尾鈴山

尾鈴山|マイナスイオンたっぷりの滝めぐり!初心者OKの3つのコースを紹介

日本で初めて名勝指定されたといわれる爆布群。尾鈴山周辺には少し歩けば滝、また歩けば滝…実にたくさんの滝があり、マイナスイオンたっぷりの日本二百名山です。山頂は樹木で覆われており残念ながら眺望は楽しめませんが、その代わりにココでしか見ることのできない固有種も。滝にお花、ゆっくりと散策しながら癒されましょう。今回は尾鈴山を登るコース、さらに気軽に散策できる滝めぐりコースを紹介します!

目次

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アイキャッチ画像出典:PIXTA

豊かな自然の残る尾鈴山(おすずやま)

尾鈴山

標高山頂所在地最高気温(6月-8月)最低気温(6月-8月)
1,405m宮崎県都農町・木城町市22.7℃10℃
参考:ヤマレコ

九州山地の東に位置し、宮崎県都農町と木城町にまたがってそびえる二百名山、尾鈴山。標高は1,405.2mで、国が名勝に指定した瀑布群があることでも知られています。
尾鈴山は古来より山岳信仰の対象としても崇められてきました。この地方は名馬の産地ということもあって、山の神様が首に鈴を付けた白馬に乗って辺りを駆け巡ったという伝説が残っており、山名の由来となっています。見た目はなだらかな姿をしていますが、分け入ってみると急斜面や崖が多いのも特徴です。

展望はない!が、見どころ満載の尾鈴山

尾鈴山山頂

出典:PIXTA

尾鈴山の山頂は灌木によって展望がありませんが、景色の代わりに見どころがたくさんあります。南東には大小30以上もの滝で構成される瀑布群があり、また、世界でこの山にしか咲かないキバナノツキヌキホトトギスというユリ科の植物や、アケボノツツジ、シャクナゲといった花々が目にできます。

国内初!名勝指定された尾鈴山瀑布群

矢研の滝

出典:PIXTA

尾鈴山の見どころである尾鈴山瀑布群。日本の滝100選にも選ばれている落差73mの「矢研の滝」や落差75mの「白滝」をはじめ、大小30以上もの見応えある滝が目白押し!この尾鈴山瀑布群は1944(昭和19)年に日本で初めて瀑布群として名勝指定されたことでも知られています。

世界でもココだけ!固有種【キバナノツキヌキホトドギス】

キバナノツキヌキホトドギス

毎年9月下旬から10月初旬頃に黄色の花を咲かせる尾鈴山の固有種で、世界中探してもここだけでしか目にできません!連なる葉の付け根辺りを突き抜けるように茎が通っており、その一風変わった姿からその名が付けられました。

キバナノホトトギス

出典:PIXTA

似た名前の花でキバナノホトトギスという名の花がありますが、こちらは宮崎県や鹿児島県に広く自生しています。花は似ていますが、キバナノツキノホトトギスの独特の葉の付き方や岩に付いて垂れ下がるように生えるのとは違い、こちらは真っ直ぐ立ち上がる形で生えています。

地図も必ずチェック!山と高原地図 祖母・傾 大崩山

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尾鈴山の天気は?

尾鈴山に行く前に現地の天気をこちらでCHECK!
てんきとくらす(尾鈴山の週間天気)

【約7時間】自然を満喫!しっかり周遊コース

尾鈴山瀑布群の滝をはじめ、固有種のキバナノツキヌキホトドギス、アケボノツツジやシャクナゲなどの花を楽しむことができ、尾鈴山をたっぷり満喫できる周回コースです。難所はありませんが、中盤の急登は体力を要します。

合計距離: 16.13 km
最高点の標高: 1386 m
最低点の標高: 412 m
累積標高(上り): 2424 m
累積標高(下り): -2424 m

【体力レベル】★★★☆☆
日帰り
コースタイム:7時間5分
参考:ヤマプラ
【技術的難易度】★★☆☆☆
・登山装備が必要
・登山経験、地図読み能力があることが望ましい
凡例はこちらをクリック:グレーディング表

