浅草岳

浅草岳|花と稜線歩きを日帰りで楽しもう!絶景登山ルート3選

新潟と福島にまたがる浅草岳。浅草岳と言えば、山頂の湿原とヒメサユリ!毎年たくさんの人がヒメサユリを楽しみに登っています。ですが浅草岳の魅力はそれだけではありません。登山の醍醐味ともいえる眺望の良さももちろん素晴らしいものが待っていますよ。おすすめの絶景登山ルート3選を中心に、魅力満載の浅草岳を徹底解剖します!

目次

新型コロナウイルス感染拡大防止のため、山小屋営業ならびに交通状況などに変更が生じている可能性があります。
山小屋や行政・関連機関が発信する最新情報を入手したうえで登山計画を立て、安全登山をしましょう。
アイキャッチ画像出典:PIXTA

『浅草岳』の魅力とは

浅草岳を見上げる

出典:PIXTA
標高所在地最高気温(8月)最低気温(8月)
1586m新潟県魚沼市・福島県南会津郡23.1℃12.4℃
参考:ヤマレコ

知る人ぞ知る山「浅草岳」。山頂付近には草原や池塘の湿地が広がっており、広がる草原を「浅い草」と見立てたことが名前の由来といわれています。
北西には二百名山の守門岳、南には十字型の形が特徴的な田子倉湖があり、山頂からの眺望が良い人気の日本三百名山です。

ヒメサユリの宝庫

ヒメサユリ

出典:PIXTA

薄ピンクの可憐な花弁が特徴的なヒメサユリの宝庫としても知られ、毎年ヒメサユリを目当てに多くの人が訪れるほど。
6月中旬~7月上旬にかけてが見ごろで、特に前岳から山頂に向けてのエリアや南岳から鬼ヶ面山への稜線上でたくさん見られます。

絶壁の稜線歩き

絶壁と稜線

新潟県側からはなだらかな山容に見える浅草岳ですが、福島県側は切り立つ岩壁や深い谷間がある険しい表情を持ち合わせています。
絶壁上の稜線ではスリルと眺めの良さが楽しめ、他のコースからは迫力ある絶壁を眺めることができるのは魅力の一つです。

難易度と注意点

浅草岳の岩壁

出典:PIXTA

浅草岳には複数の登山ルートがありますが、全て日帰りで往復可能。登山道はよく整備され、危険箇所にはロープが設けられていますが、急登や雪渓を歩く場合もあったりと、難易度は中級者向けです。雪渓歩きに不安がある人は軽アイゼンも忘れずに。
どの登山口へも公共交通機関が通じていないため、マイカーでのアクセスが一般的ですが、タクシーを利用した縦走プランなども可能。

浅草岳の登山適期は?

紅葉期の浅草岳

毎年6月の第4日曜日に山開きが行われ、以後冠雪する10月中旬頃までが登山シーズン。シーズン序盤は開花期を迎えるヒメサユリが見もので、多くの人で賑わいます。
秋も深まる10月初旬からは紅葉シーズンが始まり、ブナの原生林を湛える浅草山はブナの紅葉をお目当てに訪れるのにぴったりの山です。

現地の天気予報と登山ルートを事前にチェック!

整備されている浅草岳ですが、悪天候時に登ると難易度が一段と上がります。事前に天気やルートを調べて安全に登山を楽しみましょう。

てんきとくらす|浅草岳

昭文社 山と高原地図 越後三山 平ヶ岳・巻機山

山頂まで最短距離!【ネズモチ平登山口周回ルート】

ネズモチ平コースマップ

提供:YAMAP
【体力レベル】★★☆☆☆
日帰り
コースタイム: 5時間40分
参考:ヤマプラ
【技術的難易度】★★★★☆
・岩場、雪渓を安定して通過できる技術が必要
・ルートファインディングの技術が必要
凡例はこちらをクリック:グレーディング表
ルート概要
ゲート [ネズモチ平駐車場](10分)→ネズモチ平登山口 (50分)→ブナ曽根(100分)→前岳(20分)→浅草岳 (20分)→前岳(20分)→嘉平与ボッチ (70分)→桜ゾネ広場 (25分)→慰霊碑(15分)→ネズモチ平登山口(10分)→ゲート [ネズモチ平駐車場]

