COCOHELI ココヘリ / 山岳遭難対策制度(ココヘリ) 550万円までの捜索救助を実施 入会金1,100円OFF

【アコンカグア登山報告会レポート】三浦雄一郎さん・豪太さんが語るドクターストップの裏側(2ページ目)

雄一郎さん
酸素なしで、かがんだりすると苦しいわけ。その苦しい息遣いを大城先生が聞いて、「これは危ない!」と思ったみたい。「ここに居続けたら、この心臓がいつ止まってもおかしくない」と先生が豪太に相談して、ドクターストップ。

体は全然大丈夫で「俺は行ける!絶対登れる!」と、思ってましたよ。でも、自分の心臓のことを一番知っている大城先生や豪太が泣きながら説得してくれるから、これ以上行ったらダメだと。

副隊長としての判断

アコンカグアトークショー
撮影:YAMA HACK編集部

大城先生からの相談を受け、雄一郎さんの説得をした豪太さん。チャレンジをしたい父の気持ちも知りながら、どのように判断をしたのでしょう。

豪太さん
大城先生が、ドクターストップと判断してくれた。この判断は、僕からでは下せないものですよね。

例えば、僕とお父さんだけの二人のプライベートなら、相談の上で(先へ進むことを)考えたかもしれない。この判断を僕ができないから、隊を結成したんです。

ルートや気象状況を兼ねての判断は倉岡さん、健康チェックは大城先生。僕は美味しい食事を食べるための食料計画くらい。(笑)そして、もう一つは緊急ボタン的な役割。これが、三浦隊としてのリスクマネジメント。

息子が父親のことを判断するのではなく、客観性を持って判断を下すしかなかった。

説得している時の気持ちって?

プラザ・コレラ

涙ながらに雄一郎さんを説得した豪太さん。その時の気持ちはどんなものだったのでしょうか?

豪太さん
最初は理詰めで説得しました。そしたら目をつぶったまま「んー大丈夫だ。もうちょっと上がろう」というんです。

計ってないけど、時間にして20~30分、体感だと半日くらいテントにいた気持ちになって・・・。もう体当たりで行くしかない!という気持ちになりました。

父親の「行きたい」という気持ちは、痛いほどわかって。これが三浦雄一郎の真骨頂だと思いました。冒険心や挑戦心以前に、何かに対して挑むというコアがすごい強い!だから、ああいうカタチでしか説得できなかったんです。

副隊長の判断として、本当に正しかったかな?というのはずっとありますよ。でも、ここで降りるのが一番安全という判断しました。

大城ドクターとの関係性

アコンカグアトークショー

撮影:YAMA HACK編集部

雄一郎さん
日本でも年に4.5回は、チェックを受けています。ただ、今回の大城先生の勇み足じゃなかったかな?と思っています。(笑)

豪太さん
それを言ったらお終いよ!(笑)

雄一郎さん
日本に帰って、友達からも「よく帰ってきた」と言われました。中高年の登山者の無理のしすぎや、その結果の突然死ということを含めたら、余裕があるうちに帰ってこれたのはよかったと思います。

それと同時に、中高年登山者への一つの指針や警鐘という意味で、無理しないで帰ってきてよかったと思いました。


豪太さん
突然死の100%は、主観と客観性の乖離によって起きるんです。
自分は大丈夫と思っていても、客観的に見たら判断つきにくいことが、山岳の突然死につながると言われています。

少なくとも自分の健康は念頭に入れながら、山に登りましょう。

登頂に成功、そして次の挑戦とは・・・。

アコンカグアトークショー

登山隊として、信頼関係や絆を強く感じる三浦隊。その後、豪太さんは雄一郎さんのサングラスなどを身に着け、倉岡さん、平出さん、中島さん達と共に山頂を目指しました。

 

高齢者登山隊から一転、日本屈指のエリート登山隊へと変わったのです。

2 / 3ページ