尾鈴キャンプ場入口(70分)→正面登山口(甘茶谷登山口)(120分)→尾鈴山(50分)→長崎尾(20分)→シャクナゲ千本林(165分)→尾鈴キャンプ場入口

林道

駐車場から本格的な登山道が始まる登山口までは尾鈴林道を歩いていきます。約4km・1時間程度の道のりですが、谷間を流れる渓流沿いのため、道中で尾鈴山瀑布群の滝を目にすることができます。なお、この林道へは一般車両の通行が禁止されているので注意してください。

甘茶谷分岐

林道が終わると甘茶谷分岐。付近の道脇に登山ポストもあります。分岐を右に折れ、左手に現れる登山口へ。登山口から山頂手前までは急登が続きます。また、この山頂手前には、小さな祠のような尾鈴神社奥宮や、日向灘まで見渡せる展望所もあります。

尾鈴山 山頂

展望所を過ぎた辺りから道はなだらかになり、やがて広い山頂へと到着です。山頂は灌木に覆われ眺望がありません。山頂を示す看板と一等三角点があります。

長崎尾

山頂から南の尾根を進み、長崎尾へ。4月下旬~5月上旬にかけてこの辺りはアケボノツツジやシャクナゲがピンク色の美しい花を咲かせ、見応えたっぷり!大人が潜り抜けられるほどの大きなアーチを描くアカガシの巨木や、ヒメシャラの木々などの姿も目にできます。

分岐

長崎尾からさらに尾根を20分程進んだところにある分岐から下っていきます。この辺りもまた所々に咲くシャクナゲが美しく、雰囲気の良い自然林と合わせて楽しく歩くことができますよ。分岐から1時間強で林道へと出ます。

名勝の瀑布群の滝

甘茶谷分岐まで出ると、後は行きで通った林道と同じ道を歩きます。林道脇には名勝の瀑布群の滝がたくさんあるので、行きで見逃してしまった人もゆっくりと楽しみながら駐車場まで歩くことができますよ!

【約2時間】尾鈴山爆布群めぐりコース

尾鈴山の滝をメインに楽しみたいならこちら。欅谷を分け入って、名瀑の数々を楽しみつつ最奥の白滝を目指すトレッキングコースです。標高差は400m程度、整っているトロッコ道を緩やかに登り詰めるので、初心者でも歩きやすいコースです。

合計距離: 3.36 km
最高点の標高: 879 m
最低点の標高: 412 m
累積標高(上り): 757 m
累積標高(下り): -305 m
【体力レベル】★☆☆☆☆
日帰り
コースタイム:1時間45分
参考:ヤマプラ
【技術的難易度】★★☆☆☆
・登山装備が必要
・登山経験、地図読み能力があることが望ましい
凡例はこちらをクリック:グレーディング表

尾鈴キャンプ場入口(105分)→白滝

登山口

登山口から数分ほど樹林帯を分け入って登ると旧トロッコ道へと出ます。一番奥の白滝までなだらかで整備されているトロッコ道をゆるやかに登るので歩きやすいですよ。4、50分ほど進んだ辺りから、見ごたえある滝が現れ始めます。一番最初に目にするのは落差34mの紅葉滝。

トロッコ道にある岩のトンネル

出典:PIXTA

さらに歩を進めていくと木々の合間から「すだれ滝」や「さぎりの滝」の迫力ある姿が目に飛び込んできます。そのすぐ近くには、荒々しく岩をくり抜いたような、かつてトロッコが走っていたトンネルの姿も!