はじめに紹介するのは最も登られているメジャーなコース。ネズモチ平登山口からスタートし、ブナ曽根を登って桜尾根を下る周回ルート。
比較的短時間で登頂できるのが特徴ですが、急登やロープが設けられた箇所なども登場します。また、ヒメサユリシーズンの7月でも雪渓が残っていることにも注意しましょう。

ネズモチ平駐車場

スタート地点となるネズモチ平駐車場は広く、水洗トイレや登山ポストもあるのでゆっくりと準備ができます。開山日からのヒメサユリの見頃となるシーズン時は満車になることも多いので、できるだけ早めの到着を心がけましょう。

ブナゾネ

駐車場からゲートを抜け、舗装された林道を10分程度歩いて登山口まで向かいます。やがて木の杭が立てられているのが見えるので、そこから登山道へ。

渡渉箇所

序盤は沢沿いを歩くので、ややぬかるんだ道なり。途中で渡渉箇所もあるので滑らないように注意しましょう。

守門岳を眺める

一直線に高度を上げて登っていくため、かなりハード。2時間ほど登った前岳の分岐までたどり着くと、稜線から守門岳が近くに見えます。

ヒメサユリとニッコウキスゲ

草原や池塘が広がる清々しい景色の稜線上ではヒメサユリが目にできますよ。他にもワタスゲやコバイケイソウ、ニッコウキスゲといった高山植物の姿も。

前岳・浅草岳山頂付近の雪渓

前岳直下や山頂までの稜線上にある雪渓では十分注意してください。草原や池塘の広がる湿地に架けられた緩やかな木道を歩き、20分ほどで浅草岳山頂です。

浅草岳の山頂

山頂はそれほど広くないものの、360度の視界で眺めは抜群!眼下には十字型のユニークな形をした田子倉湖が広がり、南西には迫力ある鬼ヶ面山の大岩壁も。ヒメサユリと圧巻ビューのセットが満喫できますよ!

天狗ノ庭

さらに北東方向へ延びるコースへ少し足を踏み入れれば、「天狗ノ庭」という山頂直下の湿原が見渡せる最高のスポットもあります。開けた空間に広がる湿原や貫く木道、所々に残る雪渓といった、美しい景色が堪能できますよ!

嘉平与ボッチ

下山は桜曽根コースを利用するので、山頂から前岳へと戻り、分岐を嘉平与ボッチへ。

桜曽根登山口

皇太子殿下成婚記念の鐘が見えると桜曽根登山口もすぐそこです。桜曽根登山口からは舗装された浅草林道を通ってネズモチ平へと戻ります。

ヒメサユリを満喫したい健脚者におすすめ!【六十里登山口往復ルート】

六十里峠往復コースマップ

提供:YAMAP
【体力レベル】★★★☆☆
日帰り
コースタイム: 8時間5分
参考:ヤマプラ
【技術的難易度】★★★★☆
・岩場、雪渓を安定して通過できる技術が必要
・ルートファインディングの技術が必要
凡例はこちらをクリック:グレーディング表
ルート概要
浅草岳六十里登山口(50分)→マイクロ中継局 (50分)→南岳(50分)→鬼が面山 (50分)→ムジナ沢カッチ (50分)→前岳(20分)→浅草岳 (20分)→前岳(30分)→ムジナ沢カッチ (50分)→鬼が面山 (45分)→南岳(40分)→マイクロ中継局(30分)→浅草岳六十里登山口

つづいて紹介するのは、眺めの良い稜線歩きとヒメサユリを楽しみたい人におすすめのコース。浅草岳の登山道の中でも随一の群生地が楽しめます。
コース距離が長く、痩せ尾根歩きもあるなど難易度はやや高め。稜線上は日陰がないので、日差し対策も必要です。

