湿雪:湿り気のある濡れた雪
雪崩が起きやすい条件って?
※以下の条件以外で雪崩が起きない、ということではありません。
積雪がある
表層雪崩の場合、雪崩発生の直前にたくさんの降雪がある場合が多く、弱層(積雪内の数ミリから数センチくらいの、雪粒同士の結合が弱い雪の層)の上に積もった雪が崩れることで雪崩が発生。
特に降ったばかりの乾いた雪は雪崩を起こしやすく、逆に圧雪されている湿った雪では雪崩は起きにくいとされています。
何かしらのきっかけがある
雪崩が発生する時には、いくつかのきっかけが存在します。降雪が続き、支持力の限界を超える事で自然発生的に起こる時や、落石や強風、地震などの自然現象によって誘発される場合なども。
また急激な温度上昇も、雪の状態を不安定にします。その他には、登山者や野生動物の歩行などがきっかけで、雪崩が起こることもあるんです。
斜面になっている
山肌の傾斜のある場所で雪崩は起こり、斜度が急になるほど危険度も増加。特に雪崩の起きやすい30〜45度の急斜面では、大きな雪崩の9割ほどが発生しています。
他にも障害物のない広い斜面やルンゼ(岩溝)、沢筋なども雪崩が発生しやすいです。このような場所や危険な斜面を避け、遠回りをしてでも安全なルートを選択しましょう。
雪崩の対策方法は?
残念ながら雪崩に巻き込まれてしまった場合、できることはほとんどありません。そのため、とにかく“危険な場所を避けることが鉄則”となります。
また雪崩の予想に関しては、前日の雪の様子や気象状況など、いくつもの細かな条件を見定める経験が必要です。
事前の情報収集が大事
雪崩についての知識はもちろん必要ですが、登る雪山の最新情報を事前に収集することも大切です。できれば1週間前くらいから気象情報などを把握し、直前だけの情報で安易に判断しないようにしましょう。天候等不安がある場合は、登山の延期も考慮にいれて安全第一で判断してください。SNSやホームページの情報が古い場合は、山小屋に電話するなどして情報を教えてもらうことも有効です。
収集した情報を活かし、雪崩が発生しそうな場所を避けるルートで臨みましょう。
ルート選びは慎重に
弱層テストは確実に行う
雪山では、斜面が崩れる可能性があるのか、しっかりと見極めることが肝要。そのためには弱層の有無を調べるため「弱層テスト」を行い、斜度が変わる度に雪崩の危険度をチェックします。
弱層の判断をするためには、経験者に習ったり講習会に参加することが必要です。
危険箇所は大勢で行動しない
雪崩のリスクが高い場所に立ち入る時は、間隔をあけて一人ひとり速やかに通過しましょう。斜面の狭い範囲にたくさんの人がいるほど、荷重刺激を与え雪崩の危険性が高まります。
万が一、グループ全員が一気に流されてしまったら、救助どころか全滅の危機です。
雪崩対策装備を持っておく
雪山に行く際には迅速なレスキューのため、雪崩ビーコン、ゾンデ棒(プローブ)、ショベルを必ず持参しなければなりません。
ビーコンを持っていないと広い現場で発見自体が困難になるので、雪山に入る場合は必ず携帯してください。
実際に使用できなければ意味が無いので、講習会などに参加してしっかり使い方をマスターしておきましょう。