笊ヶ岳|南アルプスの大展望が待っている!どこからも遠い二百名山

2018/11/14 更新

二百名山・山梨百名山の最難関として知られる笊ヶ岳。山頂はハイマツ帯から飛び出し、南アルプス南部の名峰の大パノラマ!実は山頂から見る富士山は他の山から見える富士山とはちょっと違って面白いんです。どの登山口から登っても遠く標高差も大きいため体力とルートファインディングが必要な上級者向き。そのコース詳細や見どころ、アクセス方法をご紹介します。


アイキャッチ画像撮影:nao

 笊ヶ岳(ざるがたけ)とはどんな山?

笊ヶ岳
撮影:nao
標高山頂所在地山系最高気温(6月-8月)最低気温(6月-8月)
2629m山梨県南巨摩郡早川町・静岡県静岡市葵区赤石山脈14.6℃6.6℃
参考:ヤマレコ
笊ヶ岳は赤石山脈の白峰南嶺にある山。日本二百名山、山梨百名山に選定されており、南アルプス南部の前衛的な山です。どの登山口からも距離があり途中に小屋や水場などがないため、なかなか登る機会のない山となっているよう。名前の由来は笊を伏せたような山容からきており、遠くからも目立つ「大笊」と「小笊」からなる双耳峰が特徴的です。

山頂からは南アルプス南部の大展望!

笊ヶ岳山頂からの眺め
撮影:nao(山頂からの眺め)
笊ヶ岳は独立峰で山頂はわずかにハイマツ帯となるため、苦労して登った先には360度の大展望が。特に赤石岳や聖岳など、南アルプス南部の主峰が作り出すダイナミックな景色を間近に見ることができます。

ピンバッジのデザインが面白い!?

笊ヶ岳のピンバッジ
撮影:nao
笊ヶ岳のピンバッジのはずなのに大きく富士山の絵が…。笊ヶ岳では、他の山から見るのと少し違った富士山の景色を眺めることができるんです。笊ヶ岳の山頂に登るとこのデザインの意味が分かりますよ!

笊ヶ岳の天気

笊ヶ岳に行く前に現地の天気をこちらでCHECK!

笊ヶ岳の天気を調べる

山と高原地図 塩見・赤石・聖岳

ITEM
山と高原地図 塩見・赤石・聖岳
出版社: 昭文社

美しい森を歩く|二軒小屋から笊ヶ岳

まずは危険個所の少ない二軒小屋からのコースをご紹介します。山と高原地図で「南嶺でもっとも美しい森」と評された森を歩きます。

ただし、他のコースと同様に水場の確保や幕営能力が必要。「静岡県 山のグレーディング」では6D(1~2泊以上が適当・地図読み能力、岩場、雪渓を安定して通過できるバランス能力や技術が必要・ルートファインディングの技術が必要)に設定されています。

①二軒小屋~南嶺~笊ヶ岳のコース

二軒小屋から笊ヶ岳
出典:ヤマプラ(画像クリックで拡大地図が開きます)
距離コースタイム標高差難易度
約12.2㎞約7時間52分約1,240m★★★★☆
参考:ヤマプラ(山頂まで)
二軒小屋ロッヂ(110分)→転付峠(50分)→林道終点(60分)→展望点(30分)→天上小屋山(80分)→生木割山(55分)→水場分岐(55分)→椹島下降点(40分)→笊ヶ岳

笊ヶ岳 二軒小屋 登山口
撮影:nao
井川神社入口の脇にある転付峠登山口からスタート。登山届ポストも設置されています。ここから転付峠までは、ハイキングコースに設定されている歩きやすい登山道。0/13~13/13までの標識が木にかけられています。

 転付峠
撮影:nao
笹原となり尾根に出たところが転付峠。林道となっているため幅の広い尾根道で、木々の間から富士山の姿をとらえることができます。西側に5分ほど下ったところに水場があるので、必要であれば汲んでいきましょう。

笊ヶ岳 林道
撮影:nao
林道は途中から廃道となり、幼木がややうるさい箇所も。土砂崩れが起きている箇所もあるので足元に気をつけましょう。

天上小屋山
撮影:nao
林道終点から天上小屋山までは幅の狭いトラバース道となりますが、樹木が多く危険個所はありません。踏み跡が少ないこともあるので地図やピンクテープを頼りに道を反れないようにしましょう。

