街で使いやすく、山でも機能する
バックパックの大きさは20ℓ前後!
山の必需品・バックパック。収納力があり背負い心地が快適なことが特徴ですが、その多くが容量30ℓ以上のものです。機能は良いけど、普段使いするとなると電車に乗り込む時ちょっと大きめ、自転車の前カゴからはハミ出る…。
一方、タウン仕様のデイパックの大きさは容量20ℓ前後。しかしデイパックはクラシックでシンプルなスタイルのものが多く、モデルによっては1日しっかり歩くハイキングに使うのはちょっと機能的に心配な部分があります。
そこで今年2019年のニューモデルの中から、
・街でも使いやすい20ℓ前後の大きさ
・低山を中心に背負えば機能する
以上2点が同時に存在する『ハイブリッド』なバックパックを選んでみました!
重さ372gの超軽量パック
街でもハイカー気分を演出
ブルーアイス/ドラゴンフライⅡ 18L ¥9,400
ミニマリストクライマーのためのアタックザックとして評価の高い超軽量パックが、今年モデルチェンジ。ハードコアにも使える超軽量さはそのままに、デザイン性が向上してハイカーの日常使いのパックとしても使いたくなるものへと進化しました。シンプルなデイパック仕様ながら、クライミングや登山で使える機能をきちんと装備しています。
ショルダーベルトはパッドの入っていないメッシュ地ですが、重い荷物を収納する訳ではないので問題なし。背面パッドも省略されているので、収納には背面側にソフトなものを入れる等のコツが必要です。本体上部の開口部はフック留め、フラップ状になっているのでロープを挟んで運ぶことも可能。またアタックザックとして使うため、本体内部のポケットに裏返して収納することができます。
容量は18ℓ、重さは372g。アタックザック仕様ですが、レインウエア、水筒、行動食やお弁当を持ってデイハイクができるパックです。カラーは写真のブルーの他にイエロー、そして街使いにいいブラック系が揃っています。普段使いでは「山をやっている」感を、それとなく演出できそう。
「街で使えるホールバッグ」がコンセプト
軽やかな背負い心地で毎日使いたい!
ブラックダイヤモンド/ストリートクリーク20 ¥8,700
シリアスなクライミング道具を手掛ける『ブラックダイヤモンド』がつくった、「街で使えるホールバッグ」。ちなみにホールバッグとはクライミングに必要なロープやシューズ、その他の登山装備を収納する円筒形のバッグ。岩場で荷物を上げ下ろしすることもあり、耐久性の高さが特徴です。
そんなホールバッグをタウン仕様に落とし込むにあたって、巾着型の開口部からなんでもポンポンと放り込める使い勝手のよさはそのまま、背面やショルダーベルトにEVAパッドを施し背負い心地を確保。いや確保どころか、ショルダーベルトの形状が体によく馴染み、厚みや柔軟性もよくULパックのように背面上部で背負うと、これがなんとも軽快なんです!
これに15インチまでのノートPCスリーブを装備しているのだから、通勤通学に毎日使いたくなるのは必然でしょう。
容量は街にぴったりの20ℓ、重さは657gと見た目よりも軽め。ホールバッグとしては小さいけれど、デイハイクなら足取り軽く山に入っていける背負い心地を装備しています。カラーも5色と豊富で、なによりコスパがよすぎます! 街を中心に使うのに間違いない、オススメのパックです。
ブラックダイヤモンド ストリートクリーク20
カラー:サージェント、ブラック、ニッケル、他2色
雨に降られても安心感あり
防水仕様のデイパック
アークテリクス/グランヴィル 16 ジップ バックパック ¥26,000
街でも山でも、バックパックが装備している機能の中で最も役立つと感じるのは「防水性の高さ」だと思うのです。中に収納したものが濡れない安心感は、特にPC等のガジェットを持ち運ぶ街の方が高いでしょう。この『グランヴィル 16 』は、独自の止水ジッパーと防水性の高いラミネート加工を採用。雨や雪に強いバックパックです。
メインコンパートメントには、パッド入りスリーブで15インチのパソコンを保護。パックを地面に縦置きしても、PCが地面に着かない位置に配置されています。またストレッチメッシュのジッパーポケットもあり、充電器やケーブルを収納できます。本体外側にも止水ジッパーポケットがあり、スマホやカメラを安心して入れられます。
容量は16ℓ、重さは750g。元々は防水性の高さから自転車乗りのなかで評判のモデルですが、今回のモデルチェンジによりシンプルなデザインはビジネスシーンでも使え、変わらぬ防水性と歩きやすいスリムなフォルムはデイハイクでもフィットする仕様となりました。もちろん、アウトドア全般、そして旅行にも使い勝手のよいパックです。
ミニマルなクライミングパックは
街でも自在な機動力を誇ります!