滝

トンネルを越えた後も、いくつもの滝が待っていますよ!「さらさの滝」や「やすらぎの滝」、「はがくれの滝」など、どの滝もそれぞれ流れが違っていて味わい深いものがあります。

渡渉箇所

途中に渡渉箇所もあります。普段は問題なく通れるのでそこまで心配はいりませんが、悪天候時や雨天の後など増水しているときには注意が必要です。簡易的な橋が架かっていますが、場合によっては流されていることもあるので気をつけてください。

白滝

渡渉箇所を越えてさらに20分程度、落差75mの堂々たる姿を湛える白滝へと到着です。一本の滝筋ではなく、途中にいくつもある岩の段差が水の流れを弾いて水飛沫をあげており、よりその姿を迫力あるものにしています。見応えは抜群です!
なお、先ほど紹介した周回コースのシャクナゲ千本林から林道を下らず、矢筈岳の傍を抜けるコースを通ってこの瀑布群を下ってくるのもおすすめです。一度に尾鈴山と数々の名瀑を合わせて楽しめますよ。

【約60分】日本の滝100選 矢研の滝コース

尾鈴山登山への道とは反対側には、日本の滝100選に選ばれている「矢研の滝」へのコースが続いています。片道2、30分程度、遊歩道が整備されているので歩きやすく、初心者でも気軽に訪れることができますよ。

合計距離: 2.55 km
最高点の標高: 556 m
最低点の標高: 411 m
累積標高(上り): 452 m
累積標高(下り): -572 m

【体力レベル】★☆☆☆☆
日帰り
コースタイム:1時間48分
参考:ヤマプラ
【技術的難易度】★★☆☆☆
・登山装備が必要
・登山経験、地図読み能力があることが望ましい
凡例はこちらをクリック:グレーディング表

尾鈴キャンプ場入口(29分)→尾鈴キャンプ場(30分)→矢研の滝(20分)→尾鈴キャンプ場(29分)→尾鈴キャンプ場入口
若葉滝

矢研谷を流れる渓流の傍を歩いていきましょう。小さな滝や早瀬がところどころで見られ、滝壺となっている箇所では水面がエメラルドグリーンに透き通っている様が見て取れます。

スタートしてから歩くこと20分ほど。矢研の滝の手前付近でこじんまりとした「若葉滝」が姿を現します。落差は10mほどの滝で、石の階段を水の流れが滑り落ちていくような流れが特徴的。

矢研の滝

出典:PIXTA

いよいよ最深部に位置する矢研の滝へ。途中、ロープが張ってある崖崩れ箇所や渡渉ポイントもあるので、足元には注意してあるきましょう。矢研の滝は尾鈴山瀑布群で一番有名な滝。日本を建国したとされる神武天皇が東征前に矢を滝の水で研いだという言い伝えから名付けられたといわれています。

尾鈴山へのアクセス・キャンプ場情報

尾鈴山へのアクセス方法について紹介します。駐車場は、第1駐車場(九重頭駐車場)と第2駐車場、尾鈴キャンプ場の駐車場の計3箇所あります。登山の場合は第1か第2駐車場に停めて行くことになりますが、トイレがあるのは第1のみです。

車の場合

東九州自動車道 都農IC→尾鈴キャンプ場

電車・バスの場合

JR都農駅→タクシー約40分
■タクシー
三和交通株式会社 都農待機所:【電話】0983-25-1201
有限会社あい交通都農本社:【電話】0120-781502

尾鈴キャンプ場

尾鈴山登山各コースの起点となる位置にあるキャンプ場。休憩室やシャワー室、炊事場やトイレも完備され、バンガローや山小屋での宿泊もできます。
【駐車場情報】
住所:宮崎県児湯郡都農尾鈴
電話番号:0983-25-5712(都農町観光協会)
駐車台数:数台

見応えある滝や美しい花で楽しさ満点の尾鈴山登山にトライしよう!

尾鈴山と花

山頂からの眺望はほとんどありませんが、見応えある滝が豊富な尾鈴山。春にはアケボノツツジやシャクナゲなどの花が咲き誇り、眺望がないことなど気にならなくなるくらい、実にたくさんの楽しみが待っています。少し体力が必要な場所もありますが、初心者からでも楽しめるコースも多い尾鈴山。マイナスイオンたっぷりの登山道で癒されましょう。