笊ヶ岳 南嶺 美しい森
撮影:nao
登山道が尾根道となると、南嶺で最も美しいと言われる森の中を歩きます。尾根が広い場所では道迷いに注意して。

 生木割山
撮影:nao
生木割山を下ると、西側が大きく崩れています。砂礫側は歩かず東側のハイマツ帯を歩きましょう。

笊ヶ岳 山頂からの眺め
撮影:nao(笊ヶ岳山頂からの小笊と富士山)
再び樹林帯の気持ちの良い尾根道となり、ひと登りすると笊ヶ岳山頂です。山頂は360度の大展望。富士山はもちろん南アルプス南部の山々が間近に見えています。

二軒小屋ロッヂ

 二軒小屋ロッヂ
撮影:nao
二軒小屋登山口にあり、登山前後の宿泊におすすめ。山小屋とはいえ完全予約制で、ドミトリールームは2段ベッドで快適。お風呂やタオル、歯ブラシ等のアメニティもあります。広いテラスやテントが張れる芝生も綺麗。

二軒小屋ロッヂの食事
撮影:nao(コース料理の前菜)
二軒小屋ロッヂの魅力は何といっても食事。シェフが作る料理は地元の食材をふんだんに使ったコース料理。前菜、イワナの燻製、鹿肉のシチュー、リゾットなどを居心地の良い空間でいただけます。予約できるわっぱ弁当も人気。

所在地:静岡県静岡市葵区
電話番号:0547-46-4717((株)特種東海フォレスト 観光チーム)
営業期間:4月末~11月初旬
収容人数:38名
テント設営数:20張
料金
1泊2食12,000円
お弁当1,000~1,200 円
テント600円/人
二軒小屋ロッヂのHPを見る

最短でもハード!|椹島から笊ヶ岳

コースタイムは最短ですが、途中から山と高原地図では破線ルートに設定されています。椹島に前泊して日帰りする健脚者もいますが、コースタイムが長くなるため幕営能力も必要です。

静岡県 山のグレーディング」でも6D(1~2泊以上が適当・地図読み能力、岩場、雪渓を安定して通過できるバランス能力や技術が必要・ルートファインディングの技術が必要)に設定されています。

②椹島から笊ヶ岳のコース

椹島から笊ヶ岳コース
出典:ヤマプラ
距離コースタイム標高差難易度
約8.1㎞約7時間35分約1,500m★★★
参考:ヤマプラ(山頂まで)
椹島(15分)→滝見橋 (45分)→コル(60分)→大岩帯(30分)→肩(45分)→標柱(140分)→左岸の草原(80分)→椹島下降点(40分)→笊ヶ岳

笊ヶ岳 登山口
撮影:nao
椹島から林道を歩いて瀧見橋を渡ると、右手に笊ヶ岳登山道入口の標識が立っています。尾根沿いですがいきなりの急坂続き。

笊ヶ岳  標柱
撮影:nao
肩に出て傾斜が緩くなり、広い樹林帯をしばらく歩くと標柱が立っています。ここからは山と高原地図で破線ルート。

笊ヶ岳 トラバース道
撮影:nao
急斜面のとても幅の細いトラバース道。距離が長く緊張感が続きます。ピンクテープがしっかりあるため迷うことはありませんが、道がもろい箇所もあるため慎重に歩きましょう。

笊ヶ岳 沢
撮影:nao
途中、6本の沢を越えていきます。沢の幅は細く、水量の多い時でなければ渡渉は問題ありません。トラバース道から急傾斜で沢まで下り、また急斜面をトラバース道のレベルまで這い上がるため、アップダウンが激しく体力を消耗する場所です。

笊ヶ岳 左岸の草原
撮影:nao
視界が開け右手に草原が広がっている場所に出ます。対岸の岩に大きく目印があるので、そこを目指して上倉沢を渡りましょう。上倉沢は伏流水となっていて、水の流れはありません。

椹島下降点
提供:ヤマレコ/ Hajji(椹島下降点)
再び樹林帯に入り、笊ヶ岳の稜線へ向けて登ります。尾根上の椹島下降点に出たら①のコースと合流して山頂へ。

椹島ロッヂ

椹島ロッヂ 南アルプス南部の拠点として賑わう椹島。宿泊者はテント泊でもお風呂に入れますよ。敷地内には宿泊棟以外にも売店や南アルプス白旗史郎写真館などが併設されています。