六十里登山口

スタート地点は六十里越トンネル近くにある登山口。車道の脇に駐車スペースがあります。

マイクロ中継アンテナ

最初の目印となるマイクロ中継アンテナまでは樹林の急登。マイクロ中継アンテナを過ぎれば、南岳までは緩やかな登りとなります。

イワカガミ

道中では、山ではお馴染みの花「イワカガミ」や、吊り下げ式ランタンのような形が特徴的な「ウラジロヨウラク」など、様々な花が楽しめます。

田子倉湖と雲海

南岳が近づくと視界も開け、奥只見の山々や田子倉湖など素晴らしい展望が広がります。

稜線上のヒメサユリ

また、南岳へ向かう途中からヒメサユリが登山道脇に姿を見せ始め、天空のヒメサユリロードもすぐそこだと実感できます。特に南岳から鬼ヶ面山にかけての稜線はヒメサユリの群生が見られますよ!

鬼ヶ面山の山頂

鬼ヶ面山・北岳を経て浅草岳山頂へ。稜線歩きで周囲の展望も美しく、鬼ヶ面山を越えた先の稜線ではこれから歩く大岩壁が迫力ある姿で目に飛び込んできます。
北岳から浅草岳へと続く痩せ尾根はアップダウンが続くので、こまめに休憩して一歩一歩進みましょう。

山頂から見える景色

山頂からは歩いてきた稜線や鬼ヶ面山の姿などが一望できます。帰りの稜線歩きもハードなので心して下山しましょう。

タクシーを利用する人におすすめ!【中先尾根‐ブナ新道ルート】

縦走コースマップ

提供:YAMAP
【体力レベル】★★★☆☆
日帰り
コースタイム: 7時間40分
参考:ヤマプラ
【技術的難易度】★★★☆☆
・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
凡例はこちらをクリック:グレーディング表
ルート概要
田子倉只見沢登山口(50分)→大久保沢の水場 (50分)→田子倉眺メ (40分)→剣ヶ峰(90分)→浅草岳 (30分)→避難小屋跡 (60分)→沼ノ平分岐(80分)→山神ノ杉 (30分)→直進(30分)→入叶津登山口 

最後に紹介するのは、マイカーではなく公共交通機関やタクシーを利用する人におすすめの縦走コース。ブナの自然林の中も歩くので、紅葉の時期は特におすすめです。また、開山日には只見駅から無料の送迎バスも出ますよ。

只見沢登山口近くの休憩所

只見駅からタクシーで只見沢登山口へと向かいます。登山口近くには無料で使用できるトイレ付きの休憩所も。

只見沢沿いのブナ林

スタートしてしばらくは只見沢沿いの道を進みます。ほどなくして現れる幽ノ倉沢の橋を渡ると、見事なブナ林の登りに景色が変化。

紅葉期の田子倉眺め

登山口からおよそ1時間半ほどで標高900m地点にある「田子倉眺め」へと到着。ここからは眼下に田子倉湖を見渡せ、反対に見上げれば眼前に大きく浅草岳の姿を捉えることができます。

剣ヶ峰

剣ヶ峰は「鬼ヶ面眺め」とも呼ばれ、鬼が面山の迫力ある大岩壁と浅草岳へと続く稜線が目の前に広がるスポット。夏は谷筋に残る雪渓が、秋には紅葉した木々が彩りを添え、素晴らしい景色が広がっています。

ベニサラサドウダン

剣ヶ峰から先では、鮮やかなピンク色のベニサラサドウダンが咲き誇っているのが目にできますよ!

