①山崩れが多い山
鉄砲水は土砂や流木などでせき止められた水が一気に流れ落ちるもの。山崩れが多いと崩れた土砂や流木が溜まって天然のダムができやすいので、鉄砲水が起こる可能性も高まります。
②累積雨量が多い(長雨や大雨)
前日までに長雨や大雨でたくさん雨が降った場合、沢の水量も増えている上に、地盤も緩んで土砂崩れのリスクも増しています。さらに雨が降ることで鉄砲水が起こるかもしれません。天気は当日だけでなく、数日前までさかのぼってチェックしましょう。
③上流で雨
今いる場所で降っていなくても上流では激しく雨が降っている場合もあります。今いる場所の流れだけを見ていると増水のリスクに気づけません。上流の雲の動きなど天候変化にも留意しましょう。
④沢筋や枯れ沢
【沢筋】
普段から水が流れている沢(谷)は、鉄砲水が起こる可能性がある場所。前日に雨が降っていた場合、沢を横切る登山道や沢沿いの登山道は要注意です。木や草が生えていないところは出水の際に流れが来る可能性のあるところです。
水が濁っている場合は、いつ増水するかわかりませんので、速やかに流れを離れましょう。
【涸れた沢や登山道】
平坦な登山道だと思っていたら、そこは水が枯れた川の底だったということもあります。このような場所は、大雨になると鉄砲水が起きる可能性もあります。
「この岩はどこからどんなときにどんな風に来たのか?」「なぜここは木がないのか?」など、普段から景色をよく観察し、リスクを読み取ることが大切です。
異変は早めにキャッチ。知っておこう!鉄砲水のサイン
鉄砲水に巻きこまれた時だけに限らず、帰り道に増水した川がある場合も同様に、流されずに耐えられるという考えは捨てましょう。濁流は清流に比べて耐えにくいため、膝上まで水がきてしまったら、完全に危ない状態です。とにかく水に巻かれる前に脱出することです。
山では『雨が降ったら沢、川から離れる』です。できるだけ早く異変に気づけるように、鉄砲水のサインを知っておきましょう。
もし川が増水してきたのを確認したら、高いところへ一目散へ逃げましょう!雨の前後に沢沿いを歩くときは、大きな岩やより高い斜面などを確認しながら登ってください。
水没しそうな場所に取り残されないような行動をすることがそもそも大事ではありますが、万が一、川の中に取り残されてしまったときは…状況によっては渡渉することも。渡渉の方法については、メンバーの力量によって方法が変わってくるため、事前に勉強しておきましょう。
しかし、一番大切なのは「鉄砲水に遭わないように避けること」。鉄砲水のリスクを考慮し、事前に計画を立てましょう。
雨雲の確認
山は天気が変わりやすいもの。今いる場所はもちろんのこと、上流の天気には敏感になりましょう。
晴れ予報だったのに、雨に降られることもよくあります。今いる場所に雨が降っていなくても、笠雲(山頂に雲がかかっているような状態)が出ていたり、うろこ雲が空を覆っていたり、太陽に雲がかかっていたり、積乱雲が発達している時は要注意。雨が近い兆候です。
黒い雲が出てきたら、いつ降り出しても不思議ではありません。短時間も川は増水して危険な状態になることがあります。
川の濁りや落ち葉
川の水が濁ってきたり、ゴミや落ち葉がたくさん流れてくる時は上流の水量が上昇していると考えてよいでしょう。ただちに流れから離れましょう。
雨の前後は、いつもよりも雲や地形に注意しよう!
山には様々なリスクがありますが、その一つとして鉄砲水のことを理解していただけましたでしょうか。リスクを低くするには、天気や地形や植生など、自然をより注意深く観察しながら登ることが大事です。そうすることで自然の面白さも倍増することでしょう。
最後になりますが、事前の下調べと備えも大事にしてくださいね。