椹島ロッヂ 椹島ロッヂの前の広々とした芝生の広場にはベンチやテーブルがあり、ゆっくりと過ごせるスポット。この気持ち良い芝生広場には指定のテント場もあります。

所在地:静岡県静岡市葵区 田代鳥森1301-2
電話番号:0547-46-4717((株)特種東海フォレスト 観光チーム)
営業期間:4月末~11月初旬
収容人数:180名
テント設営数:50張
料金
1泊2食9,000円
お弁当1,000円
テント1,000円(入浴料込み)/人
椹島ロッヂのHPを見る

要ルートファインディング&体力|老平(雨畑)から笊ヶ岳

マイカーで駐車場まで行け公共交通機関も使用できるため、比較的登山者は多いコース。ただし、距離が長くはっきりとした水場もないため体力と地図読み能力、幕営能力が必要なコースです。

山梨県 山のグレーディング」では老平からのコースは7D(1~2泊以上が適当・地図読み能力、岩場、雪渓を安定して通過できるバランス能力や技術が必要)とされています。

③老平(雨畑)から笊ヶ岳のコース

老平から笊ヶ岳コース
出典:ヤマプラ
距離コースタイム標高差難易度
約10.3㎞約9時間40分約2,128m★★★
参考:ヤマプラ(山頂まで)
老平(35分)→林道終点(75分)→広河原(60分)→山の神(80分)→1590m地点(90分)→桧横手山(60分)→急坂中間の踊り場(60分)→小ピーク(35分)→布引山(40分)→鞍部(45分)→笊ヶ岳

笊ヶ岳 老平 老平の駐車場から歩いてすぐのところにゲートと登山ポストがあります。まずは林道歩き。

笊ヶ岳 登山道 登山口に入るとトラバース道が続き、吊り橋や仮設の橋をいくつか渡ります。壊れているものもあるので注意しましょう。

笊ヶ岳 広河原 広河原の渡渉地点。対岸に標識やピンクテープがあるので目指して渡りますが、常に水量が豊富で靴を濡らさずに渡れそうなポイントがないこともあります。あまり水量が多い日はこのコースは避けた方が良いでしょう。

笊ヶ岳 老平 登山道 広河原の渡渉後、急登が始まりジグザグに登っていきます。ピンクテープが目印になりますが、視界が悪い時は注意が必要で地図読み能力は必須。

檜横手山 檜横手山の標識は小さく見落としがち。山頂付近には平らな場所がいくつかあります。ここからさらに急登が始まります。

布引山 ガレ 次第に砂岩がごろごろしている斜面となり、登っていくと布引山南面の崩壊地。ガレており足元に注意が必要です。樹林帯側に登山道があるので見落とさないように進みましょう。ガレの頭で視界が開け、南アルプス南部の主稜線も見えます。

笊ヶ岳
撮影:nao
布引山を過ぎて樹林帯をしばらく歩くと笊ヶ岳山頂に到着。山頂付近にはわずかにハイマツ帯があり、南アルプス南部の大展望、小笊とその先の富士山が見事です。

笊ヶ岳へのアクセス方法

笊ヶ岳登山で使用する登山口へのアクセス方法です。二軒小屋、椹島へはマイカーで行けないため事前にバスの時間を確認して計画を立てましょう。

二軒小屋・椹島へのアクセス(畑薙第一ダム)

畑薙第一ダムから二軒小屋・椹島間は一般車両通行禁止のため、畑薙第一ダムから東海フォレスト運営の送迎バスを利用します。
4月26日~7月15日の間は畑薙第一ダム左岸の駐車場、7月中旬~10月上旬の登山シーズンはダム手前の夏季臨時駐車場を利用し、送迎バスの発着は駐車場前から行われます。

送迎バスは、東海フォレスト運営の椹島ロッジ・山小屋・避難小屋のいずれか1カ所以上に宿泊する人を対象に無料で運行しているもので、テント泊の場合は利用できません。乗車時に宿泊利用券(3,000円)を購入し、宿泊代の一部として利用します。帰りのバスには、宿泊施設の領収書を提示しないと乗ることはできません。
  • ●車の場合(東京から)
    新静岡IC(新東名高速道路)-県道27号線-県道189号線-県道60号線-畑薙第一ダムバス停
  • ●公共機関の場合
    JR静岡駅-しずてつジャストライン 路線バス「南アルプス登山線」-畑薙第一ダム
    (※しずてつジャストラインの運行期間は7/14~8/26、事前予約制です。他の期間はタクシーを利用しましょう。)
静鉄バス 南アルプス登山線

