捜索のコンサルティングって何をするの?
編集部 大迫
遭難捜索の流れを教えてもらえますか?
若村さん
遭難者の捜索の流れを簡単にまとめると、このようになります。

編集部 大迫
えっ!遭難捜索って、家族がいろいろ決めないといけないんですか?
若村さん
はい。警察での捜索が終了した後は民間での捜索になります。
その時に「どの救助隊に依頼するか」「どこを探すか」「どうやって探すか」などを含めて決めるのはご家族です。
編集部 大迫
登山やっている人でも難しそうだし、登山をやっていない人だと、何をどうしていいのかわからないですよ!
若村さん
確かに難しいですよね。なので、ご家族が捜索方法などを決定できるように、捜索方法や場所、どの民間に依頼するかや捜索方法の打ち合わせに立ち会ったりします。
編集部 大迫
何をどうしていいのかわからないことだから、専門の人が助けてくれるのは心強いですね。
家族にかかるのは精神的負担だけじゃない?
若村さん
行方不明遭難者の家族の苦痛って、本当に大きいんですよ。
編集部 大迫
大切な人が帰ってこないのはつらいですよね。たとえ亡くなっていたとしても、見つかることがご家族にとっては嬉しいことと、聞いたことがあります。
若村さん
もちろん精神的負担もあります。しかし、その後の経済的負担も家族にとっては馬鹿にならないんです。例えば、民間救助隊の出動では次のような費用が発生します。

若村さん
jROの過去実績では、平均約40万くらいです。しかし、行方不明の場合は隊員数と日数が増えたり、民間のヘリやドローンなどを使用することがあるため、数百万規模に達することもあります。
編集部 大迫
民間のヘリコプターは、1分間で1万円(あくまでも目安)と聞いたこともありますし、数百万単位の負担となると残された家族の経済的負担はそうとうなものですね。

若村さん
捜索自体にも莫大な費用がかかりますが、行方不明の場合はそれだけで終わらないこともあるんです。
編集部 大迫
どういうことですか?
若村さん
例えば、家族のいる中年の会社勤務の人が行方不明になってしまったとしましょう。
会社は数ヶ月は休暇や休職扱いをしてくれますが、やがて自己都合退職扱いとなり、低率の退職金支給となってしまいます。
編集部 大迫
定年退職や会社都合退職でないからですね。
若村さん
会社の健康保険からは脱退、その他の社会保険からも対象外。しかも、遭難者が見つからない場合、7年間は死亡とみなされないため、遺族年金の支給や死亡保険を受け取ることもできません。
編集部 大迫
住宅ローンを始めとする各種ローンの支払いや、銀行口座の凍結なども考えられますね。
若村さん
遭難に合わないことはもちろんですが、とにかく行方不明にならないで!ということは講習会などでもつねに伝えています。
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