天塩岳|長く続く緑の稜線!北見山地の最高峰から見る北海道の大自然

2019/11/06 更新

北海道北部に位置する日本二百名山「天塩岳」。緑の稜線が美しいこの山は「天塩岳道立自然公園」にも指定されており、豊かな自然に恵まれています。登山道も比較的整備されているため、初級者の登山レベルUPにも最適!天塩岳は景色の美しさも魅力的。一面に咲く高山植物の姿をはじめ、どこまでも続く緑の稜線も圧巻です。今回はそんな天塩岳の見どころをはじめ、コース紹介、さらに知っておきたい注意点について紹介します。


アイキャッチ画像提供:ヤマレコ/shimaenaga

天塩岳(てしおだけ)とは?

天塩岳
出典:PIXTA(天塩岳)
標高山頂所在地最高気温(6月-8月)最低気温(6月-8月)
1557.6m北海道士別市・紋別郡滝上町17.1℃1.2℃
北見山地・最高峰の天塩岳は、昭和53年に天塩岳道立自然公園に指定され、クマゲラやナキウサギなど貴重な生物が生息する山。天塩は「梁」を意味するアイヌ語「テシ」が語源であるとされ、天塩川を横切る岩盤が梁のように見えたことからその名が付けられました。

女性的でしなやかな山容をした天塩岳は、山一面に広がる緑の景観が魅力的。さらにコケモモやキバナシャクナゲなど、季節ごとに様々な高山植物を楽しむ事ができます。山頂からの絶景も素晴らしく、前天塩岳や西天塩岳、さらに大雪山系の山々も一望できるとして、多くの登山者に親しまれています。

360°楽しめる山頂からの絶景

山頂から眺望 天気が良ければ、遠方に利尻岳も望めるほどの大展望が広がる山頂。周辺の山々や岩尾内湖、さらに前天塩岳へと連なる稜線は美しく、山頂付近に雪がかかった大雪山や前天狗岳も望める絶景スポットは多くの登山者を魅了して止みません。

まるで絨毯!どこまでも続く緑の稜線

前天塩岳~天塩岳間の稜線 果てしなく続く緑の稜線が魅力の天塩岳。ハイマツやササ原などが山全体を覆い、奥深い緑の景観を成している天塩岳は、北海道の隠れた名山と呼ぶにふさわしい山。山頂からは稜線や山麓一帯に広がる鮮やかなグリーンを楽しむことができます。

目で見て楽しい、色とりどりの草花

花合成
提供:士別市(左上から時計周りに、エゾノリュウキンカ、エゾエンゴソク、エゾイチゲ、カラマツソウ、エゾウサギギク、エゾアジサイ、チシマギキョウ、アオノツガザクラ、コケモモ)
初夏を迎える頃には、数多くの高山植物が咲き誇る天塩岳の尾根道。6月にはエゾノリュウキンカやエゾイチゲ、7月上旬にはコケモモやカラマツソウ、7月下旬になるとチシマギキョウやエゾウサギギクなど可憐な花々が登山者の疲れを癒してくれます。

天塩岳登山の際の注意点

①ヒグマに注意!
ヒグマ(パンダ顔)
出典:PIXTA(ヒグマ(パンダ顔))
天塩岳はヒグマが出没する山域であり、天塩岳登山口付近で目撃情報が出ています。他に新道コースから避難小屋に至るまでのコル付近、前天塩岳と天塩岳の中間にあるコルもヒグマ注意のエリア。万が一のため、鈴やラジオで音を出す、熊撃退スプレーを所持するなど対策を必ずするようにしましょう。


②新道以外にはトイレがありません
避難小屋のトイレ
出典:PIXTA
トイレは天塩岳ヒュッテ、避難小屋にしかありません。入山前に必ずトイレを済ませておくことはもちろん、急な体調の変化に備えて、念のため携帯トイレを準備しておくことをおすすめします。


③水は煮沸してから利用!
沸騰
出典:PIXTA(画像はイメージです)
天塩岳ヒュッテには水場がありますが、滅菌処理されていないため飲み水として利用する場合には注意が必要です。安全面を考慮して水は持参するか、必ず煮沸してから利用するようにしましょう。

④道迷いに注意!
コースによっては沢沿いの道や深いハイマツ帯を歩く場合も。地図はもちろん、GPSアプリもしっかり準備しましょう。GPSアプリは機内モードでも使えるので便利ですよ。

