「残雪期」って冬山より楽そうだと思ってない?

残雪期は危なくない!というのは違います

降雪量は冬期に比べると減少傾向ですが、雪山の危険度は「雪の降る量」だけではないんです・・・。
「暖かい」ということは、良いことばかりじゃない・・・

暖かい=安全 ではない!

しかし、反対に暖かいと「雪が溶ける」というリスクが生まれます。では、雪が溶けるとどんなリスクにつながるのでしょうか?
恐ろしすぎる全層雪崩!

雪解け水が流れることなどにより、地表面から積雪全体が滑り落ちます。春の雪は水分を多く含むため重く、大規模になりやすいためその威力は相当なもの。表層雪崩よりスピードは速くありませんが、それでも時速40~80kmとも言われており、逃げ切るのは不可能でしょう。
実際に痛ましい雪崩事故も

山岳ガイドに雪崩をさける方法を聞いてみた。

では、全層雪崩などのリスクに巻き込まれないようにするには、どうすればよいのでしょうか?一般社団法人日本アルパインガイド協会の山岳ガイドである山田祐士ガイドに、残雪期の全層雪崩について注意点を聞いてみました。
編集部 大迫
残雪期の登山で気をつけることってなんですか?
山田ガイド
いろいろありますが、1つはいつどこで雪崩が起きたなどのルート状況の情報を持っておくことですね。自己判断には、限界があるので。
編集部 大迫
具体的におすすめの方法は?
山田ガイド
やはり地域のプロに訊くのがいいですね。ホームページやSNSの情報が最新でない場合は、電話で確認したり。
編集部 大迫
確かに情報の新鮮さには、注意が必要ですね。最近ではSNSやホームページで積極的に情報を配信してくれている小屋も増えてきてはいますが、まだまだ使用していない山小屋も多いですから。
山田ガイド
山小屋のスタッフさん達は周辺のルート状況をよく知っているし、ルート偵察や設備をして頻繁にエリア情報をアップデートしてくれています。「今日はまだ雪が落ちきってなくて、気温が上がりそうだからやめたほうがいいよ」とか「雨の後で雪がグズグズに緩んでる」など、タイムリーな情報を提供してくれるのが本当にありがたいです。
やはり、雪崩のリスクに対しては、雪崩にあわないように避けるしかありません。しっかりと信憑性のある最新の情報を手に入れて、必要であればルートや登山計画の変更をしましょう。
全層雪崩に注意しながら、登山を楽しもう!

ですが、雪と青空のコントラストなどの魅力があることも事実です。春の雪山を楽しむために、リスクを理解し万全の準備をして無理なく登山を楽しみましょう。
教えてくれた人:山田 祐士ガイド
一般社団法人日本アルパインガイド協会認定 アスピラントガイド。一般社団法人日本アルパインガイド協会