山頂から見る南岳方面の稜線

山頂から南側を見渡せば、鬼が面山や南岳方面へと続く稜線がくっきり!さらにその後ろには越後三山が控えている様をその目に一望できます。

天狗ノ庭の木道

山頂からは来た道ではなく北東方向へ延びるコースへと下山します。草原と池塘広がる天狗ノ庭へ降り立てば、木道が走る湿地帯の美しい光景の中をハイキング気分で歩くことができますよ。

沼の平分岐

下山に通るコースはブナ平新道と言われるだけあり、見事なブナ林が広がっています。秋には一面が紅葉で彩られ、最後まで飽きずに歩くことができるでしょう。沼の平分岐まで下ったら、右手の登山口方面へ。沼近辺の登山路は崩壊しているので、行かないように注意してください。

入叶津登山口

山頂からトータル約4時間ほどで、国道289号傍にある入叶津登山口へと下山できます。入叶津登山口へタクシーを呼んで只見駅へ。

 

各登山口までのアクセスと駐車場情報

登山口までの行き方はマイカーが主体となるでしょう。登山口によってアクセスのしやすさが違うため、事前に必ず調べておきましょう。

ネズモチ平登山口

【クルマの場合】
関越自動車道「小出」ICー県道371号ー県道70号ー国道252号ー県道346号ー県道385号ーネズモチ平駐車場

■ネズモチ平駐車場
台数:約70台
トイレ:あり
料金:無料

【公共交通機関の場合】
JR只見線「大白川」駅下車ータクシーーネズモチ平駐車場

六十里登山口

【クルマの場合】
関越自動車道「小出」ICー県道371号ー県道70号ー国道252号ー鬼が面山(六十里)登山口駐車場

■鬼が面山(六十里)登山口駐車場
台数:約30台
トイレ:なし
料金:無料

【公共交通機関の場合】
JR只見線「大白川」駅下車ータクシーー鬼が面山(六十里)登山口駐車場

田子倉只見沢登山口

【クルマの場合】
東北自動車道「西那須野塩原」ICー国道400号ー国道289号ー国道400号ー国道289号/国道401号ー国道252号ー田子倉無料休憩所駐車場

■田子倉無料休憩所駐車場
台数:約120台
トイレ:あり
料金:無料

【公共交通機関の場合】
JR只見線「田子倉」駅下車ー田子倉無料休憩所

下山したら行きたい温泉情報

温泉

出典:PIXTA
登山で疲れた体を癒やすなら温泉!浅草岳の近くにある温泉で心も一緒に解きほぐしてください。

浅草山荘

ネズモチ平コースで登山した人におすすめ。登山口への道の途中にあり、必ず通るので気軽に立ち寄れますよ。鉄分が豊富に含まれたお湯が特徴の、宿泊もできる日帰り温泉です。

住所:新潟県魚沼市大白川887-127
電話:025-796-2331
営業時間:営業時間:11:00~17:00(最終受付:16:30)
料金:大人620円、子供320円


浅草山荘|公式サイト

只見保養センター ひとっぷろ町湯

六十里登山口や只見沢登山口から登るコースを選んだ人はココ。大浴場の他、サウナやマッサージ、丼ものや麺などがいただけるお食事処もあります。

住所:福島県只見町大字只見字新屋敷下2508-8
電話:0241-82-2393
営業時間:12:30~21:00(最終受付20:00)
料金:大人500円、子供200円


只見保養センター ひとっぷろ町湯|只見町

魅力満載の浅草岳。どの登山道で楽しむ?

美しい浅草岳

出典:PIXTA

山頂の湿原にヒメサユリの群落、眺めの良い稜線歩きや山頂の360度パノラマ、紅葉のブナ林…など、実に山歩きの魅力がひとつに凝縮された山といっても過言ではありません。秘境にそびえる魅力たっぷりの浅草岳。是非登ってみてください!

【登山時の注意点】
・登山にはしっかりとした装備と充分なトレーニングをしたうえで入山してください。足首まである登山靴、厚手の靴下、雨具上下、防寒具、ヘッドランプ、帽子、ザック、速乾性の衣類、食料、水など。
・登山路も複数あり分岐も多くあるので地図・コンパスも必携。
・もしものためにも登山届と山岳保険を忘れずに! ・紹介したコースは、登山経験や体力、天候などによって難易度が変わります。あくまでも参考とし、ご自身の体力に合わせた無理のない計画を立てて登山を楽しんでください。

※この記事内の情報は特記がない限り公開初出時のものとなります。登山道の状況や交通アクセス、駐車場ならびに関連施設などの情報に関しては、最新情報をご確認のうえお出かけください。

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