「残雪期」って冬山より楽そうだと思ってない?
いよいよ春山シーズンの到来ですね。「冬の雪山」と聞くと、上級者の登山というイメージで挑戦できなかった方も「春だから暖かそうだし、残雪期なら雪も少なくて安全そう」と思っているのではないでしょうか?
残雪期は危なくない!というのは違います
たしかに冬期(12月~2月)の雪山は、雪の量も悪天候も多いです。しかし春の残雪期の山には、冬の雪山と違った危険も潜んでいます。
降雪量は冬期に比べると減少傾向ですが、雪山の危険度は「雪の降る量」だけではないんです……。
「暖かい」ということは、良いことばかりじゃない・・・
冬の雪山の寒さに比べると、徐々に暖かくなる春は過ごしやすそうなイメージですが……何が問題なのでしょうか?
暖かい=安全 ではない!
確かに寒いということは、体温の低下に直結するため危険です。気温が上がれば、寒くなくなり快適ですよね。
しかし、反対に暖かいと「雪が溶ける」というリスクが生まれます。では、雪が溶けるとどんなリスクにつながるのでしょうか?
恐ろしすぎる全層雪崩!
雪崩には種類があり、雪崩が発生した層によって「表層雪崩」と「全層雪崩」に分けられます。特に3月など、気温が暖かくなり始める春先に怖いのが威力が大きい全層雪崩。
雪解け水が流れることなどにより、地表面から積雪全体が滑り落ちます。春の雪は水分を多く含むため重く、大規模になりやすいためその威力は相当なもの。表層雪崩よりスピードは速くありませんが、それでも時速40~80kmとも言われており、逃げ切るのは不可能でしょう。
実際に痛ましい雪崩事故も
1992年5月には、北アルプス白馬岳大雪渓で全層雪崩が発生。登山者2名のが埋没して死亡、1人が負傷するという痛ましい事故も起きています。この雪崩の規模は幅約80m、長さ約3kmに達する大きなものでした。