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深田久弥も認めた「ニペソツ山」

北海道の中心にどっしりかまえる大雪山。そこから南東方面にあるのがニペソツ山。標高は2,013mで、日本の最東端に位置する2,000m級の山です。かの有名な『日本百名山』を執筆した深田久弥が、登頂後、百名山に選ばなかったことを悔いた“まぼろしの百名山”としても知られています。
大雪山系を一望できる大展望台

東大雪の中でニペソツ山は唯一の2,000m峰。遮るものがない山頂から眺める景色は”絶景”の一言。北東方面に目を向けると、北海道の広い大地の奥に大雪山系を確認することができます。
力強い山容に圧倒!

ニペソツ山のビュースポットは山頂から北に位置する前天狗岳がオススメ。空に突き出たピークから、ほぼ左右対称に高度を下げる稜線が作り出す山容からは、力強さと雄大な優しさを感じることができます。
感動の稜線歩き

前天狗岳から山頂へ向かう稜線歩きは、遮るのものがない空中散歩。歩く度に近づいてくる山頂を見上げると高揚感を覚えます。心拍数も高めながら楽しむトレッキングは最高です。
小さくてかわいいナキウサギに会えるかも

日本では北海道にのみ生息するナキウサギ。登山道を歩いていると、フサフサの毛に覆われた愛らしい姿に出会えるかも知れません。「キュー」と鳴き声が聞こえてきたら姿を探してみましょう。
ニペソツ山の難易度は?

幌加温泉から始まるコースは20km以上、往復約14時間もあるロングコース。さらに標高差は約1,340mもあり、岩場やガレ場、アップダウンのある登山道など登山上級者向けの山です。テント設営地や山頂付近は風も強いため、しっかりとした装備も必要。
ニペソツの天気と地図をチェック
ニペソツ山に行く前に現地の天気をこちらでCHECK!また、事前に地図を用意してルートを確認してください。
ニペソツのふもと(上士幌町)の10日間天気
日付 | 09月06日 (土) | 09月07日 (日) | 09月08日 (月) | 09月09日 (火) | 09月10日 (水) | 09月11日 (木) | 09月12日 (金) | 09月13日 (土) | 09月14日 (日) | 09月15日 (月) |
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天気 | ![]() 晴のち曇 | ![]() 曇時々雨 | ![]() 晴 | ![]() 曇 | ![]() 曇時々晴 | ![]() 晴時々曇 | ![]() 晴時々曇 | ![]() 曇時々雨 | ![]() 曇時々雨 | ![]() 晴時々曇 |
気温 (℃) | 28 13 | 21 17 | 30 13 | 26 14 | 26 14 | 26 13 | 24 12 | 22 13 | 23 14 | 25 13 |
降水 確率 | 30% | 80% | 10% | 20% | 20% | 20% | 20% | 90% | 90% | 40% |
データ提供元:日本気象協会
ニペソツの登山指数
日付 | 09月07日 (日) | 09月08日 (月) | 09月09日 (火) | 09月10日 (水) | 09月11日 (木) |
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登山 指数 |
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登山指数の留意点
登山をするための快適さを、山頂や山麓の気象条件から、気象学的知見を用いて登山指数A~Cで表現をしています。降水量、風速、雲量などを総合的に考慮し、気象条件を独自計算したものです。
ただし、以下のリスクは含まれておりません。
- 雷の発生の可能性
- 前日の天気による道のぬかるみ
- 局地的大雨
- 土砂災害の発生の可能性
- 雪崩の発生の可能性
- 噴火の可能性
- 積雪の有無
- 濃霧
- 低温または高温
- 虫やヒルなどの発生状況
山の天気は大きく変わりやすいため、登山指数はあくまで目安としてご利用頂き、最新の気象データや天気図、各登山道情報をご確認ください。
なお、本情報に基づいた行為において発生したいかなる人物の負傷・死亡、所有物の損失・損害に対する全ての求償の責は負いかねます。ご了承下さい。
データ提供元:日本気象株式会社
ニペソツ山周辺の山と高原地図
昭文社 山と高原地図 大雪山 トムラウシ山・十勝岳・幌尻岳
【ニペソツ山のメインルート】幌加温泉コース
ここではニペソツ山へ登る唯一のルートである幌加温泉ルートを紹介します。十六の沢コース登山口は、今もまだ復旧の見込みがたっていないため、ニペソツ山へ行くにはこのコースしかありません。
一日目は前天狗岳まで登りテント泊。2日目に山頂へアタックしましょう。
最高点の標高: 1943 m
最低点の標高: 691 m
累積標高(上り): 2876 m
累積標高(下り): -2876 m
- 【体力レベル】★★★★☆
- 1泊2日
- コースタイム:14時間
- 【技術的難易度】★★★☆☆
- ・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
1日目:ニペソツ山幌加温泉コース登山口(160分)→1150m地点(100分)→ニペソツの展望台(90分)→前天狗岳
2日目:前天狗岳(30分)→1870m地点(120分)→ニペソツ山(110分)→前天狗岳(60分)→ニペソツの展望台(170分)→ニペソツ山幌加温泉コース登山口

