鋸岳|南アルプス屈指の難関登山ルート2選【危険個所も解説】

2019/01/23 更新

岩稜帯の少ない南アルプスには珍しい、尖った山容を持つ『鋸岳』。見た目の険しさの通り、コースの難易度は非常に高いです。登山口までのアプローチは長く、山中には小屋もありません。上級登山者のみが踏み込める山頂からは日本アルプスを見渡せる素晴らしい景色が広がります。
今回はそんな鋸岳の登山ルートをご紹介。日帰りの可否やルート上の危険個所もピックアップしていますので、登山を考えている人は要チェックです!


アイキャッチ画像出典:PIXTA

南アルプス最難関!?鋸岳(のこぎりだけ)登山のレベルとは

鋸岳
標高所在地最高気温(8月)最低気温(8月)
2,685m山梨県北杜市、長野県伊那市17.5℃8℃
参考:ヤマレコ
南アルプスの北端に位置し、山梨県と長野県の境にそびえる鋸岳。その名の通り、鋸の歯のような荒々しい山容が特徴的で、日本二百名山や山梨百名山にも選ばれています。

難易度はどれぐらい?

山頂部の岩稜
提供:ヤマレコ/JJJJJ (山頂部の岩稜帯)
鋸岳は高難度の山として知られ、一般登山道がありません。長いアプローチ、やっかいな渡渉、山頂付近の岩場や鎖場などの危険箇所が存在するため、山梨県の「山のグレーディング(甲斐駒ヶ岳への縦走ルート)」では最難関にも指定されています。
登頂には、地図読みやルートファインディング能力をはじめ、岩場や雪渓を安定して通過できるバランス能力や技術が必須です。

日帰りで登れる?

健脚者
出典:PIXTA
鋸岳登頂が難しい理由は登山技術の面だけはありません。山頂までの道のりが長い上に、宿泊可能な山小屋がないため、登山者によっては一日で帰れなくなる可能性があります。
そのため、【テントを持参し、飲料水を確保する幕営能力】か【日帰りで行ける十分な体力】が必要です。
長い林道を短縮するため、マウンテンバイクを利用する人もいますが、大変な行程であることに変わりはないでしょう。

困難の先にあるもの

鋸岳山頂
困難な道中を乗り越え、ようやくたどり着いた山頂からは、南アルプスはもちろん、八ヶ岳や北アルプス、中央アルプスを望む素晴らしい絶景が楽しめます。また、鋸岳の登山者は限られてくるので、静かな山行を味わうことができるのも魅力の一つです。

登山に適したシーズンは?

鋸岳
出典:PIXTA
鋸岳の無雪期は5月〜10月ですが、その中でも登山のベストシーズンは7月〜9月。降雨時には川が増水するため、渡渉があるコースは注意が必要です。また、秋には山中で色とりどりの紅葉が楽しめます。
登山時には必ず天気や地図をチェックしましょう。
てんきとくらす(鋸岳の週間天気)
ITEM
山と高原地図 北岳・甲斐駒
出版社: 昭文社

釜無川ゲートからの往復コース【1泊2日】

釜無川ルート図
出典:ヤマレコ
コース距離山行日数体力レベル難易度
約25km1泊2日★★★★☆★★★★☆
約9kmある釜無川林道を越えた先にある小屋で幕営し、第一高点の山頂を目指す1泊2日の往復コース。初日は登山道を歩くことがないので、出発に余裕を持つことができます。

1日目の行程 釜無川ゲート~赤尾根の小屋

釜無川ゲート
提供:ヤマレコ/iroha(釜無川ゲート)
ゲートの手前に数台分の駐車スペースはあります。こちらには登山ポストがないので、事前にネットから登山届けを出しましょう。
砂利道の林道
9.2kmの林道は徒歩約3時間ほど。最初の約3kmは舗装路ですが、それ以降は砂利道になるので、マウンテンバイクを利用する際は手押し区間も覚悟しておきましょう。
赤屋根の小屋
幕営ポイントは赤尾根小屋のテラス部分か周辺。小屋から水場までは往復で約90分かかるため、水の確保には十分に注意してください。

