1. 基本的なスマホ操作ができる
普段から使っていれば問題ないと思いますが、アプリ以前に、機内モードの設定などの、スマホの基本的な操作がスムーズにできることが大前提です。
2. 必要最低限のアプリの操作方法を覚える
・事前に地図をスマホに取り込む
地図アプリを圏外で使うためには、事前に地図をスマホに取り込んでおくことが必要です。アプリによって方法は違いますが、一度電波の通じるところで地図を表示させたり、山名を指定してボタンを押したりといった簡単な操作です。
・地図上の自分の位置や進行方向の見方を理解する
アプリの地図上では、自分の位置とどの方向を向いているかが、矢印やアイコンなどで表示されます。山に行く前に家の近くや近所の公園などで、アプリを見ながら目的地に向かって歩いてみましょう。
※アプリによっては使えるエリアが限定されるものがあります
・現在地の位置情報を人に伝える手段がわかる
地図アプリでは、現在の現在地情報(緯度・経度、高度など)を知ることができます。道迷い遭難の事例では、「家族に道に迷ったと電話やメールで連絡してきた」という話がよくありますが、その時点でどこにいるかを伝えられれば、捜索範囲が絞れて残念な結末は防げたはずです。メールで位置情報を送信する機能があるアプリもありますが、どうすれば位置情報を確認できるのかを、必ず覚えておきましょう。
3. 地図読みのもっとも基本的な知識を身につける
アプリといえども表示されるのは地図。自分がいる位置からどっちに進んだらいいのか、危険なところはないかなどを判断するには、最低限の地図読みの知識が必要です。最初からすべてを覚えるのは難しくても
・等高線を見て斜面の緩急や、ピーク、尾根、谷などの地形を想像できる
・登山道を表す線、崖や滝、万年雪などの危険箇所などを示す基本的な地図記号がわかる
などは、紙でもアプリでも、地図を使う上で最低限必要な知識。登山の入門書や雑誌、WEBなどで少しずつ学習しておきましょう。
アプリを使う際の心構えは?
事前の準備を忘れない
どんなに優秀なアプリでも、事前に正しく地図の取り込みができていなければ役に立ちません。スマホをフル充電しておくのも忘れずに。
GPSもスマホも完璧ではないことを理解しておく
衛星から電波を受信して位置を特定するGPSは、地形によっては精度が落ちて誤差が生じることがあります。またスマホの性能により一時的に表示が乱れる、動きが遅くなる、低温時に反応しないなどの不具合が起きることも。しかし時間をおいて再度確認する、場所を少し移動するなどの対応で解決する場合がほとんどです。
必ず紙の地図とコンパスも持つ
ここまでアプリを薦めておきながら、やっぱり紙の地図? と思うかもしれませんが、何事もバックアップを用意するのが山の正解です。なんらかの原因でスマホが使えなくなったときのため備えとしてはもちろんですが、紙の地図は全体の位置関係を把握するという点では、画面の小さいスマホよりも優れています。
また山の地図には、シンプルで細かな地形の把握がしやすい「地形図」と、コースタイムやトイレの場所などの情報が豊富で登山道が見やすい「登山地図」がありますが、アプリには「地形図」を使っているものが多いので、紙の「登山地図」を合わせて使うのもいい方法だと思います。
忘れ物をしない
スマホ、予備のバッテリー、ケーブル、保護ケース、ストラップなど、必要なものを忘れないように。特に忘れがちなのがケーブル。LightningとMicroUSBの間違いにも気をつけて。念のため防水対策もしておきましょう。
フル活用でもいざというときのための備えでも、やっぱり地図アプリを持たない理由はない!
地図アプリにはいくつか種類がありますが、それぞれに個性や特徴があります。まずはどれが自分にとって使いやすいかいろいろ試してみるといいでしょう。実はいろいろな機能が備わっていて、設定や使い方を覚えれば、カーナビのように事前に登録したルートから外れると音声で教えてくれるものや、SNSへの投稿や登山記録ができるものなどがあります。
でも、そんなことに興味がないという人にこそ、地図アプリを持って欲しいのです。エマージェンシーセットや非常食などと同様に、使わずに帰るのが一番だけれど、万が一のときに備えて持っておくもの。地図アプリは、遭難のリスクを大きく引き下げることは間違いありません。
そして、自分の行動を自動で記録する、ログ機能だけはオンにしておくことをおすすめします。道を間違えたときに自分の通ってきた道を戻るときにも安心だし、何より日本地図に自分の足跡をどんどんつけていく感覚は、初めて使う人にもなかなか楽しいものだと思いますよ。