ゲート手前にある駐車場に車を停めると、約2km林道を歩いて登山道へ到着します。ここから山頂までは10.5km。登山道入口の近くにも数台分の駐車スペースがあります。

三条沼までの行程には数ヶ所、沢水が溢れている渡渉ポイントがあります。通常時は防水の登山靴なら問題なく通過可能です。しかし、雨が降った直後は水量が増えることがあるので注意しましょう。

標高が上がるに連れて、所々で展望が開けてきます。南へ視線を向けると見えてくるのがウペペサンケ山。台地のように水平に伸びる特徴的な山頂を確認できるでしょう。

1,662m地点のニペソツの展望台からは、ニペソツ山の壮大な山容が。
南北に伸びる主稜線へ上がる登山道は急傾斜。垂れ下がるロープを頼りに進みます。

主稜線に上がると山頂までは残り3km。前天狗岳まで登ると遮るものが無くなり、目の前には明日登るニペソツ山の姿が。従来は十六の沢コース上にある「天狗のコル」がテント泊指定地ですが、今は通れないため、ここがテント泊指定地です。風が強い日は、テントが飛ばされないように注意しましょう。

ゴールまで続くのは岩が敷き詰められた一本の登山道。青空へ吸い込まれていくように、彼方にあるニペソツ山まで延々と続いています。特別な急登はありません。息を整えながら一歩一歩を踏み出せば、山頂に到着します。

登山口へのアクセス方法
本州にはない、北海道だからこその雄大な山容と景色に出会えるニペソツ山。すっかり登りたくなったのではないでしょうか?ここでは幌加温泉にある登山口までのアクセス方法を紹介します。計画する時の参考にしてください。
車の場合
国道273号→幌加温泉方面→林道
電車・バスの場合
帯広駅→予約制都市間特急ノースライナー 幌加温泉
ニペソツ山駐車場
ニペソツ山の駐車場に駐車可能な台数は合計13台。夏や秋の最盛期にはすぐに一杯になることがあるので注意しよう。
住所:北海道河東郡上士幌町字幌加
駐車台数:第一駐車場8台、第二駐車場5台
料金:無料
ニペソツ山登山の注意点は?
最後に、ニペソツ山へ登る際の注意点をまとめました。北海道ならではの注意点もあるので、一つづつチェックして、安全に登山を楽しみましょう!
①大雪山はヒグマの生息地

北海道で注意したい危険生物がヒグマです。ニペソツ山が含まれる大雪山系はヒグマの生息地。熊鈴やラジオを鳴らすなどして、遭遇しないように気を配りましょう。
▼あそこにヒグマが!そんな時どうする?
②携帯トイレを持参!
幌加温泉から山頂までのコース上には、トイレブースが前天狗岳に1箇所あります。自然を守るために携帯トイレは必須アイテム。必ず準備して挑みましょう。
▼必須アイテム!携帯トイレ
③水場の水は煮沸して使おう

幌加温泉コースで水を汲めるポイントは一つだけ。持ち運ぶ水分量にも気をつけたいですが、もう一つ注意したいのがエキノコックス症について。この症状を引き起こす寄生虫が北海道には生息しているので、必ず煮沸してから飲むようにしましょう。
▼携帯できる浄水器も!
④道迷いに注意

ニペソツ山は道迷いの遭難事故が多い山でもあります。過去に不明瞭だった登山道や前天狗岳からの下山分岐は、いまではしっかり整備されていますが、それでも注意は必要です。地図やGPSを用意を欠かさないようにしましょう。
▼地図やGPSアプリは必ず携帯!
いつかは登りたい!北海道の大自然を感じる雄大なニペソツ山

さて、今回紹介したニペソツ山はいかがでしたでしょうか?深田久弥が日本百名山に入れなかったことを悔いた理由が感じられたかと思います。それほどまでにニペソツ山は美しく、だからこそ東大雪を代表する名山なのです。夢で終わらせるのはもったいない。長期連休を狙って、いつか必ず登りたいですね!
【登山時の注意点】
・登山にはしっかりとした装備と充分なトレーニングをしたうえで入山して下さい。(足首まである登山靴、厚手の靴下、雨具上下、防寒具、ヘッドランプ、帽子、ザック、速乾性の衣類、食料、水など。)
・登山路も複数あり分岐も多くあるので地図・コンパスも必携。
・もしものためにも登山届と山岳保険を忘れずに!
・紹介したコースは、登山経験や体力、天候などによって難易度が変わります。あくまでも参考とし、ご自身の体力に合わせた無理のない計画を立てて登山を楽しんで下さい。