2日目の行程 赤尾根~鋸岳~釜無川ゲート

沢沿いの登山道 ログハウスの脇から沢沿いを進む本格的な登山道がスタート。幕営装備などはデポ(残置)することをおすすめします。
横岳峠
数ヶ所の渡渉点を通過し、樹林帯へ進む途中には水場もあります。「横岳峠」には広いスペースもありますので、こちらを幕営地としても利用することも可能。
岩場の痩せ尾根
森林限界を越え稜線に出ると、目指す鋸岳の凛々しい山頂が現れます。ここからは急勾配な岩場や細尾根などが登場するので、慎重に進んでいきましょう。
鋸岳山頂
岩稜帯を登りきると、鋸岳山頂である第一高点に到着。山頂からは360度の大パノラマを満喫できます!
「第二高点」までは、片道2時間半ほどかかるので、体力や技術に余裕がある方のみチャレンジしましょう。

戸台川からの周回コース【日帰り】

戸台ルート図
コース距離山行日数体力レベル難易度
約17km日帰り★★★★★★★★★★
参考:ヤマレコ
続いては戸台川駐車場スタートで、第一高点と第二高点を目指す周回コース。こちらは幕営に適したポイントがないため、日帰り山行がベター。コースタイムは約15時間にもなるため、午前3時の出発も特別なことではありません。
登り口までのアプローチは5kmと長く、渡渉や急稜なガレ場、鎖場も多数登場します。全体的にかなり難易度の高いコースのため、充分な経験と体力が必要です。

登山道へのアプローチ 戸台川~角兵衛沢出合

戸台川駐車場 戸台川駐車場の小屋に登山ポストが設置されています。注意書き看板の多さからも、この山の難易度の高さがうかがえますね。
河原の登山道
登山口から「角兵衛沢出合」までは、5kmほど平坦な砂利道が続きます。河原も歩くため、水量によってはところどころで渡渉する場合も。
角兵衛沢出合の道標
角兵衛沢の渡渉ポイントが近くなると道標が現れます。道標に従って河原へとおりていきましょう。
角兵衛沢の渡渉点
沢の渡渉点には分かりやすいようにケルン(石を積んだ目印)があります。川幅のあるので、渡渉の際は転ばないよう慎重に。
渡渉点のケルン
渡り切った対岸には大きなケルンが。ここから角兵衛沢を登っていきます。

角兵衛沢ルートと危険個所

角兵衛沢コルの道標 角兵衛沢出合からは急登が続きます。赤テープや看板を目印に、角兵衛沢のコルを目指して進みましょう。
ガレ場の登山道 樹林帯を抜けると長いガレ場が現れます。浮石に気をつけ、中央部ではなくできるだけ右側を歩くように。
角兵衛沢コルの直下 角兵衛沢のコル直下は、急斜面のガレ場です。トラバースする個所もあるので、滑落に十分注意しながら一歩一歩進んでください。
鋸岳山頂からの眺望
提供:ヤマレコ/takanepon(鋸岳山頂からの眺望)
コルからは20分ほどで鋸岳山頂に到着。頂上からは甲斐駒や仙丈などの絶景が広がります!
時間的に押している場合は、第一高点を踏んだら引き返すようにしましょう。

第一高点~第二高点の危険個所

第一高点からの崖
提供:ヤマレコ/takanepon(第一高点からの下降ポイント)
山頂である第一高点から第二高点までは、険しい鎖場の連続です。登り返しやトラバースなど危険な個所も多くなっていきますので、特に注意が必要。
垂直に近い鎖場では、足置きに注意し、腕力でなくフットワークを意識しましょう。登り返しでも、鎖だけに頼らずホールドを使いながら、足で登ることを意識するのがポイント。
鹿窓 岩壁に穴が空いた「鹿窓」は、大自然が作り出した素晴らしい絶景ポイント。ぽっかり空いた鹿窓からはちょうど仙丈ヶ岳が望め、人気の撮影スポットです。
第二高点に向かう登山道
提供: ヤマレコ/kiyohisa(第二高点に向かう登山道)
鹿窓を潜り抜け、長い鎖場を下っていくとガレ場のトラバースするポイントが登場します。ここも注意が必要ですが、見た目ほど傾斜はきつくないので落ち着いて通過しましょう。
第二高点から望む第一高点 再びガレ場の登山道を登っていくと、第二高点に到着です。第二高点からは、先ほど登った第一高点からの稜線が良く見渡せます!

