和名倉山(わなくらやま)ってどんな山?
標高 | 山頂所在地 | 山系 | 最高気温(6月-8月) | 最低気温(6月-8月) |
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2036m | 埼玉県秩父市 | 奥秩父山塊 | 18.2℃ | 9.6℃ |
和名倉山は奥秩父に座する山。日本二百名山にも選定されており、「白石山」との呼び名もあります。
以前はコメツガ・シラビソなどの原生林が美しい年代もありましたが、1950年から戦後復興の資材獲得による皆伐で、大半の原生林は崩壊。現在は植林されたカラマツと笹原が生い茂り、花期によりシャクナゲが咲き誇ります。
奥秩父にひっそりと佇む秘峰
和名倉山は、奥秩父の秘峰と呼ばれるほど山深い場所に位置する山。コース中から望むどこまでも続く山並みは、和名倉山だからこそ見られる景色でしょう。天気が良ければ富士山までくっきりと望むことができます。
※遭難多発!上級者向けのコース
和名倉山山頂への主な登山コースは2つ。山梨県もしくは秩父湖からアクセスするルートで、どちらも往復約10時間を要するロングルートです。
さらに道迷いしやすい箇所もあり、2018年にも遭難が発生しています。体力のほか、地図読みや藪こぎのスキルも必要な上級者向けの山です。
和名倉山の天気
和名倉山に行く前に現地の天気をこちらで確認しましょう。また、道迷いを防ぐために事前に地図を準備してルートチェックをしましょう。
てんきとくらす|和名倉山
将監峠からの1泊2日登山コース
最高点の標高: 2028 m
最低点の標高: 1279 m
累積標高(上り): 3905 m
累積標高(下り): -3905 m
- 【体力レベル】★★★★☆
- 1泊2日
- コースタイム:10時間55分
- 【技術的難易度】★★★★☆
- ・岩場、雪渓を安定して通過できる技術が必要
・ルートファインディングの技術が必要
【1日目】三ノ瀬登山口 [民宿みはらし](40分)→牛王院下分岐(81分)→将監小屋(泊)
1泊2日で和名倉山へ向かうコースの紹介です。小屋泊でゆっくり充電して、秘峰和名倉山に臨みましょう。
始点となる民宿みはらしで前泊してから出発するのもおすすめです。
将監峠から25分で山ノ神土の分岐。「東仙波・白石山方面」に進みます。
尾根道を通ると西仙波に到着。この周辺はシャクナゲの群生地で、皆伐から免れた場所でもあります。
西仙波を過ぎると、少し岩場がある稜線歩き。開放的な登山道からは、富士山や北・南アルプス、そして和名倉山へ続く稜線を望むことができます。
稜線を進むと東仙波に到着です。こちらも見晴らしの良いポイント。
東仙波山頂からおよそ60分で、なだらかな斜面の樹林帯に入ります。木の幹にある目印のテープやリボンを辿りながら進むと「川又分岐」。
さらに15分先にも「二ノ瀬分岐」の標識も。2つの標識を見逃さないようにしましょう。
二瀬分岐から20分ほどで和名倉山の山頂に到着。山頂は木に覆われて眺望はありませんが、倒木や伐採された切株には苔が生い茂り、しっとりとした空間が広がります。山頂でひと休みした後は下山です。来た道を戻り、民宿みはらしに戻ります。
秩父湖からの日帰りコース
最高点の標高: 2028 m
最低点の標高: 540 m
累積標高(上り): 2916 m
累積標高(下り): -2916 m
- 【体力レベル】★★★★☆
- 日帰り
- コースタイム:9時間55分
- 【技術的難易度】★★★★☆
- ・岩場、雪渓を安定して通過できる技術が必要
・ルートファインディングの技術が必要
林業が盛んだった頃の面影が残るコース。山と高原地図では破線ルートとなっていますので、こちらも上級者向けです。
駐車場から二ノ瀬ダムを通過し約1kmで、赤い三角屋根の埼玉大山寮に到着です。
埼玉大山寮の左側にある脇道からつり橋を渡り、標識にある「和名倉山二 瀬尾根登山道」の方へ。樹林帯の中を目印のピンクテープを辿りながら進みます。
急登の尾根を2時間ほど登ると反射板跡というポイントに到着。
反射板跡からは平坦な道を進み、崩落地を横切ります。
レールや滑車など林業の面影が散見するようになると、造林小屋跡に到着です。かつては使われていた滑車に苔がむす様子は、時間の流れを感じさせる風景。
造林小屋からの登り始めは踏み跡が薄く道迷いしやすい箇所です。赤テープを見つけながら進みましょう。
苔むした石が転がる急斜面の沢を登り詰めると二瀬尾根に出ます。尾根道をさらに歩き続けると急に視界が開ける草地に。北ノタルに到着です。北ノタルから、将監峠コースと合流する二瀬分岐までは15分ほど。和名倉山山頂までもう一息です。下山は来た道を戻り、埼玉大山寮に戻りましょう。
和名倉山登山での山小屋&宿泊施設
将監峠からの1泊2日コースで利用できる宿泊施設を紹介します。
将監小屋
将監小屋の横には豊富な水場とテント場があります。テント場でゆっくりくつろぐのもおすすめです。
民宿みはらし
田舎に帰省したような懐かしい雰囲気の民宿。お母さんの手作り料理と薪で焚くお風呂で、心身ともに温まります。
登山口へのアクセス情報
ロングルートの和名倉山は、登山疲れのほかに登山前の移動疲れも考慮したいところ。日帰りの方も小屋泊の方も、予備日を設けて行動することをおすすめします。
将監峠へのアクセス
【クルマの場合】
中央道「勝沼」ICー国道20号ー県道38号ー県道201号ー国道411号ー民宿みはらし駐車場
【公共交通機関の場合】
JR中央線「塩山」駅ータクシー乗車ー将監峠・和名倉山登山口
二瀬ダム駐車場へのアクセス
【クルマの場合】
・関越道「花園」ICー国道140号ー国道299号ー県道43号ー県道209号/県道43号ー国道140号ー二瀬ダム駐車場
・中部横断道「勝沼」ICー国道20号ー県道38号ー県道213号ー国道140号ー二瀬ダム駐車場
【公共交通機関の場合】
秩父鉄道「三峰口」駅下車、西武観光バス三峰神社線「三峯神社行」もしくは秩父市営バス川又線「川又行」乗車ー「秩父湖」バス停下車
西武バス|秩父エリア
時間が刻まれた自然には苔むした景色
耳を傾けると山の息吹きが聞こえてきそうな、清閑な和名倉山。人気も少ない山ですが、山と対話しながら和名倉山の自然に包まれて歩くのも、登山の良さのひとつです。ぜひ一度、和名倉山の奥深さと温かさに触れてみてくださいね。