南アルプス深南部の山、池口岳(いけぐちだけ)
標高 | 山頂所在地 | 山系 | 最高気温(6月-8月) | 最低気温(6月-8月) |
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2392m | 長野県飯田市、静岡県榛原郡川根本町 | 南アルプス | 16.3℃ | 7.2℃ |
池口岳は、南アルプス深南部に座する山で、日本二百名山のひとつ。北峰と南峰からなる双耳峰が特徴的で、遠方からでもその山容を認めることができます。北峰より標高が16m低い南峰にも三角点あり。
南アルプス深南部を歩く
山深い樹林帯の中を進む池口岳は、往復で11時間以上かかる上級者向けの登山コース。その分人が少なく、静かな山歩きを楽しみたい方におすすめです。苔で覆われた緑のカーペットや木漏れ日が差し込む森の空間は、訪れた人の心を癒してくれるでしょう。
※登山届の提出が義務付けられています
長野県登山安全条例により、遭難発生のおそれが高い登山道は「指定登山道」に指定されています。池口岳登山口から池口岳に至る登山道はこの「指定登山道」にあたるため、登山届の提出が義務です。池口岳に登る際は必ず登山届を提出しましょう。
池口岳の天気
池口岳に行く前に現地の天気をこちらでCHECK!
池口岳への登山コースと注意点
深い森の中を歩き、崩落地も眼下に広がる登山道。体力を要するロングコースは特にルートの把握が大切です。宿泊地も限られているため、余裕を持った計画を立てましょう。
池口岳登山口~池口岳ピストン
最高点の標高: 2344 m
最低点の標高: 1056 m
累積標高(上り): 2146 m
累積標高(下り): -2146 m
- 【体力レベル】★★★★☆
- 日帰り
- コースタイム:約11時間10分
- 【技術的難易度】★★★★☆
- ・岩場、雪渓を安定して通過できる技術が必要
・ルートファインディングの技術が必要
池口岳登山口(70分)→面切平(95分)→黒薙の展望所(90分)→ザラ薙平(110分)→ジャンクション(20分)→池口岳山頂(185分)→黒薙の展望所(100分)→池口岳登山口
登山ポストのある場所から林道を20分ほど歩くと登山口に到着。近くには宿泊可能な避難小屋があります。序盤は歩きやすい登山道で、随所に標識が設置されているので目安に登っていきましょう。
森林内に日が差し込むと、いっそう緑が美しく輝きます。静かな森を登っていくと、崩落地である黒薙へ到着。
黒薙から望む、秀麗な池口岳はコース中の見どころ。天気が良ければ青い空や雲海も広がり、壮大な景観を楽しむことができます。
黒薙からは再び樹林帯の道となり、美しい苔の広がる森の中を歩いていきます。利剣沢の頭を通過したあとは分岐看板を池口岳方面へ進み、2つ目の崩落地、ザラ薙に到着。
ザラ薙平付近にあるのが、コース中唯一のテント場。このあたりまでは比較的平坦な道でしたが、ジャンクションに向けて徐々に急登になっていきます。
ロープ場もあり。足元に注意して進みます。
ジャンクションは加加森山・光岳への分岐点。池口岳方面へ20分ほど登ると、ついに北峰山頂に到着です。山頂からの展望はありませんが、直下からは光岳をはじめとする南アルプスの山々、今まで歩いてきた黒薙やザラ薙の崩落地まで望むことができます。
山頂は広く休憩には最適。下山は来た道を戻り、池口岳登山口で長い山行は終了です。
注意点①南峰まで行く場合
北峰から南峰までは地図で登山道とされておらず、危険箇所もあるコース。約600mの距離ですが、登り返しもあるため片道40〜50分はかかります。北峰まででもかなりのロングコースですので、無理なチャレンジは控えるようにしてください。トライする場合は、ヤマレコなどで直近の登山情報を確認してから挑戦するようにしましょう。
注意点②宿泊できる場所
登山口付近の避難小屋とザラ薙平付近にあるテント場の2ヶ所が、コース中に利用できる宿泊地です。北峰単独でもロングコースとなる池口岳は、日帰り計画でも万が一を考えて、幕営できる装備を持参することをおすすめします。
避難小屋(登山口付近)
登山口から100mほどの場所にある避難小屋です。維持費の支払いは不要ですが、募金箱が設置されています。
収容人数:5人
テント場(ザラ薙平付近)
ザラ薙平付近にあるテント場です。看板を見逃さないように注意しましょう。水場までは下り15分、上り30分の距離。水場は水源が枯れている場合があるので、必要な量を持参しましょう。
幕営可能数:3~5張
注意点③ヒル対策を忘れずに
池口岳のエリアはヒルに注意が必要。厚めの靴下を履く、侵入を防ぐためにズボンを靴下の中に入れるなど対策を忘れずに。ヒル避けスプレーを併用するとより効果的です。
▼ヒル対策についてはこちら
山と高原地図 塩見・赤石・聖岳
登山口へのアクセス・駐車場情報
池口岳登山口までは、車や交通機関を利用してアクセスすることが可能です。バスの場合は、最寄りの停留所から少し距離があるためご注意ください。
池口岳登山口へのアクセス
【車の場合】
中央自動車道 松川IC-池口岳登山口(約2時間)
<駐車場>
駐車可能台数:7台
【電車・バスの場合】
JR飯田線 飯田駅-信南バス 遠山郷線に乗車-大島バス停にて下車-徒歩で約1時間で登山口へ
下山後はやっぱり温泉
登山後は、日本の秘境・遠山郷の温泉に浸かって心も体もリフレッシュ!南アルプスの雄大な景色を見ながら、登山の疲れを癒しましょう。
遠山温泉郷 かぐらの湯
道の駅遠山郷にある「かぐらの湯」は、登山口から車で1時間程度。ほのかに塩味がする温泉は、体の芯から温まり、打たせ湯や岩風呂などの露天風呂もあるため、多くの観光客から人気です。紅葉や雪景色など四季折々の風景がお風呂から望める、趣のある温泉施設。
住所:長野県飯田市南信濃和田
電話番号:0260-34-1085
営業時間:AM10:00~PM9:00
休業日:毎週木曜日(祝日の場合は営業)
料金:大人/620円・小人/310円
静寂の深い森を行く!ロングコースが魅力の池口岳
南アルプスに位置する池口岳は、苔が一面に広がる奥深い山。深い緑の中を粛々と歩くロングコースは、体力のある上級者向け。途中で開ける美しい景色も楽しみながら、静かな南アルプスを楽しんでみてはいかがでしょうか。
【登山時の注意点】
・登山にはしっかりとした装備と充分なトレーニングをしたうえで入山して下さい。足首まである登山靴、厚手の靴下、雨具上下、防寒具、ヘッドランプ、帽子、ザック、速乾性の衣類、食料、水など。
・登山路も複数あり分岐も多くあるので地図・コンパスも必携。
・もしものためにも登山届と山岳保険を忘れずに!
・紹介したコースは、登山経験や体力、天候などによって難易度が変わります。あくまでも参考とし、ご自身の体力に合わせた無理のない計画を立てて登山を楽しんで下さい。