ITEM
山と高原地図 ニセコ・羊蹄山 暑寒別岳
発行元:昭文社


⑤天気も必ずチェック!天塩岳の天気は?
雨が降ると増水の恐れがあるため、天気のチェックは必要。天塩岳に行く前に現地の天気を確認しましょう。
てんきとくらす(天塩岳の週間天気)

【一番人気!】前天塩~新道コース

天塩岳ヒュッテからスタートし、前天塩岳・天塩岳から新道を通って下山するコース。2つの山頂を通過するコースは、前天塩岳と天塩岳の双方のシルエットを眺めることができ、大雪山系の山々から高山植物までが楽しめる贅沢なコースとなっています。

天塩岳MAP
提供:士別市
距離コースタイム日程難易度
約12km7時間日帰り★★★☆☆
天塩岳ヒュッテ(40分)→旧道分岐(130分)→前天塩岳(70分)→天塩岳

登山口 登山口は、三角屋根が目印の天塩岳ヒュッテの奥にあります。旧道への入り口には案内板が立っており、車は小屋前に止めることが可能です。最初は森林内の整備された道を歩いていきます。

渡渉の鉄の橋 黙々と平坦な道を進むと渡渉ポイントに到着。渡渉は数回ありますが、橋がかかっているので、通常時は靴を濡らすことなく渡ることができます。鉄の橋や木の橋など、整備が行き届いている登山道です。

ハイマツの登山道 新道コース分岐を通過し、前天塩方面へと進んでいく途中には、ヤマハハコやサラシナショウマなど多くの草花が咲いています。ダケカンバの白い樹皮や周囲の深緑を楽しんでいると、道は徐々にハイマツ帯へ。

前天塩山頂直前のガレ場 ハイマツのトンネルを通り、前天塩岳山頂直前の分岐を越えると傾斜のあるガレ場へ。不安定なため、足元に注意して登りましょう。ガレ場には美しいコマクサが咲いていますが、実は本来の分布域ではないため、近年問題視されています。

前天塩岳山頂 堂々とした山容の天塩岳を一望できる前天塩岳山頂。周辺には濃い緑の絨毯が一面に広がる見事な景色を楽しめます。遮るものがないため風が強いこともあり、ゆっくりと休むことが難しい場合も。

前天塩岳から天塩岳への稜線 前天塩岳から天塩岳までは一旦下って、登り返す道。ハイマツやササが生い茂る登山道ですが、視界が開けたところからは振り返ると前天塩岳の雄大な姿が。登山道に咲くエゾイチゲやウメバチソウなどの高山植物も見どころの一つです。

天塩岳山頂 大雪山系の山々が望める山頂は、表大雪や十勝連峰が見渡せる大パノラマ。大雪山の壮大な稜線をはじめ、前天塩岳、ハイマツやササなどで形成された深緑の絨毯など、この大自然の景色が見たいがために登山するという人も少なくありません。

下山は新道へ

登山道 下山は、新道コースへと下りていきます。下りの尾根から振り返ったときに見える円錐状の天塩岳は、とても美しいシルエット。6月にはショウジョウバカマやミヤマキンバイ、8月にはウラシマツツジなど、可愛い花々の姿を楽しむ事ができます。

避難小屋 高山植物や見晴らしのいい景色を堪能しつつ歩いて行くと、西天塩岳前の避難小屋に到着。このエリアも視界良好で、依然として前天塩岳の姿を確認することができます。前天塩岳は円山のピークからも望むことが可能です。

登山道 円山や連絡路分岐を超えて、しばらく下山してくるとダケカンバがきれいな小道に。エンレイソウやサンカヨウなどの草花が周囲に咲いています。爽やかな森林歩きを楽しんでいると新道登山口に到着。

【慣れてきたら挑戦!】旧道(沢)コース

前天塩との分岐から沢沿いを進む旧道コース。沢や濡れた岩場を歩き、ラクダ岩も登場するコースは、登りがいのあるルートを求める登山者におすすめです。下山は前天塩岳経由や新道コースを利用するのもおすすめ。

天塩岳MAP
提供:士別市
距離コースタイム日程難易度
6.1km約3時間45分日帰り★★★☆☆
天塩岳ヒュッテ(60分)→前天塩分岐(100分)→ラクダ岩(50分)→天塩岳

