必ず素手で扱う
③ロープを踏まない
④岩角にロープを当てない

 

 

 

 

正解は……②ロープは必ず素手で扱う

掴んでいたロープが引っ張られていきおいよく流れると摩擦熱でやけどを負ってしまう。そのような危険が想定されるクライミングなどで使用する場合は、保護のためグローブを着用すること。

Q13. 山で避雷を避けるために有効な方法として正しいものを選びなさい。【シルバーコース】

①テント内に避難する
②地面に腹ばいになる
③金属類を体から外す
④なるべく固まらないで避難する

 

 

 

 

正解は……④なるべく固まらないで避難する

テントはポールに避雷する危険があり、テント内は安全ではない。地面を電流が流れる場合があるので、地面との接触面積はなるべく少なくして、しゃがむ。人体も電気の良導体なので、金属類を体から外しても効果的ではない。集団で逃げると一人に避雷した場合に側撃といって周囲の者に電流が流れる場合があり危険。なるべくばらけて避難する。

Q14. ツキノワグマ、ヒグマがいる山に入る場合、熊鈴をつけたりラジオを鳴らす理由を選びなさい。【シルバーコース】

①甲高い音を熊が嫌うので、不要な遭遇を避けられるから
②熊鈴やラジオの音がうるさいので、クマが避けるから
③熊鈴やラジオの音は人がいることを意味するので、クマが避けるから
④熊鈴やラジオの音は不自然な音なので、クマが警戒するから

 

 

 

 

正解は……③熊鈴やラジオの音は人がいることを意味するので、クマが避けるから

音そのものはクマにとって意味はないが、きいたことのない音なら一定の警戒はする。しかし実害のないものに対しては、すぐに慣れてしまう。鈴でクマとの遭遇が避けられるのは、鈴の音が人の存在を意味するからで、人がクマにとって警戒すべき相手だからだ。しかしこのような関係が成り立つのは、人がクマを狩猟対象にしてきた歴史があるためと、人の体が大きいためだ。もし怖くない相手だと認識した場合は、鈴の音は無効になる。こうした認識は個体の経験によるところが大きく、事故を起こしたクマとそれ以外のクマを混同してはならない。

Q15. 動植物の種には、広い分布域を持ち、どの山に行っても同じ種が見られるものがある一方で、狭い地域、時にはひとつの山だけにしか見られないものがある。地域的に限られた分布をするものの名称を選びなさい。【シルバーコース】

①希少種
②固有種
③特定種
④局地種

 

 

 

 

正解は……②固有種

特定の地域にだけあって、他の場所にはないものをその地域の「固有種」という。

Q16.  八ヶ岳エリアに群生して生育していない樹木を選びなさい。【シルバーコース】

①シラビソ
②ブナ
③シラカバ
④カラマツ

 

 

 

 

正解は……②ブナ

八ヶ岳一体は日本海側からも太平洋側からも遠く、特にブナの生育域である山麓は冬季には乾燥するため、ブナの生育しにくい環境であると考えられている。

Q17.  次の山のうち、その成り立ちが火山ではないものを選びなさい。【シルバーコース】

①奥穂高岳
②赤石岳
③白山
④八ヶ岳

 

 

 

 

正解は……②赤石岳

南アルプスは遥か南海の改定に堆積した泥や砂が、プレートテクトニクスにより大陸に付加され隆起したもので、押し付けに働く褶曲作用により山地帯を形成した。現在も年平均4mmというわが国最大級の隆起量を示している。

Q18 . 山の文学関連で、作者と作品名の組み合わせで誤っているものを選びなさい。【シルバーコース】

①加藤文太郎『単独行』
②芳野満彦『山靴の音』
③山野井泰史『凍てる岩壁に魅せられて』
④夢枕獏『神々の山嶺

 

 

 

 

正解は……③山野井泰史『凍てる岩壁に魅せられて』

『凍てる岩壁に魅せられて』は、戦後の組織登山に抜群のタクティクスを発揮した小西政継の著作である。

山を知れば、登山はもっと楽しくなる!

今回の例題はすべて問題文から回答できるものでしたが、実際には地図や写真から読み解くクイズも多数。
知っている、行ったことがある山でも、地図を見返したりその山の歴史を紐解いてみると意外な発見があるかもしれません。
ぜひしっかり下準備をして試験に挑みましょう!

「山の知識検定」公式HP

クイズで楽しく山の知識を身につけよう!