マウンテンハードウェア/マルチピッチ20バックパック ¥13,000
まずお伝えしたいのが、このパックは〝マルチピッチクライミングのための機能をコンパクトにまとめたミニマムサイズのバックパック〟とカタログで紹介されている通り、ここまで紹介してきたタウン向けパックとは違い「きちんと山仕様」のパックです。底面はケブラー製で耐久性が高く、ショルダーベルトは収納可能なので、コンパクトなホールバックとしても使えます。
開口部はU字型に大きく開くジッパータイプで、閉じればロープを固定するストラップを装備。内部にはポケットがあり、サイドにはクライミングシューズを収納することを想定したメッシュポケットを用意しています。ウエストベルトは着脱可能で、ハーネス着用時に邪魔になりません。
容量は20ℓ。細身のフォルムは街で邪魔にならず、コットンとポリエステル樹脂混紡の表地素材はナチュラルな風合いがあり、発色はシックでかなりオトナな雰囲気のパックです。本格的なのに肩肘張っていない、こういうパックを何気なく背負って似合うハイカーって、かなりカッコいいと思います。
マウンテンハードウェア マルチピッチ20バックパック
カラー:ブラック、シエラタン、レッドロックス
デイパックを現代風に進化
どんなシーンでも使いやすい
グレゴリー/ナノ16 ¥6,500
快適に背負う機能性の高さで、バックパックをリードしてきた『グレゴリー』。この『ナノ』は、同社が誇る背面システムやウエストベルトを装備している訳ではありませんが、背負った時の馴染みがよいのはさすがの一言。いわゆるデイパックを軽量素材と通気性の高いメッシュパネルを採用し、現代風に進化させたシンプルなパックといえます。
ハイドレーションパックを挿入するスリーブは、同じナノシリーズの18、20であればノートPCを収納できるサイズですが、このナノ16は小さいため、タブレットPCを入れられるにとどまります。ですが、ケースに入れてメインコンパートメントには収納可能です。1本締めの開口部は大きく開き荷物の出し入れがしやすく、サイドのメッシュポケットは500mlのボトルをしっかりと収められます。
容量は16ℓ、重さは323gと軽量です。ストラップをバックル留めする簡易的なウエストベルトは着脱可能なので、街で使う際には外して使うとよいでしょう。雨蓋にはジッパーポケットも装備し、街と山で欲しい必要最小限の機能を装備。こうしたシンプルなパックこそが、やはり使いやすいと改めて実感できます。
装備、機能充実!
ハイキングパックのおすすめ
オスプレー/スカラベ22 ¥11,000
誰もが使いやすいデザイン、そして山を歩く際に欲しい機能をしっかり装備しているのがこの『スカラベ22』です。見た目はフツーですが、背負ってみると小型パックとは思えない快適さ。使っているうちに、その勝手のよさ、よ~く考えられた作りに、いろいろな発見があるんです。
小型パックですが、このパックは背中から腰を手の平で包み抑えるような幅広ベルトがウエストベルトに装備されています。これ、荷物が増えて重くなった際に軽く背負える効果が確かにあります。またサイドのメッシュポケットは、上部と前方の2wayで取り出し、収納が可能。しっかりとボトルをホールドしつつ、パックを下ろさなくてもボトルを取り出せるちょうどよい位置に前方開口部があって、とても便利です。そしてレインカバーは標準装備。
本体開口部はU字型にジッパーで開閉。バケツのように大きく開くので、本体内へのアクセスがラク。容量は22ℓで街で使うにはちょっと大きめですが、サイドコンプレッションが装備されているので、無駄な大きさは感じません。また前面にトレッキングポールアタッチメントを備えているので、山の行き帰りに活躍してくれるでしょう。街でも使いたいけれど、山でしっかり使えるパックが欲しいという方は、コレです!
オスプレー スカラベ22
カラー:ディープブルー、ブラック
防水インナーバッグを内蔵の
オールラウンドパック
モンベル/アルチプラノ パック 20 ¥12,500
筆者が10年程前から使っているニュージーランドのパックブランドの『アーン』に、防水インナーを内蔵したモデルがあり、雑誌のテストで滝に打たれてその防水性の高さを実感したことがあります。モンベルのこの『アルチプラノ パック』も同様の防水インナーを内蔵。今回は防水テストは行なっていませんが、同仕様であることから、その防水性はかなり高く、沢登りでも使えるレベルだろうと想像します。
開口部はクルクルと巻き込み防水性を高めるロールアップシステムを採用。広く開くので荷物の出し入れも簡単。小型パックながらポケット付きのしっかりとしたウエストベルトを装備し、荷重を受け止めてくれます。ショルダーベルトには最大600mLサイズのボトルを収納できるジッパーポケット、内部に行動食を収納するストレッチポケットも装備。行動中にトレッキングポールを留められるループも備えます。
容量は20ℓですが、他のパックと比べると大きめ。多様な機能を備え、別売りオプションの容量3.5ℓのトップリッドを装着すれば、低山のデイハイクだけでなく、高山の山小屋泊、そしてファストハイクにも使えるオールラウンドさも魅力です。重さは760g。同社独自素材の強度と軽量性にすぐれたバリスティックを採用。シンプルなデザインなので、街で背負っても違和感ないものです。
ハイブリッドなパックで
山も街も軽快に進もう!
アタックザック、タウンパック、ハイキングパック、ファストハイクパック・・・いろいろなタイプの20ℓ前後のパックを紹介しましたが、それぞれに特長があって、テストしがいのあるものばかりでした。自分がどんなシーンで使うかを明確にして、山でも街でも使えるハイブリッドなパックを選んでみてください!
それは皆さん、よい山旅を!