まだシーズンには早いのかベースキャンプは少しのテントが立ってるいるだけの静かな場所だった。夕方、キッチンシェルパが入れてくれたお茶をすすりながら目の前にあるアマ・ダブラムを眺めるが、山頂は霧で隠れて姿を現さない。まぁいい。これから嫌という程この山と対峙していかなくてはいけないのだ。そんなことを思いながらテントに戻って、暖かなシュラフに包まった。
ベースキャンプからアマ・ダブラム山頂を見上げる 撮影:上田優紀
翌朝、カンカンという音で覚めた。外に出るとベースキャンプを流れる小さな川が凍っており、シェルパの青年がそれを叩き割って氷の下を流れる水を汲んでいるところだった。ベースキャンプと言えど標高4,800mにもなり、朝晩はこの時期でも氷点下をゆうに下回る。冷たい空には雲ひとつなく、昨日と打って変わってはっきりとアマ・ダブラムの全容が見てとれた。頂上直下の氷壁をどう登っていくのかここからでは見当もつかない。ほとんど垂直に見える氷の絶壁を果たして自分が登ることなどできるのだろうか。その姿を見れば見るほど小さな不安が心をよぎった・・・。
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【個展開催のお知らせ】
この紀行文を書いているネイチャーフォトグラファー・上田優紀さんの個展が開催されます。
キヤノンギャラリー銀座: 12月13日〜19日(15日はギャラリートークも予定)
キヤノンギャラリー名古屋: 1月17日〜23日
キヤノンギャラリー大阪: 2月14日〜20日
上田さんが感じるままに撮影したアマ・ダブラムの写真をぜひ身近に感じてみてください!