分岐 天塩岳ヒュッテから出発し、前天塩との分岐を沢方向へと進むと旧道コースへ。分岐には赤い看板が立っているため目印になります。しばらくすると橋を渡ったり軽い渡渉もあったりと、沢沿いの登山道に。登山道前半はルートも明瞭なので、爽やかな山歩きが楽しめるでしょう。

登山道 コースは進むにつれて、本格的な沢歩きに。無雪期は濡れた岩場や倒木の上を歩いて行くことになるので、上手くヘリを伝って歩くなどルート選びは慎重に行いましょう。沢沿いを歩く道は、所々に赤ペンキが印されているので目印にして。

ラクダ岩 沢沿いを進み奥二股上部まで来ると次第に水量も少なくなり、”ラクダ岩”と呼ばれる奇岩が見えてきます。上から見ると2コブラクダのように見えるのだとか。

山頂 ラクダ岩を左手にして、険しい坂を登りきると山頂に到着です。絶景を見ながら疲れた身体を癒しましょう。下山は前天塩岳や新道コースもあるので、体力や技術レベルに合わせて選択するようにしましょう。

天塩岳で利用できる小屋情報

天塩岳周辺の宿泊施設は、天塩岳ヒュッテと避難小屋の2ヶ所。どちらも無料で利用できるので、前泊先や緊急避難先として情報を確認しておきましょう。

薪ストーブが楽しめる天塩岳ヒュッテ

天塩岳ヒュッテ
出典:Wikipedia
登山口にある天塩岳ヒュッテは、水道と自炊スペースがある予約不要の無人小屋。収容人数40名の立派な建物ですが、7〜8月の混雑期は宿泊できないこともあります。小屋前にはキャンプ場もあるためテント泊も可能。ヒュッテ内には登山ポストが設置されています。

住所:北海道士別市朝日町茂志利
電話番号:0165-28-2121(士別市朝日総合支所経済建設課)
料金:無料
収容人数:約40名

新道コースにある避難小屋もチェック!

避難小屋
出典:PIXTA
新道コースにある避難小屋は、円山と天塩岳の中間にある小屋。収容人数は18名で、管理人は不在です。別棟にはトイレがあり、6月末までは水場も使用できます。

住所:北海道士別市朝日町茂志利
電話番号:0165-28-2121(士別市朝日総合支所経済建設課)
料金:無料
収容人数:18名

天塩岳へのアクセス情報

登山口へは、マイカーと交通機関を利用してのアクセスが可能。ただし、交通機関を利用する場合は、最寄駅から現地までタクシーで移動することになります。車の場合は、道央自動車道から旭川愛別道路を通り、ポンテシオダムから約9km進むと登山口に到着です。

車の場合

道央自動車道 比布JCT→旭川愛別道路 上川層雲峡IC→天塩岳ヒュッテ

電車・バスの場合

JR北海道 士別駅もしくは愛別駅→タクシー→天塩岳ヒュッテ

大雪山系の絶景が広がる天塩岳へ行こう!

北大雪、大雪の山並
提供:ヤマレコ/Padkun(北大雪、大雪の山並)
北海道の隠れた名山といわれる天塩岳は、どこまでも続く緑の稜線が印象的な山。前天塩岳と天塩岳の両方に登ることもでき、沢沿いを突き進むこともできるなど各コースに特徴があります。山頂からは大雪山や前天塩岳の絶景が広がり、尾根には多彩な草花が咲き誇るエリアをぜひ歩いてみてくださいね!

【登山時の注意点】
・登山にはしっかりとした装備と充分なトレーニングをしたうえで入山して下さい。(足首まである登山靴、厚手の靴下、雨具上下、防寒具、ヘッドランプ、帽子、ザック、速乾性の衣類、食料、水など。)
・登山路も複数あり分岐も多くあるので地図・コンパスも必携。
・もしものためにも登山届と山岳保険を忘れずに!
・紹介したコースは、登山経験や体力、天候などによって難易度が変わります。あくまでも参考とし、ご自身の体力に合わせた無理のない計画を立てて登山を楽しんで下さい。


紹介されたアイテム

山と高原地図 ニセコ・羊蹄山 暑寒別岳
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松崎 清央

Webライター・自然体験指導者。新潟在住。市役所を退職後、アウトドア専門学校に入学し、登山、キャンプ、カヤック、自然ガイド、農業などを経験。自然を仕事にする生き方を選ぶ。【得意分野】子ども体験活動の企画・運営、青少年教育・野外教育、人前で話すこと。現在フリーランス。

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