【駐車場情報】
①畑薙第一ダム左岸(4月26日~7月15日)
住所:静岡県静岡市葵区田代大草利1131-2(畑薙第一ダム左岸)
駐車台数:40台
トイレ:あり



②夏季臨時駐車場(7/中旬~10/上旬)
住所:静岡県静岡市葵区田代大草利1131-2(畑薙第一ダム約1.6km下流)
電話番号:0547-46-4717((株)特種東海フォレスト 観光チーム)
駐車台数:約150~200台
トイレ:あり


老平へのアクセス

  • ●車の場合(東京から)
    甲府南IC(中央自動車道)-国道358号線-国道140号線-国道52号線-県道37号線-県道810号線-老平駐車場
  • ●公共機関の場合
    JR身延線身延駅から早川町乗合バスで大島バス停まで約40分、600円。大島バス停から早川町予約制乗合タクシーで馬場まで約20分、200円。馬場バス停から老平駐車場まで徒歩15分。
    ※乗合タクシーの予約は前日の午後7時まで。
早川町役場の公共交通情報を見る

【駐車場情報】
駐車可能台数:10台
料金:無料
トイレ:なし


笊ヶ岳登山で利用できる温泉情報

笊ヶ岳登山で利用できる温泉情報です。長く歩く笊ヶ岳では下山後の温泉が格別。ぜひゆっくりと体を温めて帰りましょう。

白樺荘


椹島、二軒小屋へ行く際に利用できる、南アルプス南部の玄関口にある市営温泉。単純硫黄泉で大浴場、茶臼岳と上河内岳を望むことができる露天風呂、多目的浴室があります。宿泊もできるので登山の前後に利用するのも便利です。

住所:葵区田代1110-5
電話番号:054-260-2021
営業時間:10時~17時
休業日:火曜
(火曜が祝日の場合は翌平日、ただし、8月・11月は無休、宿泊は年中無休)
料金:大人510円/子供200円

白樺荘について調べる(静岡市HP)

 ヴィラ雨畑(すず里の湯)

ヴィラ雨畑 老平登山口から徒歩20分のヴィラ雨畑に隣接している温泉で日帰り入浴を利用できます。小・中学校の跡地を利用して建てられた施設は温かみのある内装で心が休まる。男性用は内風呂が1つ、女性用は露天風呂と内風呂が各1箇所あります。

住所: 山梨県南巨摩郡早川町雨畑699
電話番号:0556-45-2213
営業時間:11時~20時
休業日:木曜
料金:大人500円/小人220円

ヴィラ雨畑のHPを見る

いつかは登ってみたい笊ヶ岳

笊ヶ岳
撮影:nao
どの登山口から登っても遠く、途中に小屋もないためハードルが高い笊ヶ岳。地図読み能力は必須、水場の確保や幕営能力も必要となります。しかし、南アルプス南部ならではの森は美しく、山頂の眺めも格別。いつかは登ってみたい笊ヶ岳です。

【登山時の注意点】
・登山にはしっかりとした装備と充分なトレーニングをしたうえで入山して下さい。足首まである登山靴、厚手の靴下、雨具上下、防寒具、ヘッドランプ、帽子、ザック、速乾性の衣類、食料、水など。
・登山路も複数あり分岐も多くあるので地図・コンパスも必携。
・もしものためにも登山届と山岳保険を忘れずに!
・紹介したコースは、登山経験や体力、天候などによって難易度が変わります。あくまでも参考とし、ご自身の体力に合わせた無理のない計画を立てて登山を楽しんで下さい。

この記事を読んだ人は、こちらの記事も読んでいます


関連する記事

関連する山行記録 byヤマレコ

笊ヶ岳
この記事が気に入ったら
「いいね!」をしよう
nao
nao

両親の影響で子供の頃から山に登り、大きなザックを背負う人を見て自分には無理だなあと思っていたらいつの間にかそうなっていました。歩き続ける縦走が好き。下山後の温泉とビールも大好きです。どうぞよろしくお願いします。

登山専用コミュニティサイト「ヤマレコ」

OFFICIAL SNS

 

LINEでYAMA HACKをもっと手軽に。

登山用品から登山・トレッキングまで山に関する情報を毎日配信!
LINE友達限定の毎月当たるプレゼントキャンペーンも開催中!