熊ノ穴沢ルートと危険個所

中ノ川乗越に向かうガレ場 眺望の良い第二高点から「中ノ川乗越」までは、またガレ場が続きます。落石には十分注意して下りましょう。
熊ノ穴沢のガレ場 「熊ノ穴沢」からは、またしても長いガレ場の下り。大きな石はほぼ浮石になっていますので、踏まないよう気をつけてください。
樹林帯の登山道入口
熊ノ穴沢のガレ場を下ると、ようやくカラマツの樹林帯となります。赤テープなどを目印に進んでいきましょう。
「戸川出合」まで出てきたら下りは終了です。出合から再び長いアプローチを引き返して駐車場へと戻ります。熊ノ穴沢から登る場合にはケルンや大岩を目印にすると分かりやすいですよ。

下山したら行きたい温泉情報

長い林道や河原歩きの後にはやっぱり温泉!地元の湯が疲れた身体を癒してくれるでしょう。

道の駅信州蔦木宿 つたの湯

つたの湯
道の駅に併設される「つたの湯」では、天然温泉が楽しめます。源泉風呂や露天風呂の他に、大浴場やジャグジー、サウナも完備しています。
営業時間:10時〜22時(21時30分受付終了)
料金:大人600円/小人400円
道の駅信州蔦木宿

仙流荘

仙流荘
出典:仙流荘HP
山と渓谷の宿「仙流荘」は、日帰り入浴も可能なお宿。内風呂の他にサウナや露天風呂もあり、湯船からは南アルプスのやまなみも望めます。
営業時間:受付時間10時〜20時30分
料金:大人500円 /小人300円
仙流荘

アクセス・駐車場情報

戸台川駐車場
鋸岳の登山口駐車場までは公共の交通機関がないので、マイカーでのアクセスが基本です。

釜無川ゲート


(採石場近くにゲートがあります)
中央道小淵沢ICから約30分
駐車台数:無し/ゲート手前に10台程のスペースあり
トイレ:無し

 戸台川駐車場


中央道伊那ICから約60分
駐車台数:20台~100台
トイレ:あり

難関だからこそ登りたい鋸岳

戸台川の河原
提供: ヤマレコ/kiyohisa(戸台川の河原)
山梨百名山の中でも最難関の1つとされる鋸岳。長いアプローチやガレ場、岩稜帯の危険な細尾根などは選ばれた登山者でも簡単に進むことはできません。それ故に登頂した時の達成感は大きく、山頂からの眺めにもきっと心を揺さぶられることでしょう。事前の準備や計画を万全にし、登りごたえ満点の鋸岳にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。



【登山時の注意点】
・登山にはしっかりとした装備と充分なトレーニングをしたうえで入山してください。(足首まである登山靴、厚手の靴下、雨具上下、防寒具、ヘッドランプ、帽子、ザック、速乾性の衣類、食料、水など。)
・登山路も複数あり分岐も多くあるので地図・コンパスも必携。
・もしものためにも登山届と山岳保険を忘れずに!
・紹介したコースは、登山経験や体力、天候などによって難易度が変わります。あくまでも参考とし、ご自身の体力に合わせた無理のない計画を立てて登山を楽しんでください。

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鋸岳
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emi

山や自然が大好きで、今までにたくさんの楽しみや感動をもらってます。山で見る満天の星空と朝焼は格別!大自然のパワーを多くの人に感じて欲しいです。読んだ人が、山に行きたくなるような記事を執筆できるよう頑張ります。

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